恋の戦争は十年越し(後):A
 
 
 
 
 
 
 
 寝静まった碇邸。
 シンジの横には、いつものようにアスカとレイの姿が。
 今日は珍しく就寝前のキスだけで、二人とも大人しく寝ている。
 と、こう書くと欧米の家庭にも見えるが、無論頬だけで済むわけはなく、二人とも歯磨き後の咥内をたっぷりとシンジに侵して貰っている。
 とは言え、やれ順番だの、やれアスカには激しかっただのと、しょうもない事で揉めていた頃からするとだいぶ成長したとは言える。
 それはそのまま、シンジの心の負担をも意味していたのだから。
 想われ人が二人いた場合、双方とも下僕に出来るのならともかく、扱いに最大限気を使うとなれば、世間一般で言う両手に花などとはほど遠い位置にあるのは事実なのだ。
 だが、今夜はいつもと異なっていた。
 いや、正確には尋常ならざる事態が発生していたのだ。
 現在時刻は、既に十二時を回っており、室内に聞こえるのは三人の寝息のみ。
 ところがその室内へ、ふっと侵入してきたものがある。
 アサカではない。
 ルイでもない。
 それに見よ、それは宙に浮いているではないか。
 ぼんやりとした白い影が、やがて人の輪郭を取っていくのを家人が見れば、度肝を抜かれたかもしれない。
 或いはシンジなら−どうしたか。
 人の形を取ったそれは、ゆっくりとシンジの枕元へ降りていく。
 三人の中でただ一人、口を閉じて寝ているシンジの枕元へ、すっとそれは立った。
「久しぶりだね…シンジ君」
 どこか透き通るような声は、声質が変わっているとは言え、シンジには聞き覚えがあったろう。
 そしてこう言ったに違いない。
「カヲル君…そこにいたんだね…?」
 と。
 だがその物体は、シンジの口許に近づくことはせず、その代わり耳元へすっと寄せていった。
 何やら囁いているらしく、時々シンジの身体が動く。
 それが消えたのは、十分ほど経ってからのことであった。
 
 
 
 
 
「で?」
 アスカとレイは、朝から首を捻っていた。
 自分達の想い人が、妙に機嫌良く出かけていったのである。
 昨晩は普通だったし、別に会社でいい事があるとも聞いていない。
「分からないわ」
 レイは首を振った。
「でも」
「でも?」
「とてもいい夢を見たんですって。でもそれが何だったのか、起きたらさっぱり覚えていないそうよ」
「覚えていない?じゃ、本能が感覚を覚えるような夢だったって事?もしかしてたまってるのかしらね」
「『たまってる?』」
 口にしてから、同時に顔を見合わせた。
 いつぞやの、痴態のことを思い出したのだ。
「あ、あれはもう止めましょ」
「べ、別に私はノーマルよ。ただ、レイが勝手に迫ってきたんじゃない」
「私のせいにするの?あんなにはしたなく濡らして、乳首だって固くしていたのに」
「な、何ですってっ」
「事実を言ったまでよ」
 睨み合った二人だが、先に視線をそらしたのは、珍しくレイであった。
「私達が喧嘩すれば、あの子達の思うつぼよ。やめておきましょう」
「そ、そうね。そうだレイ」
「何?」
「今日の買い物は二人で行くわよ」
「どうして?今日はあなたの番でしょう」
「分かってないのね。精の付く物をたっぷりと買ってくるのよ。別に行かないならいいけど」
「行くわ」
 レイの答えは早かった。
「決まりね」
「ええ」
 女達二人が、顔を見合わせてにやあと笑い合った時、会社で勤務中のある人物が、いきなりくしゃみをした。
「…悪寒がするぞ?」
「大丈夫ですか、碇さん?」
 ああ大丈夫、と頷いたのは、大体原因が分かっているからだ。
 きっとまた、噂話でもしたに違いないのである。
 
 
 
 
 
