4章 5球スーパー製作のための使用部品

4-1 真空管

真空管ラジオを作るわけですから当然必要です。
お好みに合わせどのような真空管を使うか決めます。
代表的な組み合わせは下記のとおりですが、ここに記載した真空管に限る必要は全くありません。
ST管  6W-C5 6D6 6Z−DH3A 42 80BK 
GT管  6SA7GT 6SK7GT 6SQ7GT 6F6GT 5Y3GT
mT管  6BE6 6BA6 6AV6 6AR5 5MーK9 
     12BE6 12BA6 12AV6 30A5 35W4
ソケットや配線を変更するだけで、代わりに使用できる真空管は無数にあります。
真空管の名前を表に記載しましたがこれ以外にも沢山あります。
日本で馴染みの無い真空管は意外と安価です、宝探しの楽しみもあります、真空管規格表などで捜してみてください。
なおGT管と互換性のあるメタル管やG管(ダルマ)は表への記載を省略しています。
この他ロクタル管でもほぼ同じ規格の真空管があります、球自体は比較的安価がですが、ソケットが高価なところが難点です。

周波数変換 中間周波増幅 検波+低周波増幅 電力増幅 整流 マジックアイ
トランス式 6W-C5
6SA7-GT
6SA7
6BE6
5750(6BE6)
6D6
6SK7-GT
6BD6
6BA6
5749(6BA6)
78
6U7-G
6Z-DH3A
6SQ7-GT
6AV6
6AT6
42
41
6Z-P1
6F6-GT
6K6-GT
6G6-G
6V6-GT
6AR5
6AQ5
6005(6AQ5)
6AK6
6M-P17
6M-P18
6M-P20
12F
12FK
80BK
80HK
12K
80
80K
5Y3-GT
6X5-GT
1V
6CA4
5R−K16
5M−K9
6X4
5Z4-GT
5G−K3
5V4−G
6106(5Y3傍熱)
6E5
6U5/6G5

6Z−E1
6E5M
6M−E5
6DA5
6R−E13
トランスレス 12SA7-GT
12SA7
12BE6
12SK7G-T
12SG7-GT
12BA6
12BD6
12SQ7-GT
12AV6
12AT6
35L6-GT
30A5
35EH5
35C5
35M-P14
35B5
50C5
35Z5-GT
35W4
25M-K15
19A3
50DC4
6M−E10
12Z−E8
電池管 1R5
1R5SF


1AB6
1T4
1T4SF
1L4
1U4

1AJ4
1S5
1S5SF
1U5
1AH5
3S4
1S4
3Q4
3V4
3S4SF
3Y4
1H3
1N3
1A6
1C6
1D7G
34
1D5G
1H6G 1F4
1F5G
33





メーカー製ラジオをみると日本ではST GTの混在使用、アメリカではmT GT メタル管等の混在使用のものがあります。
真空管の規格も大きさや形は違いますが、規格では良く似た物が沢山あります。
手持ちの真空管や入手しやすい真空管を選んでスーパーを組み立てると良いでしょう。
真空管の種類は無数にあるように思えますが、ラジオに使われているものは、ST GT mTと形が違っても電気的規格は似たような物が多いです。
これはラジオ生産の継続性と真空管の発達経過を考えると当然のことです、相互に影響しあいながら発展してきました。
まずナス管(S管)が作られ、ほぼ同じ規格でだるま型のST管が作られました。
次にメタル管(MT管)が作られます、例えば42のメタル管は6F6です、当時メタル管は理想の真空管とまで言われたのですが生産設備が大変でした。
従来の真空管メーカでは6F6-G(だるま型のガラス管でオクタルベース)を開発して対抗しました。
その後更に改良し6F6-GTと発展しました。
民生用にはGT管の方が人気があったようで、メタル管開発元のGEまでGT管を作るようになりました。
mT管を製造する時もGT管からの移行を考えて開発されたので、形や大きさは違いますが、電気的規格は良く似た物になりました。
詳細ないきさつは誠文堂新光社発行の「真空管70年のあゆみ」をご覧ください。
mT管時代になって、6F6‐GTはほぼ同じ規格だがヒーター消費電力の少ない6AR5へ代わります。
なお厳密には6AR5は42と良く似た特性の41の発展型です(41→6K6-GT→6AR5)。
6Z−P1は日本独自規格の球ですが、元々はトランスレス用の12Z−P1が元祖で、ヒータ電圧を6.3Vにしたものです。
更に12Z−P1の開発時にさかのぼると、アメリカの6G6−Gをお手本にした可能性が高いです。
6G6−Gはヒーター6.3V 0.15Aで、その他は6Z−P1の規格と良く似ています。
当時 日本の真空管材料では同じヒーター電力ではエミッションを出すことが困難で、ヒーター電力を増加させたようです。
入手し難い6Z−P1もソケットさへ交換すれば6G6−Gが使えます。


