恋人達の事件簿「傷痕の繋ぐもの」
 
 
 
 
 
 
 
 
「えーと、これで全部終わりかな」
 学校の図書室というのは、小学校は童話中心の可愛い構成だが、中学となるともう変わってくる。
 辞典や図鑑の類も一気に増え、しかもその中にはミリタリーの図鑑まで入っている。
 本来ならタブーだが、
「こういった物がある事を知らしめる事もまた必要です」
 と訳の分からない理屈を持ち出し、強引に蔵書の一端に加えさせたのだ。
 ただ、責任と自由がそのまま伴うわけではなく、ここもやっぱり読み散らかされた本が転がっており、シンジがやっとこさ片づけた所である。
「山岸さん、そっちはどう?」
「私ももう終わります。日誌は私が書いておきますから」
「あ、お願いします」
 学年が一緒でもクラスの違う二人が、ここで共同作業に追われているのは訳がある。
 人体にお人好しの衣をつけて揚げたのが碇シンジであり、もう片方は元々本好きのマユミと来ている。
 各クラスの図書委員が一堂に会する集まりで、放課後の図書室管理と言う名目で、その実体は散らかった本の片づけを満場一致で仰せつかったのがこの二人だったのだ。
 ただし、シンジはともかくマユミには別段苦ではない。
 放課後に来る連中など、普通に借りていくのはまずいないし、マユミはその前の分のカード整理で済むのだから。
 型通りの報告日誌を書きながら、彼女がちらちらと自分を見ていることにシンジは気付いていない。
「もう終わりました?」
「え…あっ」
 そのシンジが不意に振り返ったせいで、主の挙動を離れたシャープペンシルが反乱を起こし、指の先に突っ込んできた。
「痛っ」
 一瞬だがマユミの顔が歪んだが、
「だ、大丈夫っ?」
 シンジが慌てて駆け寄った時にはもう、
「大丈夫です、何ともありません」
 普段の顔に戻って首を振るまで秒と掛かっていない。
「そ、それならいいけど…あ、あのっ」
「はい?」
「も、もし良かったらその…い、一緒に帰らない?」
「ごめんなさい、今日は寄るところがあるんです。あの、もう鍵閉めますから」
「ご、ごめん…」
 成績は優秀−ただし、体育を除く。
 身体があまり丈夫でないから、どうしても体育の成績は芳しくない。
 とは言え、それを別にすれば頭を使うのも指先を使うのも器用であり、成績表などシンジには畏れ多いランクである。
 シンジにしては珍しく、もう少しだけ話してみたいと思ったのだが、今日もやっぱりさくっと振られてしまった。
「碇君、じゃあ私これで」
「あ、はいさよなら」
 ぱたぱたと駆けていく後ろ姿を見ながら、シンジはふうと溜息をついた。
 
 
 
 
 
「で?なしてそれをあたしに相談するかね」
 ぐりぐりとシンジにヘッドロックを掛けてるのはアスカである。
「だ、だってこんな事アスカぐらいにしか…いだいいだい」
「こんの最低男がー!!」
 一段と力を入れたがふっと緩めた。
「ま、いいわ。シンちゃんが冷たいとはいえ、レイ選んだのはあたしだし。あんまり前のこと引きずっちゃ可哀相だもんね」
 とか何とか言いながら、
「は、話してみたい子がいるんだけど」
 そう言った途端いきなりヘッドロックを極められたのだ。
 なんか曲がったような気のする首をごきりと直してから、
「ちゃんと相談に乗ってくれる?」
「高く付くわよ」
「そ、そんな…」
 とは言え同性の方が分かり易かろうと、シンジは一部始終をアスカに話した。
「なるほど、ねえ」
 全部聞き終わってから、アスカはふむと頷いた。
「それはあれよ、ほらシンちゃん嫌われてるのよ」
「えー!?」
「ま、それは冗談だけどさ」
「何だよもう、僕が真剣に話してるのに…アスカ?」
「あのねえ、これはあんまり言いたくない事なんだけどさ、あの子ウリやってたらしいんだよ」
「ウリって…瓜を売ってたって事…あたっ!?」
 