「ところでルイさあ」
「どうしたの?」
「例のアレ、何時にする?」
「今日にしましょう。彼もそう言っているわ」
 例のアレ、とは二人がシンジを襲う日である。
 既に前段階は成功しており、後はそれぞれ父親と一つになる儀式のみ。
 一夫多妻、あるいは男を買うそれが普通に行われてきた環境で育った二人に、近親相姦の罪悪感は殆どない。
 いや、ゼロに近いかも知れない。
 別に生きるためのそれではないが、子孫を残すための戦いは、女同士の中でもごく普通に行われており、こと男に関してはそれが普通だと言う発想がある。
 やや危険な倫理観のそれだが、真に責められるべきは惰弱化した男達なのかも知れない。
「ず、随分とあっさり決めたのねえ」
 言ってから、ふと気になって訊いた。
「彼ってだ…な、何でもないわ」
 紙に書かれた文字。
 その上で動かされる指。
 自分の姉妹が、こっくりさんの“親友”だと、アサカは思い出した。
「確実にするために、例の薬を使いましょう」
「ああ、あれね。了解(ラジャー)」
 にゃっと顔を見合わせて笑った二人は、彼女たちの母親が同じ事を考えていた事などは、無論知らない。
 どうやら親子だけあって、思考はそんな所まで似るのかも知れない。
 
 
 
 
 
