真空管試験器



真空管試験器の選び方について
最近(平成26年)真空管試験器TVー7などの値段が高騰しているようですが、エミッション型の試験器まで高くなっているようです。
個人的見解ですが 実用的に使うならGM測定タイプを購入すべきです。
自分のような素人でも校正できるTVー7シリーズ(TVー2 TV-3 TVー10 )はお勧めです。
仕組みを理解して買うならエミッション型の試験器も良いでしょう。
エミッションタイプの機種で悲惨なのはチャートに無い球は試験できないことです、1~1.5万円程度ならおもしろかも知れませんが。
販売している人も知らずに高額の値段をつけている場合があります、実用的に使うのなら 避けたほうが無難です。
エミッション試験器なのに即決価格45,800円などのものも有ります、出品者も価値を知らないようです、ご用心。
乱暴な例えですが GM試験器をピアノとすると、エミッション試験器は玩具のピアノです。
どちらも音が出ますが、実用的にはGM試験器と言えるでしょう。
玩具に近い試験器を高額出して購入する必要はありません。
販売している人は玩具(エミッション)と本物(GM)の区別ができない方もいるようです。
十分注意したほうが良いでしょう。
なおTVー7で試験して合格でも %以下の割合ですが 使えない球は有ります、最後は実機確認が必要です。
TVー7シリーズは球のおおよその良可を区別するための簡易型測定器です、
測定方法から精密さを期待してはいけませんが、ラジオやアンプの修理には十分役立ちます。

本格的に使うなら 下記VGー4のように電極に規定電圧が加えられるのものが必要です。
TVー7でGMだけ揃えてマッチドペアー等と言って販売している店もあるらしいですが 注意が必要です。
オーディオなどでペアー真空管を選びたい場合 試験器を自作したほうが良いかも知れません。
実機の電源を使って シングルのアンプを作り プレート電流を測れば 目安がつきます。
GMの測定はグリッドに信号を加え出力電圧を測定すれば目安になります。
なお真空管の規格というものは大きな幅があります、GMだけでも ±25%も幅があるわけで。
それに電圧依存性(換算図表参照)も大きいです。
これら簡易型(TVー7のような)GM試験器の数値を金科玉条のように思うのは意味が違います。
あくまで 特定の電圧で試験した 目安です。
ただTVー7は多くの球屋さんが利用しているので 応用範囲が広いでしょう。

これは日立のハンドブックよりの転載です。



これは日立のハンドブックよりの転載です。

GMが電圧により 大幅に変わることを示しています。

TVー7での測定値はおおよその目安を示すための数値に過ぎません。
グリッド電圧もポテンショメーターで可変していますので 誤差も大きいし プレート電圧も低いです。
また加える信号電圧も大きすぎるのです。
過剰に信じてはいけませんが 目安には十分使えます。

エミッション試験器は個人が数値を見て 楽しむには良いのですが、
高額の費用をかけて購入するものではありません。
高くても1.5万円程度 以下でないと 必ず後悔するでしょう

ペアーチューブについて

オークションなどでTVー7で試験して ペアーチューブを販売している店がありますが、これは全く信用できません。
プレート電流も揃わないと GMのみ揃えても駄目です。
昔 NECがペアーチューブを販売していた時の記事を紹介します。
NECニュース 84号より





JA4FHBさんの測定例(2014年2月9日)

測定条件は1962年ナショナル真空管・トランジスタハンドブックに記載された
各真空管のシングルA1級動作例により設定しそれぞれの値を測定記録しています。
また、gmについてはコントロールグリッドに0.5V 1KHzのサイン波を入力して
プレート電流の変化をカレントプローブを使用しオシロスコープで測定してgm値を算出
したものです。

