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アメリカ・カナダの入国を拒否されて
篠塚良雄
私は、元日本軍七三一部隊の隊員でした。一六歳で少年兵として七三一部隊に入隊し、中国のハルビンに行きました。
今回、私が、アメリカ・カナダ「証言の旅、アジアのホロコーストを問う」の一行に加わりました。
私は、六月二五日午後九時三五分、シカゴの国際空港に到着しました。しかし、私は、入国審査の手続きで入国を拒否され、他の四人の日本人同行者とともに、待機室に入れられました。
係官は、入国拒否の理由について、「ワシントンの命令だから、入国は認められない」と繰り返すばかりで、具体的なことは何も言いませんでした。
なおも私と同行した人々が入国拒否の理由を聞こうとすると、係官は「聞いて貰えないなら、他の手段をとる」と言い、私の逮捕や他の日本人同行者の国外退去を示唆しました。
私は、シカゴの弁護士の名前を伝えて電話して呼び出してくれるように何度も要求しました。しかし、係官は、「入国カードに署名しているから弁護士を頼むことを放棄している」などと述べて、結局、最後まで弁護士に連絡することを拒否しました。
一二時すぎ頃、係官は、私一人を無理矢理、部屋から連行し、日本行きの飛行機に乗せました。そうして私は、日本時間午後六時三〇分頃、成田に到着しました。
今回、私が、アメリカ・カナダ「証言の旅、アジアのホロコーストを問う」に参加した目的は、私が犯した七三一部隊としての戦争犯罪を告白して謝罪し、日本軍の残虐な本質を世界に伝えるためでした。
このような日本の侵略戦争の犯罪の明らかにする証言活動に対して、アメリカ政府が入国を禁止したことについては、私は今でも全く納得できません。
しかも、アメリカ政府は、七三一部隊の責任者の石井四郎などの戦争犯罪人を戦後の戦争裁判で免責して、七三一部隊の戦争犯罪を日本政府とともに隠蔽しました。
私は、中国の戦犯管理所に長年拘留されました。一九五六年に釈放され、日本に戻りました。私は、日本に帰国して以来、中国帰還者連絡会の一員として、私の七三一部隊員としても戦争犯罪を自ら告白して謝罪する活動を行ってきました。
今回、アメリカやカナダで、私の証言活動を通じて、日本の元七三一部隊の極悪非道な犯罪行為を暴露することができなくなったことを大変残念に思います。今回のアメリカ政府の入国禁止措置は、入国禁止制度の目的とは逆に、日本の戦争責任を明らかにすることを妨害し、世界の平和の実現にも障害となるものだと思います。
私は、アメリカとカナダでの「証言の会」が成功することを祈るとともに、今も告白と謝罪の証言のために、アメリカに入国できることを希望していることを表明します。
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