突発企画「奴らが戦国にやって来た」
 
第三十一話:男要らずの初夜と引き籠もる者達
 
            
 
 
 
「はあっ、ああ…ああんっ!お、お願い、も、もう…」
「『だーめ』」
 無論晋二の事が嫌いではないが、初めて見るおとこを前にして、さすがの綾も多少の怯えは隠せなかった。
 そこに、かねてから聞いていた晋二を思っている二人を見つけ、自分の前にやってもらおうと大胆にも呼んだのだが、
「綾、あんた私達に先にいかせようと思ったでしょ」「それも実験台で」
「そっ、そんな事はっ…」
「『本当に?』」
「あ、あぅ…」
 姫じゃなくて綾と呼んで、アスカ達にそう言った綾が、
「お二人の事は聞いています。よろしかったら、お二人から先にどうぞ」
 ぶっ飛んだ事を勧めたのだが、
「別にいいわ」
「え?」
「『綾の後で』」
 既に四人とも裸になっており、侍女達も次の間には居ない。
 勿論、二人が遠ざけたのだ。アスカ達はアスカ達で、最初は綾に繋がって貰おうと思っているから、間違って声など上げられたら面倒だ。
 言うが早いか飛びかかってきた二人に、綾は為す術もなく押し倒され、真名が下肢を固定し、アスカは上半身を重ねてきた。
「大丈夫、優しくしてあげるから。晋二に挿れられるの、怖いんでしょ?」
 ちょっと待っててねと、晋二は待たせてあるから、二人の重なっている顔は晋二からは見えない。アスカが見えぬように覆い被さったのだ。
「は、はい…」
 こくんと綾が頷くと、
「初めてだものね。でもね、あたし達もやっぱり、他家の姫様を嫁に迎えておいて、先に晋二をもらっちゃうのはまずいのよ。だから、晋二と繋がっても大丈夫なようにほぐしてあげるから」
「ありがとう…」
 目にうっすら涙さえ浮かべて礼を言った綾だった…が。
 アスカはほぐすと言ったはずで、濡らすとは聞いていない。
 最初にアスカが唇を重ね、お互いの柔らかい舌を絡め合った後、今度は真名が上がってきた。アスカとの時は余裕もなかったが、二度目には少し慣れて、入り込んできた舌に自分から舌を絡めて吸う余裕もあった。
 その体勢はアスカが邪魔で晋二からは見えないのだが、ニヤッと笑ったアスカが、ひょいと横にどいたのだ。
 明るい方が安心でしょうと灯りは消えておらず、晋二の場所からは身体を重ね合った綾と真名が淫らな音を立てながら、舌を吸い合っている様子がよく見える。
 しかも、アスカがそっと二人の脚を開かせたから、二人の微妙に違う割れ目までもがくっきりと見えているのだ。
 淫毛の量にあまり差はないが、真名の方が小淫唇の形はきゅっと締まっている感じがする。綾の方も勿論処女だから閉じてはいるが、下の方は少しだけ開いている。真名が蕾なら、綾の方は少しだけ開き掛けた花かもしれない。
 しかし、そんな事よりも上の口に続いて下の口までキスしそうな位に美少女同士のプレイは、晋二の股間を一瞬にして跳ね上がらせるのに十分であった。
「お、おっきい…」
 アスカが思わず息をのんで呟いた程だったが、キスに夢中な二人は気づかない。
 やがてどちらかとも無く唇を離すと、二人の間を唾液の糸がつないだ。
「真名の口づけお上手…もう、頭の中がぼんやりして…」
「綾だって上手だよ。私のあそこ、もうびしょびしょだもの」
「あ、あそこって…」
 かあっと赤くなった綾に、
「お・ま・ん・こ」
「おまんこ…とは?」
 淫靡な口調で囁かれたが、初耳らしい。
 ちょこんと小首を傾げた綾だが、
「ここよ」
 アスカがくちゅっと指を滑らせた途端、
「はああんっ」
 押し殺してはいたが、愛らしい声で喘いだ。
 だがこれがいけなかった。
 ぞくぞくっ。
(喘がせてみたい)
 綾の反応で、アスカと真名の淫靡な炎が一気に燃え上がってしまったのだ。ぞくぞくするような興奮で、自らの股間からも愛液を滴らせながら、一瞬視線を交わしただけで即担当が決まり、ささっと場所を入れ替えたアスカと真名が綾の女体に責めを開始した。
 綾のおんなも、真名が数回舌を這わせるともう濡れてきたし、アスカの方は妙な体勢を取った。
「はふん…あ、ああうっ…」
 下肢をぴくぴくさせながら喘ぐ綾の脇の下辺りに手を置いたのである。ちょうど、アスカの顔の下には綾の乳房が、綾の顔の上にはアスカの乳房が来るスンポーになる。
「ねえ、綾…」
 既にアスカの吐息も荒くなっている。
「は、はい」
「舐め合いしよ。綾のおっぱい舐めたげるから、綾もあたしの…ね?」
