今回はちょっと古めかしい言い回しの文章を目指して書いてます。<???
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やみのよの 行く先見えず さんづがは
ならくの底に さばはなからむ
──思い悩み、先も見えない雨の振る暗い夜に、この命を捧げようとして参じた川。
──しかし、一度地獄に落ちてはそれならと行って引き返すことも出来はしないだろう。
未練あれば、生くか。
よろし。
──すっかり病み先も見えないこの暗い世には、渡ってあの世へ行くという三途の川ですら行き先が分からない。
──奈落の底ですら、七つは楽があり、この辛い現実のように救いも無き娑婆と言うこともあるまい。
現のやみより、逃ぐか。
また、よろし。
およづれびとの来たりて語る。
世は夢の世幻の世。されどたえてなかりせば。
夢の浮橋いと渡らまほしと。
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妖霊奇話
〜およづれびとの来たりて語るに〜
第一夜
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この世の中には、およそ信じられぬような不思議なことが度々起こる。
度々あるので、一応認識はされているし、今更その存在を疑うものも居ない。
しかし、だからと言ってそのような事は予測も出来ぬし理解も出来ぬ。
そう言った問題に付いては専門家がきちんと居り、彼らが対処する決まりになっていた。
術士とも言ったが、妖人(およづれびと)とも呼ばれるもの達である。
その呼称からも察せように、世の中全般には快く受け入れるものは極少数。
要するに奇人変人の類ということになる。
尤も、本人たちは至極真面目なのであって、中には圧倒的な功績により認められざるを得ない者たちもあった。
そうした彼らは崇められ、怖れられる。
正直な所、ある一定の域に達した術士などは最早妖怪の類と見分けも付かなくなってしまうのだから。
人の形の妖か。妖になった人か。
大きな差と言えばそうであるが、そうでないと言えばその通りにも思える。
まぁ、いずれにせよ彼ら自身にとって価値も無き議論であったが。
さて、そんな中の一人の話をしよう。
その者は神通広大にして妖をすら虜にし、人の母より生まれ落ちて千年を生き尚衰えぬという。
名を、何と言ったか。
否、そのようなものは既に忘れてしまっている。
彼はただ今風に名を改め、何を思うてかただ人の内に雑じって生き続けていた…。
今の名乗は『碇シンジ』と。
彼の産声を上げた日より、丁度千年目のある夜の話である。
女は滔滔と流れる川面を見据えてじっと佇んでいた。
奇妙な夜である。
黒より昏く闇は降り、静寂の中に雨音がよく響く。
けれども川の流れる音はまるで聞こえては来ない。幻のように川流が視界に飛び込んでくるのみだ。
よくよく観察すれば、おかしいのはそれだけでなく、これだけの濁流にも拘わらず匂いもしない。
どうやら本当に其処に川が在るのかすら疑わしそうだ。
ならばそれをじっと見詰める女も恐らく通常の人間ではあるまい。
このような場合、関わって碌な結果に終ることは先ず在り得ない。
よって近くを通っていたそこそこの数の通行人は皆逃げるように遠のいて行ってしまった。
そうして更に静寂が訪れる。
女は相変わらず川面を見ていた。ただ、眺めるというよりは忙しなく目線を移し、まるで何かを探すように。
一体何を探すと言うか、この流れでは何も一所には留まってはおるまい。
いや、それ以前にこの川は実在しているのかどうか。
やはり、おかしな女だ。
見れば、容姿もまともとは思えない。
蒼みがかった銀髪に鮮血のような紅い瞳。
肌の色は白子というに相応しく、透き通るかのようだ。
美しいことは美しいが、度を過ぎれば恐ろしい。
これはもう、あからさまに人外の者だろう。
そうして雨は三日三晩降り続け、先に言ったシンジの千回目の誕生日の日。
名前すら忘れたのにも拘わらず、何故かその日付だけは覚えている彼は何時ものように雨の振るその日に、町を傘も差さずに散策していた。
