月波通信


Vol.11 フランス旅行記2003<後編>

七日目(10/1) 雨のち晴れ

今日は、みっちゃんと、郊外の街、シャルトルへ。ちょっと遠出。
行く途中、乗った地下鉄の隣の車両から、煙がもくもく出ていた。
みんな、ホームに降りて、待つ。
見ると、床下から煙が出ていて、駅員さんが消化器をシューッと吹きかけている。
そして15分後、何事もなかったかのようにその電車は動き出した。
日本だったら、パニックになりそうだし、
その電車は車両点検でしばらく動かないと思うのだけれど…。
帰りの特急でも、自分達の乗った車両だけ、電気が消えた。夜なのに〜。
「よくある事」らしい。のんびりしているというか…。
日本だと、電車が遅れると「遅いな〜」とイライラしてしまうけれど、
フランスだと、その国民性に合わせて、私ものんびりしてしまうなあ。


国鉄の広告。


モンパルナスから特急で約1時間、シャルトルの街へ。
特急への乗り継ぎも悪く、移動に手間取ったおかげで、
それまで降っていた雨も上がっていた。
シャルトルは、大聖堂を中心とした、小さく落ち着いた街。
中世の雰囲気を残す、ヨーロッパの田舎といった風情。
初日に行ったサンジェルマン・アン・レーもそうだけれど、
パリに行くなら、一度は、こぢんまりとした郊外の街を訊ねてみるのもおすすめです。

ノートルダム大聖堂の2本の尖塔は、街のあちこちから眺める事ができます。
ステンドグラスが美しい。

かわいい建物、街中を流れる川、街のまわりに広がる麦畑…。
毎日都会のパリを歩きまわっていたので、このこぢんまりとした風景が、
とても新鮮で落ち着きます。

「ピカシェットの家」へ。思ったより遠かった!ふう。
「ピカシェット」とは、ものをもらい集める人、の事。
イジドールさんという人が、割れた食器や花瓶のカケラを椅子に貼り付けたところ、
とてもきれいになったので、その後の生涯22年かけて、家じゅうをモザイクで
埋めつくしたというもの。今では歴史的記念物に指定されています。
もう、圧巻!!ミシンにまでタイルが貼られているんだから。
ここまでひとつの事に夢中になった、イジドールさんの人生に、思わず感動を覚えました。

おなかぺこぺこ。大聖堂の近くのビストロで、遅いランチ。
そのあとも、ぶらぶらしたりお店を見たりそのへんに座ってのんびりしたりと、
今日はなんだか休日気分でした。遠出したからかな。


古本屋のワゴンで、1冊1ユーロ(130円)で売られていたもの。
思わずジャケ買い!

八日目(10/2) 晴れ

ポンピドゥ−センターの、国立近代美術館へ。
近代、現代美術。ミロ、マチス、モジリアニ…。刺激的。


外のチューブはエスカレーター


ポンピドゥーの上からの眺め

マレ地区を散歩。
「ETOILE MANQUANT」というカフェの、テラス席でお茶。
だいぶ疲れがたまってきたようで、すごーくのんびりだらだらする。

ピカソ美術館(には今回行かなかった。次回は必ず!)の裏の
「L'APPAREMMENT CAFE」でみっちゃんと待ち合わせ。
ここは、ネットで勧められていた店。
店内は、リビング風や書斎風などにわかれ、うす暗く、くつろげます。
奥のソファ席で、中年のカップルが、ず---っとキスしてましたが、
それも映画のワンシーンのようで、いやらしくないのですね。
ただ、お店の人は、なかなか注文をとりに来なかった。忘れてたのか!?