真空管試験器のメーター保護ダイオードについても参照ください。

真空管試験器 I-177

昭和20年代中頃 ラジオアマチュアーの憧れの的。
当時の日本製真空管試験器は所謂エミッションチェッカーで5極管でも全て2極管接続にして、エミッション試験をするものです。
当時の真空管は戦時中の材料不足から鉄線をリード線に使った物が多く、半田付け不良の製品が多かったのですが、電極は全部プレート一括接続するので、その判定が困難だったようです。
ここでGMが測れる本機の人気が想像できます。
このそっくりさんが三田無線にある。
試験方法は左下のAとBのSWで真空管に合わせた設定をします。
TV-7が7つのSWの設定が必要なのに比べ、操作は楽です。
ただデーターシートに記載の無い真空管の試験は大変。
GM直読と、良 不良の判別の2つのテストが出来る。
軍用として、どんな兵隊さんでも使える工夫か。
右上の9ピンmTソケットとSWは双3極管テスト用に、エーコン管のソケットを外して取り付けた。
この機種は先輩から頂いて、修理して使っていた。
製造時期の関係かデーターシートはSTとGTが大部分で、mT管は少ない。
特に9ピンタイプはソケットも無い、この試験器用にソケットの接続を自由に出来るアダプターが製品(MX-949A)としてある。
下記のデータは昭和55年頃177を利用していた時代(試験器を勉強中の時代です、信用度は??)に自分用に作成したもの。
全てが正しいわけではありません、参考程度にお考えください。

     ソケット  A   B   Fil(V)  L    R    Mut Cond.  
6WC5   D    2   10  6.3   28   17     750      Amp
            1   10  6.3   28   17     750      OSC
6ZDH3A C    2   10  6.3   42    0    1000     (実際は500あれば充分使える) 
            9    3  6.3   0     0               Diode
6ZP1   C    8    5  6.3   61   19     
ここでAとBは電極接続の切替スイッチ。 Lは感度調整、Rはバイアス設定用。
GMを測定する時はLを60の目盛りにあわせること。
普通の設定数値の場合は良 不可の区別に使用する。

MX-949Aは新ラジオ資料館の昭和33年のジャンク屋さんの広告をご覧ください。

梅田さんの温故知新に取り扱い方の資料があります。(2015年9月3日追記)
I-177の回路図

昔 真空管販売店で、使われていたという「真空管試験用ラジオ」の外観図。
これは器用なラジオ屋さんなら自作できるので、使われたようです。
ただ相当エミ減の球でも動作します、エミッションチェッカーよりはましでしょう。

デリカ 1001型真空管試験器

長年欲しいと思っていたデリカの真空管試験器を寄贈いただきました。
有難うございます、感謝。
この測定器は上記の177と良く似ているのですが、
どこか違うかぜひ確認したかったのです。

定価などは昭和32年 三田無線の広告をご覧ください。


デリカ1001の内部写真。

真空管試験器 TV-7D

真空管試験器としては最もポピュラーなもの、中々の優れもの。
十数年前、アメリカのジャンク屋さんから完動品と要修理品を輸入した。
米軍の放出で手ごろの値段で購入できるのが素晴らしい。
勿論 要修理品も修理してしまった(写真のもの)。
製作時期により、TV-7 TV-7A TV-7B TV-7D等がある、段々改良されている。
特にTV-7は初期バージョンなので、校正が多少不便だが、試験器として使うには全然問題は無い。

詳細はTV-7Dを参照ください。

原理的にはI-177と同じです。
グリッドに5V(BとCレンジ、なおI-177は4.7V)を加え、
プレートには165Vを83で整流した(脈流の)150Vが加わっている。
グリッド電圧は測定レンジで変わり、Dレンジは2.5V、Eレンジは0.5V。
なお6AK5など電圧増幅管を測定する時、TEST(GM)ボタンを長く押すとグリッドが赤熱して、球を駄目にする事がある、テストは短時間で。
ヒィラメントなど全ての電極をロータリーSWで自由に設定できるので、データーシートに載ってない真空管も簡単に試験できる。
7個のSW(H、H、P、G1、G2、G3、K)の設定が必要なので、I-177より手数はかかる。
GMは単なる数字として出てくる、これも使い易さへの配慮か。
米国の真空管屋さんから中古球を買うと数値が書いてある事があり、TVー7で試験した事を示す。
なおこのデーターシートの数値はGMが新品の60%程度が記載されている、但し球により、多少上下あり。
メーター目盛りの最大値は120です。
この数値はBレンジでは3000μモー、Cレンジでは6000μモー、Dレンジでは15000μモーに相当します。
したがってBレンジでは読み取った数値を25倍、Cレンジでは50倍すればμモーに換算できます。
なおこの数値はレンジと併記して意味があるので、GMで表した方が無難かもしれない。
I-177のメーターが1.4mAだったのに、これは200μAです、断線し易いようです、大事に使いましょう。
自分はテスターと同じように、シリコンダイオード2本を利用したメーター保護回路を愛用しています。
方法についてはTV-7Dをご覧ください。
なお保護ダイオードを入れるとトランスが焼けるなどと書いたブログがありますが、間違いです。
なおソケットは消耗品と考えた方がよさそうで、mT用は何度か交換した。
使い方等の注意は修理メモ6を参照ください。