別に何か目的があるではない。ただ歩くだけだ。
こう長く生きていると歩くということも面倒になりがちで、実際にこのように長時間歩きつづけるのは一年ぶりである。
彼は生意気なほどに美しく響く鼻歌など歌いながら、知らず妖気の篭る公園の方へ足を向けていた。
雨が降る夜は何時もは避ける道へ。
恐らくはここ百年は敬遠していた方だろう。
毎年雨が降るので雑草の濃く茂るこの道は歩き難かったのだ。
ただそれだけの理由であったが。
しかし、その日は何となくそちらに足が向いた。
シンジは無意識的に身体に薄い結界の幕を張り、泥の付かぬようにしてから其処に踏み入った。
「朱威さま…朱威さま…」
女が堪えかねたように呼びかける。
朱威とは人の、それも女の声音からすると想い人のそれであろうか。
この時世に名乗るにしてはやや古めかしく、或いはもっと旧い時代に名乗った妖のものにも思えた。
女は三日前の物静かな様子とは打って変わり、脂汗すら滲み出させて川面に呼び続ける。
もどかしげに手を伸ばし、しかし何かに気付いて引っ込め、今にも泣き出しそうな風情であった。
今はじっと佇んでいると言う訳にも行かないのか、川沿いに行ったり来たりを繰り返す。
そうしておよそ半刻ごとに、弱々しげで切なげな声で呼びかけるのだ。
「朱威さま…朱威さま…」
と。
川が見えた。
ほんの一週間前までは川床すらなかったというに。
この雨で新たに流れ出した訳でもあるまい。
それならば去年も一昨年もその前も、毎年このように川が出来ていたはずで、そうするとその跡が残っていないのはいかにも奇妙なのだ。
「どこぞの水妖が恋病でも患ったかな?」
シンジはそう嘯くと、川に沿って歩き始めた。
無論その川に入ったところで流されはすまい。
ただ、これが妖怪の想いの具象であればそのままずるずると引き込まれて面白くないことになりかねない。
まぁ、この程度の力で何とかなるシンジではないが、無駄な労力を使わないのが彼の流儀だということだ。
それに何より他人の事情に、文字通り土足で上がり込むのは何とも無粋ではないか。
ここはこうして回り込んで、玄関口を探すべきだ。
それ以前に余計な詮索をしなければ良いとの意見もあるが、残念ながらシンジは楽しいことは嫌いではないのだ。
「朱威さま…朱威さま…麗をお忘れですか?」
それから更に半刻。女の声は最早悲痛なものへと変わっていた。
どうやら麗と言う名前であるらしいこの女を、事情は知らぬが朱威という恐らくは男が逢引の約束でも違えたようだ。
それにしては女の様子が大袈裟過ぎるが、どちらにしても状況は絶望的なようである。
女の頬は雨ばかりでなく雫を落し始めた。
元々紅かった瞳は更に紅みを増し、折角の美しい白い肌は少し不健康な蒼白へと色を変えていく。
蒼みがかった銀髪も若干色褪せた風にも見える。
女はそれでも諦め切れない物か、右往左往してただ名前を繰り返した。
何故か、川面へ向けて。
川面の中の者は何物であろう。
無論およそ人為るものとは思えないが。
いや、そもそもこの女、正気であろうか。
もしや川に落ちた良人か何かを、今もまだ忘れ得ずに求める憐れな未亡人であるのやも知れぬ。
それを知る術も今はない。
女は元々大声を出せない喉から精一杯の掠れ声を上げ続ける。
それでも在るのはただ闇と雨ばかり。
川の流れも、実は幻なのだ。
「おや…」
女が在った。
かなり憔悴しきった風情で、ただただ名を呼び続ける白い女が。
シンジは自らも得体の知れぬまま軽く眉根を寄せてそちらを見遣り、呟いていた。
誰だったか。
何処かで会った様な気もするが。
ただ、全く覚えはない。既視感というやつなのだろうと決着し、シンジは数度首を振って気を取り直す。
それから何の前触れも無く彼女に呼びかけた。
「もしもし」
「──っ!」
びくりと、女が唐突に声を掛けられたと言う事以外に驚くのが分かった。
シンジはどう贔屓目に見ても人の悪い笑みを浮かべ、もう少し女の顔がよく見える距離まで近づこうと一歩踏み出す。
女はやはり強張った表情のままシンジに合わせて一歩退いた。
