チボー氏
Oscar Thibault
オスカール・マリー・チボー
-1913
チボー家・父。カトリックの裕福なブルジョワジー。重々しい風貌に本心を隠し、現世的栄達と名声に野心を燃やすカトリック事業家。
参考:マルタン・デュ・ガールによるチボー氏の風貌のスケッチ(l’association des Amis Martin du Gard)
アントワーヌ
Antoine Thibault
アントワーヌ・オスカール・チボー
1881.7.9-1918.11.18(享年37歳)
チボー家・長男。すぐれた知性と活動力、安定した精神を併せ持ち、またその自らの能力を自負してもいる。誠実に野心的に医師としての道を邁進する青年。が、道なかばにして戦争が勃発、医師として従軍。毒ガスにやられる。なににも増して自分の精力を誇っていたアントワーヌは毒ガスにより精力を奪われ、残酷な緩慢な死を迎えるのである。
ジャック
Jacques Thibault
ジャック・ポール・オスカール・チボー
1890-1914(享年24歳)
チボー家・次男。安定した精神を持つ兄アントワーヌとは対照的に、常に不安に駆られ自分の居場所を見出せない、情熱的で孤独な魂の持ち主。高等師範学校の試験に合格後、家出して行方をくらまし、社会主義者となりスイスで活動に従事。戦争が勃発すると、最後の抵抗として前線に飛行機でビラを撒く決死の作戦を決行するが、メネストレルの巻き添えになり、目的を果たせず墜落。重傷を負った上、口に怪我をして最後の武器である弁舌も使えなくなる。フランス兵に発見されるが、口が利けないためドイツ軍のスパイと思われ、捕虜として連行される。敵の砲弾から逃げまどうフランス兵は、ジャックを持て余して銃殺する。ジャックは、まさに彼が救おうとしたような一兵卒によって殺され、目的をなにひとつ果たせずに犬死にしたのだった。
ジャン・ポール
Jean Paul
1915-
ジャックとジェンニーの子。ジャック、アントワーヌ亡き後、唯一残された「チボー家」の人間。物語が終わった時に3歳だったこの子は、その後どんな運命を歩んだのだろうか。そのまま成長していれば、第2次世界大戦勃発時には24歳。従軍した可能性大。しかしジェンニーを通してジャックの遺志を伝えられ、レジスタンスに加わったとか…。生きていれば現在86歳。
ジゼール
ジゼール・ドゥ・ヴェーズ
1905年当時10歳
おばさんの姪。ドゥ・ヴェーズ少佐とマダガスカル人女性との子。チボー家のジャックとアントワーヌの妹がわり。
おばさん
ドゥ・ヴェーズ
1913年当時78歳
チボー家の乳母。
シャール氏
ジュル・シャール
チボー氏の秘書。
ヴェカール神父
チボー家の聴罪神父。
フォンタナン夫人
ジェンニー・ドゥ・フォンタナン
1905年当時40代
フォンタナン家・母。プロテスタントで信仰心篤い。チボー氏とは対照的に、相手をありのままに認め受けとめる、寛容で偏りのない精神を持つ。だが第1次世界大戦を通してその柔軟な精神は硬直していく。
ジェローム
ジェローム・ドゥ・フォンタナン
-1914
フォンタナン家・父。洗練された美男子だが、そのだらしない性格と浮気性はほとんど病気。常に妻以外の女性をかこっており、めったに家に帰らない。あやしげな事業に手を出しては窮地に陥っていたが、ついには抜き差しならない立場に追い込まれ、第1次世界大戦勃発直前にピストル自殺。
ダニエル
Daniel de Fontanin
ダニエル・ドゥ・フォンタナン
1905年当時14歳
フォンタナン家長男。ジャックの親友。父譲りの美しい容姿を持ち、女遊びにうつつをぬかす。と同時に、だらしない父に苦労させられてきた母の姿を見てきたこともあり、ひときわ独立心が強く、絵の才能を活かして早くからしっかりした独立した生活を営む。第1次世界大戦時に腿に負傷し、男性としての能力を失う。
ジェンニー
ジェンニー・ドゥ・フォンタナン
1905年当時13歳
フォンタナン家長女・ダニエルの妹。幼い頃から、大人びた孤独な精神を持つ。長じてその心はジャックの孤独な心と惹かれあい、ジャックの子ジャン・ポールを生む。ジャック亡き後はその遺志を継ぎ、社会主義を奉じるようになる。
ニコル
ニコル・プティ・デュトルイユ
ノエミの娘。放埓な母から逃げ出しフォンタナン夫人の庇護の元へ。
ノエミ
ノエミ・プティ・デュトルイユ
フォンタナン夫人のいとこ。ジェロームと関係を持ち、6年間同棲。
グレゴリー牧師
ジェームズ・グレゴリー
イギリス人。クリスチャン・サイエンティスト・ソサエティの牧師。フォンタナン夫人の精神的指導者。
ラシェル
ラシェル・ゲプフェルト
1910年当時26歳
父はユダヤ人。短期間アントワーヌの恋人となり、去る。型にはまらない奔放な生き様はアントワーヌに大きな影響を与える。
バタンクール
シモン・ドゥ・バタンクール
ジャックの友人。
聖職者として将来を嘱望されていたが、美しい未亡人と結婚するためにすべてを捨てる。
バタンクール夫人
アンヌ・ドゥ・バタンクール
シモン・ドゥ・バタンクールの妻。貧しい境遇から身を起こし、巧みな世渡りで財を成した野心的な女性。アントワーヌと不倫の関係を持つ。
ビノ神父
ジャックの通う中学校の神父。
マリエット
元フォンタナン家の使用人。ジェロームと関係を持ち解雇される。
フェーム氏
チボー氏が創立した「オスカール・チボー少年園の園長。
アルテュール
少年園のジャック付きの青年。
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