TV-7で出来ることは
1)GMチェックとエミッションチェック
2)電極ショートテスト
3)ガステスト
4)ノイズテスト
5)ラジオ用パイロットランプの点灯試験

なおTVー7 TVー2については修理時のトラブルが発生しています。
修理の大御所と思い込んでいた方が意外と基本原理も理解していないとは。
下記ページをご覧いただき ご注意ください。
http://www.ne.jp/asahi/uchio/tokyo/sokuteiki/tubetester/TV-7D.htm#20140121

http://radiokobo.sakura.ne.jp/G/sokuteiki/tubetester/TV-2-Rep.html

真空管試験器 TV-7Dのデジタル表示化

デジタル表示化の詳細についてはこちらをご覧ください。


真空管試験器 TV-10

現用の真空管試験器 TV-10です。
これは原理的にはTV-7Dと同じですが、ST管や7ピンmT管等はヒーター回路の切替SWの操作は原則として不要です。
またGMが直読出来ます。
I-177とTV-7の良いところをとったような試験器。
多少大きいのが玉に傷。
友人が壊れたTV-10を2台買って、修理を依頼され、修理代替わりにいただいた残り1台を修復、校正して使っているもの。
中央下側のロールチャートが不動なのが、惜しいが。

メーター上の自作小型シャーシは双3極管テスト用のアダプターです(このシャーシ側面のスナップSWの操作で、3極管の2つのユニットの試験が簡単に出来ます。P1 G1とP2 G2をSWで切替)。
双3極管の試験を数多くやる時はSWの切替えが意外と面倒ですが、これを使うと楽です。
TV-10の右側はYHPのブリッジ。
TV-10の左側にぶら下がっている赤いものはmT管のピン矯正器。

先日mT管のソケットが接触不良になったので交換した。
この写真はTV-10の内部です。
右側に83と5Y3GTが見えます。
巻き紙は規格表です、このTV-10はこの巻き紙がうまく動作しません。
7ピンのmT管ソケットはトランスの下になります。


GM測定の回路図(GM測定原理説明図)もご覧ください。


双3極管のテスト用のアダプター

12AX7や6SN7などの双3極管のテスト用のアダプター。
TV-7やTV-10で共用して使える。
側面のスナップスイッチで切り替える。
沢山の双3極管を試験するときは威力を発揮する。


真空管ソケットの交換(2019年3月29日)

mT管のソケットは良く使いますので、ある意味 消耗品みたいに交換が必要になります。
ただ取り付け寸法が同じだけでなく 真空管を簡単に挿入できるか考えておくことが必要です。
前回修理した時 ソケットの選択を間違えました、ラジオ用としては立派でも、
壁に立てかけて使う方法では 不便を感じていました。
今回は故障を機会にこれも交換します。

ソケットはいろいろなものがありますので 使いやすいものを選ばれると良いでしょう。



今回交換したときの画像(このmT7ピン ソケットのほうが使いやすい)



ソケットはトランスの上の隙間に組み込まれているので 配線は意外と嫌らしい。





TV-10のソケットへの配線はTV-7と全く違います。
これは測定を便利にするように多くの真空管でヒーター配線を操作しなくて良いようになっているためです。
ST管の場合 全てヒーターは”JR”設定で変える必要は有りません。

