時
1904年5月のある夜からおよそ2日間
舞台
パリ マルセイユ
出来事
ジャックに、中学校で居残りをさせられていると聞かされていた父チボー氏は、長男アントワーヌを伴い中学校に迎えに行く。ところが、居残りが嘘だったことが分かったばかりか、教師から信じがたいものを見せられる。
それは一冊の灰色のノート。ジャックとダニエルとの情熱的な心の交流が記された、秘密の交換ノートだった。かねてから親や教師に反抗していたジャックは、教師がこのノートを自分の持ち物の中から無断で見つけ出して読んだことに激昂し、ダニエルを誘って家出を企てたのだった。
カトリックの実業家で名士たる自分の息子が、プロテスタントの人間と「あるまじき関係」を持ち、家出まで企てたらしい、と知ったチボー氏は激怒。全力をあげて行方を追う。一方、ダニエルの母親フォンタナン夫人は、この話を聞かされて動揺し、息子の身を案じながらも、あくまで息子を信じ、ノートを見ようとはしない。
結局、二人はマルセイユで捕えられる。ダニエルには、とにもかくにも暖かい家庭での和解が待っていた。一方、激怒したチボー氏は、ジャックを自ら創設した少年院「オスカール・チボー少年園」の特別室にいれてしまう。
この物語の第1巻目では、物語全体を通して重要な役割を果すこととなる主要な人々が、ジャックとダニエルの家出という事件を通して端的に描き出されている。息子への愛情がないわけではないが、自分の社会的地位や名声を重んじ、体面を気にするチボー氏。反抗と激情に突き動かされるジャック。出来のいい、医者の卵の兄アントワーヌ。大人びた、落ち着いた性格のダニエル。子どもたちを深い愛と信頼で包むダニエルの母、フォンタナン夫人。不安定な、大人びた精神を持つダニエルの妹、ジェンニー。女性にだらしのないダニエルの父、ジェローム。
こうして、チボー家の幕が開く。
Les Thibault 2 - Le penitencier - 1922
チボー家の人々 2 少年園 山内義雄訳 東京 白水社 1984 (白水uブックス 39)
時
1905年。ジャックの家出からおよそ8ヶ月後。
所
パリおよびクルーイ
Les Thibault 3 - La belle saison - 1923
チボー家の人々 3・4 美しい季節 I・II 山内義雄訳 東京 白水社 1984 (白水uブックス 40・41)
Les Thibault 4 - La consultation - 1928
チボー家の人々 5 診察 山内義雄訳 東京 白水社 1984 (白水uブックス 42)
Les Thibault 5 - La Sorellina - 1928
チボー家の人々 6 ラ・ソレリーナ 山内義雄訳 東京 白水社 1984 (白水uブックス 43)
Les Thibault 6 - La mort du pere - 1928
チボー家の人々 7 父の死 山内義雄訳 東京 白水社 1984 (白水uブックス 44)
Les Thibault 7 - L'ete 1914 - 1936
チボー家の人々 8〜11 一九一四年夏 I〜VI 山内義雄訳 東京 白水社 1984 (白水uブックス 45〜48)
Les Thibault 8 - Epilogue - 1940
チボー家の人々 12・13 エピローグ I・II 山内義雄訳 東京 白水社 1984 (白水uブックス 49・50)
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