 スッパーン
 
 スリッパの綺麗な一撃に、シンジは後頭部を押さえて呻いた。
「なーに下らない事言ってるのよ。ウリってのはね売春よ、売春」
「そんな訳ないじゃない」
「シンちゃん、そうやって女の子に幻想持ってると−」
「山岸さんがレズな訳ないじゃないか、アスカとは違うん…痛いよう…」
 
 げんこつ。
 
 ぷっくりとこぶの出来たシンジに、
「誰がレズの話をしてるかー!」
「買春じゃないの?」
「だから売春ってさっきから言って…言っとくけどシンジ、売る方だからね?」
「え?買うじゃないの?」
(こいつ…字を間違えて、しかもあたしとレイのケースに当てはめてやがるわ)
 シンジの間が抜けているとは言え、自分が女に走ったからだなどとアスカは無論、思いもしない。
 今までも、そしてこれから変わることは無いのだ。
 だが、そんなアスカをこっちの世界に引き戻したのはシンジの低い声であった。
「山岸さんが…どうして売春してるって言い切れるのさ」
 滅多に、いやまず聞けないこの口調は激発の一歩寸前を意味している。
 ここでちゃんとかわせないと、シンジのキレなどと言う事態に遭うのだがアスカはそう浅い付き合いではない。
 処し方もちゃんと分かっているからしっかりと目を合わせて、
「噂はね、あの子がそれでトラブって刺されたって事なのよ」
「さ、刺された?」
「あの子が体育休みがちなのはあんたも知ってるでしょ。でもね、それだけじゃないのよ。中学校になってからあの子、突然身体見せなくなったのよ。健康診断の時も何故か下着の上から聴診器当ててるし、胸囲だって下着越しに計ってるの。どう考えても変じゃない」
「そ、それは…帯状疱疹の痕とか残ってるからじゃ…」
「じゃ、夜に変なおっさんと会ってるのはどうしてよ?下着の下はともかく、変な親父と会ってるのは何人も目撃してるのよ」
「それはその…別れたお父さんとか…」
「犯罪者でもなければ、別れた父親とこっそり会う必要なんかないでしょうが。シンジ、実体はともあれあの子が何か背負ってるのは事実よ。あんたがそれを正視する自信がないなら最初っから止めておきなさいよ」
「そ、そんな…あう」
 ぐにゃっと崩れた顔のシンジを見て、アスカはきゅっと腕に抱いた。
「ま、玉砕したらレイ用に開発した技で慰めてあげるから」
「あ、綾波用?」
「そ。女同士のそれって男となんかよりよっぽどキツイのよねえ。何だったら今試してみる?」
 にやあと笑ったアスカを見て、シンジは慌ててぶるぶると首を振った。
 
  
 
 
 
「碇君…」
 シンジがとんでもない相手に相談を持ちかけている頃、マユミはぼんやりと写真立てを眺めていた。
 そこには台詞通りシンジが写っている。
 が、普通こういう写真は格好良く写ってると相場が決まってるのだが、その被写体は落下してきた本に埋もれてる所であった。
 小さく溜息をひとつつくと、そっと指先の絆創膏を剥がす。もう傷痕も見えない位だが、マユミは指先に歯を当ててかりっと噛んだ。
 うっすらと浮き上がってきた血の玉を、音を立てて吸う。
「あなたのせいよ…碇君」
 呟いた声は、どこか恍惚としていた。
 
 
 
 
 