配線図の一部を示すと下記のようになります。


今回はmT管の試験が出来なくなったので、その部分が悪いと見当をつけました。
ソケット間でピン番号ごとに導通を測定することで判断したのです。
ピン番号間で下記の関係があります、この間で導通が無いと駄目です。
今回は③ピンが駄目でした、配線しなおして回復しました。

mT9ピン  mT7ピン   オクタルソケット 

①       ③       ②
②       ②       ①
③       ①       ③
④       なし      ④
⑤       ⑤       ⑤
⑥       ⑥       ⑥
⑦       ⑦       ⑧
⑧       ④       ⑦
⑨       なし      なし


真空管試験器 TV-2

米軍用の真空管試験器、小型の送信管まで試験できる。
1ドル240~300円の時代にアメリカから個人輸入した。
メーターが6個ついた豪華版。
原理はTV-7とほぼ同じだが、グリッドに加える信号電圧が小さく設計されていて、より正確に測定できる。
また各電極の電圧も可変(TV-7は一定)で、メーターをみながら実際の電圧に設定できる。
(メーターはヒラメント電圧、グリッド電圧、プレート電圧、スクリーン電圧、グリッド信号電圧、GM(100%目盛り)用の6個)
申し分無いようだが、実際の操作は設定項目が多すぎて、手間が大変。
またGMが直読出来ず、正規のGMに比べ、試験球は標準に比べ何%かを指示する仕掛けになっている。
GMを直読するには工夫が必要(換算数値がアメリカの真空管試験器のサイトにある)。
同じ真空管を多数試験するには良いが、多品種の試験をするラジオ修理用にはTV-7が楽だ。
なおこの測定器の最大の弱点は電流値が読めない事。

余談
カタログで見るとこの真空管試験器は非常に魅力的ですが、操作が煩雑です。
実用目的に購入する場合 TV-7を薦めます。
自分も実際は使いきれない、持っているだけで満足する測定器。

国洋製 真空管試験器 VG-4

ユーザー用として最高級の真空管試験器。
銘板が無いので、詳細不明だが、VG-4型の一つらしい。
ユーザー側の受入試験用で、ソケットや部品から見て、恐らく、真空管試験器としては最新で最後の物と思われる。
中の回路は半導体で構成されていて、すぐ立ち上がる。
TV-2は脈流を電極に加えるので、電圧しか読めなかったが、これは完全な直流電源を持っていて、電流まで読み取れる仕掛けになっている。
一般に真空管の試験は電圧より、電流を規定した方が正確に測れると言われており、その意味でも理にかなっている。
使われているメーターは0.5級の高級品。
6BD6の試験中、規格表と同じ条件で試験できるので便利。
ただ設定に時間がかかるので、ラジオの修理用としては取り扱いが煩雑。
本機は以前 奥山様より寄贈頂いたもの、感謝。



国洋製 真空管試験器 (型名不明  JI-177Cの兄弟機種?)

この項に関しては資料不足で 推定で記載しています、正確性は保証できません ご注意ください。

昔 購入してあった国洋の真空管試験器です、一部半導体化されています、コンパクトにまとめられています。
6BM8 1本と定電圧放電管5651が2本使われている、他はトランジスター。
型名は不明で、自衛隊用と思われると書いていたら教えていただきました。
国洋での型名はVG-4型で自衛隊ではJI-177Cとよばれているらしい。
但しVG-4の後の文字は不明、上の試験器の兄弟?。
なお良く似た形の真空管試験器があり、手持ちもあるはずなので捜していますが行方不明です。
(どうも行方不明のほうがJI-177Cらしい)

操作方法が変わっていて、どちらかと言うと米軍のI-177に似ているとも思われる。
真空管の 良 否 中間が表示される方式、セレクターがおまじないのような数字表示だけの切替方式など。
なぜこのような方式にしたのか理解できません。
自衛隊で無いとしたらどこのユーザーか?。

メインの回転セレクターは左から真空管の脚の番号に相当するらしい。
但しST管の場合 特殊ソケットが使われているので換算が必要。
UZの場合 123 567が 123456に相当すると思われる(推定)。
Utの場合はそのままなど。
mT管の場合はそのまま。
この機種は数値が表示されるが この数値がP G K・・を意味します、チャートが無いと操作が難しい。
Ji-177CはP G Kと表示される(なぜこんな暗号方式にしたのかは不明 チャートが無いと使えないのが目的?)。
民生用に転用出来ないように作られたと考えると自衛隊用と思うと自然だが。

