SUMMER WALTZ 

 5th story The first part  : Rei_A

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 抜けるような晴天の下、鈴原トウジは地下へと向う階段を降りていく。

 ブラックライトのみの薄暗い部屋にはQueenの『Rock you』が流れいた。

 流行や、部屋の雰囲気には不似合いで、あまり良い選曲とは言えないだろう。

 しかし、ヨーロッパのビッグゲームで多用されるこの曲はサッカーに明け暮れた過去を思い出させ、彼は少しだけ目を細めた。

 もちろん、サッカー好きであるここのオーナーもわかっていてかけているのだろう。

 

 今日、トウジは近日開店予定のバー『Under_Age』の雇われ店長としての最終面接に来ていた。

 内装はまだだが、2フロアもあり手を加えれば如何様にもなりそうである。

 

 

 

 

 オーナーは、カクテルのシェーカーを振るトウジの手をじっと見つめる。

 

「ふうん、いいねぇ。ちょっとぎこちないけど手が綺麗だもんな。女のお客さんはそういうとこを見るんだよね」

 

「任してください!」

 

 好感触に大声で答えるトウジ。

 

「鈴原トウジ…覚えてるよ。確か、U-14に選ばれたこともあるよねぇ?キーパーにしては本当に手が綺麗だな…」

 

 トウジの手に指を這わせる。

 このオーナーはただのサッカー好きではなかった。

 

「ハ、ハハハ…」

 

 トウジは手を握られたまま、力無く笑うしかできない。

 ここまで露骨な表現をされれば、嫌でもわかる。

 カオルといい、このオーナーといい、意外とこのような趣味嗜好の人間は身近にいるものだ。

 先進国である欧州に住んでいた彼としては、その手の人間にこれと言って偏見を持ち合わせているわけではないが、

 その対象が自分となると…困惑するしかない。

 

 それ以上のことをされることもなく、面接は無事に終わった。

 結果は『明日から任せる』、つまりは合格。

 合格通知とばかりに固く握られた手に、『断ろうか』という考えが頭をかすめたが、背に腹は変えられない。

 

<ワシは浪速の商人や!>

 

 生粋の大阪人が聞いたら怒り出しそうな、インチキくさい決意であった。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シンジはまた大学に来ていた。

 特に用事も無いのに、自分の居場所ではないここにくるシンジではない。

 用事はあった。

 出来れば、先延ばしにしたい用事だったが。

 

 それは以前アスカが受けた父親からの電話に端を発する。

 『連絡するように』と言うから電話をしてみたら、『用件は冬月に言ってある。詳しいことはヤツに聞け』ときた。

 相変わらずの素っ気ない言い草に別段腹を立てることもない。

 彼にとって父親とは昔からそういう存在だった。

 ただ、動揺はしていた。

 おそらくは、冬月に伝えた用件とは『約束の時』のことだから。

 

 重い足取りで冬月の部屋に向う。

 出迎えた冬月の声も負けないくらいに陰鬱としていた。

 

「入りたまえ」

 

 言い難そうに話し始めた冬月の言葉は、シンジの予想通りだった。

 

「ゲンドウからの用件を伝えよう…危惧している通り、キミがピアノを続ける条件、『約束の時』のことだ…。

条件とは…『私の教え子にお前のピアノを教え、認めさせてみせろ』だそうだ」

 

「え…」

 

 まず、人嫌いのあの父親に弟子が居たことに驚いた。

 父から離れた自分の代わりが居る。

 『僕は要らない子供なんだ』と嘆くほど幼くもないし、父親に固執もしていない。

 だが、自分の心のざわめきから推測するに、余り好ましい出来事ではないようだ。

 

 次にその条件の難しさに驚いた。

 世界のトップに立つピアニストが認め、鍛えた素材に自分がピアノを教え、シンジを認めさせるなど不可能だと思えた。

 まだ、自分のピアノのさえ確立しきれていないシンジには、きつ過ぎる条件である。

 

 そのことをわかっている冬月はシンジの心中を察する。

 

「アイツめ…言い難いことは全て私に押し付ける…」

 

「…すみません」 

 

「シンジ君が謝ることではない…それに、ゲンドウもキミにピアノを辞めさせたいと思ってこの条件を出したのではない…と思う」

 

 言ってはみたものの、冬月にも自信はない。

 数十年の付き合いだが、未だにあの男の考えていることはわからない。

 唯一、彼を理解していた女性はもうこの世の人ではなく、昔のように彼女に仲立ちを頼む訳にもいかない。

 

 シンジはこの歳になってまで不肖の弟子とその息子に、面倒をかけられる冬月に同情した。

 

「えぇ、あの人もそれほど暇ではないと思いますから」

 

 彼の知っている父親は、無駄なことは一切しない。

 一見、自分から離れていったシンジに対する嫌がらせに思えるこの条件にも、ゲンドウなりの理由があるのだろう。

 理由を他人に説明しようともしない父親だからこそ、好きになれないのだが。

 

 冬月には苦笑するシンジがかつての教え子、碇ユイの顔が重なって見えた。

 ユイはよくこの表情をしながら、ゲンドウのことをフォローしたものだ。

 