「碇君このごろ元気ないけど…大丈夫?」
「な、何でもないよっ」
 先だっての一件以来、明らかにシンジの様子がおかしい。どう見ても自分を避けているのが明らかなのだ。
 いや、正確には誤魔化そうとして誤魔化してきれていないと言うべきか。
 話しかければ最低限の言葉は返ってくるし、図書委員の仕事自体をすっぽかす事はない。
 ただ様子がおかしいのは歴然としているし、それが自分を避けているのだとマユミにはすぐ分かった。
 だが何故?
 確かにつれなくしてしまったのは自分だが、それであっさりと掌を返すようなシンジではない。マユミとてそんなに他人を知るわけではないが、それだけは確実だと思っていた。
(じゃあどうして…)
 内心で溜息をついてから、ちらっとシンジの背を見た瞬間マユミの顔色が変わった。
 つい先日までは散らかっている本に集中していたその背に、今ははっきりと拒絶の色が浮かんでいたのだ。
 シンジが自分を拒絶、それも外に出る雰囲気にまで−そう知った時、我知らずしてマユミの表情は崩れていった。
(あれ?)
 シンジが異変に気付いたのは、最後の本を戸棚に閉まった時であった。視線の向かぬ方向から、僅かな空気の乱れが流れてきたのだ。
「ん?…!?」
 マユミが机に伏している姿をそこに見つけ、さすがにシンジの顔色が一瞬変わる。震えている肩に泣いている姿を見て取れば、それを笑って見られる少年ではない。
「や、山岸さ…」
 一瞬は走りよろうとしたものの、次の瞬間その足は止まってしまった。
(援交でトラブル…変な親父と真夜中に会っている…絶対に身体を見せない…)
 アスカに言われた事がシンジの脳裏を駆けめぐる。これでもし、もっとシンジがスレていれば、援交など何とも思わなかったろう。
 むしろそれ位は“箔だ”とでも思ったかも知れない。
 しかしながら、シンジはそれとは逆であった。
 セックスは無論キスだって好きな人とだけと思っているし、まして性交渉と引き替えに金をもらうなどは想像も付かない。
 度量云々を別にすれば、ここで足が止まってしまったシンジを引き留めることは出来まい。
 これが同性の無責任な噂ならともかく、ソース源がアスカだったのだから。
「ぼ、僕先に帰るからっ」
 シンジが脱兎のごとく走り出した後、しばらくマユミは動かなかった。俯いた肩の震えは止まらない。
 やがてその顔が上がった時、肩の震えは完全に止まっていた。
「あなたも…私を拒絶するのね…そう…」
 妖々と上がったその顔は、明らかに危険な色で満たされていた。
 
 
 そして数日後。
 学校の帰り道、てくてく歩いていたシンジのポケットで携帯が鳴った。
「はい碇です。え?今日は綾波の所に止まる?それで…食事はどうするんだよ」
「ごめん、埋め合わせは何とかするからさ…こ、こらレイいきなり舐めないで…あんっ」
 ドヘンタイ、そう呟いてからシンジは切った。
 なんで夕方から美少女同士の喘ぎ声を聞かされなくちゃならないんだ。
 大体今日の食事当番はアスカじゃないか。
「レズの何処がいいんだろ、まったく」
 もう一度ぼやいてから歩き出した時、
「碇君、今晩は」
 不意に後ろから声が掛かった。
「え…山岸さん!?」
 今は正直言ってあまり会いたくない相手がそこに立っていた。
「ど、どうしたの?」
「今日ね、うちの両親が急に帰って来ない事になっちゃって。それで、おかずを作り過ぎたから持ってきてみたの。もし良かったらその…」
「きょ、今日はトウジ達に呼ばれてるから、そ、その大丈夫だよ」
 殆どマユミの前での通話だったにもかかわらず、隠蔽工作すら忘れているシンジ。
 刹那マユミの眉が上がったがすぐに抑えて、
「それは…残念ね。折角こんなのが出来たのに」
「え?何を作ったの?」
 家事はシンジの方が器用にこなし、無論料理に関しても同様である。そのためつい引き込まれてしまったのだが、それが運の尽きであった。
「それはね…これよ」
 ほんの少し隠すような仕種にシンジが覗き込む。
 と、その首筋へ計ったように押し当てられた何かが強烈なショックを与え、シンジの意識は急速に遠のいて行った。
 