何故銘板が無いかの理由は破棄した時に銘板を外した可能性が大です。
この種の真空管試験器のユーザーは自衛隊、電電公社 NHK 国鉄 電力会社 警察 国際電電などで、大量の真空管試験器が使われていました。
メーカー型名と納入先型名の2本立ての可能性が大きいです。
したがって官公庁かそれに順ずる部署から破棄されるわけですから、銘板は取り外されるはずです。
ラジオ商で使われたものは三和やデリカや米軍放出品、あるいは自作品が多いでしょう。
この測定器はチャートが無い場合でも真空管規格表(例えばGEの簡易な規格表)があれば、実用的に使える点がTV-7より優れている、
さらにグリッドには適正な電圧しか加わらないので、真空管に無理がかからない、惜しむらくは寸法が大きい事か。

行くへ不明のJI-117Cが見つかれば もう少し状況は判明すると思います(2023年2月13日)。


ST管はユニバーサルタイプのソケット。
mT7ピンと9ピン、subMT、オクタル、ロクタルのソケットがついている。
プレート電圧は6種、G2の電圧は連続可変。
TV-7に比べ、相当真面目に試験できる仕掛けです。

なおこの測定器を実用的に使った経験はありませんが、
スイッチ類を正規の値にセットした後、真空管を挿したほうが無難でしょう


唯一残っている銘板、機器銘板は取り外されている。





なお注意事項として 通電中に真空管をさして 切替スイッチを回してはいけません(TV-7と違う禁止事項です)。

この試験器はメーター指示で 良否を判断する仕組みです、但しGMも当然測定できます。
校正ボタンを押し 指示計の振れを校正点(赤線)に合わせてから 測定ボタンを押し 再度 指示計調整器により
赤線に合わせた時の ダイアル目盛りで gmの測定ができます。
換算値は
Aレンジ   gm=gmダイアルの読みX10μ℧
Bレンジ   gm=gmダイアルの読みX50μ℧
Cレンジ   gm=gmダイアルの読みX250μ℧

(この項 2023年2月6日追記)


内部構造



現状判明しているところは下記のとおり。
故障しているらしく 正常に動作しない。
ただ複雑すぎて追いかけられない。

おそらく自衛隊で使われていた物ではと思われます、官庁が処分する時 破壊して破棄する仕組みが有ったらしい。
どこか部品か配線が 壊されている可能性が高い。

この測定器を使ってみようと試験中ですが、構造が複雑で降参状態です(2017年9月10日)。
なお 上記試験器はJI-177Cではありません。

スイッチは左から真空管ソケットの1番ピン 2番ピン 3番ピン 4番ピン・・・のごとく配置されています。
但し ST管の場合 特殊ソケットを使っていてピン番号の換算が必要です。
7ピンの場合そのまま 6ピンの場合4を飛ばして 123 567(それぞれ456として)が使われる

窓に出てくる赤い数値は電極を表し、
0:無接続
1:ヒラメント F+
2:ヒラメント F-
3:カソード K
4:第一グリッドG1
5:プレート P
6:第2グリッド G2
7:第3グリッド G3
8:G1カットオフ

メーターは真空管のGMを直接表示するのではなくて、良否を表示する仕掛けです。
GMは換算して求める仕掛けになっています。

プレート電圧の切替は数字表示になっているが

1:90V程度と想像してるが 現物は135V
2:180Vと想像しているが現物は205V
3:250Vと想像するが現物は300V程度ある
4:どうもG2の電圧と連動している?。
5:整流管用
6:検波管用

定電圧放電管5651が2本使われている、双方とも87V程度なので 機能しているようだ。
問題は真空管の6BM8で おそらくバイアスとG2電圧の安定化をしているのではと想像しているが場所が悪く確認できない。



JI-177Cの操作面(上記の画像とほぼ同じですが別物です)

どうも上記写真はJI-177Cでは無いらしい。
左図のようにほんの少し違うようだ。

大きな特徴はPとかG2とかの表示があること。
行方不明のものは恐らくこちらでしょう。

測定原理

詳細は不明ですが、下記はこの機種の一つ前の型番 JI-177Bの測定原理図です。
西尾さん著の電子管測定より、詳細回路図はJI-177Bをご覧ください。
恐らくこの1部分を半導体化したものがJI-177Cと思われるが不明。



