歯磨きの錯覚
う蝕と歯肉炎・歯周炎を予防するためには歯垢の付着を抑制すればよいわけですが、口の中の微生物をゼロすることは出来ませんので食事性基質を停滞させない、つまり微生物にえさをやらないようにすればよいのです。

そのためには歯ブラシによる歯口清掃が基本となります。歯ミガキが大事ということになるわけですが、多くの患者さんはこの“歯ミガキ”という言葉にだまされているのです。

歯ミガキという言葉から歯を磨くために数分間洗面所の前に立ち、歯磨き粉で口中泡々になり、口の中がさっぱりして磨けたと錯覚しておられる方がほとんどです。

これは四角い部屋を丸く掃除しているのと同じといえます。部屋の隅に残った埃やごみが歯と歯の間やポケットに残存する食べかすや歯垢に当たるわけです。

歯ももちろん磨く(掃除する)のですが、決して歯だけではなく歯と歯肉の境目のポケットに停滞する食べかすや付着する歯垢をとるために歯ブラシの毛先を使って1本1本の歯を丁寧に掃除をすることが重要なのです。