「…君は母親似だな」

 

「そうですか?」

 

 首を傾げる仕種も、そう言えばピアノの音も何処と無く似ているかもしれない。

 冬月が助教授であった頃に淡い想いを抱いた相手を思い出し、回想に浸りそうになる自分を必死に堪え、本題に戻る。

 

「さて、ゲンドウの教え子を紹介しよう…入りたまえ」

 

 冬月の言葉にドアが開く。

 どんな人が出てくるのか、シンジは身構える。

 出来れば…幼い方が良い。

 そうであれば、ピアノ教室で教えている経験が少しでも生かせるだろう。

 だが、どれだけ幼くても、『あの』ゲンドウの弟子ならば、一筋縄では行かない子供に決まっている。

 

 シンジは覚悟を決めた。

 決めたつもりだった。

 

「…失礼します」

 

 その声にシンジの息が止まる。

 『まさか』、と思う暇も無く影が滑り込んでくる。

 

 陽光に反射する蒼い髪に、シンジは気絶したい気分だった。

 

「よろしく…碇君」

 

 聞き慣れた声の相手の名前は、綾波レイといった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カオルを見失ったあのビリヤード場の前まで来ると、アスカはチラチラと中を見た。

 それほど熱心でない警官でさえ、職務質問せずにいられないくらいに怪しさ大爆発である。

 通行人の視線を一身に集める、挙動不審者は意を決して中に入り、カウンターに座る。

 

 店内に入ると、この前の騒動の被害者である店員が応対してきたが、咎められることはなかった。

 リツコの開発したスタンガンは、言葉通りの効力を発揮したようだ。

 アスカも流石に悪いことをしたと思っているらしく、『この仕事も大変よね』と謝罪らしいことを口にした。

 だが、まるで記憶の無い店員は美人のクォーターに話かけられたことにうろたえるだけ。

 このチャンスを逃すまいと必死に話かけてくる店員に適当に相槌を打ちながら、アスカは店内を見回す。

 

 昼間のこの時間だと人もまばらだ。

 これならあの無駄に目立つ銀髪を見逃すことはない。

 目を光らせるアスカの頭の中を、リツコの『仮に戻って来たとしたら、アスカ、カオルを許せるの?』という言葉がぐるぐると回る。

 

 答えなど、出るわけがない。

 答えが欲しいから、彼を探しているのだから…。 

 

「よっ!」

 

 店内を観察するアスカの肩に、誰かの手が置かれた。

 アスカは『まさか?』と思いつつも、期待を隠し切れずに振り返った。

 

「なんだ、アンタか…」

 

 期待は完全に裏切られた。

 そこに立っていたのは、相変わらずのジャージ姿の鈴原トウジ。

 

「こんなところで何してんのよ?」

 

「それはお互い様やろ。オマエこそ何してんねん、大学のセンセっちゅうのはよっぽど暇なんか?」

 

「まぁね、今は講義以外特にやることもないし…」

 

 何時もなら食って掛かってくるはずのアスカが、何も言い返してこないのにトウジは戸惑う。

 明らかに元気のないアスカの隣に座り、彼女と同じオレンジジュースを注文した。

 

「ほうか…ワシはバ−の面接が終わってブラブラしてたら、この店に入っていく怪しい人影が見えたんで、ココに来た」

 

「怪しくて悪かったわね…やっぱ、水商売するんだ?似合わないのに…」

 

「金ないから、とりあえずの雇われ店長やな」

 

「ヒカリがなんて言うか…」

 

「…なんでそこでアイツの名前が出てくるんや?それに心配させてるのは惣流も同じやろ」

 

「アンタと一緒にされるとはね…でも、ま、似たようなもんか、ヤクザな友達持ってヒカリも大変よね」

 

 思い描いていた夢に裏切られたという点では似ているのかも知れない。

 それにしても、まだヒカリのことを誤魔化すとは、この後に及んで照れているのか、超がつくほどの鈍感なのか、

 それともよっぽどのバカなのか…。

 この男ならばどれも有り得る。

 

 もしかしたら、幼い頃からの知り合いというのは、恋愛に発展しにくいものなのかもしれない。

 自分達のように…。

 

「平日の昼間っからこんなとこに居るくらいやからなぁ…誰か来るんか?」

 

「えっ、なんで?」

 

「さっきから入り口の方、ジーっと見てるさかい」

 

「いや、別に?ぜ〜んぜん!?」

 

 白々しさ満点のアスカの返答にも、トウジはそれ以上聞かなかった。

 アスカはトウジの鈍感さに感謝しつつ、お代わりを頼む。

 店員は美人との会話のチャンスを奪い、しかも自分のバイト先を『こんなとこ』呼ばわりしたトウジを睨みつけたまま、3杯めのオレンジジュースを注ぐ。

 アスカはそれを口に着けるでもなく、じっとコップを見つめたまま、トウジに聞いた。

 

「アンタさ…サッカーもうやんないの?」

 

「やらんやろうなぁ」

 

「こっちなら外人枠もないし」

 