6Z−P1は日本独自の真空管で、非常に普及した球ですが、日本でしか作られていなかったので現在では高価です。
アメリカ製の6G6Gはオクタルベースですが、電気的規格や外形がほぼ同じです、代わりに利用すると良いでしょう。
mT管では6AK6が相当します。
6AK6は日本では神戸工業が生産しましたが、東芝が作らなかったので、無名に近い存在です。
アメリカでは6AK6や6G6Gは大量に作られたようで、比較的安価に購入できます。


1Vは元々自動車ラジオの整流管として作られたものです。
その為6.3Vヒーターで、カソードとは絶縁されています。
直流出力最大45mAなので80BKより、12Fに近い規格の整流管です。
B電流が少なくなるように設計すると5球スーパーの整流管として役立ちます。

6W−C5 6D6 6Z−DH3A 6G6G 1Vの構成が適当でしょう。
なお1Vは戦前のマツダのカタログに記載されています、
日本で販売されたことがあるようですが現物を見たことはありません。

注意)
12Fや80BKなどを使ったラジオの場合、遊びの3番ピンは中継端子に利用されていることが多いです。
この為12Fや80BKの変わりに1Vを間違って挿すと危険です。

現在 真空管の値段は需要と供給の関係で決まっています、名前が知られていない4桁ナンバーの高信頼管(例えば5750)の方が、普通の球(6BE6)より安いという逆転現象もあります。
販売店でも値段がまちまちです、上手に選んでください。

4-2 真空管用シールドケース

6D6など高周波増幅用の真空管は必ずシールドケースを使ってください。
使わないとプレートとトップグリッド間の静電容量で帰還が発生し、結果的に発振します。
シールドケースも上部シールドと外部のシールドケース間に隙間が出来ないような物を選んでください。
肩の部分に隙間があると、プレートとグリッド間の容量が増加して、発振しやすくなります。
困った場合 肩の部分をアルミ箔で隙間を埋めると良いでしょう。
新品の入手は困難で、ジャンクラジオから抜き出した中古品を購入することになります。
本体と取り付け金具の寸法はメーカーにより微妙に違います、必ず組になったものを選んでください。
もう一つの注意事項は6D6や6C6は製造時期によって背の高さが異なります。
元々はアメリカ製と同じだったのですが、昭和20年代前半 日本で背の低いものを製造するようになりました。
このため、背の低い6D6用のシールドケースに、アメリカ製などの背の高い6D6を使うと、ケースが浮き上がって使用できないことがあります。
また この逆もあります、この場合は下側を切り詰めると解決できます。
代用品を作るには、戦時中普及した統1号シールドケース(キャップ型)を参考にすると良いでしょう。
肩の部分がぴったりの金属ケースが利用できます、半田付けが必要なので、
アルミの場合は鳩目を使って その部分に半田付けします。
外観は評価が分かれるでしょうが、、シールドケースとしての効果は充分です。



   


コラム

中間周波増幅用(6D6や58)ST管の構造

 

ST管でも内部シールド付があります、このシールドはG2(スクリーングリッド)に接続されています。
昭和10年頃の無線と実験を読むと真空管の記号で、プレートをG2が取り囲むように書いてあります。
まさにこの構造を示しているのです。






mT管は真空管のガラス内部に円筒状のシールド、それをはさんで上下の円板状シールド、
さらにステム部分にもシールド板が組み込まれています。
このため外部に発振防止用にシールドケースを使わなくても大丈夫です。
注意することはソケットのセンターピンを必ずアースすることです。
ステム部分のシールド板とこのセンターピンの働きでプレート グリッド間の結合を減少させています。

なお6AV6など低周波増幅管にシールドケースを使っていることがありますが、
この球はプレートがむき出しなので、ハムなどの誘導防止用です。




  


 

 

  



GT管やメタル管の場合 原則1ピンをアースします。
このピンにメタル管の金属部分が接続されているからです。
GT管の6SK7−GTなど金属の袴をはいたGT球もシールドは1ピンに接続されています。



4−3 5球スーパーコイル

高周波増幅無しのコイルを通常このように呼びます。
アンテナ(側)コイルと発振コイルで組になっています。
最大容量430PFの標準型バリコンに適合するように、アンテナ側コイルは210μH、発振コイルは105〜110μH程度です。
発振コイルに直列に入れるパディングコンデンサーはメーカー製のラジオでは固定コンデンサー、自作の場合は半固定の所謂パディングコンデンサーを使います。


トリオの5球スーパーコイ


スターの5球スーパーコイル


サンヨー製の5球スーパーコイル。
セットメーカーも部品を販売していました。

1)ループアンテナ

5球スーパーコイルのアンテナコイルに相当する部品です、名前のごとくアンテナの機能も兼ねています。
アンテナリードが不要であり簡単にラジオが動かせるので、最初は携帯型ラジオ用に使われました。