 
 
「ん…ここは…」
「お目覚め?碇君」
「あれ、山岸さ…あーっ!」
 右左、右左、と規則正しく動いたシンジの首が動き、両手足を拘束されている自分の姿に気が付いた。
「どうしたの?」
 にっこり笑って訊ねる姿も十分怖いが、手に危険なモノを持って無かった事でシンジは幾分安堵した。これで手に刃物でも持っていられた日には、そのまま卒倒してしまったかも知れない。
「ど、どうしてこんな事を…」
 それを聞いた途端マユミの表情が変わった。
 すうと表情が消え、
「心当たり無いの」
 能面のような表情で訊ねたのだ。
「そ、それはその…」
「じゃあ、私から訊くわ。どうして私の事を避けるの?私、何か嫌な事した?」
「そっ、そんな事はないけど…でも…」
「私の噂を聞いたから?」
 迂闊にもうんと頷いてしまったのは、マユミの哀しそうな表情が目の前にあったからであり、決して身の危険を感じたからではないのだ。
 そう、決して。
 頷いたシンジを見て、マユミは黙って服に手を掛けた。
 その次の瞬間、マユミの肩から服が滑り落ち、シンジの双眸がかっと見開かれる。
 シンジが視線を逸らすことが出来なかったのは、マユミが全裸だった事よりも、むしろその腹部にあった。
 脇腹に沿って、殆どえぐれるような感じで出来ている大きな傷は、とかく自他を比較したがるこの年代の少女の中にあっては、決して見せられるものではなかったろう。
「…あ…ああ…」
 呆然としているシンジを見て、マユミは哀しげに笑った。
「今までこれは、誰にも見せた事が無かったわ。私が小学生の時、大好きだった父に工場へ連れて行ってもらったの。でも私は走り回っていたせいで、機械の下敷きになった。これはその時に出来たものよ。それを知った母は半狂乱になって、父を訴えるって言い出したわ。金輪際私達の前に姿を見せないって言う条件で告訴は取り下げたけど、私は自分の不注意だって分かってた。ためたお小遣いで興信所を頼んで父を捜してもらってけど、到底普通に会える状況じゃないの。母が知ったらまたおかしくなる、だからいつもこっそり会っているのよ」
「じゃ、じゃあ肌を見せないのも夜変な人に会っているのも…あ、ごめん」
「いいのよ、変装している父は確かに変なおじさんに見えるかもしれないもの」
「あ、あの…」
「何?」
「どうしてそれを僕に…?」
 刹那マユミはきゅっと唇を噛んだが、言葉を探すように告げた。
「碇君には…あなたにだけは本当のことを知って欲しかったの。だからこんな事までして…ごめんなさい。でももう、これが最初で最後にするわ」
「え?」
「もう二度とあなたの前には姿を現さないから。本当にごめんなさい」
 深々と頭を下げると、マユミは全裸のままシンジに近づき、手足の縛を解いた。
「もうだいじょう…え?」
 マユミの視線がゆっくりと下に動いた−ぎゅっと握られている自分の手に。
「謝らなきゃならないのは僕の方だよ。本当はずっと、ずっと山岸さんともっと話したり出来ればいいなって思ってたんだ。だけどなんか上手く行かなくて、それで相談を持ちかけたら山岸さんの噂のこと聞かされて…なんか、僕とは全然世界が違うって勝手に思いこんでたんだ…その…ごめん」
「い、碇君…」
 予想外のシンジの反応に、マユミの目からぽろぽろと涙がこぼれる。
「ごっ、ごめんっ、僕そのっ…」
「ちがうの…碇君がそう言ってくれてとても嬉しかった…あっ」
 小さく叫んだのは、一糸まとわぬその姿に二人が同時に気付いたのだ。
「や、やだ恥ずかし…い、碇くんっ!?」
 慌てて衣類を手に取ろうとしたマユミだが、その肢体は容易くシンジに引き寄せられていた。
 何を思ったかこのシンジ、脇腹の傷痕にそっと触れたのだ。
「おかしくなんかない、山岸さん、綺麗だよ…」
「碇君…」
「山岸さん…」
 どちらからともなく顔が近づき、ちゅっと小さな音がした。
 二人の初めてのキスはお互いに目を開けたまま。
「山岸さん」
「はい…」
 消え入りそうな声と共にマユミが目を閉じる。
  くちゅ…くにゅ。
「はあっ…」「んんっ…」
 二人の舌が絡み合い、赤い舌がまるで生き物のようにお互いを求め合う。
「『ぷあっ』」
 殆ど息をするのも忘れて舌を絡ませ合った後、初めて陸上生物たる所以を思いだしたように顔を離した。
「あ、あのっ…」
 やっと自分の行為に気付いたシンジが何か言いかけた所へ、その首筋に白い腕が巻き付く。
「碇君、帰っちゃだめぇ」
 この娘の何処にと思われるほど舌足らずな声で、今度はマユミが自分から舌を絡めていく。マユミの積極性に触発されたか、ようやくシンジの動きにも雄のそれが備わりつつあった。
 マユミを追うように服を脱ぎ捨てたシンジだが、もとから色白で線が細いだけに少女同士の痴態にも見えるが、抱き合って床に倒れ込んだ二人から洩れる吐息と喘ぎとは、間違いなく男女の物であった。
 