カフェを出て、みっちゃんおすすめの、ユダヤ人街の「L'AS DE FALLAFEL」で
ファラフエルを買って、食べながらセーヌ川まで歩く。
ファラフェルとは、ピタパンに、コロッケや野菜をたっぷり入れて、
ヨーグルトソースをかけたもの。すごいボリューム。
おいしくて、おなかいっぱいになります。

セーヌ川の中のシテ島の、ノートルダム寺院へ。ミサをやっていました。
隣のサンルイ島もぶらぶら。



夕暮れの、セーヌ川沿いのパリの風景は、本当にすばらしかった。
だいだい色のあかりがぽつぽつ灯り、なんだかなつかしく、せつないような美しさでした。

九日目(10/3) 晴れのち曇り一時雨

今日は、みっちゃんのパリに住んでる日本人のお友達3人を招いての、お食事会。
隣町で朝市があるというので、買い出しに行く。
けっこう広い建物の中に、八百屋、肉屋、チーズ屋、パン屋、魚屋、果物屋など…
それぞれが、何軒もはいっている。建物の外側には、露天の洋服屋などがならぶ。
野菜はかなり安く、みんな、キロ買いしていた。



帰ってきて、料理の下ごしらえ。そのあと、近所を散歩しようと思っていたけれど、
雨が降ってきたのでやめる。

夕方、3人がやってきた。そのうちひとりは、みっちゃんの東京時代からの
古い知り合いで、私も会った事がある。フランスで再会するとは(笑)。

みっちゃんの手料理が、次々と運ばれてくる。
クスクスと野菜のサラダ、ムール貝のワイン蒸し、ひき肉のオーブン焼き、焼きりんご…。
手土産の、ワイン、PAULのパン、ジャンポールエヴァン(実は初めて!)のケーキ。
どれもおいしくて、おなかいっぱいの夜でした。

それにしても皆さん、フランスが好きで、こうして実際に移り住んでしまうなんてすごい。
異国で暮らすなんて、いろいろ大変な事もあるだろうに、
それ以上にパリが好きでたまらないんだろうな。

十日目(10/4) くもり

みっちゃんと、隣の駅まで歩いてみる。
かわいい一軒家がならぶ、ヨーロッパの住宅街。
庭には芝生が敷かれ、バラの花などが咲いていて、きれいに手入れされている。

パリ市内のスーパーで、パンとサーモンのサラダとサラミを買って、
そのへんのベンチで食べる。
パリは、歩きながらバゲットを食べている人も多く、
カフェやレストランで食べるとけっこう高いけど、
そのへんで買い食いをしたりすれば、かなり安くあげる事もできるのです。

オペラ座の近くのデパート「ギャルリー・ラファイエット」へ。
デパートの中央が吹き抜けになっていて、ドーム型の天井がすばらしい。
屋上からパリ市内を眺める。

日曜日はお休みの店が多いので、土曜日の今日は、街中は買い物客でいっぱい。
サンジェルマン・デ・プレに移動、カフェ・ドゥ・マゴでお茶。
サルトルとボーヴォワールが、毎日のように通ったという。
やはり、一度くらいは老舗の有名カフェにもはいりたかったのです(笑)。

東駅から、サンマルタン運河へ。アメリが水切りをした場所を探しに(笑)。
木にかこまれた、それっぽい橋を探して、いくつか撮影。
このへんは治安が良くないので、暗くなってから行くのはやめた方が良さそう。


アメリに出て来た橋は、ここかなあ?

十一日目(10/5) 曇り

今日はいよいよ最終日。

マレのサロン・ド・テ「DANS LA THEIERE」でランチ。
入口付近には順番を待っている人がたくさん。大人気のお店のよう。

 

寒い。サンポール教会へ。ちょうど、赤ちゃんが洗礼を受けていた。
神父様のお話と歌声が、教会に響きわたる。

そのあと、花屋の前を通ったら、花屋のおにいさんに呼び止められ、
「Present for you!」と一本のバラを差し出された。
「For me!?」「Yes!」わ〜い。
そのあと、レストランにも誘われたけれど、「予定があるのです」とことわり、
ありがたくバラだけいただきました。
パリ最後の日に、素敵な思い出をありがとう♪ムフフ。

リュクサンブール公園へ。紅葉がきれい。
リュクサンブール美術館でボッティチェリ展をやっているので来てみたのだけれど、
始まったばかりで、しかも今日は無料の日だったらしく、
ものすごい行列ができていて、あきらめる。

