1986年 秋 富士山登頂
 9月21日から23日まで3連休が取れたので、憧れの日本最高領(3778m)に挑戦することにした。この山は夏のシーズン中に登ると、子供から年寄りまですごい人数が登るので、山を閉じてからのこの頃が空いていて最高である。ただしバスなどの足が少なくなってしまい不便なため、今回私はマイカーを利用していった。それから経費節減のため、高速道路を使わず一般国道を走り、宿泊も車の中に泊まり山そのものはディパック1つという日帰りスタイルで済ませた。
 
9月22日 晴れ
 昨日は12時間という車の運転で、車から降りてもまだ揺れている感じが残りとても疲れた。買ってきた日本酒やウイスキーを飲んで寝たのは10時半頃だったとおもう。
 6時半起床。車の中は寝心地が悪く又風が強くて車が揺れ、何回も目が覚めたが、毛布を使ったら案外暖かかったのでのんびり寝ていた。パンと牛乳を食べて出発。登山道の入り口までが長く15分くらいかかる。
 いつもそうだが登り始めは調子が悪い。登り口の標高は2250mと高いが呼吸には影響がない。しかし30分も歩くうち調子が戻ってきておそいグループ3組を追い抜き、あっけない位に標高3250mまで来てしまった。富士山はピークが1つしかなく、登り口から頂上が見えるので、ニセピークに悩まされることがない。
 しかしやはり後半は、空気が薄く息が荒くなりペースが落ちる。また突風もすごく、ビューッと吹くと小石まで飛んできて伏せるしかない。帰ったら髪の毛からぼろぼろと砂が出てきた。頂上へ着いても風は弱まらず、寒いのでセーターとウインドブレーカーを着込んでカロリーメイトを食べる。本当はコーヒーも飲みたかったのだ、この風ではコンロに火が着きそうになくあきらめた。
 お鉢巡り(火口の周りを回ること)をしようとしたが、道が見付からず火口の中にまっすぐおりていく。なんと岩につららがさがっていた。ひとつ折って口に含んで辺りを見回すと、9月とはいえ山はすっかり冬の景色である。お鉢の中は風がなくお日様も照っていて、ぽかぽかと暖かく何だか眠くなってくる。
 少し歩くと富士気象台が見えてきた。剣ヶ峰まで行き日本最高領を味わう。港と海も見え、見晴らしは最高である。しかしここは風が強いので閉じた小屋の前でコーヒーを沸かしてカロリーメイトを食べる。時間も速いので岩の上でゆっくりと昼寝をする。何といっても人が居ないのが良い。
 13時半に日本最高領を後に出発。富士山は登りと下りの道が別で、下りは直線的な緩い道で、下地が砂なので走って降りても足を傷めない。下りの苦手な私にとっては、とても好都合だった。走るように降りて2時間で5合目までこれた。5合目で少しお土産屋を覗き、車の前でどっかりと腰を降ろしラーメンを啜った。
 帰路は、国道20号の曲がりくねった道が厭で、中央高速を八王子まで使った。後は一般国道を眠くなるまで走る。夜なのでスムーズに走れた。どこかのドライブインの駐車場で寝て、朝10時ごろに三春に着いた