 
 
「女の匂いがする」
 シンジが帰宅すると、アスカはまだ帰っていなかった。
 間もなく戻ってきたアスカの開口一番の台詞に、シンジが一瞬ぎくっと身体を強ばらせたのだが、
「風俗行って病気もらっても困るし、溜まった時はあたしに言うのよ〜」
 レイとの痴態にはアルコールも入っていたのか、ご機嫌で消えていったアスカにほっとシンジは胸をなで下ろした。
 
 
 
 そして更に数年後。
「ん…もう朝…やああんっ」
 がばとマユミが跳ね起きると、そこにはいつも通り脇腹に舌を這わせているシンジの姿があった。
「もう、ちゃんと起こしてって言ってるでしょう」
「起こしたって起きないんだもん、しようがないさ」
「嘘、いきなりぺろぺろしたくせに」
「ま、でもマユミの場合身体は正直だからね」
「え?」
「涎、涎」
「や、やだっ」
 慌てて口許を拭ったがそこには何も付いていない。
「どこに涎が…あんっ」
「下のおクチ」
 一体どこで仕入れてくるのか、シンジはすっと股間から指を抜き出すと、指の間で糸を引いている蜜を見せた。
「ちょっと脇腹責めただけなのに、もう下の口から涎?だらしない娘にはお仕置きだよね」
「だ、だめっ、講義に間に合わなくなっちゃ…きゃううっ」
 ぢゅーっと、音を立てて吸い上げるのはシンジのいつもの癖。
 そしていつもの事でも身体を仰け反らせて身体が反応するのがマユミの癖。
 結局、高校でもマユミは傷を他人に見せる事は無かった。
 ただ、
「あんっ、そこだめえ」
 出会いのせいか、執拗にそこを愛撫され続けたせいですっかり脇腹の傷痕が敏感になってしまい、今ではシンジだけが知るマユミの性感帯と化している。
 冷静な顔とは裏腹に、じゅくじゅくと蜜の溢れ出す股間を感じながら、
「ずっと嫌だった傷だけどシンジと結ばれたのはこれのおかげ…ありがとう」
 小さく呟いた途端いきなり二本指を差し込まれ、マユミは一際甲高い声を上げた。
 
 
 結論:人類万事塞翁が馬…おや?
 
 
 
 
 
(終)