明木鈴

らきあきずす

「南京大虐殺」のまぼろし

新「南京大虐殺」のまぼろし

平成十一年年六月三日 飛鳥新社
ISBN4-87031-368-5 税抜千九百円

「虐殺論争」に終止符を打つ、衝撃の発見!『「南京大虐殺」のまぼろし』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した著者が、日本・中国・アメリカを結ぶ線上に発見した、不可解な「虐殺論争」解明の鍵を握る、一人の人物、一冊の書物、一通の文書とは何か?──戦後半世紀を経て浮上した驚愕の真実! 一九七三年文芸春秋刊「『南京大虐殺』のまぼろし」の続編。


前書き

 日本、中国、アメリカという、東アジアだけではなく、二十一世紀の世界に最も大きな影響を与えるかも知れない重要な三つの国の中で、今でも喉元に突き刺さったままでいるような大きな歴史的課題が、まだ未解決のままである。いわゆる「南京大虐殺論争」である。
 この不可解な事件の鍵を握っていた人物は一体誰なのか、僕は長い間考え続けてきた。そしてその人物こそは、実は二十世紀ノンフィクション文学の中でも特に名作として知られる「中国の赤い星」を書いたアメリカ人作家であり、第二次世界大戦の時には、アメリカ大統領ルーズベルトと数回にわたって、二人だけで、対日・対中に関する話し合いを持った著名なジャーナリストでもあった、エドガー・スノーであることを、僕は最近まで、気が付かなかった。


あとがき

 最終的に構成の概要が決まったのは三、四年前だが、それからも書いては破りという空しい作業が続いた。すべてを書き上げ、印刷所に原稿を入れる寸前になっても、決して満足感のある心境ではなかった。
 しかし、僕が今回書いたことは、戦後半世紀以上を通して、世界中の誰もが書かなかったことであり、気付かなかったことでもあり、「南京大虐殺」の、本当の意味での核心にふれたものであるという点だけは、強い自負を持っている。
 まだまだ書き足りないことはあり、不完全なものであることも自覚しているが、それはやがていつの日にか、中国にも完全な「言論の自由」のある社会が出現して、すべての資料(史料)が公開されれば、この不満は解消されるものであることを確信している。


る還へ【書蔵蔵溜古雲】