ループアンテナ @ループアンテナは電波のうち磁力線に感じるアンテナで、指向性があります。
これだけでアンテナと、同調コイルの働きをします。
Aアンテナとしての実効高は非常に低くcmのオーダーです。
しかし同調するとQ倍の電圧が取り出せます。
バリコンのQはコイルより格段に高いので、取り出せる電圧はコイルのQで左右されます。
例えば同調回路のQ(≒コイルのQ)を100とし 実行高3cm 電界強度10mV/mとすると
30mV(=0.03m×10mV/m×100)がループアンテナから取り出せる。
B日本では電池管ポータブルラジオに多用されました、アメリカ製ラジオではAC電源のラジオにも散見されます。
金属に近づけるとQが急激に落ちる欠点があります。
C外部アンテナを接続する時は数回コイルを巻いて、ここから外部アンテナに接続します。
Dトラッキング調整はコイルの巻き数を増減させて行います、実際やると非常に不便です。
バー・アンテナ


@ループアンテナが空芯だったのに対し、磁気コアの棒にコイルを巻いたもので、
同じような特徴があります、金属に近づくとQが落ちる欠点は多少軽減されています。
AQは高く、300くらいな物もあります。
B日本でも電池管ポータブルラジオに使われ、ループに代わって昭和27年頃から使われるようになりました。
そのままトランジスターラジオに引き継がれました、現在のラジオでも使われています。
C外部アンテナを接続する時は数回コイルを巻いて、ここから外部アンテナに接続します。
D同調コイルの位置を移動させることでインダクタンスを増減でき、トラッキング調整に非常に便利です。

2)現在入手できる5球スーパーコイル

@ミズホ通信の復刻版5球スーパーコイル

秋葉原でも販売されているので入手は容易です、組み合わせるバリコンは最大容量430PFの標準の物です。
バリコンは中古品を利用すると良いでしょう。



Aアサヒ通信の5球スーパーコイル
最大容量340PFのバリコン用です。
紙ボビンに巻いてあり、見かけは安っぽい感じがします、値段も安価です。
mT管5球スーパーの製作の項に記載したので参照ください。



Bアメリカや日本で購入できるコイル 補修交換用コイル



補修交換用のユニバーサル型と称するものです。
磁気コア入りでインダクタンスが可変できるので便利。
このコイルは規格の記載がありません。
現物を測定してみると、アンテナコイルは200〜370μH、発振コイルは130から260μHでした。
数値は1個だけの測定です、インダクタンスの値にばらつきがあるかもしれません。
どちらかと言うと比較的小容量のバリコン用で、340PFのバリコンには充分使用できます。
430PFのバリコンと組み合わせるのは避けた方が良いでしょう。
発振コイルには2次巻き線があり電池管に使えます。
6BE6等にも利用できると思われますが未確認です。



3)5球スーパー・コイルの自作やトランジスター用を真空管ラジオ用に改造する方法

@アンテナコイルや発振コイルは自分で巻く事が出来ます、比較的簡単です。
材料も販売されています。
具体例は5章のmT管トランスレス5球スーパー受信機の製作で詳細説明します。



Aバーアンテナの利用

TRラジオ用のバーアンテナを利用することも出来ます。
指向性があり方向を変えることで混信を防ぐ効果もあります。
ナショナルの真空管ラジオでキャビネットの中に組み込まれたバーアンテナが外部から回転操作出来るものがありました。
この発展型がBCLラジオ クーガ2200などに使われているジャイロアンテナです。

これはトランジスターラジオ用バーアンテナです。
最大容量340PFのバリコンと組み合わせて利用されたものです。
ベースコイルを解き、同調コイルだけにすることで使用できます。
トラッキング調整はコイルの位置を動かすだけで簡単に出来ます。
上記のバーアンテナを真空管用に改造したものです。
コイルの位置によりインダクタンスが200μH〜300μHに可変でき、340PF用に最適です。
最大容量430PFのバリコンに使用する場合、巻数を更に減少させた方が効果的です。

外部アンテナ用に数回リンクコイルを巻いてあります。
ベース巻線を解きこの線を利用すると便利です。

BOSCコイル

具体例は5章のmT管トランスレス5球スーパー受信機の製作で詳細説明します。

4−4 パディング・コンデンサー

半固定タイプの物はアマチュアーや町のラジオ屋さんの自作品に多く、メーカー製のスーパーでは固定コンデンサーを使うことが殆どです。
裏側のネジをシャーシの穴に通し、ナットで固定する仕掛けですが、ネジの部分はシャーシと絶縁するように組み込んでください。


写真上段
半固定式のパディングコンデンサーの容量は最大600PF程度です。
実際の使用時にはおおよそ430PF程度です。
中古品を使用する時は、容量を事前に測定しておいた方が良いでしょう。
電極を数枚束ねた構造で、半田付けにも注意しましょう。
半田付け不良で不可思議な現象が発生し悩まされることがあります。




写真 下段に示すスチロール・コンデンサーは東芝のかなりやシリーズに使われていた物で、稀に容量抜けがあります。
マイカコンデンサーにも容量抜けがあります。
円筒状のチタコンではショートしていることもあります。
これらを再利用するときは、容量を確認してから使った方が安心です。

