恋のエントロピー
TOMさん
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  ”いかなる閉じた系においても、エネルギーの総量は
   常に一定であり、また、エントロピーの総量は、時
   間とともにたえず増加する”
         <熱力学の第一法則および第二法則>


 夜景の夜空を眺めながら、突然エイリアがダイナモに口を開いた。
 「ねえ、ダイナモ。私、不思議でならないことがひとつあるのよ」
 「なんだい?」
 「”エネルギー”は、決して新しく創造したり、消滅させたりできない。そうよね?」
 来た。ダイナモは心の中で冷や汗をかく。
 「”全宇宙におけるエネルギーの総和は常に一定である”…いわゆる、『エネルギー保存の法則』っていうやつだね?」
 「そう、別名『熱力学の第一法則』。どうしてかは誰にもわからないけど、絶対に、何も無いところからエネルギーを取り出すことはできない。宇宙の永遠の法則よ。…でもね」
 エイリアは、遠くの星空を眺めたまま真剣に語りかける。
 「貴方と居ると、何の理由も無いのに、何も無いところから不思議な気持ちが湧いて出て来るような気がするの。どうしてかしら。
  気持ち…”心”だって、エネルギーじゃないの? 不思議だわ」
 「相変わらず難しいことを考えるなあ、エイリア」
 とりあえず、ダイナモはとぼけてみる。しかし、一旦理屈を考えだしたエイリアを止めるのは、彼の最強必殺技を持ってしても不可能だ。
 「だって…私達、エネルギーで動いているんだもの、そこから生まれて来る私達の”ソウル”だって、エネルギーのひとつのカタチに過ぎないのよ。でも…、貴方に初めて出会った時…。今まで何も無かったところから、突然だったのよ。貴方を好きだ、って思ったの…。絶対変よ、何も無いところから、”心”が生まれるはずないわ」
 ダイナモは、ふう、と肩で軽くため息をついた後、エイリアと同じ夜空の方向を見て言った。
 「そうかい? 宇宙は君が考えているよりもずっと、深遠なのかもしれないよ。
  『熱力学の第二法則』を知ってるだろ?」
 「あたりまえよ。私が貴方に教えたんじゃあないの。…からかっているの? 
  ”エネルギーは、常に高い準位から低い準位へ流れる”。だから水は高い位置から低い位置へ落下するし、電流はプラスからマイナスに流れる。命の秘密だわ。この法則があるから、エネルギーは”仕事”に換わる。私達が存在していられる」
 「そう。だけどそうして、どんどん宇宙全体のエネルギーは均一になっていく。”ポテンシャル(準位)”の差が無くなっていって、”仕事”に換え得るエネルギーは少なくなっていく。そうだね?」
 「よくわかってるじゃないの」
 「君が散々ボクに教えてくれたからね。ようするに、”使えないエネルギー”、イコール、”エントロピー”は常に増加する、ってこと。…でもね」
 「何?」
 「君と一緒に居ると、ボクもふとこんなことを思うんだ。エントロピーを減少させることが、ひょっとしたらできるかもしれない、って…」
 「エントロピーを”逆転”することなんて、絶対にできっこないのよ! どうやって!?」
 エイリアは、まるで怒ったかのようにダイナモを振り返る。ダイナモは、エイリアのそんな表情を真剣な眼差しで見つめ返す。
 「君がさっき言った、何も無い所から溢れ出るフシギなパワー…
  ”愛の力”でさ!」
 そう言うと、ダイナモはおおげさに、満点の星空を抱え込むようにして、両腕をいっぱいに広げた。
 その顔は、いたって大真面目だ。
 エイリアは、しばらくきょとん、と何も言わずにダイナモを見つめた後、急におもいっきり吹き出した。
 「ぷっ…くすっ…あははははは!」
 ダイナモはそんなエイリアを見て、真剣な顔が一気に拍子抜けしたようになる。
 「なんだい、エイリア! そんなに笑うことないだろ? オレはいたって真剣なんだぜ!?」
 「だって…余りにも、非科学的で馬鹿馬鹿しいんだもの! アナタらしいわ。”愛の力”だなんて…。でも…」
 エイリアは、笑いやむと、コツン、とダイナモの胸に額を当てた。
 「貴方のそんな所が好きだわ。真剣に、そんな夢みたいなことを考える貴方が好きだわ。
  愛してる、ダイナモ。この宇宙がたとえ冷えきってしまっても…貴方への私の気持ちだけは、永遠に変わらないわ。絶対よ」
 ダイナモはエイリアの言葉に、少し照れくさそうにしながら、優しくエイリアの背中に腕を回して抱き締める。
 「ボクもそうさ…。ボクたちのエネルギーは永遠に不滅だよ。
  …よし、こんな法則を決めよう、エイリア」
 「どんな法則…?」
 エイリアは眩しそうにダイナモを見上げる。ダイナモは、口の端を上げて、ニヤリと微笑んだ。
 「”全宇宙における…ダイナモ様とエイリアの、愛の総和は常に一定である”
  …ってね!」



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ダイエイダイエイ!!TOMさん最高〜!TOMさんらしさが沢山でた内容で良い感じですねvそしてお勉強になりますです!
セリフの恥ずかしさも何のその!ダイナモさんらしくて良いですvそんなダイナモさんだからこそ、エイリアさんは好きになったんでしょうねv
TOMさんのダイナモさんって、一人称「ボク」何ですね!一回だけ「オレ」を使ってますけど、「ボク」の方が多いからそっちかな・・と。X5で一度だけ使ってましたよね、「ボク」。新鮮で良いですね!
ダイナモは・・エロキャラってのはオフィシャルではないんで(笑。私が間違っているだけなんで・・(笑。


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