針灸歳時記 : 鍼灸治療で使う針の寸法について、

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 鍼灸治療で使う針は、規格化されています。
 鍼灸治療で一般的に使用される針のことを「毫鍼(ごうしん)」と言います。毫鍼の各部の名称を説明すると、針を持つ部分を「鍼柄(しんぺい)」といいます。針の本体を「鍼体(しんたい)」といいます。

 針の本体つまり鍼体の部分の寸法が次のように定められています。

長さ
 5分 : 15mm
 8分 : 25mm
 1寸 : 30mm
 1寸3分 :40mm
 1寸6分 : 50mm
 2寸 : 60mm
 2寸5分 : 75mm

太さ(直径)
 02番 : 0.12mm
 01番 : 0.14mm
 1番 : 0.16mm
 2番 : 0.18mm
 3番 : 0.20mm
 4番 : 0.23mm
 5番 : 0.25mm

 こうして規格化されていますので、「1寸3分の1番」と言えば鍼灸師なら誰でも、分かります。
 師匠について治療の手伝いをしている時に、「寸6の3番」と言われたら、即座に直径0.20mmで長さ50mmの鍼を渡さないと怒られます。丁稚奉公的修行で誰もが通る道です。

 ちなみに蚊の針は、直径約0.08mmです。さらに蚊は、針の表面に麻酔薬を塗って刺してきますので、かなり敏感な人でも刺されていることに気付かないことが多いです。

 予防接種の際などに使う注射針は、25ゲージ(約0.51mm)が多いです。薬剤を注射しますので、中央に穴が開いた針であり、鍼灸治療で使う鍼よりも太めです。また、健康診断の際などに採血に使う注射針は、22ゲージ(約0.72mm)が多いようです。

 裁縫の針は、絹など薄手のものを縫う針は直径約0.51mmで、木綿針が直径約0.84mmです。小中学校の家庭科の時間に、針を指に刺してしまい痛い思いをするのは、直径が0.84mmもあるからです。

 それを考えると、健康診断の際に採血してくれる看護師さんは、同じくらいの太さの針なのに、そんなに痛くは無いですから、技術が高いことがうかがえます。

 針の断面積は直径の2乗に比例しますので、木綿針(0.84mm)と鍼灸治療の1番(0.16mm)の針を比べますと、約25分の1の断面積となります。

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