パディングコンデンサーの代用
固定タイプ
温度係数0のセラミックコンデンサーを2〜3個組み合わせて、希望数値を作り、これを利用する方法が安心です。

半固定タイプ
60PF程度のセラミックトリマを固定コンデンサー(合計400PF)とパラに接続して利用ください。


多少乱暴ですが、最大容量430PFのバリコンと組み合わせる場合、
220PFのコンデンサー2個を並列に接続して440PFのコンデンサーとして利用します。
これで充分実用的に使えます。
(温度係数0のコンデンサーを使用)


4−5 バリコン


写真のバリコンには「トリマ」がついていますが、
2バンド以上のラジオの場合 コイル側にそれぞれトリマをつけます。
したがって オールウエーブ用のバリコンにはトリマがありません。
容量は最大430PF 等容量です。
しかし、真空管用でも親子バリコンや等容量のバリコンでも最大容量が340程度のものが有ります。
コイルとバリコンは組み合わせを確認して購入します。

なお昭和26年までに作られたバリコンは最大容量や容量変化曲線がメーカーごとに異なることがあります。
当時はバリコン コイル ダイアルの3点は同じ規格グループに参加した会社の物を使うのが常識でした。
昭和27年4月に統一規格が決められました。
したがって戦前から民間放送が開始された時代の部品を流用する時、規格が多少異なると覚えて置いてください。
動作しないことはありませんが、ダイアルの目盛りが合わなかったり、最高感度に調整できないことがありえます。

最近入手できる物はトリマ無しが結構多いので、外付けのトリマ(max15PF程度)を必ず準備してください。
軸の太さは日本製の場合 殆どは6mmφですが、最近アメリカ製などのインチサイズの物が出回っています、
ほんの少しですが太いので、日本製のツマミが使えないことがあります。


真空管ラジオ時代の日本製バリコンのネジは旧JISネジです、ISOネジは使えませんので、ご注意ください。
写真に示すような昔のACプラグに使われているネジを利用すると最適です。


バリコン取り扱い上の注意
羽根に無闇に触らないように注意しましょう。
羽根が変形して接触していることがあります、これは羽根を丹念に修正すると修理できます。
羽根の間を明るい方向に向け、透かしてみると接触した部分が容易に判明します。
ST管スーパーに使われている日本製のバリコンは最大容量430PFの物が圧倒的に多いです。
羽根に接点復活剤やCRCなどの化学製品を噴射しないようにしましょう。
誘電率が空気より高く、容量が変わり使えなくなります。

高周波増幅付スーパー用3連バリコン



写真左はスーパー用3連バリコン、写真右は高周波増幅2段用3連バリコンです。
高2用バリコンはセクション間の仕切り板が上まで伸びて、結合をい防止するように作られています。
高2(高1)用はスーパーに使えますが、逆は結合で発振することがあります。







参考例

トリオの高周波増幅つきスーパー用コイル。
このように独立した形でもコイルは売られていました。
ただオールバンドにする場合 配置や配線が複雑になるので、コイルパックを利用する方が無難です。


なお真空管ラジオの製造終末期には最大容量340PF程度のバリコンがあります。
これはFMとMWの2バンドになり、それぞれが独立した回路なので、バンド切替スイッチや配線などによる浮遊容量が小く、
最大容量が小さくても535〜1605KHzをカバーできる為です。
FM付バリコンを利用する時は念のため容量を確認したほうが良いでしょう。
最大340PFのリコンでも配置を工夫して、配線などの浮遊容量を少なくすれば充分使えます。
535〜1605の受信範囲だと周波数は3倍になり、バリコンの可変範囲は9倍必要になる計算です。
逆算して配線の浮遊容量を含めた容量は35PF程度に抑えてください。

ポリバリコンにも最大容量340PFのものがあります、これも当然真空管ラジオに使えます。
こちらの方が入手は容易かも知れません。
ただMW SWの2バンドスーパーのごとく浮遊容量が大きくなる物に使うと受信範囲が狭くなるでしょう。

最大容量340PFのバリコンの例(FM用も組み込まれている)。




340PFのポリバリコンはマルチバンドのトランジスターラジオで使われています。
現在でも生産されているようで、中国製 新品が秋葉原で販売されています。
エアーバリコンより、こちらの方が入手しやすいでしょう。
最近の製品は基板組み込み用なので取り付け方に工夫が必要な場合があります。


