最終更新日:2004年04月01日

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加害の実行者として

高橋 政義


 

 私はかつて天皇の軍隊の一員として、中国に対する侵略戦争の忠実な手先として幾多の罪行を犯した加害者であります。

  私は自らの行為を深く反省しこのような過ちを二度と繰り返さないことを固く誓い、またつぎの世代の若者にも私のような過ちを二度と繰り返させてはならないと強く願うものであります。

 そして私の前半生の教訓として、子どものころの教育は、その個人の人生の明暗に大きく作用するばかりでなく、人間が人間を殺し合うような非道を「『国』のため」ということで平然と実行してはばからない人間を作り出すものであることを、いまさらのごとく痛感しているものであります。

 私は今般「新しい歴史教科書をつくる会」(西尾幹二会長)が提唱している中学校の教科書には強い憤りを感じています。

 中国の農民に、「高橋二等兵、肝試しだ」という中隊長の面前で、私は下腹に力を入れ、「構え」「突け」の命令とともに、心臓めがけて銃剣を突き刺しました。重い銃を持った手にグニャッとした感触が伝わるや、それからつき離れるように「ヤアッ」と気合いを入れて銃剣を引き抜きました。

 「拷問にかけろ」。隊長と情報係軍曹とともに、私は中国の農民をハシゴに仰向けにして手足を縛り付け、上から口元に水をかけ、農民が水を避けようともがくのを、今度は顔一面に濡れ手拭いをかぶせ、その上から水をかけます。農民は体をよじり胸を激しく上下させて、顔をそむけようとしますが、鼻と口の所へ手拭がへばりつき、ペコペコしています。そこへまた水をかけるのです。

 これらは私が中国で行った罪行の一部ですが紛れも無い歴史的事実であります。
 しかるに彼ら「つくる会」は「中国に洗脳された者の宣伝」として、日本軍の非人道的な歴史的事実を教科書から無謀にも抹殺し侵略戦争を美化しようとしているのです。

 彼ら「つくる会」の連中は、「わしが人情を寄せる相手は基本的には日本人です。だからハルモニ慰安婦とかに情が沸かないんです。共感できる範囲は日本人までが限度です」という。なんという独りよがりな考えでしょう、他国と複雑に連動する国内経済、流入する多数の外国人、人類規模で考える平和共存、人と自然地球規模で考える環境問題、そうした今日、人の痛みの分からない人間は世界から爪弾きにされるでしょう。

 また彼らは「究極の公共心というものは、やはり国の為に、祖国の為に死ぬという覚悟だ」と述べています。かくして君が代・日の丸を強制し、教育勅語を持ち出し、加えて今度はアメリカのために進んで死ぬ若者をつくろうとしています。彼らの作り上げた「国家と歴史」によって日本の若者が誤った道に進みその犠牲になることは絶対に許せません。

 日本人の本当の誇りとは、平和憲法の先駆的役割を世界に広め世界平和に貢献すること、また、世界で初めての被爆国民として、核兵器廃絶の世界の運動に大きく貢献することではないでしょうか。

(たかはし まさよし 中国帰還者連絡会会員)
1922年、北海道生まれ。元59師団44大隊兵長

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