2017-04-11: 初回授業連絡事項を更新しました。
マイノリティ論演習 [Minority Studies]
「手話という視点」演習
土永孝[Takashi TSUCHINAGA](大学院メディア・コミュニケーション研究院)
土永孝[Takashi TSUCHINAGA](大学院メディア・コミュニケーション研究院)
2017
1学期
2
1〜2
国際広報メディア専攻
手話、ろう文化、聴覚障害、難聴、ろう、中途失聴、障害学、社会モデル、人工内耳、マイノリティ
誤解されないようにまず断っておくが、これは手話言語学の授業ではないし、手話そのものを教える授業でもない。手話という視点を通してわれわれの生きている社会を捉え直すための授業である。
手話・ろう・難聴と聞いて、自分には関係のないことだと思ったり、ボランティアの話かと早合点する人は多いだろう。しかし、この問題圏をのぞいてみるならば、みなさんが生きているこの世界の諸問題と通底するものが見えてくるはずだ。マイノリティをめぐる問題ももちろんそこにある。とくに、行政・教育・医療などの各方面で仕事をしている人/しようと思っている人にとっては、実は知らないではすまされない問題、自分の専門分野の視点からだけではなかなか理解できない問題がそこにある。この演習では、手話という視点を通して、聞こえない人々を取り巻く諸制度、教育、多言語社会、多文化、「障害」の医学モデルと社会・文化モデル、生命倫理などをめぐる問題を考え、議論する。
手話が言語であるということの意味と、手話・ろう・難聴をめぐるさまざまな問題を考えることを通して、自分が当然視している価値観を相対化し、批判的に見るという体験をすること。
第1週は、授業の目的、進め方についての詳しい説明と、第2週以降の授業への導入を行う。
第2週からは、報告と議論によって授業を進める。過去に講義形式で行った授業の講義録をもとにして資料を作成し、電子媒体の形で毎週公開して閲覧可能にするので、指名された報告者だけでなく、他の受講者も全員事前にその資料を読んだ上で授業に臨むことが求められる。資料の目次は以下のとおり。
1. 手話についての誤解
2. 手話が言語であるということの意味
3. 聞こえないということの意味
4. 「障害」の個人モデルから社会モデルへ
5. 聞こえない子どもたちはどのように教育されてきたか
6. 小児人工内耳手術をめぐる問題
受講者の関心に合わせて上記の内容を多少変更することもある。
授業の前に電子媒体での配付資料を熟読して、論ずべき点、問題点について考えておくなどの準備は不可欠である。
本演習では、ネットを利用して授業外の時間でも質疑等ができるようにするので、準備学習や授業後の継続議論に活用してほしい。
毎週授業アンケートを行う予定。
平常点(報告と議論への貢献度)によって評価する。参加人数が多数の場合は数回レポートを課す場合もあるが、それは初回授業時点で決定する。
使用せず。
亀井伸孝/手話の世界を訪ねよう
ろう文化 / 現代思想編集部編, ISBN:479175803X
聾教育の脱構築 / 金澤貴之編, ISBN:4750314560
手話でいこう / 秋山なみ、亀井伸孝, ISBN:4623042545
手話の社会学 / 金澤貴之 : 生活書院, 2013, ISBN:9784865000122
たったひとりのクレオール:聴覚障害児教育における言語論と障害認識 / 上農正剛, ISBN:4939015556
これ以外にも、多数の参考文献を紹介する。
連絡や質問のメールはtuti@imc.hokudai.ac.jpへ(半角英字に直して使ってください)
授業で使う資料を掲載したり、アンケートを行うためにELMS portalを使います。
欠席は事前、あるいは事後にメール、欠席届、口頭いずれかの手段で連絡してください。
初回授業後すぐに、学生番号と氏名、それにELMSのユーザIDを書いたメールを送信していただきます。その情報をもとに、ELMS portalの本授業のグループに登録し、moodleが利用できるようにします。初回授業を欠席したが受講を希望する人は、できるだけ早く、私宛に学生番号、氏名、ELMSのユーザID、用件を書いたメールを送信してください。