4−6 中間周波トランス


中間周波トランスは455KHzなど特定の周波数を、選択度が良く、しかもある帯域幅で増幅するために使われます、この為2個のコイルを組み合わせた複同調回路になっています。
1段増幅の場合2個のIFTが、2段増幅の場合3個のIFTを使います。
2個のコイルはそれぞれ中間周波数の455KHzに共振するように作られています、コイル相互の間隔は用途に応じて最適な値に設計されています。
IF増幅段の利得は共振インピーダンスと真空管のgmの積に比例します、このためコイルのインダクタンスを多くすると大きな増幅度が得られますが、
コンデンサーの値が小さくなり、真空管の入力容量の変化で同調が狂ってきます。
入力容量はAVC電圧でも変化するので、同調容量は大きい方が安定です。
この為 感度と安定度のバランスで決められています。
この為電池管用を6BA6などに使用すると増幅度が上がりすぎて 不安定になり、逆に6BA6用のものを1T4に使うと感度の悪い受信機になります。
高級品のIFTはリッツ線で、3分割してコイルを巻くなど工夫されています、一方普及品のIFTは単線を使い分割されていなコイルで出来ています。
最高級の受信機を作るわけではありませんので、入手できたIFTをうまく料理して ラジオを組み立てることに腕のみせどころがあります。
現在新品のIFTの入手は困難ですから中古品を使うことが多いです、これらの素性は当時の広告から調べることが出来ます。
IFTには用途により、通信型受信機用に選択度を重視したもの、Hi Fiラジオ用に通過帯域を可変にしたもの、電池管ポータブル用に増幅度重視のものなど、特殊なものもあります。
通過帯域を可変にしたものなどは調整に測定器とそれなりのノウハウが必要です、経験を積んでから挑戦した方が良いでしょう。
一方現在入手できる中古品は劣化している物が数%くらいあるようです、その多くはコンデンサーの不良で交換するとIFTは回復することが多いです。
昭和20年代前半のラジオに使われた463KHzのIFTも、455KHzに再調整して使用しても実用的に問題ありません。
検波用のIFTは2極管が負荷になりますので、コイルの実効Qが落ちます。
Qが低くなると同じ間隔では結合度が疎になるので、コイルとコイルの間隔を増幅段の物に比べ少し狭くしてあります。
このように外観は同じようでも違いますので、1組のIFTはそれぞれ決められた方法で使用してください。

また同調周波数の調整をトリマコンデンサーでするか、コアの移動で行うかにより、C同調 ミュー(μ)同調の2種類があります、
ラジオメーカーのIFTは殆どがミュー同調で、部品として売られたいたIFTもミュー同調が多いです。
C同調のIFTはアマチュアーの自作ラジオに使われ、周波数の調整範囲も広いので、稀にとんでもない周波数に同調していることがあります。
中古品を再利用する時は注意してください。




   

1)現在販売されているIFTとその内部構造

左側 ラジオ少年製 RB-2型
右側 中国製 633型(475KHz)

中の構造が違い、中国製は側面から調整するように作られている。

  

 

2)中古品で入手できる可能性の高いIFTの紹介

スターやトリオで大量に販売していましたので、現在でも中古品を入手することは可能です。
型名から IFTの素性を確認して購入すべきです。
でも不明の場合、乱暴な区分けですが外形の大きな物はST管用、比較的小型のものはmT管用と区分けすると良いでしょう。
ST管用はグリッドへのリード線がつけられるように上部に穴が開けられているのも目安になります。




ラジオからの取り外し品 トリオのT-25型 トリオ
T-30

コラム

*IFTの周波数は戦前は175KHz 戦後すぐは463KHz 昭和25年ころから455KHzが多いです。
特に戦前は日本ではスーパーの生産も少なく、中間周波数は製造メーカーでまちまちでした。
例えば昭和11年頃のテレビアンM−60では225KHzを採用しています。
昭和16年頃463KHzを推奨するようになり、昭和26年に455KHzに変更になりました。
写真はナショナルの高周波増幅付スーパーのIFT内部写真で、木製の丸棒にコイルが巻かれています。
周波数の調整方法はC同調で、実測で225KHzでした、オリジナルの数値は不明です。

   

    


*昭和25年ころ 「高い利得が得られるIFTが良い」と各社競作した時代があるようで、
これらのIFTにたまたまめぐり合うと発振しやすくて、手に負えなくなることがあります。
コイル専業メーカーのものにはこの傾向があるようです。
セットメーカー製のラジオから抜き出したIFTは安定度を重視したものが多いと感じます。

*アルミケースの汚れを落とそうと分解すると、内部のコイルには型名が書いてないので、どちらがA(前段)かB(後段 検波段)か混乱することがあります。
Bのほうがコイルの間隔がAに比べ ほんの少し狭いので切り分けることが出来ます。
これは検波段のIFTは2極管検波の為、コイルのQが落ちるので、結合度を少し蜜にしてある為です。

*HiFi用のIFTでは広帯域や可変帯域のものがあります、この調整にはゼネスコープなどの測定器(IFの帯域をブラウン管に映し出す)が必要です。
TRIO T−8型可変帯域普及型IFTを分解してみると写真のようになっています。



前段の1次側コイルの下にリンクコイルが巻いてあり、このコイルは2次側と接続されていて、
結合度を変えることにより通過帯域を変える仕掛けです。
同調容量は150PF N100(温度係数−100)のチタコンが使われています。


4−7 VR(音量調整用ボリューム)

音量調整用のVRは500KΩ A型を使います。
9R-59などの受信機に使われているカソードバイアスを変えて感度調整用VRはC型が使われます。
音質調整用にはAまたはB型が使われます。



スイッチ付の場合、最近は単極単投の単純なオン オフの物しか入手できません。
昔のスイッチには単極双投、3点接続、双極単投などがありました。
特に3点接続の物は見かけが単極双投と同じなので、修理する時は注意しましょう。