横河電機 JI-177B(民生用型名VTV-112)


アンプ修理工房の田中さん提供の画像です。

JI-177Bは防衛庁向けの型名です。
真空管の電極接続はパッチボード(リード線で接続)で行います。
TV-7などに比べ測定方法は理想的だが、操作は多少面倒でしょう。

下記回路図は西尾さん著の電子管測定より。


国洋電機 VG-16 ELECTRIC TUBE TESTER


松木さん提供の写真。

テストチャートに昭和44年11月第4版 250部とあるのでその頃の製品らしい。


下記機種が共通に使える。
VG-16 
VG-14A 
WT-009

WT型番は電電公社納入用と思われる。

三和無測1001型 真空管試験器


昭和25年製の測定器。
雑誌では良く見かけるが、現物ははじめて見た。
立派な木箱に入れられていて、想像以上に測定器らしい作りで吃驚。
下記の回路図は間違いがあるので要注意。


動作試験をしてみたら、AC電圧調整の表示が狂っていた。
他に スナップスイッチ(トグルスイッチ)の不良が3個ほどある。
交換すれば 動作するようになるが、全く同じ形のスイッチは入手できないので、
交換するのは悩ましい。
現在実用的に使えるかと言えば疑問があるので、現状のままとすることにした。




この回路図は現物と少し違うようだ。
PLが2.5Vになっているところを見ると、戦前の製品の回路図かもしれない。





現在判明している違い。
①現物のACライン電圧は1次側から取り出しているが、この測定器では別巻線(約6V)位の部分から取り出している。
②PLは5V端子から取り出している。
③スイッチ3・4で切り替えるカソードとフィラメントの接続部分に誤植がある(赤丸)。

米国 ヒコック製 Hickok 752 真空管試験器


二十数年前 ハムフェアーで購入した物です。
その後TV-7を入手したので、殆ど使用していません。
定電圧放電管の試験も出来た記憶があります。

真空管測定器の例(現物の手持ちなし)



VG4型(電電公社WT-001型)回路図 

日本製の高級タイプの回路図です(電子管測定より)。

上記より少し新しいもの(1960年頃)の真空管試験器(電子応用測定器より)
これらはメーカーの型番以外に納入先(電電公社 NHK 警察 防衛庁など)ごとに別の名称がつけられている事があります。

国洋VG-4F 国洋VG-4G 国洋VG-6D


武田 明さん提供の波H03号gm試験器の写真。
波は電波管理局を意味するのかも?。

ツマミの形状からするとVG4Gか?。
時期的にも一致するので、その可能性は高い。
この機種は本格的に試験が出来るので素晴らしいのだが、
設定が複雑で、ラジオ球の試験をするには勿体無い。
実験室で精密に測定する場合に向いている。


昭和35年11月の文字。

富士測定器 1010 富士測定器 VGM-6 横河電機 VTV-112

ラジオ雑誌などで良く見かけた測定器
ラジオアマチュアーやラジオ商が良く使ったと思われる真空管試験器です。
アマチュアーが購入した測定器はエミッション測定型が多いようです。
この形はメーカー作成の真空管試験表(テストチャート)が無いと使用に不便です。
中古品を購入してもチャートが無いと宝の持ち腐れになる可能性があります。
エミッション(簡易)型はあれば面白いが、実用的には問題があると考えた方が良いでしょう。

型名 外観 備考
三和無線測器
SGM-17
新ラジオ資料館に回路図あり、
画像をクリックしてください。
昭和31年発行の電波技術増刊号より。
これはGM試験器です。
三和無線測器
SGM-19
新ラジオ資料館に回路図あり.
村西さんの提供です。

昭和31年発行の電波技術増刊号より。
これはGM試験器です
三和無線測器
SEM-20
新ラジオ資料館に回路図あり、
画像をクリックしてください。
昭和31年発行の電波技術増刊号より。
エミッション測定器。
三和無線測器
SEM-14
新ラジオ資料館に回路図あり、
画像をクリックしてください。
昭和31年発行の電波技術増刊号より。
エミッション測定器で簡易型。