「ち、乳を?」
 乳は子に吸わせるものだと教わったし、夫に愛撫される物ではあっても吸い合うなどとは初耳である。
 まして――女同士などでは。
 それでも綾が頷いたのは、自分を愛撫してくれている二人の厚意だと思っていたし、何よりアスカの乳首にしゃぶり付かないと、下半身を覆う疼きの炎に耐えられそうに無かったのだ。
 実戦こそ無いが、経験のある者達に憑かれたアスカ達は脳裏に植え付けられており、真名の舌使いも確実に急所を捉えたものであった。それに加えて、二人とも綾を責めて快感をもたらし、あの声で喘がせたいと思っているのが大きい。
 愛撫は技術より心なのだ…多分。
 互いの胸に顔を近づけ、アスカがそっと舌をさしのべた瞬間、
「ひゃふうっ!?」
 その身体はびくっと跳ねた。
 綾がいきなり乳首にむしゃぶり付いてきたのだ。歯は立てていないが、ひたすら舐め回して吸う愛撫であり、これも高ぶっているアスカには十分過ぎる刺激であった。
(ま、負けないわよっ)
 勝負ではないが勝負である。目的は綾の喘ぎを聞く事であって、自分が喘ぐ事ではないのだ。
 ちらっと真名を見ると、視線を感じたのか真名が顔を上げた。
(真名、おまんこもっと責めてやって)
(りょーかい)
 真名だって、綾がアスカの乳に逃げては困る。即座に意見は一致し、自分の唾液と綾の愛液でべとべとになった舌で、包皮から顔を出した陰核をぞろっと舐めあげた。
「ひいああっ!」
 アスカの乳首から唇が離れた瞬間、さっとアスカが綾の顔に胸を埋めた。
 互いの乳房を愛撫し合っているのが綾とアスカで、真名は股間専門だから荒い息が一つと喘ぎが二つ上がる筈なのだが、いかんせん乳房と性器の両方を責められては、もうアスカの乳に舌を這わせる余裕もなく、布団をぎゅっと掴んだまま堪えるのが精一杯となっていた。
 その結果、冒頭の台詞に戻るのだ。
 これ以上されたらおかしくなってしまいそうと、二人にお願いしてみても、綾の愛らしい喘ぎがすっかり気に入った二人は、即座に却下した。
 しかも綾の喘ぎを“おかず”に燃えられ、それが持続するものだから、自分達は上り詰める事無く綾だけを責められる。
「アスカ、今度は私がそっちに行くわ」
「そうね、あたしも綾のおまんこ食べてみたいし」
 綾に取っては聞き慣れぬ単語だがそれが女性器の、それも俗称だと言うのは綾にも分かった。
 二人がその単語を口にする時、口調がひどく淫靡になるのだ。
 アスカと真名は同じ大砲隊だが、戦争の時にはそれぞれが相手と逆の戦法を取る。アスカが敵の真ん中なら真名は敗敵掃討、真名が城攻撃ならアスカは敵兵を狙い撃ちといった所だ。
 場所が変わっても、それは変わらないらしい。
 身体を入れ替えた時、真名のおんなから愛液が滴っているのにアスカは気づいており、無論綾も似たようなものだと踏んだ。
 そして予想通り、そこは既にびっしょりと濡れた状態になっていた。
 淫核は完全に顔を出してぷっくりとふくれ、白ではなく充血した状態になっている。膣口の方はと見れば、愛液で膣口は先端が開き、文字通り呼吸しているかのようにひくひくと動いている。
 そしてアスカは…それに黙って愛撫を加える娘ではなかった。
「ちょっと真名、綾のおまんこぐしょぐしょになってるじゃない。それに、うわ…もう入れてって感じでひくひくしてるしっ!」
(わ、私のおまんこがぐしょぐしょでひくひく…)
 アスカの言葉を脳裏で反芻した途端、綾は首筋まで真っ赤になり、膣口からはどくっと愛液が溢れてきた。
「い、いやあ…も、もう言わないでぇ…」
 弱々しく首を振っても、愛液は溢れてくるし乳首はコリコリと硬くしこったままだ。
「『止められないわよねえ〜』」
 にっこりと顔を見合わせて笑ったが、その顔は何故か純粋無垢なものであった。
 人種によっては、こんな時の方が澄んだ笑みになるものらしい。
「も、もうだめぇ…んんっ」
 言いかけた口を真名が塞ぐ。
 すぐに唇を離し、
「私達のじゃ…気持ちよくなれなかった?」
「そ、そんな事はないですけど…」
「じゃっ、お礼してもらわなきゃねっ」
「お、お礼?」
「そ。綾の可愛い声聞いてると気持ちいいし、濡れちゃうんだもん。さ、もっと聞かせてね〜」
 綾の返事も待たず真名は唇を重ねて舌を絡めた。
 口では嫌がっても身体は逆らう――綾の舌は勝手に動いて真名の舌と絡み合い、淫らな音を立て始める。
 室内に少女達の喘ぎが木霊していった。
 