電源スイッチに使われるタイプ
切替SWでPUとラジオの切替に多用される。
配線図で見ると大丈夫に思えるが、実際はPU使用時ラジオが混入する事が多い。
PUとラジオの切替に多用されたもので、外観は単投双極タイプと同じ3端子なので注意が必要。
回路が複雑になるが、PU使用時ラジオの混入が無く、良いのだが入手不能。
電池管ポータブルなどでA電池とB電池のON OFFが出来るので便利。
単極単投だとA電池しかON OFFできない、Bは通電したままとなる。
上手く見つかれば、3点接続にも使える。

1)不良VRの修理や交換のアイデア

分解して写真に示すスライダー部分を横に少しずらすと回復することがあります。
これはスライダーで擦れて抵抗体が磨耗した時に効果があります。




しかし真空管ラジオ時代のVRは修理しても再発の可能性が高いです、出来れば新しい物に交換することをお勧めします。
古いラジオの修復で、軸の形、長さが異なると交換できず困ることがあります。
このような時は古いVRの軸を切断し、新しいVRに接続する方法が実用的です。
接続には内径6mm 肉厚0.5mmのアルミパイプを使用します。
切断した軸にこのパイプを被せ、エポキシ接着剤で固定すれば出来上がりです。


既製の延長軸もありますが、長さの調整ができません。




4−8 スピーカー

1)フィールド型(電磁型 励磁型)ダイナミックスピーカー。

現在使われているスピーカーの御先祖です。
最近では永久磁石を使ったスピーカーしか見かけませんが、当時はフィールド型ダイナミックスピーカー、パーマネント・ダイナミックスピーカーと区別していました。
マグネチックスピーカーより、大きな音が出せ、かつ低音が出るので高級ラジオに使われました。
フィールドコイルに直流を流し、センターポールを電磁石にします。
大型のものは専用電源を持ったものもありますが、ラジオ用ではB電源の平滑用チョークコイルの代わりに使う例が殆どです。
この為電源トランスのB巻線は、フィールドコイルでの電圧降下を見込んで80〜100V高くしてあります。
小型のものはフィールドコイルの巻線抵抗は2500オーム程度で、電流は30〜40mA流します。
5球スーパーに使われている6.5インチや7インチの物は1500オームのものが多いです。
スピーカーの口径や出力が大きくなると巻線が太くなり抵抗も低く、1500オームや1000オームのものがあります。
より強力に励磁するため、電流は60〜130mAと大きくなります。
小型のものは日本では昭和20年代後半、電磁石に代わり永久磁石を使ったパーマネントスピーカーに移行します。
マニアの間では人気があるのですが、壊れると代わりを見つけるのに苦労します。

普通のスピーカーで そのまま代用する時はフィールドコイルの電圧降下分を抵抗で補う必要があります。
消費電力が大きいので、大型の抵抗(流す電流に耐えられるもの)を準備してください、発熱にも要注意。

ダイナミックスピーカーはマグネチックスピーカーと違い、ボイスコイルの巻数は少なく、インピーダンスが数Ω〜数十Ωです。
出力管の負荷として直接接続するのは難しいので殆どの場合 出力トランスでインピーダンス変換をして使います。







2)パーマネント・ダイナミックスピーカー

電磁石の代わりに永久磁石を使ったもので、当時はパーマネント・ダイナミックスピーカーとして区別して呼んでいました。
セットメーカー製ラジオで沢山使われるようになったのは昭和25年頃からです、それまでは励磁型の物が多いです。
最初は16cm口径程度でしたが、段々大口径の物も生産されるようになりました。
ボイスコイルは最近では8Ωの物が多いです、しかし古いものは1.6Ωとか3.2Ωなど半端なものが有ります。
出力トランスが断線して交換する時、同じ数値の物は入手出来ないことが多いです。
現在入手できる出力トランスの2次側インピーダンスは4Ωか8Ωです。
ボイスコイルのインピーダンスが1.6Ωの場合、出力トランスの4Ω端子に接続した場合、1次側のインピーダンスは表示値の半分以下になります。
インピーダンスの比は巻線比の二乗ですから、トランスの巻線比を考慮した上、応用ください。
永久磁石型のダイナミックスピーカーでは例外的にインピーダンスが数百ΩのOTL(出力トランスレス)用のスピーカーがあります。

古い真空管ラジオ用に組み込まれているスピーカーは80%以上再利用可能です。
ただ出力トランスは断線していることが多いです。
当時の製造技術が劣悪だったのか、ST管ラジオに付属の出力トランスは半数は断線しています。