「ほらレイ、いいわよ」
 股間から精液を滴らせながら、ゆっくりとアスカが立ち上がった。
 オールナイト、と決まった晩は、いつも騎乗位と決まっている。
 レイ達が勝手に腰を使えるし、何よりもシンジに負担が少ないからだ。
 さすがに、四十八手を追求して、などと言わない位には二人とも成長している。
 だが慣れてきたせいか、最初の一回は殆ど準備運動に近くなっており、アスカの息も殆ど上がっていない。
 とは言え頬が上気しているのは、やはり相手のせいだろう。
「十秒でイってもいいから、キスだけはちゃんとして」
 と言う要望で、シンジはちゃんとキスはしてくれ、それは今までに欠かされた事が無い。
 シンジだって人間だし、慣れている筈なのにさっさと終わってしまう事もある。
 そんな時、アスカもレイも欲求不満気味ではあるが、心までそうならないのは、シンジのキスのおかげだ。
 ベッドの反対側で自分を慰めていたレイが、すっとシンジの側に歩み寄る。
「よろしく」
 こう言うのは、レイのいつもの癖だ。
 そして、シンジの上体に軽く身体を合わせ、髪をかきあげながら顔を寄せてくるのもまた。
 アスカの場合、時々繋がってから上体を倒して口づけして来る事もあるが、レイは絶対にそれはない。
 アスカに言わせれば効率的らしいが、レイは絶対にそのスタンスを崩さない。
 目を閉じて、そっと唇を寄せてくるレイの顔を、シンジは両手で挟んだ。
 触れ合わせる口づけから、段々と激しいキスへと変わっていく。
 レイの口腔に押し入ったシンジの舌を、レイはきゅっと絡め取る。
 どちらかと言えば、舌を入れてくるアスカに対して、レイの方はシンジのそれを待っている事が多い。
 ただし、アスカよりもレイの方が舌使いは激しく、アスカが蜘蛛女みたいだと評した事がある。
 無論、獲物をじっと待っているあの蜘蛛だ。
 ぽんっ、と離れた二人の唇の間をつなぐ糸は、どこか蜘蛛のそれにも見える。
 にちゃあ、と形容するのが合っているようなアスカのと比して、やはり蜘蛛なのかも知れない。
「ね、吸って…?」
 くいと差し出した乳房はもう、年齢相応にしっとりと成熟しており、重量感もちゃんと増えている。
「ん、…」
 かぷり、と下乳の所に軽く歯を当てると、もう片方の乳を空いている手でむにゅむにゅと揉む。
「は…あっん」
 指の間に挟んだ乳首が、じわりと硬くなってきたのを確認してから、やっと乳首に唇を付ける。
「ね、え…もっと…して…?」
 うっすらと上気した声でせがむと、シンジの身体をふっとまたぎ、さっきまでアスカの膣に入っていた肉竿の上に腰をあてがい、少し上体をそらしぎみにして一気に腰を落とした。
「奥までイッタわ…動くわね…」
 乳房はシンジに預けたまま、ゆっくりとレイが腰を上下させ始める。
 ここまでは、ほぼいつもと同じ情景であった。
 そして、僅かに浮いたアヌスにアスカがちょっかいを出すのも。
 最初の頃は二人とも、相手が繋がっている時は自分で自分を慰めていたし、“使った後”の肉竿はウェットティッシュで全部拭き取っていたが、いつしかそんな事も無くなっていた。
 今までアスカの、或いはレイのなかにあったそれも、出たばかりにフェラチオ出来るようになったし、繋がっている相手にちょっかいも出すようになった。
 ある意味では、遠慮がなくなったと言えるのかも知れない。
 かさかさと、アスカがレイの後ろに接近すると、アヌスの前に繋がっている部分に、ふうっと息を吹きかけた。
 なま暖かい息に、二人の身体がびくりと震え、シンジが一瞬呻く。
 レイの躰が震えた時、きゅっと締め付けて来たのだ。
 彼女たちがお互いのちょっかいを嫌がらないのは、一つにはこれがある。
 すなわち、シンジがイクのを唇を噛んで堪える姿に。
 シンジの顔を見ながら、レイが少し上下の速度を上げる。
 二人を愛する事にも、もう慣れたシンジだが、躰の具合は二人ともやはり違う。
 一番の違いは、中にシンジを受け入れた時の締め付け方だ。
 最初はすっと受け入れた後、じわじわと真綿のように締め付けるのがレイであり、経産婦とは思えぬ程急激に締め上げてくるのがアスカ。
 二人に言わせれば、
「シンジのそれは身体の相性も最高」
 らしく、シンジもむしろそれを楽しむようになっている。
 だから時折、シンジは目隠しをして手も使わず、膣(なか)の具合だけで、入れているのかどちらのか、当てる賭けをした事がある。
 が、一日でとん挫した。
 まず間違えられたアスカがむくれてしまい、レイも間違えられて口を尖らせる。
 おまけに二人が取っ組み合いを始める始末で、次の日身体のあちこちに絆創膏を貼っていた三人は一日寝込むことになった。
 すぐ仲直りはしたものの、その時以来一度も試みはされていない。
 とは言え。
(今なら間違えないだろうな…あれ?)
 目を閉じたまま、肉竿がぎゅっと引っ張られるような、レイの内襞の感触を楽しんでいたシンジが、ふと異変に気付いた。
 上の動きが止まったのだ。
 レイも最近では、声を抑えるタイプでは無くなっているし、なによりも、
「ふうん、レイの入り口もシンジのおちんちんで引っ張られてるわよ」
 と後ろから囁く人物の声が聞こえない。
「レイどうし…!?」
 じゅぽん、と肉竿が抜ける感覚にシンジが一瞬目を開けたが、次の瞬間双眸がかっと見開かれた。
「ふ、二人ともどうしてここにっ!?」
 がばと跳ね起きた先には、無論アサカとルイがいる。
「あーあ、こんなに愛液垂らしちゃって」
「盛りのついた年増って最悪ね」
 母親達の股間を見ながら、ぐいと引っ張る。
 何をしたのか、ぐったりとなった二人を退けてから声を揃えて、
「『ご指名、ありがとうございました』」
 珍しく、薄化粧を施した顔でにこりと笑う。
「な、何をしたの?」
「何でもないわ」
「そっ、一服盛っただけだから」
 あっさりと、至極あっさりと告げた二人に、さすがのシンジも絶句した。
 