 
「あの、卯璃屋さん」
「何でしょう」
「この後武田軍は、どうするとお考えですか」
 すぐには答えず、得留之助はうっすらと笑った。
「どうしたんですか?」
「真宮寺殿、あなたならどうします」
「あっ、あたしですかっ?そっ、そんなの無理ですっ」
「無理?」
「あたしなんかじゃ考えもつきませんよっ」
「大した事じゃないですよ」
「え?」
「晋二殿なんですが、当分閨から出てきませんから」
「閨って…何でですか?」
「花嫁と多人数プレイに励んでますから。要するに4Pって事です」
「4P…そ、それって女の子が三人って事ですかっ!?」
「平たく言えばそう言う事です。真宮寺殿も入りますか?」
 4Pの単語に反応し掛けたさくらだったが、
「あ、それは遠慮します」
 あっさりと首を振った。
「結構です。で、その晋二殿はしばらく唾液と愛液にまみれて過ごすでしょう。ところが他国にとっては問題なんです」
「どうしてですか?」
「生産地盤が安定してない家にとっては、戦争か開発をしないと収入は増えません。しかし碇家はもう十分な物を持っています。つまり、碇家は動かなくても収入は増える一方なんです。と言う事は、晋二殿が処女調教に飽きて出てきた時、軍備は莫大な物になっているという寸法なのです」
「……」
 さくらの背に、すうっと冷たい物が走った。
 晋二の閨に口を出す気はなくそんな事ではない――何もせずに財政が潤う、そうなればもう無敵ではないか。
 そう思った時、何故か背中に走ったのは安堵ではなく冷たい物であった。
「しかも、現在の配置では碇家に弱点はありません。あるとすれば、甲斐辺りを放っておいて東北に侵攻し、戦線が伸びきった所でしょう。ですが、晋二殿もそんな愚を犯すほど間抜けではありません。そうなった場合、他家の大名はどう考えると思いますか?」
 酒を注いだ杯を差し出されながら訊かれ、さくらは首を捻った。
 外交…はもう無理だ。長尾家がやってしまっている。
 しかも侵攻も出来ないとなると、座して滅びを待つしかないではないか。
「打つ手がないような気がするんですけど」
「いいえ」
 得留之助は首を振った。
「戦争です」
「せ、戦争?」
「簡単な事です――ただし、武田家に取ってはですが。甲斐と南信濃を維持した上で、美濃まで取れるとは思っていないでしょう。そうなると、石高不足が深刻になります。総力戦を挑む、つまり国を挙げて戦争をしかける場合、最も最適なのは南越なんです」
「南越って、長尾景虎殿の所じゃないですか。犠牲が大きすぎますよ」
「そうでもないです。確かに景虎殿は優秀ですが、越後は寺社衆と大名の関係が悪いんです。僧兵を味方に付け、景虎殿の部隊さえ殲滅すれば、栃尾城もガラクタ同然です」
「そ、そんな事をして南越が落ちたらっ」
「長尾家を滅ぼしに掛かるでしょう。真宮寺殿いいですか、武田家に取って唯一の手段は碇家から逃げて、離れた場所で勢力を立て直す事なんです。具体的に言えば、蝦夷に陸奥に陸中・陸前、この辺りを抑えて生産国が欲しいのです。今の武田家は、慢性的な石高不足で、武将達が伸び悩んでますから」
「ちょ、ちょっと待って下さい」
「はい?」
「長尾家は碇家の親類で、長尾景虎殿は殿の義父ですよ。分かってるんですか」
「分かってますよ、勿論」
 得留之助は静かに頷き、
「感情を抜きにして現状を分析すれば、武田に残っているのは長尾家の領土を踏み荒らして、東北に逃げた後で地盤を立て直すしかないんです。更に言えば、長尾家は当面の同盟には向いていても、長期には向かないんですよ」
「ど、どうして…」
「碇家が強くなった事と、現状では武田家が窮鼠猫を噛む可能性があるからです。酷な言い方ですが、武田家は東北に追い払った方がいいんです」
「そ、そんな…」
 確かに得留之助が言うとおり、現時点で甲斐に侵攻すると、国人衆と寺社衆は間違いなく敵に回る。おまけに相手が武田信玄プラス碇源道とくれば、相当の苦戦は免れない。
 それどころか、家老クラスの重臣を失う事もあり得るのだ。
 それなら、せめて北信濃から上野を通ればいいと思うが、それは口にはしなかった。
 武田家に取って、碇家の次のライバルは長尾家であり、潰せる所から潰すのは常道だからだ。
「今日真宮寺殿にお話したのは、反応を分かった上での事です」
「え…?」
「義理堅く、人情を重んじる真宮寺殿に取っては嫌な話でしょう。ただ、碇家の方針は別として武田家はおそらく越後へ侵攻するはずです。その時に、真宮寺殿が強硬に援軍を申し出られると話がずれます。だから今日はお話したのです」
「分かりました…」
 得留之助が物を言う時、自分の考えはほとんど混じっていない事を、さくらはつい最近知った。
 そして、その九割近くは商人独特のルートで掴んだ情報から来ている事も。
 ゆっくりとさくらの顔が上がり、
「戦国の世なんて、早く終わっちゃえばいいんです。今日はこれで失礼します」
 さくらを見送ってから、
「それはそうですが、平和な世にも戦いはあります。それに…剣豪の用も済んでしまうんですよ」
 聞こえないような声で呟いた。
 