倉島さんのホームページに解説が有ります。
詳細ですから,参考になるでしょう。
(リンクは2010年11月13日追記)
三和産業
無測1001型
真空管試験器
新ラジオ資料館に回路図あり、
画像をクリックしてください。
電波科学増刊号(1949年)より。

エミッション測定器で簡易型。
三和産業
1004ラジオマスター
新ラジオ資料館に回路図あり、
画像をクリックしてください。
電波科学増刊号(1949年)より。
エミッション測定器で簡易型。
国洋  VE3 新ラジオ資料館に回路図あり。
電波科学増刊号(1949年)より。
エミッション測定器で簡易型。

昭和初期の真空管試験器

真空管ラジオの故障修理に便利な試験器の一つとして、セットアナライザー またはセットテスターなどの名称で試験器が売られていました。
昭和15年の無線と実験に掲載された日本電気計器の広告をご覧ください。

昭和8年の無線と実験に真空管試験器の作り方の記事があります。
回路図を掲載してあります、ご覧ください。


真空管試験器の自作記事

その他の話題

真空管試験器四方山話 

経験者(JE1SWO 大内さん)の思い出話を寄稿いただきました。
自分は所詮アマチュアーに過ぎませんが、大内さんは実際の仕事に使った方です、非常に参考になると思います。

NECニュース掲載の真空管試験器(実用的で簡単な試験器)

具体的な作り方は梅田さんの「ラジオ温故知新」にあり、上記からリンクされています。

参考図書
  
ラジオの歴史、
スーパーの原理など
ラジオの基本を
詳細に説明。
ラジオの修理方法を
詳細に説明
書名
お奨めの理由 読み物としても楽しいです。
初心者向き。
復刻版は未確認ですが、
原本は誤植が多かったです。
真空管の歴史が判ります。 ラジオ修理に役立ちます。
戦後生まれの真空管が主。
真空管の歴史がわかります。
お奨めします。
真空管ラジオ愛好者にお奨め。

2006年7月2日より



2003年8月14日 更新  測定器の項目が重くなりましたので、真空管試験器の部分を独立させました。更に昭和初期の試験器のデータ-を追加しました。
2004年1月2日 自衛隊用と思われる国洋の試験器を追加。記載事項の一部修正。
2004年1月19日
2004年3月22日 TV-7Dを別ページとして独立させた。
2004年11月1日 TV-10の回路図を追加。
2005年9月18~27日 参考回路図などを追加。
2005年10月7~8日 VG-4G VG-4Fなどの資料追加。
2005年10月18日 真空管試験器四方山話を追加。
2005年11月6日 三和産業 1001 1004型を追加。
2006年9月22日JI-177Cの操作面のイラストを追加。
2006年11月28日amazonのリンクを追加。
2007年8月18日:8340
国洋電機のVG-16と三和産業1001型を追加。
1960
2008年8月19日:15,167 VG4の写真を交換した。
2009年11月16日:22,426 波H03H03号の写真を追加、国洋VE3の回路図へのリンクを追加、その他の一部記載内容追加。
2009年12月11日:22,979 TV-7Dの修理を追加、Hickok 752の写真を追加。
2010年4月25日:25,399 JI-177Bの回路図と画像を追加。
2014年1月30日:44,235 VG4 TVー10などの画像を大きくした
2014年2月1日:真空管試験器の選び方を追加。
2014年2月6日:44,370 三和SGMー17と19にGM試験器の表示を追加。
2014年2月8日:44,419  NECペアーチューブと真空管の規格の幅の資料を追加。
2014年2月9日:44,533 JA4FHBさんの測定例を追加。
2014年3月15日:45,079 三田無線の1001型の回路図を追加。
2014年3月20日:45,156 国洋の試験器の操作盤面の画像を大きくした。
2016年6月22日:53,061
2019年3月29日:60,336 TV-10の修理を追加。
2023年2月6日:66,577 国洋製 真空管試験器 (型名不明)のGMの測定法を追記
2023年2月13日:66,663  JI-177C兄弟機種? 追記事項を加筆。

選び方

選び方

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