「まさか…もしも、万が一、どっかの酔狂なクラブが声を欠けてくれたとしても、ワシはごめんや。

3度も靭帯を切った足じゃもう元のスピードに戻ることはできん…医者にもはっきりそう言われた。

実際、怪我するたびに瞬間のスピードが鈍っていくのはワシもわかってたんや。

自分を誤魔化して、プレースタイルを変えて、ゴールにへばりつくだけのGKの真似事くらいはできるかもしれんが…」

 

 それでは、果敢に飛び出すあの元日本代表のGKに憧れて、サッカーを始めた自分を裏切ることになってしまう。

 夢を諦めることはできても、夢を裏切ることだけは出来なかった。

 どうにも不器用な男である。

 そんな男であったから、地元のサポータから『炎の壁』と愛され、ビッグクラブからのスカウトもあったのかもしれない。

 

「あんたって、呆れるくらい頑固よね」

 

「オマエにだけは言われとうないわ…」

 

 旧知の友人のように語り合う二人に、店員は安堵した。

 断片的に聞こえてくる会話の内容から、二人が恋人同士などではないと判断した彼は鋭い。

 いかに鋭かろうが、この名も無い店員にそれが有利に働くことは、絶対に無いのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レイが部屋に入って来た時、シンジは人生で最高レベルの衝撃を受けた。

 体は小刻みに震え、意識は現実から遠のいていく。 

 冬月が自分を気の毒そうに見つめ、『知っているとは思うが…』とレイの紹介を初めても、どこか別の世界のことのように感じていた。

 

 夢を見ているような浮遊感の中、シンジはレイの顔だけを見つめていた。

 レイはいつもと特に変わったところはない。

 

 何時から知っていたのだろうか?

 出会った頃から知っていてゲンドウの息子としての自分を見ていたのだろうか?

 遊園地に誘ってくれたのも、自分がゲンドウの息子だったから?

 

 様々な疑問が頭の中を駆け巡る。

 しかし、アスカに『どんな状況でも結局受け入れてしまう』と評されたシンジは、その真価を発揮した。

 

「本当に僕なんかが先生でいいの?」

 

 レイが小さく頷き了承したのを確認すると、シンジはピアノ教室に電話し、レッスン後の教室の使用許可を取り付けた。

 『大学だと人の目が気になりますから』という理由がシンジらしい。

 レッスンは流石に毎日は無理なので、レイとピアノ教室の時間に余裕がある月水金に決める。

 それらの作業を淡々と―――とは行かず、充分に動揺しながらこなしていくシンジを冬月は憐憫の眼差しで見守った。

 本棚の角に足をぶつけたり、机の上の書類をぶちまけ冬月に謝ったりしながら、今後の予定を取り決めたシンジは最後に聞いた。

 

「じゃあ、何時から始めようか?」

 

「別にいつでもいい」

 

 レイの素っ気ない返答に、本当に納得しているのかが疑わしくなり、大きくため息をついた。

 冷静に考えなくても、自分より評価が下のピアニスト未満に教わるなど、彼女にとって有益なことは一つもない。

 自分と自分の父親に彼女を振り回すことに申し訳なさを感じ、冬月を見る。

 その顔は意外なほどに、真剣だった。

 シンジに何かを訴えかけるような視線。

 冬月の言葉を思い出す。

 

『ゲンドウもキミにピアノを辞めさせたいと思ってこの条件を出したのではない』 

 

 そして、どこかゲンドウに似ているレイのピアノ。

 シンジは今度こそ覚悟を決めた。

 

 レイに向き直り、『じゃあ、今日から始めよう』と言ったシンジはいつもの笑顔だった。

 

 

 

 

 

 そして、傍から見れば羨ましい、シンジにとっては…なんと表現していいかわからない二人きりのピアノ教室が始まった。

 

「ここは、もうちょっと優しくメゾピアノで弾いた方がいいね。ほら、ここでメロディが優しくなる…」

 

 戸惑いながらも、シンジは率直な感想を口にした。

 レイは無表情で、教本を見つめたまま顔を上げない。

 

「『先生』にはタッチはしっかりと、フォルテ気味でと言われたわ。『楽譜にないことはするな』って」

 

「……」

 

「『ピアノは技術が全てだ』って…」

 

 余りにもゲンドウらしい教えを、忠実に守るレイにシンジは言葉につまった。

 彼女の『先生』がゲンドウだけで、自分が認めらていないことも追い討ちをかけた。

 そして、シンジが口を挟む余地のない卓越した彼女の技術。

 

<当たり前のことだけどさ…>

 

 一流のピアニストと自分を比べるだけバカらしい。

 自分が教えるとしたら、技術以外のことしかないのはわかっている。

 始めたばかりで教師と生徒の信頼関係もないまま、それを伝えることは不可能だろう。

 どれだけ時間が有るのかわからないが、あせったところで裏目に出るだけだ。

 

「今日はこのくらいにしておこうか」

 

「もう終わりなの?」

 

「うん…正直言うと、綾波にピアノを教えることになるなんて思ってなかったから、何をしたらいいのかよくわからないんだ。

それに初日から飛ばしてもしょうがないしね」

 