 
 
 
 
 アスカと綾と真名が輪状になって横になり、それぞれが目の前にある股間を舐め合うという変則3Pから、最後はアスカが綾の股間に自分の股間を差し込み、二人のおんな同士を室内に響くような音を立てて擦り合わせ、ほぼ同時に股間から愛液を噴き出させて果てた。
 しかも、それぞれの愛液が相手の淫核を直撃したもので、一瞬遅れでこれまた揃って失禁してしまったのだ。
 ほぐすどころか限界までイキまくった三人、特にアスカと綾は息絶え絶えだったが、股間同士を擦る貝合わせの時点でもう限界に近かったのだ。
 それでもかくかくと振り合う腰は止まらず、失禁絶頂でようやく止まった。
「も、もういいわ…真名、晋二を呼んで…」
「う、うん…」
 アスカが声を掛けると、これまたぬちゃぬちゃと擦れ会う二人のおんなに我慢出来なくなって、自らも膣に指を出し入れしていた真名が気怠げに返事した。
「綾ごめん、やり過ぎちゃったわ…」
「ううん、いいの。アスカ優しかったし、それに…気持ちよかったから…」
 自分の言葉にぽうっと赤くなりながらも、綾が大の字に伸ばされたアスカの手をそっと握った。
 普通なら本妻と愛人の立場であり、晋二のおとこを巡って争ってもおかしくはないのだが、綾が初夜の床に二人を呼び入れた事で、少々奇妙な形にはなったが、仲良くはなったらしい。
 愛液と快感、それに唾液を共有した女同士は仲良くなると言うのは本当らしい。
 アスカが手を握り返し、顔を見合わせた二人が絶頂の余韻が残る顔でうっすらと笑い合った時、不意に真名の悲鳴が聞こえた。
「ちょ、ちょっと碇君しっかりしてっ!?」
 がばと二人が跳ね起きると、顔を一面朱に染めてぶっ倒れている晋二の姿が目に入り、二人は慌てて走り寄った。
「…ん?」
 が、よく見ると何処にも怪我はなく、しかも晋二のおとこはこれ以上ない位に上を向いたままだ。
「や、やだ…晋二ったらあたし達の見て興奮しちゃったんだ。綾、鼻血よそれ」
「は、鼻血!?」
 驚いたように晋二の顔を見たが、やはり傷はなく鼻血だと分かり、
「し、晋二様…」
 こちらは何故か、嬉しそうにぽうっと頬を染めた。
「寝てるのを起こすのも何だし、添い寝してあげない?」
「あ、それいいわね。じゃ、綾から好きな場所選んでいいわよ」
「好きな場所ですか?」
 不思議そうに首を傾げたまま、そっと晋二の隣に身を横たえた。
「『お子様ねえ』」
 可愛いもんだと二人して笑った次の瞬間、空中にバチバチと火花が散る。
「『恨みっこ無しだからねっ』」
 勝負の結果真名が勝ち、嬉々として晋二の股間に寄り添った。
「す、すごい…」
 驚愕の表情を浮かべた綾に、
「あんたもあっちが良かったんじゃないの」
 アスカが訊くと、ふるふると首を振った。
「わ、私はまだあそこまでは…お、お二人とも本当に処女…ですか?」
「『ぬあんですって』」