シンジはそれを見てもう一歩踏み出し、女はまた警戒しつつ一歩退く。
くす、と、シンジの笑みがより深みを増す。
その時の彼の相貌は本当の意味で妖艶といって良かっただろう。
それだけで既に膨大なまでの妖気を宿し、魅了の魔力を含んでいたのだから。
「やはり、どこぞの水妖か。こんな雨の夜に何用かな?それとも、君の所為でこんな雨の夜なのかな?」
「…あなたには、関係のないことよ」
「おや、つれない。人の好意は素直に受け止めるべきだよ?」
冗談めかしてシンジが言うと、女はそれでも表情を変えずに呟いた。
「…それは好意ではなく、余計な世話というのよ」
「ふむ、全くだね」
全然分かっているようには見えない仕草でシンジが頷いた。
その態度はどこか小馬鹿にしたようでも在るが、別段シンジがそうと意図してやった訳ではない。
長い時間を生きているうちに、余裕が傲慢と区別が付かなくなってしまっただけである。
尤も、それに何ら遜色のない実力と経験に裏打ちされてはいるが。
どちらにしても、彼の意図は兎も角やられた方は面白くない。
女はもうこれ以上付き合いきれないといった風に無言で踵を返すと歩き始めた。
「怒ったの?君とてそう若い妖でもあるまいに。何か欲しいものがあるなら、それの得られそうな機会は下らない自尊心を犠牲にしても逃すべきじゃあないね」
思わせ振りなことを言う。
しかし、普段なら決してそうはしなかったろうに、女は余程追い詰められていたのか足を止めて向き直った。
シンジはその闇に映える美貌を正面から見据えて感心したようにほうと息をつく。
性欲の類はとうの昔に衰えてしまったが、純粋な意味で美しいものは嫌いではない。
そして女は彼が期待していた以上に美しかった。姿形だけのことではなく、魂とでも言うべきその存在が、である。
「…あなたに何が出来ると言うの?」
「占いの真似事を少々」
「…それは──いいえ」
いい澱み、唇を噛む。
それから口を噤んでしまい、女のプライドが許さないのか、中々言い出そうとする素振りが見えない。
既に女はシンジの尋常ならざる妖気に気が付いていた。
そして彼が元は人間であったろうことも。
だから、幾ら凄まじい力を持った存在であろうと、人間などに頼るのが忌々しかったのである。
「ちなみに」
「…何?」
「僕は善意だけで申し出ているんだよ?ここで怒って帰ってしまっても僕に非は無いんだ」
「…………」
見詰め返すその黒い瞳は凡そ嘘などを吐いている様には見えない。紛れも無く本気で言っているだろう。
からかっている訳でも無い…と、すれば。
本当に今を逃せば後悔どころでは済まぬやも知れないのだ。
それに──。
と、思い直す。
女の想い人も人に忌まれたとは言え人に違いなかったと言うことを思い出したのだ。
「…人を…」
「ひと?」
「ええ…朱威さまという方を…お待ち申し上げているのよ」
「…百年近くも?」
「──っ」
はっ、と面を上げて、女は直ぐに俯きなおした。
何故知られているのかと思ったが、この男ならば不思議ではないと思えたのだ。
この恐るべき妖力は百年かそこらで身に付くものではない。
恐らくはこの男も百年より前からこの町に居付いていたに違いないと。
否、そうでなくとも。
毎年この鬼涙とも呼ばれる日の晩に雨が降り、幻の川が流れる伝説は、それこそ子供でも知っているのだから。
「その男、人か?」
「……ええ」
「その川に落ちたか?」
「…………そうよ」
「では、占うまでも──」
「いいえ!!」
女が声を嗄らして叫ぶように否定した。耳を塞ぎ、眼を瞑る。
絶対に聞いてはならない言葉から、そして聞かなければならない言葉から自分を閉ざそうとする。
本当は分かっている筈なのに、心が認めずに百年。
今更に何物の声が聞こえようか。
──しかし。
「その男、最早生きては居まい」
恐るべき言霊の力は、女の脆い抵抗の全てを簡単に打ち崩し、理解したくも無いのに意識を直接に揺さぶってその意味を伝えた。
女を両目両耳を塞いだまま雷を受けたように痺れ震えだし、幻の川は一層の強さを持って最早轟々と流れ出す。