 
「二人とも、ちょっとそこに座りなさい」
 いかにシンジと言えども、この状況は笑って見過ごす訳には行かず、娘達を正座させているのだが、バスタオルを巻いただけの格好なので迫力が足りない。
 もっとも、元より迫力などとは無縁の生涯を送ってきたのだが。
 それを反映してか、娘達も悪びれなど微塵もなく、
「何、お父さん?」
 特にルイなどは、折角来たのにと黒瞳をじっとシンジに向けてさえいる。
「何じゃないだろ。いいかい、家族とは言え入ってはいけない領域があるんだ。それぐらい分かるだろう」
「分からないわ」
 アサカがあっさりと首を振った。
「私達が、両親のセックスを見に来たのでは無い事位、お父さんだって分かっているでしょう」
「だったら尚更っ」
 思わず大きな声を出してしまったが、
「近親間の性行為による弊害、すなわち子供への危険がどうなっているかは、お父さんも知っている筈よ」
 ルイの言う通り、一親等間の性行為で生まれた子供でも、以前問題とされたような事は殆どない。
 そう、男の激減に伴い必然的に増えてそれに対処するため、新薬の製造も急ピッチで進んだ。シンジとてそれぐらいは知っているが、娘達の裸体を脳裏に描いた事は今までに一度も無かった。
 と言うより、アスカとレイがいる事で、他の需要は別に無かったと言った方が正解かも知れない。
 ただしシンジ達の家庭を別にすれば、世間は急速に発展しており、現在実の親子で子供を作っても、それが弊害に繋がる可能性は他人同士のそれとまったく変わらない所まで下がっている。
 何よりも、男が異常なほど激減したこの世界にあって、実の親子であってもそれは、子孫を残すためとして常識とも化しているのだ。
「そ、それはそうだけど…」
「子供に与える害もない。そして道徳的にも、今ではそれが普通になっている。以前なら別だけれど、今はもう男女の比率を見れば一目瞭然なのよ」
 至極簡単な理論であり。
「お父さんは…そんなに私達を抱くのが嫌?」
 決定打を。
「そ、そんな事は…」
「お母さん達が怖い、訳ではないんでしょう?」
「そんな事はないよ。ただ…ふむぐーっ」
 煮え切らないと見て、娘達の方が実力行使に出てきた。
 アサカが飛びついた途端シンジは押し倒され、そこへルイが唇を重ねてきたのだ。
 突き放そうにもアサカの力は予想外に強く、押し倒されているから体勢が悪い。
 無論舌を入れてきたルイも、シンジが噛んだりしないと計算ずくの上だ。
 ルイが離れた時、二人の間を唾液の糸が繋ぐ。
 それを見ながら、
「ほら、これが運命の糸。お父さんが、私達と結ばれている証拠」
「……」
 黙ってそれを拭ったシンジに、
「私達も、何時かは誰かと結婚することになると思うわ−いいのがいればだけど。でもこの世の中じゃ、いい相手以前に男の数すら分からない。だから…せめて初めてはお父さんにあげたいの。だめ?」
 アサカの隣に、ルイもちょこんと正座してシンジを見つめてくる。
 その潤んだ瞳に、シンジはある二人のことを思いだした。
 もう、二十年以上前のある状況のことを。
 
「シンジが嫌ならそう言って欲しいの。そしたら私達諦めるし、シンジの前から姿を消すわ」
 
 嫌だ、と言えばおそらくは、いや間違いなく二人とも姿を消していた筈だ。
 シンジにはそれが分かっていただけに、嫌とは言えなかった。
 自分一人の人生さえも、面倒だったシンジにとって二人分のそれを、まして一生背負っていくなどとは途方もない重荷に思えた。
 でも、今シンジの前にいる娘達と同じく、じっと見つめてくる二人を前にしては、結局首を立てに振る事しか出来なかった。
 無論シンジは、その事を後悔してはいない。
 シンジの返答に、涙を流して抱き合っていた二人の事は、今も鮮明に覚えている。
 あれから二十年、やや状況は異なるものの、今度は二人の娘がシンジの前に膝を揃えている。
 駄目だよと言ったらどうなるか、シンジは内心で軽く首を振った。
「分かった。二人がそこまで言うなら」
 シンジはゆっくりと頷いた。
 ここまでは同じ。
 が。
「ほんとに?良かった!」
「嬉しいっ」
 違っていたのは、二人がいきなり飛びついて来たこと。
「お母さん達は起きないし、さ、今の内に」
「善は急げね」
 訳の分からない事を、喜色満面で言い出した二人を見て、首を振っても良かったのかと、シンジはぼんやりと考えていた。
 