 ピクッと二人の眉が上がり、
「そういう事言ういけない子には」「お仕置きが必要ね」
 綾が逃げる間もなく、あっという間に抑え込まれてしまった。
「お、お止めなさい。もう私の…」
「私の何?」「ちゃんと言えたら、許してあげない事もないわよ」
 またまた赤くなったが、身体の防衛には変えられないと、
「わ、私のおまんこがもうじんじんと痺れているから…も、もう止めて…!?」
 綾が最後に見たのは、悪魔の表情で笑う二人であり、
「許してはあげるわ」
「でも、あたし達の疼いた身体が叫んでるのよ。綾が欲しいってね」
「そ、そんな話がちが…はあんっ!」
 ピチャピチャと音を立てて股間を吸われ、綾の意識はすうっと遠のいていった。
 
 
「さて、調教は済んでますか」
 翌朝寝室を訪れた得留之助が見たのは、勃起が収まらぬまま眠っている晋二と、その横で大の字になって失神している綾の姿であった。
 綾の淫毛はてらてらと光って貼り付いており、おそらくは唾液と愛液のミックスと思われる。
 更に下手人はと言うと、これまた二人並んで眠っており、その手はそれぞれ互いの股間に置かれていた。
「綾殿に付いてきた侍女達に見られたら、さすがにまずいでしょう」
 そう言うと中に入っていき、それぞれに毛布を掛けてさっさと引き返す。
「この分だと…最低半月は」
 奇妙な事を呟いてから後ろ手に障子を閉めた。
 
 結局、それから一週間経っても晋二はおろか、アスカや真名も姿を見せなかった。相変わらず多人数プレイにふけっているのだが、その間に事態は動いていた。
 晋二達がラブホテル――いや閨に籠もってから十日目、坂戸城の長尾景虎から使者が飛んできた。
 やはり武田軍が動いたのだ。
 ご丁寧に信玄が自ら陣頭に立っていると言う。
「碇源道は?」
 伝令が首を振ると、
「麗殿、面倒でも起こしてきてはもらえませんか」
 程なくして顔を真っ赤にした麗が、晋二とアスカ、それに真名までもずるずると引きずってきた。
 三人ともあちこちに包帯を巻いているが、争った痕でないのは明らかである。
 事実、アスカの首に巻いてあった包帯の隙間からは、くっきりとキスマークが見えたのだ。
「あ、あのう…」
「どうかしましたか?」
「は、半刻で戻ってきますから、ゆ、湯浴みしてきてもいいですか」
 赤くなった晋二が訊くとアスカ達まで一緒に赤くなった。
 その言葉に、雪や麗がかーっと赤くなったが、
「あ、どうぞ。香水と包帯で誤魔化すにはちょっと無理がありますから。ただ、使者が待ってますからお早めに」
「は、はいっ」
 かさこそと晋二達が出ていった後、
「若いってのはいいですな。さて、双子になるかそれとも三つ子でしょうか」
 湯飲みを傾けて呟いた得留之助と、それこそ襟足まで真っ赤に染めた麗達が残された。
 
 
 
 
 
(続)

大手門

桜田門