ぶらぶらしたあと、エッフェル塔の近くへ移動。
トロカデロ広場前のカフェ「DU TROCADERO」で、エッフェル塔を眺めながらお茶。
みっちゃんとの待ち合わせ時間になったので、店を出て、トロカデロ広場へ。
お天気雨が降っている。
ふと、空を見上げると、見事な、二重の虹が!!
虹の足元を掘ったら、宝物が出てきそうなほどくっきり。
これこそ、パリ最後の日の、Big Presentでした。

みっちゃんとフランス人の友達がやってきて、
セーヌ川をはさんでエッフェル塔のまさに目の前!の建物、
ジャイヨー宮の中のカフェ「LE TOTEM」にはいる。
寒いので室内席にしたけれど、テラス席からは、
それは見事にエッフェル塔が眺められるはず。
ここは食事は高いので、飲み物だけにするのがおすすめ、だそうです(笑)。



エッフェル塔の前で写真を撮り、お友達とはお別れ。
みっちゃんと、お友達おすすめのビストロへ。
PASPAIL駅で降りて、モンパルナス墓地の先の、「Chez Papa」(シェパパ)へ。
混んでて、にぎやか。お鍋のように大きいお皿いっぱいのポテトや鴨肉。
すごいボリュームで、確かに安い!
なんと、両隣とも日本人でした。偶然!(だと思う、空いた席から案内しているので)
転勤でパリに来たご夫婦(何度もことわったんですけどねーと言っていた/笑)と、
バックパッカーの学生。彼は初めての海外旅行で、ヨーロッパをひとりで
1ヶ月まわったそうです。「パリは予想外に良かった」との事。うんうん。
皆さんそれぞれ、この店へは人に勧められて来たそう。人気なのね。



パリ最後の夜に乾杯!

日記にも書いたけれど、帰りの飛行機は、トラブル続出だった。
搭乗口にたどり着いたのもギリギリだし、
飛行機の出発は2時間以上遅れるし、
そのおかげで乗り換え地の成田行きには間に合わないし…。
ひとりきりで、言葉もロクにしゃべれないって、ホント心細いものです。
でも、無事振り替えの飛行機に乗れたし、
これも今となってはいい思い出!!


旅のおみやげ。


スーパーで見つけた、台所用スポンジ。
ハリネズミの模様!!
猫の足跡模様のもありました。

蚤の市で購入した、小さな古絵本。
2ユーロ(260円)。掘り出し物!?
今でも、新本で手にはいる様です。

今回は初めてのパリなので、まずはガイドブックに載っている
有名なところを歩いてみました。
でも、最近注目されている街などもあるようで、次回(また行くつもり)は、
もうちょっと濃いパリを、ぶらぶらしてみたいと思っています。
カフェや本屋には、よくはいったなあ。
そして思うのは、日本で売っているものの、多様性。
カフェは日本の方が、多種多様の店があるし、フランスのいい感じのビジュアル本は、
ほとんど日本にもはいってきている(気がする)。
古本も、今の日本のアート本ブームで、かなり日本人が買い占めているという噂。
でも、パリの、流行にとらわれず、パリらしさ、自分らしさを大切にする姿勢や、
何百年も街の景観が保たれているのは、すばらしい事だと思う。
新しいものも、自然に街にとけこむようなかたちで受け入れる。
人々も、のんびり、親切な人が多い。
街も人も、成熟した、大人の国だなあと思った。
人種も多様、観光客も多いので、たとえばアジアの国だと、向こうから
「Japanese!」なんて声をかけてくれて、そういう交流もとても楽しいのだけれど、
こちらは、観光客という目で意識して見ないので(道を聞かれた事も何回かある)、
それはそれで、少しは街にとけこめたような気がして、楽しかったです。

お世話になったガイド本。基本は「地球の歩き方」などで、
そしてサブカルチャー情報は「パリノルール」で!街歩きに大活躍でした。おすすめ!

お世話になった、みっちゃんのホームページはこちら


 

 

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