作詞・作曲 高橋 敏郎
お元気ですか?父上様,母上様,ご無沙汰しております。…で始まる堰堤修虫のたよりという物語がある。いわゆる,故郷に錦を飾る的な出世物語である。
おさむしは,昭和30年3月18日,岩手県は和賀郡東和町田瀬,堰堤幸治・あやこの長男としてこの世に生をうけた。ダムの水没者代表で,戦前から堰堤技師でもあった祖父の修治に,おさむしはかわいがられ「世のため人のため精神」の影響を受け,すくすく伸び伸びと育った。
やがて,ふるさと田瀬を去る時が来る。海外派遣の命を受け,希望に胸を膨らませ世界を飛び回る。しかし,世界の壁を感じ,初めて,立ち直れない程の挫折感を味わう。
そんな中,祖父危篤の知らせが入り,ふるさと田瀬に帰ることに祖父の葬儀が済み,虚しくふるさとを去ろうとしたおさむしであったが,田瀬湖の風景に,希望に満ちたあの頃の自分を見ることになる。田瀬湖をとりまく線の自然,きらきら輝く水面,祖父のふるさとでもあり,自分のルーツでもある田瀬湖,忘れかけていた大志「世のため,人のための精神」が蘇ると同時に祖父の激励の声が……
その後,おさむしは数度の挫折はあるものの世界の星となり,新堰堤技術に貢献する。