 
 
 
 
「あううっ…ふっ、くううっ…」
 全裸になったアサカの躰に、ゆっくりとシンジが唇を付ける度に、アサカは切なげに身をよじる。
 両頬から横へ移動し、やわらかな耳朶を軽く噛んでから下へ降りていく。
 後れ毛の残る首筋から肩へ。
 鎖骨に軽く歯だけを立てるとそのまま下へ移動した。
 が、乳房には手を付けない。
 既に、それと分かるほど硬くしこっている乳首は、シンジの指を舌を待っているのに素通りしてしまう。
 ぎゅっとシーツを掴み、きつく目を閉じていたアサカが、
「お、お父さんお願い…じ、じらさな、きゃふううっ」
 言い終わらぬ内に、シンジの指が尖った乳首に軽く触れたのだ。
「どうして欲しいの?」
「あ、あう…」
 アサカの逡巡に、指が離れかけたのを知り、
「も、もっと触ってっ!お、お父さんに吸ってほしいのぉっ」
「よく言えたね。じゃ」
 脇腹まで下がっていたシンジの顔が、上がってくる気配にアサカの胸は一気に鼓動を上げた。
(私のおっぱい、お父さんが吸ってくれるんだ…)
 頬を染めた待った直後、いきなりそれは来た。
 ぷっくりと膨らんだそこに、シンジがちゅっと吸い付いたのだ。
「はうぅん…・」
 さっきとは逆に、丹念に乳房をシンジは愛撫していく。
 両手で軽く揉み上げながら、色が白くなるまで乳首を吸い上げて、伸びた所でぱっと離す。
 その度に乳首がぷるぷると震え、アサカの唇も震えながら喘いでいく。
「あぁ……お父さんの…いいよぅ…」
 いつの間にか、シーツを掴んでいた手はシンジの頭を抱きかかえ、もっととせがむようにかき抱いている。
「いいな…」
 その二人の様子を、ルイは股間を摺り合わせながらじっと見ていた。
 左手は乳房をむにゅむにゅとこね回し、右手はショーツの上から秘裂にぎゅっと押し込まれている。
 風呂での一件のせいか、シンジの裸だけで躰が反応してしまい、股間の奥が熱く疼いてくる。
 これも、アサカ同様硬くなった乳首を指に挟み、左右へと振り立てる。
 自分のだと思うと燃えないが、それがシンジのだと思うと、股間からつぎつぎと蜜が溢れてくる。
(お父さんの指が私の乳首を…それに私の股間も…)
 シンジに乗られている自分を想像しながら、指の腹を押し込んでいくと、ぐにゅりと受け入れた。
「はあっ、あっ…す、すごい…」
 いつもシンジを思ってする自慰に、指は二本までなら入る。
 ショーツ越しだから少し不自由だけれど、思い切って押し込んだ。
「あふうッ…!」
 アサカと自慰を見せ合っても、こんなには燃えなかったのに、シンジを前にしただけで入れた途端に、脳髄まで突き上げるような快感が走った。
 或いは、妹の絡みを前にしていたせいもあるのかもしれない。
 甲高いルイの声に、下腹部へ移動しようとしていたシンジの動きが止まった。
「ルイ?」
「だ、大丈夫よ、お父さん」
「え?」 
「お父さんを前にして、いつもよりオナニーが気持ちいいんでしょ」
 今まで喘いでいたのに、冷静な声でアサカが分析する。
「そ、それより早くぅ…ねぇ?」
 アスカとレイは、それぞれプルネットとプラチナブルーの体毛は、濃い方である。
 特に淫毛は、二人とも下腹部から広く覆われているのだが、娘にはそれは行かなかったらしい。
 一応生えました、と報告だけしているような淫毛は、既に溢れた愛液でぴったりと貼り付いている。
 そこへシンジが唇を寄せて、ぢゅうっと吸い上げる。
「お、お父さんそこはっ…」
「して欲しいんでしょ?」
「う、うん…」
 もう一度吸い上げ、溜まった愛液を音を立てて嚥下すると、アサカの顔が真っ赤になった。
 そのまま、太股の内側へと丹念に口づけしていくと、もう新たに湧いた愛液が滴り落ちてきた。
 
