日本帝国海軍のメニューと言えば、肉じゃがとカレーがすぐに出てくるくらいこの二つは有名です。肉と野菜を一緒に煮込み、西洋風……言わば、「バタ臭い味付け」をしたこれらの料理が、欧米に追いつけ追いこせの時代をよくあらわしていると思われます。
かつて軍港があった、横須賀・呉・佐世保・舞鶴などで、昨今「海軍カレー」がご当地グルメとして取り上げられています。ご当地の名物食材を使い、町おこしの一環として活躍してんですね。戦後約70年たった今の時代の海軍カレーは結構ゴージャスであります。が、実際のところ、あの時代の海軍カレーってどんなもんだったんだろう? 別にそっくりそのままを再現しようとは言わんが、ちょこっとだけでもあの時代「風」にやってみたら……。
海軍……であるからして、調理は当然船の中……つまり海の上。水は大切な貴重品。
肉は塩漬けにした、いわゆる「塩蔵肉」。野菜も、塩蔵や乾燥させたものが多く、それらを戻したり塩抜きして使っておりました。トマトはすでに煮詰めて濃縮したのを瓶や缶に詰め、滅菌密閉したのを積み込んでおりました。ジャガイモ、サツマイモ、ダイコンなどは切って干したのを積み込んでいましたから、それらと塩蔵肉、煮詰めたトマトなどを大釜に入れ、少量の水を加えて煮詰めていた。帝国海軍の場合、スチームで調理をする圧力釜もあったので、フツーの鍋のように煮汁が煮詰まって蒸発……の心配がない。しかも圧力釜なので、時間をかけずにできあがる。塩蔵肉などの塩分があるから、カレーパウダーを加えるだけでカレーができる。
この辺からヒントを得て、《水無しカレー》なるものを登場させました。手元にあった大正年間発行の海軍調理教科書や、海軍軍需品学教科書などを見ますと、当時の食糧保存方法がすこぶる進んでいたことがわかります。軍艦によっては冷凍冷蔵庫なんぞ「あたりまえ」だったようだわ。平成生まれのドッポ君が何で帝国海軍の調理法を知っておったのか? ミステリーですなぁ。きっと父親乱歩さんのパソコンにその謎が隠されているに違いない!



- 普通のカレー作りと同じような材料を1㎝角位に切る。
- 鍋で4~5分油炒めしたところにトマトを一人前あたり2個、すりおろす。
- 蓋をして10分炒めたらカレールーを溶かし、火を止めて味をなじませる。
*15~20分で味がなじむ。水は一滴も入れない