「いいえ!いいえ!!!」
しかし、その狂乱振りが既に真実を語っていた。
否定すれば否定するほどに川の流れは強さを増し、溺れるものを助からしめる可能性を減らしていく。
最早この流れに飛び込んでは如何なる人も助かりはせぬだろう。
シンジはやれやれとおくびを洩らし、ウンザリしたように女を見下ろしていた。
「これだから、妖は救われないね」
人と妖の違いは今は区別が難しいが、決して明確な境界が無くなってしまった訳でも無い。
その内最も分かり易いそれが執念といおうか、未練である。
人は幾ら術を極め、千年の時を生きようと忘却を繰り返すままであるが、妖に至ってはそうも行かず、百年も二百年も、拘りを捨て切れずに彷徨い惑うのだ。
そうした意味でこの女の憐れな所業も奇特ではない。 そして、シンジがそのような妖の眼を覚まさせてやる事もまた、初めてではないのだ。
「忘れろとは言わないよ。ただ、真実から眼を逸らすのは君を不幸にしかしないよ」
蹲ってもうすすり泣くだけの女に、果たしてその言葉は届いているものか。
シンジはその事を確かめることも無く幾分勢いの萎えた川流の方へ向き直った。
「まあ、僕とて確信は無いけれど」
うん、と、伸びをしながら、白み始めた空を見上げた。いつの間にか雨は止んでいる。
ただ川は滔滔と、いまだ枯れる兆しも見せない。
「ふむ?」
シンジはふと何を思ったのかその水を掬い上げてみる。
思った通りに、想いの具象であるそれは虚しく手のひらをすり抜けていくばかり──では、無かった。
それはしっかりと現実の質量をもって彼の繊手を溢れさせて零れる。
清冽なそれらが、ひんやりと冷たい感触で持って実在を主張したのだ。
「百年目で想いは本当の川になったよ」
「…え?」
其処で漸く、女が反応らしい反応をみせた。
涙に濡れた紅い瞳に、何時しか本物になった川の流れが飛び込んでくる。耳を塞いでいた細い手のひらを剥がすと、さらさらというせせらぎが聞こえてくる。
「…ああ…ああ…」
「ひょっとしたら、奇跡はまだ起こるのかもしれない…執念も無駄ではなかった」
「…ああ…」
夜が明けるのはあっという間だ。
そして嘘が本当になるのも、またその逆も。
女はシンジが酷く矛盾したことを行っていたのにすら気が付かずに、ただ今一度の奇跡を願い続けていた。
そうだ。もう百年になるのだ。
この百年の願いが、無駄になってたまるものかと。
その様子を見て、シンジは上ってゆく朝陽によりも眩しさを覚えて眼を細めていた。
「やみのよの 行く先見えず さんづがは
ならくの底に さばはなからむ
まあ、結局解釈次第だよね。何が正しかったのかなんて後になってみないと、いや、何時になっても分からないし。
それなら、君のしたい風にすれば良いか。ひょっとしたらそれで幸せになれるかも知れないし…」
そう呟いてシンジが初めて清々しく笑った。
この世に在って、その川、さんづがはという。
想い人を亡くした水妖が、後を追おうとその川に通うも、未練ゆえに果たせず。
何時しか涙と同じに枯れてしまったと。
毎年その日の夜は雨になる。女の代わりに泣くのだと。
百年分の涙は再び川になり、女には枯れた涙が戻る。
果たして女が幸せになったかどうかは、杳として知れぬが。
ただこの川を、さんづがはという。
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補章
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ここに、伝説の書かれた沢山の書物がある。
紐解けば、様々な妖と、それに纏わる逸話が溢れんばかりに飛び出してくるだろう。
これは現在では間違いなく史実の一つとして認められているため、老若男女程度の差はあれ、皆これらに慣れ親しんでいる。
その中で最も有名な一つが、一人の妖人の男と一人の水妖の娘の悲劇であろうか。
男はその恐るべき力故に人に忌まれ、謀られて川に身を投じたという。
しかし、それほどの者が、果たして濁流に揉まれた程度で死ぬものかは非常に疑問である。