「そう…」

 

「あ、それとこれを…」

 

 シンジは大学ノートを差し出した。

 

「何、これ?」

 

「これに、その日のレッスンで僕が言ったことで感じたことや気がついたことを書いて欲しいんだ。

口に出しては言い難いこととかあるでしょ?何でもいいから書いて、次の時に持ってきてくれないかな?」

 

「…わかった」

 

 それは、照れたり緊張したりしてうまく自分の感想や不満を言葉にできない子供相手に、シンジが良く使う方法だった。

 幼い子供と同じようにレイを扱うのは少し気が引けたが、口数の極端に少ない彼女には有効であるように思えた。

 しかし、シンジの苦肉の策も、彼女にはあまり意味がなかったようだ。

 レイは受け取ったノートを無造作にバックの中に放り入れると、教本を片付け始めた。

 シンジには、機械的に片付けを進める手が、ピアノを弾いている時の彼女と重なって見えた。

 

「…ねぇ、ピアノはもっと楽しんでやるものだよ」

 

 余計な一言だとわかっていながら、思わずシンジは言ってしまった。

 

―――私、碇君のこと、先生とは思えない」

 

 どういう意味なのか、シンジには量りかねる一言。

 『僕も綾波を生徒とは思ってないよ』とでも言えれば上出来だが、シンジには無理な注文である。

 

「うん…綾波の先生は今も昔も父さんだけだろ?

僕は父さんとは違うから…」

 

 言葉に非難めいたものが混じってしまう。

 

「お父さんのこと嫌いなの?」

 

「別に嫌いじゃないよ、ピアニストとしては尊敬もしている。でも、あんな父親を好きと言える子供なんていないと思う」

 

 レイの鋭い視線。

 殴られると思った。

 殴られたかったのかもしれない。

 

「さよなら」

 

 レイは冷たい挨拶を残すと教室から出て行った。

 結局、今日のレッスンで得たものは何もない。

 ふと、窓の外を見ると、すっかり暗くなっていた。

 

<送っていくべきだよな…>

 

 だが、シンジの足は動かない。

 その想いが『ピアノの先生』としてのものではなく、友人や恋人として生まれたものだったから。

 自分がレイにとってどんな存在になりたいのか、あるいはなるべきなのかがわからない。

 だから―――

 

「昨日のこと…謝れなかったな」

 

 戸惑いがそれをさせなかった。

 

 ピアノの先生?

 親しい友人?

 愛しい恋人?

 それとも―――

 

 レイは自分に何を望んでいるのか?

 そして、父は自分に何を望んでいるのか?

 

 今のシンジにはまだわからない。

 だが、朧ろげながら感じていることもあった。

 

 それを確信に変えてしまった時、彼は大事なものを一つ失うことになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シンジと別れて一人歩きながら、レイはため息をついた。

 レイ自身も自覚していなかったが、実はシンジとのレッスンを心待ちにしていた。

 先日、突然ゲンドウの息子がシンジだと知らされ、驚きながらも即答で了承した経緯からもそれが伺える。

 

 ゲンドウとシンジと自分の不思議な繋がりが家族のようで嬉しかった。

 レイをシンジの大学に編入させたのがゲンドウの目論見だったとしても、である。

 

 初めてできた親しい異性との二人きりの時間も楽しみだった。

 それを、『恋心』と呼ぶには彼女の情緒は発達していない。

 幼い少女の淡い恋愛への憧れのようなものである。

 

 シンジは驚くかもしれないが、彼が一番彼女の恋人に近い存在なのである。

 だからこそ、今日のレッスンでの彼の失点は大きかった。

 

<昨日のこと…何も言ってくれなかった…>

 

 子供のように拗ねてしまったこと。

 途中で帰ってしまったこと。

 シンジの友人らしい女性達。

 

 昨日のことを思い出しながら、落胆の表情を浮かべながら歩く彼女の足が、美容院の前で止まる。

 そこには彼女が知っている数少ない映画―――オードリー・ヘップバーンのローマの休日―――のポスターが貼ってあった。

 ガラス越しの店内に、綺麗な黒髪の女性が髪を切りそろえていた。 

 

<あおい…かみ…。あかい…め…>

 

 ガラスに映る、他人とは違い過ぎる自分の髪と目の色。

 アルビノである彼女の思考は悪いことがあると、いつもそこに原因を求めてしまう。

 ずっとレイは自分を異端であると思ってきた。

 幼いころからピアノだけを友に育ってきた彼女のそんな思考を咎めるものはいなかった。

 一度だけ、育ての親のゲンドウにその悩みを打ち明けたことがあるが、彼の答えは『ピアノには関係ない』だった。

 

 そんな環境にいた彼女は、幼く、脆く、純粋だった。

 シンジの―――もしかしたらアスカも―――『子供のよう』という印象は実に正しかった。

 

 だが、ゲンドウとピアノだけが全てだった昔と今では環境が違う。

 大学に来て、様々な人を見、色々な音を聞き、シンジと出会い、彼女は少しずつ変わっていった。

 