 ぢゅ…ぢゅちゅう…ちゅ…
 
 滴ってきたそれごと吸い上げてから、そっと割れ目に手を伸ばした。
 指の腹で、軽く円を描くようにして愛撫すると、淫唇が左右に開いて綺麗な色の媚肉が中から姿を見せた。
 女の匂いが漂ったそこへ舌を差し入れると、アサカの下肢が激しく揺れた。
「ひゃああんッ…!」
 父親に吸われる快感からか、腰を押しつけるようにして、自分から動かして来る。
 だが。
「はああうっ…ああっ…あああっ」
 と、殆ど貫かれているような声に、二人の意識はどうしても散ってしまう。
 みると、ショーツを脱ぎ捨てて、しきりに指を出し入れしているルイの姿があり、普段のそこからは想像できないほど淫靡に見える。
「あーあ、もう冷めちゃったじゃない」
 ぶつぶつ言いながらアサカが身を起こす。
「ね、お父さん」
「な、何?」
「あたしが先なんだけど、先にルイにイッてもらおうよ。さっきから、一人でよがっちゃってうるさいんだもの」
 アスカの影響らしい押しの強さを見せて、アサカは太股に愛液を垂らしたまま立ち上がった。
 二人でそっと起きあがると、目をぎゅっと閉じて挿入に耽っているルイに近づいた。
 目を閉じているのは、きっとシンジでも想像しているに違いない。
「普段あんな声出さないもん、あれきっとお父さんを想像してるのよ」
 アサカが分析するように言うと、
「ほら、ルイの前に回って」
「どうするの?」
「大股開きにして、あそこ可愛がってあげるのよ。私が後ろに回るから」
 脚も崩れ、脳裏に何かを浮かばせているようなルイの後ろに、そっとアサカが回り込む。
 同時にシンジが前へすっと腰を降ろしたが、ルイは気付かない。
 それどころか、襞ごと引き抜くかのように、ますます指使いは激しくなっている。
「あふ、う…はあっ、あっあっああっ!」
 指先がふやけるのではと思うほど、そこにはたっぷりと愛液が付いており、息が荒くなるにつれて、ますます湧いてくるようにも見える。
 と、アサカがシンジに目配せし、いきなりルイの肩を掴んだ。
「ふはあっ…はへっ?」
 肩を押さえられて、ようやくこっちの世界に戻ってきたルイが見たのは、股間にじっと向けられているシンジの視線であった。
 それも、自慰真っ最中の。
「いやあああっ!!」
「ルイってば、一人でオナニーして楽しんでるんだもん。気になってイけないじゃな…どうしたの?」
「ル、ルイ?」
 からかってやろうと思ったが、不意にルイの様子がおかしいのに気が付いた。
「で、出ないの…」
「『え?』」
「ゆび…ぬけなくなっちゃった…」
「ま、まさか…」
 シンジとアサカが顔を見合わせた。
「『ち、膣痙攣!?』」
 さすがに二人が蒼白になったちょうどその時、
「ふあー、よく寝た」
「うるさいから、目が覚めてしまったわ」
 後ろから聞こえた声に、三人の首がギギギ、と音を立てて振り向く。
 にっこり笑ったその顔は、尻尾を生やした悪魔に見えた。
 
  
 
 
 
(続)

3並びに創りました。
ありがとうです。
2並びの次だから3並び…二ヶ月無かったのは嬉しい誤算ではあり。
それはそうと、娘いじりが入るので分割払いにしました。
二回払いなのでよろしく、なのでし。