姿を消した男を求めて、娘は毎夜のように川の淵で泣き、今でも何処かで涙の雨を降らすというが、
この男、一体何処に消えたのやら。
妖人の実際に詳しい私は敢えて言うが、この話は兎角信憑性が薄いように思われる。
若しくは話のどこかに、我々の預かり知れぬ大いなる何かが隠されているのかも知れないが。
然しながら各地にその言い伝えが残るこの伝説は、最も奇怪にして最も興味深い題材の一つであることは疑いの余地も無いだろう。
冬月コウゾウ「妖霊奇話」第一巻編者解説より抜粋
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[ INDEX ] |
後書き by XIRYNN
どうも、初めまして。XIRYNNと申すものです。
なんつーか、訳の分からない話で失礼致しました。(笑)
いや、このサイトが何だか『あやかし』な雰囲気だったもので、つい便乗してしまったと言いますか…。
まぁ、こんな変な話ですが、少しでも楽しんで頂ければ幸いです。
作中で使った設定とか、短歌とかは全部自作ですので、
強引で無茶な部分は多々ありますが『所詮XIRYNNだぜっ』と言う感じで笑って許しちゃって下さると幸いです。
ちなみに、LRSなのかどうかは不明です。
あ、それとなんか第一夜とか書いてありますが、一応短編の積りなので気にしないで下さい。
続きも考えてはいるんですが、きっと誰もわざわざ読みたいなどとは思ってないでしょうから…。(笑)
若しかしたら続くかもね…と言った所です。
では、今回はこの辺で。
機会あればまた会いましょう。
(もしかしたらこれがXIRYNNの初短編になるかも知れないし、ならないかも知れない(笑))
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感想のメールは[xirynn@amail.plala.or.jp]まで
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XIRYNNさんより頂きました、ありがとうございます。
なんかこう、私の嗜好と思考をそのまま入れて貰ったような感じ。
希望は言ってなかったのだけれど、電波が伝わったのかもしれません(大謎)
さくら :「斬!」
アスカ :「あんた、最近振り回しすぎ。で、誰斬ったの?」
さくら :「ここの管理人さんが、短歌を自作って聞いたらジェラシーストームとか、訳の分からない事言い出しちゃって」
アスカ :「要するに自分が作れないから羨ましい訳ね。ま、放っておいても復活するし、続けるわよ」
さくら :「でもこのお話、アスカさん出てきませんよ?」
アスカ :「いいのよ、レイが読んだらまた暴走するから。」
>男はその恐るべき力故に人に忌まれ、謀られて川に身を投じたという。
アスカ :「それって、寒中水泳して心臓麻痺でも起こしたのかしら」
さくら :「あの、もう少し違う言い方は…」
アスカ :「あたしは、この力を嫉んで小細工するような奴は全員ウェルダン、それが身上なんだから」
さくら :「でも碇さんには茹でアスカにされ…ひたた」
アスカ :「余計な事言うん…はなひなはいよっ」
アイリス:「ほっぺた引っ張り合っちゃってもう。アイリスは、ああはならないの。じゃ、続けます」
>涙に濡れた紅い瞳に、何時しか本物になった川の流れが飛び込んでくる。
アイリス:「愛があふれそうな日 きっとわたしに奇跡が起こります−そんな感じよねえ、いいなあ」
シンジ :「ふーん。で、アイリスは百年も帰らない人を待つの?」
アイリス:「ううん、待たないよ」
シンジ :「あら?」
アイリス:「だーって、今すぐもらっちゃうんだもーん」
「『さっさと離れなさいっ!』」
シンジ :「賑やかなヒト達だ。で、麗香ならどう?」
麗香 :「私は、例えそれが遙か幾星霜の彼方であっても、お待ちしております」
シンジ :「誰を?」
麗香 :「あっ、あの…それは…」
先頭に戻る。
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