 そして、今レイが『髪を黒く染めてみようか』とまで思い始め、シャギーのかかった毛先を触れる姿を見ている男がいた。

 アスカと別れてから、当面の食料を買いに行っていた鈴原トウジが、向かい側の歩道から彼女を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 自分の髪を物憂げに見つめ思い詰めている蒼い髪の女性が、トウジの中で渚カオルに重なる。

 カオルは他人にはアルビノであることを気にかけた様子を見せる事はなかった。

 だが、一度だけ酒に酔った勢いでその苦悩の一端をトウジに吐き出したことがあった。

 

「最初は好機の視線。

まず、人とは違うということを嫌でも認識させられるね。

で、少し親しくなる。

でも、なかなか髪や瞳の色のことは言い出さない。

そして、友人になる。

大抵の人は『気にするな』と言ってくれたよ。

同情や憐憫、その全てが僕にとっては嫌悪に値するのにね?

…キミと洞木さんくらいさ。

最初から僕の容姿をただの個性として見てくれたのは…」

 

 

 雑多な人種が住むヨーロッパに住んでいたカオルでさえも悩んでいた。

 ならば、黒髪と黒瞳が当たり前の日本に住んでいるあの女性の苦悩は想像を絶するに違いない、とトウジは思った。

 

<これを見過したら『漢』が廃る!>

 

 まだ赤い信号を無視して、クラクションの怒声を受けながらも横断歩道を横切ったのは、まぁ、そんな理由からだった。

 

 

 

 

「…髪、切るんか?」

 

 カオルと出会った時は『なんやケッタイな色やな』と言った彼にしてみれば気を使った言葉である。

 だがトウジの苦心の一言も、レイは自分に向けたものとは気がつかず、『黒くしてもムダ』といういつもの結論に達して首を振り、立ち去っていく。

 無視された格好になったトウジだが、めげずにもう一言。

 

「似合うと思うで!!」

 

「?」

 

 道端に響く大声に、ようやくレイが振り返った。

 顔を照れと自棄の混ざった赤で染めたトウジを、レイは怪訝そうな顔で見る。

 トウジをゆっくりと観察し、彼女の記憶の中にない見知らぬ男であると判断すると、育ちの良いレイの胸に警戒心が広がった。

 

「そない恐い顔せんでも…」

 

「……」

 

 後ずさりするレイを見て、トウジはいきなり尋ねた。

 

「失恋か?」

 

「?」

 

「失恋した時、髪切るってよく言うやろ」

 

「…違うわ」

 

 レイがショートの髪をこれ以上切って、尼にでもなるとおもったのだろうか?

 トウジの頭の中では『美容院→髪を切る+思い詰めた顔→失恋』という連想から出た会話の軽いジャブだったが相手とタイミングが悪かった。

 元々愛想の良い方では無いレイだが、今日は特に機嫌が悪い。

 怒りを視線に込め、足早に立ち去ろうとする。

 しかし、トウジは食料の詰まった紙袋を片手に、更に彼女を追いかけてくる。

 

「つまりワシが言いたいのはなぁ…アンタなら短いのも長いのも似合うっちゅうことで…」

 

「……」

 

「いや、髪型は関係ないんや…蒼い髪はアンタに似合っとって…」

 

「知らない人にそんなこと言われる理由なんて、ない」

 

 どんなにきつく言われても、既に開き直っているトウジにはまるで効き目がない。

 

「なるほどな。ほんなら、これ」

 

 トウジはポケットから面接に使った履歴書を取り出した。

 

「名前は鈴原トウジ、23歳、大阪生まれのヨーロッパ育ちや。両親、妹の4人家族。職業、バーテン。特技…」

 

 そこでしばらく思案するトウジをレイは首をかしげて見た。

 

「特技、サッカー」

 

「…サッカー?」

 

 それは少し意外な答えだった。

 レイは自分を追いかけてくるこの男が、左足を引き摺っているのに気がついていた。

 

「それと、顔はこんなもんやし、声はこんな感じ。あとは、なにが知りたい?何でも聞いてや」

 

 目の前の男は、突き放しても話し掛けてくる。

 初対面で異性に馴れ馴れしく話し掛ける行為をレイは知っていた。

 

「これが…ナンパ…というもの?」

 

「……やっぱりそう見えるか?」

 

 ストレートな物言いに、トウジは苦笑いを浮かべた。

 トウジの笑いをレイは嘲笑を判断し、この行為が自分をからかう行為なのだと結論付ける。

 

「これ、返す」

 

 履歴書を差し戻して歩き出したレイを、まだトウジは追いかけた。

 元々、ナンパをする気など毛ほどもなかった。

 だが、ここまで言われたら、引き下がるわけにはいかない。

 ただでさえ熱くなりやすい彼は、だいぶ自分を見失っていた。

 

「ナンパだったら悪いんか?おかしいと思うんや。友達の紹介とか、会社の同僚とか、お見合いとかで知り合えば、

出会い方としてはまっとうで、なんで美容院の前で髪を気にしている……」

 

 振り向いたレイは、絶対零度の目で彼を睨み、また歩き出した。 

 なおもトウジは続ける。

 