4−9 出力トランス


ダイナミックスピーカーはその構造上 ボイスコイルの巻数には制限があります。
ST管時代の物は1.6Ω 3.2Ωなどのものもありますが、4Ωや8Ω 16Ωが代表的な値です。
これでは出力管の負荷にマッチングしませんので、トランスを使ってインピーダンス整合をします。
出力トランスは写真のようなユニバーサルタイプの物が現在でも売られています。
HI Fiアンプに使う場合は超高級品の出力トランスが販売されていますが、ラジオ用の場合、
1,000円程度で売られている物を使います。
出力のW数で大体の大きさが決められています。
写真の物は42や6AR5クラスに使われる物です。
大は小を兼ねますが、小さなトランスを大出力で使うのは駄目です。

トランスのインピーダンス比は巻数比の二乗です。
したがって5Kと7Kの間は2KΩだなどと計算してはいけません、大きな間違いです。
厳密なことを無視すれば、ボイスコイル1.6Ωを0Ωー4Ωの端子に接続すれば7000Ω端子では2800Ω、
12,000Ωでは4800Ωになります。
真空管の負荷インピーダンスはアバウトですから、実験して満足できる音質なら良しとする方法もあります。

シングル用の出力トランスでは直流磁化を防止するため、コアにギャップをあけてあります。
分解し 元に戻す時は気をつけてください。
なおプッシュプル用の出力トランスは、直流磁化の影響が殆ど無いので、ギャップはありません。





製造当時もよく断線していたらしく、写真のような「替コイル」が販売されていました。
現在ではこのコイルは入手できませんので、出力トランスごと取り替える必要があります。
mT管トランスレスラジオでは断線している確率は比較的低いです。


購入される参考に販売されている東栄トランスの仕様をカタログから転載します。
実際購入される時は同社に再度確認ください。












4−10 電源トランス

AC100Vを真空管の動作に必要な電圧に変換する働きをします。
現在でも製造されていますので、入手は容易です。
ラジオから取り外した中古のトランスも使えることが多いです、メガー等で絶縁試験をして使用すると更に安全です。
また断線したトランスのコイルを巻きなおしてくれる会社もあります。
普通は最初に一次巻き線を巻き、次にヒーター用を巻きます。
その外側が整流管用のヒーターやB巻線です。
こうするとヒーター回路は普通アースされますから、一次側と二次側を遮蔽する役割も働きます。




トランスの例をカタログから紹介します。

昭和30年頃販売されていた山水のトランス、現在では新品は販売されていません。
トランスで有名なので、現在でも中古品として入手できることが多いです。


4−11 電解コンデンサー (ケミコン)

真空管スーパーでは主にB電源やカソードバイアス回路に使われます。
使用できる耐圧が表示されていますので、多少余裕をみて利用してください。
特に直熱整流管と傍熱電力増幅管の組み合わせの場合、直熱管は立ち上がりが早いので、電力増幅管が動作するまでの間、無負荷に近い電圧がケミコンに加わります。
整流管のAC入力の1.5倍以上耐電圧があるケミコンを選んでください。
傍熱管の場合も最低で1.2倍くらいの耐電圧は見込んでください。

耐電圧が不足する時は同じ容量で、同じ耐電圧の物を2個直列に接続します。
容量は半分になりますが、耐電圧はほぼ2倍になります。
ケミコンは容量や漏洩電流にばらつきがありますので、それぞれに抵抗を並列に接続し、ブリーダー電流を流してそれぞれのケミコンに加わる電圧を平均化させてください。
0.5mAか1mA程度流すと良いでしょう。
ケミコンの容量は誤差が許されていて、電圧の偏りが発生しやすいので、耐電圧は安全を見込んで使うように注意ください。
厳密には 直列接続の注意点など メーカーのホームページで公表されているのでご覧ください。
ケミコンの容量が不足の場合、並列に接続します、容量は単純に合計値になります、耐電圧は変わりません。


ブロック・コンデンサー
日本製のブロック型ケミコンは真空管時代に作られた物が殆どです。
新品でも製造後時間が経過していますので、ケミコンテスターで再化成して使うことをお勧めします。


現在では中国製の新品も購入できますが、ブロックコンデンサーにこだわる必要はありません。
単体のコンデンサーを複数ラグ板に組み込んで利用した方が良いでしょう。

使用上の注意
整流管や出力管など高熱になるものの近くに配置されやすいです。
直接暖められないように配置を考慮した方が安全です。
また高熱になる平滑用の抵抗をケミコンの端子に直接半田付けするのも避けた方が無難です。

現在入手できるケミコン

真空管ラジオの全盛期、容量100μF以上のケミコンは高価でとても使えませんでした。
逆に最近では20とか40μF程度の適度な容量の物が少ないようです。
上手く選択すると比較的安価に入手できます。


ブロック型ケミコンの爆発

スーパーに使われている中古のケミコンは半数くらい使える物があります。
しかし そのまま使うと爆発する危険な物もあります、よく確認して再利用ください。
ケミコン不良の原因は容量減少と絶縁不良です、後者が特に危険です。
@外形の膨らんだ物、これは通電すると爆発の恐れあります。 
A防爆弁や絶縁ゴムから電解液が漏れている物
これらは電気的な試験をする前に不合格です、使わない方が無難です。

