「さあ、右サイドからの、アーリークロス!DFとGKのうまく間に上がった〜
 
そこに飛び込んでくのは、俊足FW 碇だぁ〜!」
 
僕は最後の力をふりしぼり、DFで振り切って、裏へと飛び出した。
 
少し早めの球・・・ケンスケのやつ、少しミスったな・・・
 
目の前に映る景色がコマ送りみたいにゆっくりしている。
 
僕はおちついて、右足でちょっこっと合わせた。
 
ボールはキーパーの上をループを描き、ゴールへと吸い込まれる。
 
この日、2点目のゴールは、チームを優勝へと導くVゴールとなった。
 
みんなが駆け寄ってきて、雪崩状に押しつぶされた。
 
ちょっと、痛かったけど、ものすごく嬉しかった。
 
ケンスケもトウジもカヲル君もみんな笑顔だった。
 
 
 
あれから、一年・・・僕は再び日本へと帰ってきた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
僕らの誓い   一話  プロローグ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
あの日、家に帰ると・・・めったに口を開かない父親が立っていて、
 
「行くぞ、シンジ。ブラジルへGOだ。」
 
と言い放ち・・
 
「シンジ、いつまでボーとしてるの?行くわよ」
 
と母親からも、言われた。
 
僕は状況が掴めないまま、空港に向かい、日本を旅立った。
 
みんなにさよならも言えないまま・・・
 
 
 
 
後々、聞くと父親の仕事の都合らしい。
 
ブラジルの工場の収益が悪く、目処がつくまでの転勤らしかった。
 
だったら、単身で行けよ!と思ったが、そこはうちの父親・・・母さんがいないと駄目
 
人間へとなってしまうので、家族で行くことになったというわけだ。
 
向こうに着き、落ち着いてから、みんなには連絡したが、
 
既に全国大会では、敗れていて、相当怒られた。しかし、、心配していたのもあり、
 
案外、すんなり許された。
 
赤い髪の幼馴染と、青い髪のファンクラブのリーダーは、電話の向こうで、吼えていたけど・・・
 
 
 
 
 
 
 
僕は一年間・・・ブラジルのユースチームに通い、レベルは高かったが、
 
なんとかレギュラーをとった。
 
スカウトの人にも注目され始め、大きな試合の前日・・・
 
練習を終え、家に帰ると、
 
またもや、父親が玄関にたっており・・・・・・・・・・・・・
 
そんなこんなで、僕は日本に帰ってきた。
 
結構、釈然とはしないが、お気楽な性格も助かってか、受け入れている。
 
 
 
 
ただ一つの心配・・・トウジたちの高校への編入試験。
 
 
 
 
 
それだけが不安だったりするのは、僕だけだろうか?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
まだ日本に帰ってきてるのを誰にも言ってない。
 
みんなを驚かせたいのもあるし、帰ってきてばかりで、忙しいのもある。
 
でも、一番の要因は・・・・試験がもし落ちたら、恥ずかしいからかもしれない・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
      

 サッカー上等   二話    さあ、始まりだ♪
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
みんなに内緒で受けた転入試験は、予想した通り、落ちた(笑)
 
中学時代もサッカー、ブラジルでもサッカーばかりしていた僕が受かる方がおかしいというものだ。
 
しかし、中学時代の栄光と、ブラジルの名門クラブユースのレギュラーという事実が僕を救ってくれた。
 
トウジ達が通う高校は、学力だけではなく、スポーツにも力を入れており、
 
スポーツ入学枠というものが存在しているらしい。
 
どこからか、高校に落ちたことを聞きつけた、プロサッカークラブが交渉に来たが、
 
行けるなら、なんでもいいや♪というまでの、僕の高校に対する情熱?にしぶしぶ諦めていった。
 
そんなこんなで、今日、転校初日!だが、トラブルに巻き込まれていたりする。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「おい!そんなに言うなら俺ら全員抜いてみろよ!」
 
顔がごつく、筋肉ばかみたいなゴリラが僕を威嚇するような口調で怒鳴りつける。
 
後ろの3人もニタニタしているので、同じ考えなようだ。
 
「ふ〜」
 
僕はため息を一つ、つく。
 
「いいよ。でも、もしも抜けたら、もうこの子には手を出さないでね♪」
 
「当たり前だ!でも、抜けなかったら、俺らに付き合ってもらうぞ。」
 
どうやら、僕のことを女だと勘違いしている模様・・・真剣にやってやる!
 