「蒼い髪の別嬪さんに声をかけたらあかんのや?」

 

 先程とは比較にならないほどの冷気を背負い、レイはきっぱりと言った。

 

「いい加減にして」

 

 決して大きくはないが、明らかな怒気を見てとり、さすがのトウジもトーンを下げる。

 

「…すまん」

 

「ふざけないで」

 

「スンマセン…」

 

 もうこれ以上付き合いきれない、と足早に歩み去るレイの背中にトウジは叫んだ。

 

「なぁ!でも、ワシ、ふざけてなんかないで!!」

 

 これがナンパというものならば、自分の知識の中にあるものとはだいぶ違う、とレイは思った。

 

 彼の声はどこか真摯な響きを持っていた。

 彼の持つ何かが、彼女を引き止めようとしていた。

 それでも、ご機嫌斜めの彼女は振り向かないで、ひたすら歩き続けた。

 振り向こうとする自分を、内に微かに感じながら―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                                      第5話:レイ、心の向こうに <前編>

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 音楽教室からの帰り道にビリヤード場の近くに通りかかったシンジはアスカの姿を見かけた。

 アスカは向かいのオープンカフェで、通りを歩く人をキョロキョロと目で追っている。

 

「何やってんだろ…アスカ」

 

 精神的に飽和状態だったシンジは話しかけようともせず、そのまま店の前を行き過ぎた。

 いつものようにラーメン屋で食事を済ませてから家に帰ってソファーに転がってみても、中々心は落ち着かない。

 今日は色々なことを考え過ぎた。

 疲れた頭でこれ以上思考を巡らせても良い結論が出るわけもない。

 いつもなら―――そう、いつもなら一人で物思いに耽られるほど、この部屋は静かではなかった。

 

 アスカはまだ戻って来ない。

 

 この前のラーメン屋のことを怒っていないわけではない。

 彼女もまたシンジのことを怒っているかもしれない。

 顔を合わせたら気まずいだろうし、喧嘩になるかもしれない。

 それでも、今はアスカの顔を見たいと思う。

 まだ友人といえるほどお互いのことを知っている訳ではないし、ましてや恋人などでは有り得ない。

 強いて関係をいうなら―――姉弟だろうか。

 

『姉さん』

 

 そう呼んだら、彼女はどんな顔をするだろうか?

 とりとめもない考えに、緩んできた頬を自覚しあたりを見回す。

 当然、そこにはだれも居ない。

 

「ゴホッ」

 

 照れ隠しに咳払いを一つ。

 一人この部屋に居る自分がバカみたいに思えてくる。

 ちょうど煙草も切れていた。

 シンジは、住んでから一度も感じたことのない居心地の悪さを振り払うように、煙草を買いに部屋を出た。

 その通り道に、アスカの居たオープンカフェがあるのはたぶん偶然。

 

 

 

 驚いたことにアスカはまだそこに居た。

 先程と同じ席で通る人を見つめつづけている彼女は、しかし先程よりも物憂げだった。

 時々、ため息をつきカップをスプーンでゆっくりとかき回している。

 

 それを見て、シンジは声をかけるのを止めた。

 今、声をかけたら自分は最初に謝るだろう。

 

『昨日はごめん』

 

 それは純粋な謝罪の言葉じゃない。

 アスカの声が聞きたくて、話をしたくて出すただの切っ掛けの言葉。

 そんな自分がとても嫌だった。

 

<何をやってるんだ、僕は…>

 

 悩んでるのは自分だけじゃない。

 アスカも、綾波も、たぶん父もそれぞれの悩みを抱えている。

 流されて上辺だけの言葉を綴る自分がとても嫌だった。

 

 家に戻り、ピアノの前に立つ。

 蓋を開けて、人差し指でゆっくりと鍵盤を押す。

 

♪...

 

 調律は狂っていない。

 いつもと変わらない音のはずなのに、何故か耳障りに聞こえる。

 

「ピアノは楽しんでやるもの…か…」

 

 レイにいった言葉を反芻する。

 それすらも、上辺だけの言葉だった。

 最近、ピアノを弾くごとにプレッシャーを感じていた自分が?

 それは、そのまま自分に向けるべき言葉だった。

 

 買ったばかりの煙草に火を点け、煙を大きく吸い込む。

 そして、煙草をくわえたまま、ピアノの前に座って姿勢を正すと、彼が一番きれいだと思うバラードを弾き始めた。

 無論、楽めるはずもなかったが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 5分ほど前、店員がラストオーダーを聞きに来た。

 腕時計を見ると、時刻は午後9時を過ぎている。

 ふっとため息をつくと、アスカは店を出た。

 こんな沈んだ気持ちでは、真直ぐ家に帰るわけにはいかないかった。

 シンジに謝るにせよ、喧嘩するにせよこんな状態では良い結果はでない。

 ラーメン屋でひとりラーメンをすすり、昼から水分ばかりを取っていたお腹に活力を与える。

 ついでにガソリンも補充しようか、と自動販売機でビールをひとつ買った。

 ふと思いついて、もう一缶。

 お互いイーブンの方が公平な勝負ができるというものだ。

 無理矢理、気持ちを盛り上げてマンションに向う。

 

<まず最初に『ごめんなさい!』って謝るでしょ。それから…>

 

 謝った先が思いつかない。

 

 シンジは許してくれるかな?