端子ではなくて、リード線タイプのブロックケミコンは殆どが不良です。
電解液の乾燥が原因で容量抜けが多いようです。

(オリジナル画像は640X480
24-DSC00215

頭が膨らんだ物は 爆発の危険があります。
爆発の方向では大怪我をします、ご注意ください。


時期は明確ではありませんが
昭和30年代と思われる頃から防爆(or安全)弁が組み込まれるようになりました。
この部分から内容物が噴出した物は使用しない方が無難です。

外観に異常がなければ絶縁試験です、最初から規定電圧を加えるのではなく、
50 100 150・・・規定電圧の120%と順次電圧を加えて行き、漏洩電流がそれぞれ1mA以下になればほぼ使えると思ってよいでしょう(1mA以下になれば絶対安全と保証するわけではありません)。
順次電圧を加えることで、ケミコンの電極が再化成され、コンデンサーとしての機能が回復することが多いです。
これで容量が残っているかどうかの試験は出来ませんが、経験を積めば、漏洩電流の減少傾向でおおよその良否が判定できるようになります。
容量の測定が必要な場合、容量計で測定することになります。
組み込んでハムが多ければ交換する方法も良いでしょう。
ケミコンの再化成と試験には9章記載のケミコンテスターが便利です。

4−12 抵抗やコンデンサー

コンデンサーや抵抗はラジオの回路では縁の下の力持ち的重要な働きをしていますが、
幸いなことに現在でも一番入手しやすい部品なので、簡単に説明するにとどめます。

この部分に秋葉原の部品屋さんの抵抗コンデンサー売り場の写真を追加

抵抗とコンデンサー各1枚 合計2枚


コンデンサーで1000PF〜0.1μFの容量の物はフイルムコンデンサーやセラミックコンデンサーを使います。
50V耐圧の物は容易に、かつ比較的安価で入手できますので、上手に利用すると良いでしょう。
プレート回路など高い耐電圧を必要とする部分ではフイルムコンデンサーが入手しやすいです。
ラジオ受信機クラスでは安いもので充分です。

昔のチューブラ型のペーパ・コンデンサーやオイル・コンデンサーの未使用品が偶々入手できることもありますが、
絶縁が落ちている物が多いです、できるだけ避けた方が安全です。
特に出力管と前段のカップリング・コンデンサーは絶縁抵抗が50MΩでも悪影響があります。
この部分だけでもフイルムかセラミックにした方が安全です。

出力トランスにパラに入れるコンデンサーは思わぬ高電圧が加わります。
少なくとも耐圧AC250V以上のものを使いましょう。
昔のラジオではここに試験電圧DC1000Vのペーパーコンデンサーを使いましたが、時々パンクしていました。

AC入力回路に接続されるコンデンサーは安全規格マーク付の製品を使いましょう。



数百PF以下のコンデンサーはセラミックかマイカ・コンデンサーを使います。
50V耐圧の物は入手が容易ですが、500V耐圧の物は捜す必要があるでしょう。
容量は最近ではE6系列とかE12とかで生産されています、昔の回路図上の数値と多少違っても殆どの場合 問題ありません。
同調回路の場合だけは注意が必要です。

この画像は上記のお店の写真と入れ替える


4−13 真空管ソケット

ST管用のものは新品の入手は困難です、取り外し品を利用するのが現実的です。
ラジオから取り外したら洗剤で洗ってよく乾燥させ使ってください。
UX(4本足) UY(5) UZ(6) Ut(7) ここでtが小文字なのは、別にUTがあるからです。

mT管用の7ピン 9ピンソケット、GT用のUSソケットは新品を購入した方が良いでしょう。
モールドタイプとウエハータイプがあり、前者の方が信頼性は高いようです。
高周波(中間周波も)用はセンターピンがあるものが必要です、ここを必ずアースして使います。
GT管用のソケットはリレーにも使われているので、入手は容易です。



mT管ラジオでは普通シールドケースは不要です。
ただ6AV6など低周波増幅段でハムを拾わないようにシールドしたものを見かけます。
どうしても必要な時は
金属の板を円筒状にして、真空管に巻きつけビニール線でアースすれば良いでしょう。




mT管のソケットには端子間をシールドする為のセンターピンがあります。
稀に整流管や電力増幅管用に このセンターピンを省略した物があります。
購入する時や組み立てる時は確認した方が無難です。

製品により 寸法に微妙な違いがあります。
写真のAF用はミズホの復刻版5球スーパーシャーシに組み込めませんでした。








4−14 ダイアル

真空管ラジオの全盛期には百花繚乱のごとく沢山のダイアルが販売されていました。
現在ではバーニアダイアルしか市販されていないようです。

バーニアダイアル


バーニア目盛りがついた微動ダイアルです。
名前のとおり、バーニア目盛り(副尺)がついたもので1000分の1まで読み取れました。
昔の無線機や測定器に良く使われていました。
小型の物は副尺がありませんがこれもバーニアダイアルと呼んでいます。


中古品のダイアルメカの例

アマチュアーがラジオを組み立てる時によく利用したダイアルメカの一例です。

昭和20年代後半頃販売されていたダイアルの例