「ごめんね。私のせいで・・・」
 
サッカー部のマネージャーだろうか?絡まれた少女が謝ってきた。
 
「いや、いいよ。気にしないで。僕が勝手に受けた勝負だから♪」
 
満面の笑みを浮かべ、少女を見返す。
 
「・・・ありがとう」
 
顔が真っ赤になってる。かわいいな〜
 
「おいっ、早く始めろよ!」
 
人がいい気分の時に・・(怒)
 
 
「さあ、いこうか・・・」
 
 
 
 
僕は受け取ったボールを地面に置くと、目の前を睨み付けた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
事の始まりは僕が学校に早く来すぎたのが、原因だったりする。
 
まだ、時間に余裕があったので、トウジやケンスケ、カヲル君に会いに行ったら、
 
 
どうやら、レギュラー組は休養らしくいなかった。
 
 
 
しかし、怒鳴られている少女に、どうやら、控え組らしい4人組。
 
「俺らのどこが間違ってるんだよ!あいつらなんか、コネでレギュラーになれただけだろ!」
 
 
 
「ち、違います!トウジ君達は、一生懸命練習してるから、先輩に認められたんです!」
 
 
「なんだと!俺よりへたくそなあいつらが!どうせコネに決まってる!」
 
 
「コネなんかじゃ、ないよ!少なくともあなた方よりかは、みんなうまいです!」
 
 
 
はっきりといわれたくないこと言われ、頭に血が上ったらしい。
 
 
「てめえ〜ふざけんなよ!」
 
 
女の子相手に手を振りかざす。
 
さすがに、まずいと思い、大声で叫んだ。
 
「すとぉーぷぅ〜」
 
何事かと、こちらを振り返る控え組みと少女一人。
 
「ねえねえ、うるさいよ。」
 
一瞬、呆気にとられた様子だったが、すぐ気を取り直したのか、言い返す。
 
「部外者は口を出すな!」
 
ここまで騒がせといて、今更だと思うのだが・・・
 
「ふぅ〜ん、そう。だったら、サッカーで勝負しようよ。サッカーうまいんでしょ?」
 
「あ、ああ。」
 
「下手そうにした見えないけどね。ぷぷっ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ここまでがあらすじ・・・挑発しちゃった。
 
 
 
 
 
 
 
 
「ピィ〜」
 
開始の合図がなった。
 
 
軽くボールを前に蹴りだす・・・はたから見れば、コントロールミス・・
 
「あっ・・・」
 
少女が慌てて声を出した。
 
控え組みの一人は、チャンスとばかしに、ボールにつめよる。
 
「もらった」
 
しかし、そのボールはそれ以上・・前に転がらなかった。
 
バックスピンをして、シンジの足元に帰って来る。
 
「残念でした」
 
一気にスピードを乗せて、抜き去る。
 
次の相手には、体の動きだけのフェイントだけで、抜き去った。
 
あと・・・二人。
 
予想以上のスピードにびっくりしているのか、浮き足立っている。
 
そして、あっというまに、一人また抜かれた。
 
最後には、あのゴリラみたいな男しかのこっていない。
 
本職はDFなんだろう。腰を少し落として、距離をとった。が、
 
 
 
「無駄だよ。シンジ君がスピードに乗ったら、誰にも止められないんだから!」
 
いつの間にかできていたギャラリーの一人が、呟いた。
 
そこから、またスピードを上がる。そして、
 
左足で、右に切り込んだ。
 
相手も一歩遅れて、反応する。
 
しかし、シンジはすでにそこにはいない。
 
踏み込んだまま、右足のヒールで、ボールを逆側に流し、体をターンさせる。
 
ちょうど、お互いが逆に動いた形になり、勝負あり!
 
最後の動きには反応さえできなかった。
 
「これで、まだ文句ある?」
 
控え組みは顔をうつむかせ、沈黙する。
 
 
「わぉぉぉぉぉ〜」
 
朝の登校中の学生だろうか?周りの人々が一斉に声を上げた!
 
「誰だよ!アイツ!くそうめえぞ!」
 
「あんな、女の子この学校にいたっけ?」
 
大勢の人が集まりだした。その中をかきわけて、マネージャーがかけよった。
 
「はじめまして、山岸 マユミといいます。ありがとうございました。」
 
頭をペコリと下げ、本当に嬉しそうに話す。
 
「いいや、いいよ。まだ、自己紹介をしていなかったね。僕は碇 シンジ。今日からこの学校に通うんだ。
よろしくね。」
 
 
 
 
 
 
 
「「「「「えええええええぇぇっぇぇぇぇえ!!!男〜」」」」」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
のんびりとした朝の風景は、いきなり阿鼻絶叫の世界へと変わった。
 
その日、男たちは肩を落としながら号泣し、女たちは、なんとか知り合いになろうと、
 
近づいていったのだが、
 
「そう、あなたは敵なのね。殲滅します」
 
と普段、全く喋らなかった青髪の少女に殲滅され・・・
 
「僕のシンジ君には、一歩も触れさせないよ。」
 
といきなりギャラリーの中から、出てきた美少年にガードをされてしまった。
 
 
 
 
 
 
 
 
その頃、一番危険な、自称シンジの婚約者は、風邪によって、ダウンしており、
 

少女たちの命は救われたのであった。

 


hot-snowさんに頂きました。

ニダー
いや、もといキター!


いつもの事ですが、呪いとか呪いとか呪いとか――のろいと読まないように。
その手なら分かったりするんだけど、サッカーは守備範囲外。
読んだ方は感想とかあると、きっと栄養になると思うのでし。



<TOP>