 それとも、怒って話もしてくれない?

 

 思い悩みながら一歩ずつマンションへ向う。

 そこを曲がると、マンションが見えてくる角でアスカは立ち止まった。

 ピアノの音が聞こえてきた。

 優しく、きれいで、少しだけ悲しいバラード。

 思い悩んでいたアスカの顔が和む。

 アスカは玄関の前に座りこむと、シンジの奏でるメロディに耳を傾けた。

 缶ビールのプルタブを開け、一口飲む。

 

 シンジのピアノの音色が全てを洗い流してくれる。

 

 昨日のこと。

 仕事のこと。

 カオルのこと。

 

 音のひとつひとつが乾いた心に染み渡っていく。

 『ごめんなさい』の次は『ありがとう』に決まった。

 

 

 

 

 

カタン・・

 

 音に集中していたシンジは玄関の方の微かな音にも気がつくことができた。

 ドアを開けてみると、壁にもたれかかっていたアスカと目が合う。

 

「あ…」

 

 アスカは決まりが悪そうにしている。

 この時点で、準備していた言葉は全て吹っ飛んでしまった。

 

「どうしたの?」

 

 いつもと変わらない口調でシンジが聞くと、アスカは缶ビールを差し出した。

 

「おみやげ…中断させると悪いと思って」

 

「……」

 

「その…いい曲だね」

 

「……」

 

「…いい演奏だし」

 

 本当は、もっと誉めたいところをアスカは思い切ってあっさり言った。

 きっと、うまく言葉にならない。

 それに他に言わなくてはいけないこともある。

 

「ありがとう」

 

 なんとなく彼女の気持ちが伝わってきて、シンジもあっさり答えた。

 

「うん…それで…あの、ね」

 

「アスカ、今、『ごめん』って言おうとしてるでしょ?」

 

「あ、え…うん」

 

「いいよ、謝らなくて」

 

「…よくないわよ」

 

「いいよ、その申し訳なさそうな顔だけで充分」

 

 そう言われたアスカは、自分がどんな顔をしているのか恥ずかしくなって頬に手をあてる。

 赤くなったアスカは、それでも『ごめんなさい』と『ありがとう』が言いたかった。

 

「でも…」

 

「ホントに良いんだよ。それにアスカのおかげで気がついたこともあるし」

 

「え?」

 

「中、入れば?」

 

 問いには答えず、シンジはドアを開けた。

 促されたアスカは黙って中に入るしかない。

 

<なんで、コイツは…>

 

 こんなふうに許せてしまえるのだろうか。

 優しい、とかじゃない。

 温かくて、心地よくて、嬉しい。

 まるで真冬の道を歩いてきて、やっと辿りついたシチューのような…。

 

「アスカ、今日、『オーガニック』にいたでしょ?」

 

「えっ?」

 

「ほら、あのビリヤード場の向かいにあるオープンカフェ」

 

「あ、うん…昨日、あそこのビリヤード場でアイツ見たの。カオル。で、また来るんじゃないかって…」

 

 全く別のことを考えていたアスカは、虚を突かれたこともあり素直に答えた。

 シンジは、キョロキョロと通行人を見ていたアスカの、切なそうな姿を思い出した。

 

「でも、来なかった。やっぱり人違いだったのかな」

 

「……・」

 

 シンジはどう言ったらいいのかわからなかった。

 

「……ねぇ、『卒業』っていう映画知ってる?」

 

 カオルがくれた、シンジが拾ってきてくれたスーパーボールを玩びながらアスカが聞いた。

 

「うん」

 

「花嫁が結婚式当日に、男とバス乗って逃げちゃうのよね。あれ、逃げた方はドラマだけど、逃げられた方ってどうなったのかしら」

 

「脇役にはスポットライトはあたらないから」

 

 シンジは、意外にもあっさりと答えた。

 

「……・」

 

「脇役をカメラは追いかけたりしない。主人公にはなれない。鉄則なんだよ、きっと」

 

「映画の?」

 

 アスカはシンジを見た。

 

「たぶん、人生の」

 

 それは、シンジが今、一番自分で感じていることだった。

 

「いつになったら出番が来るのかな。アタシ、何やってんだろ…。一日、ボーっとしてた」

 

 遠い目をするアスカにシンジは笑いかけた。

 

「ねぇ、こう思うのはどうかな?長い長い、休暇」

 

「休暇?」

 

 アスカは首を傾げる。

 

「僕、いつもいつも走ることはないと思うんだ…」

 

「……」

 

「何やってもダメな時ってあるでしょ?そんな時はさ、神様がくれた夏休みだと思って、無理して走らない。焦らない。頑張らない。

夏休みだからさ、やっぱり宿題とかもあるけど、それは自分の好きな時にやればいいんだし…」

 

 言いながら、シンジは段々訳がわからなくなってきていた。

 でも、自分に言い聞かせるように話す彼をアスカはじっと見つめた。

 口元に微かな微笑みを浮かべながら。

 

「ふーん?」

 

「好きな音楽でも聴いてさ、いろんな事を考えて…」

 

「どんな音楽?」

 

「僕だったら…ワルツかな?楽しい感じがするし…」

 

「で?」

 

「自然に身を任せる…かな」

 

 身を乗り出してくるアスカに、自信なさげに続けるシンジ。

 

「そしたら?」

 

「そのうち良くなる」

 

 なんの根拠も無いのに、そこだけ自信満々に答えた。

 

「ホント?」

 

「たぶん…」

 

 だが、この頼りない答えにアスカの瞳は、みるみるうちに輝き出した。

 やっぱり、シンジはシンジだ。

 

カチン!

 

「乾杯!」

 

 アスカは突然、シンジの缶に自分の缶を軽くぶつけた。

 

「どうして?」

 

 シンジは突然の乾杯に戸惑った。

 

「なんとなく、よ!」

 

 なんとなく、アスカは言ったものの、シンジの言葉が嬉しくてたまらなかった。

 アスカはなんだか、どしゃぶりの雨の後に、ぽっかりとのぞいた青空を見たような気がしてきた。

 何だったら、虹もかかっている!

 

<いいこと言ってくれるじゃん!バカシンジってば!>

 

 何がそんなに嬉しいのかシンジにはまるでわからなかった。

 アスカもたぶんわかっていないだろう。

 強いて言うなら、シンジの存在そのものが温かくて、心地よくて、嬉しかった。

 

 シンジはアスカが喜んでいるのが嬉しくて笑った。

 そんなシンジの笑顔が更にアスカを喜ばせた。

 

 ふたりの人生の迷いや戸惑いを包み込みながら、夜は優しくふけていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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Rei_B

 


 

after word

 

 おそい…おそいよ母さん。

 Uriさん…ごめんなさい。

 最早HIT記念でもなんでもないですね。

 それでも書かせてください。

 絆だから…。

 

 今回の反省点

 ●びっくりするくらい遅い。

 ●トウジ君大活躍。

 ●同じことを何回も書いてる気がする。

 ●TAWの後に書いたので、なんかTAWくさい。

 ●題名と内容が合ってないよねぇ…

 

世界中にごめんなさい(反省だけなら…)


テリエさんから、第五話を頂きました。
ありがとうございます。
それも前編を…前編…前編?…おお、じゃ後編も。
期待大なのです。


コメントIN女神館の住人達+X

「鈴原トウジ…覚えてるよ。確か、U-14に選ばれたこともあるよねぇ?キーパーにしては本当に手が綺麗だな…」

ア:「こ、これってどういうことよ…」
レ:「たぶん、きれいなお肌の秘密を知りたいんだよ。そして、自分も真似するんだ」
さ:「…そんないいことじゃないと思いますけど…」
シ:「あれ?さくらってもしかしてそっちに詳しいの?」
さ:「…べ、別にそんなことないですよっ」

『連絡するように』と言うから電話をしてみたら、『用件は冬月に言ってある。詳しいことはヤツに聞け』ときた。

さ:「あの、碇さんのお父さんて血が繋がってないんですか…?」
シ:「いや、そんな事はないけど…多分」
レ:「もしかして、宇宙人の捨て子だったりし…あちゃちゃっ」
シ:「劫火」

>リツコの開発したスタンガンは、言葉通りの効力を発揮したようだ。

シ:「リっちゃんも、もう少し合法と非合法の区別が付くといいんだけどなあ」
レ:「ボクはちゃんと付くよ」
ア:「アイリスだって、ちゃんと付くもん」
さ:「私だって勿論。だから碇さん…ごほうび」

シ :「……」

目を光らせるアスカの頭の中を、リツコの『仮に戻って来たとしたら、アスカ、カオルを許せるの?』という言葉がぐるぐると回る。

さ:「アスカの事だから、簀巻きにしちゃいそうなんだけど…」
ア:「さくら、あんたも結構失礼ね。ただちょっとコンクリートの中に立たせて、ついでに海の中で反省してもらうだけよ」
マ:「そういうのは、許すとは言いません。もっとも、式当日に乙女を放り出すような輩は、私の秘剣で一刀両断…」
さ:「マユミが一番怖いんだけど…」

「これが…ナンパ…というもの?」

さ:「なんか品が悪そうだし、私はやです」
マ:「まったくだ。大体、女性を馴れ馴れしく連行しようなど言語道断!私の奥義で…」
地:「それはもういいから。一応訊くけど、それがシンジだったら?」
さ:「…そ、それはもちろん…ねえ?

この時点で、準備していた言葉は全て吹っ飛んでしまった。

さ:「アスカって、計画通りに物事が進んだ事ってあるの?」
ア:「アイリスも見たこと無いけど」
マ:「そう言えば、私もまだお目に掛かったことが」
ア:「なーに言ってんのよ!物事は臨機応変に決まってるじゃない」
地:「物は言いようだな…」


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