TSMC ソリッドモデル作品展 レポート

                                                  レポート担当            

 2025年10月29日〜11月2日 TSMCソリッドモデル作品展が開催されました。今回のタイトルは「手作り精密飛行機模型 伝統から革新まで」です。
では、みくちゃんがレポートします。
 
 TSMC独自の展示会は5年おきに開催されてきましたが、今回は前回の70周年展示会から2年後の開催です。白根前会長の宣言通りですね。
今回の会場は「アートガーデンかわさき」、JR川崎駅北口改札から徒歩2分と大変アクセスのよい場所です。展示会場としては広さ、明るさ、全体の雰囲気等、充分に満足できるものでした。
 今回は展示テーブルを安土会長発案のジグザグ配置としてみました。ジグザグの通路1本だけですから奥まで行くのに少々時間が掛かります。会場に入って見渡すと、奥の方に大型モデル達が輝いているのが見えますがすぐには辿り着けないのです。まるでダンジョンゲームのようなワクワク感を楽しみながら進むことになります。ほとんどすべての作品は手前と反対側を見ることが出来て、立体物の展示にはとても優れた方法と思われます。
    


 公開日の前日、28日10時に集合し会場の設営を始めました。先ずは展示テーブルをジグザグに配置します。さらに群馬モグラクラブよりお借りしたクロースを張り、両面テープで固定しました。今回初めてグリーンのクロースを使用しましたが、アルミを貼った銀色の機体には良く映えて、スポットライトの効果もあってゴージャスな雰囲気になりました。
      

展示会の看板は分割して搬入し真直ぐになるように組み立てました。看板は奥の壁に取り付けました。会場に入ると真正面に見える位置です。
      

29日より開場、いままで経験のない5日間にわたる長期戦の始まりです。お客様も増えてきましたがまだ疎らな感じです。さて大勢来ていただけるでしょうか。
      



ここからは展示された会員の作品を紹介します。安土会長以下五十音順に続きます。

安土会長 
 ミグ21SM、サーブ35ドラケン、デハビランドDH.103シーホーネット、百式司令部偵察機とモックのFMA IA-58プカラを展示。百式司偵は美しい外観とコックピット内の繊細な工作などずっと眺めていたくなる作品です。
  
      


相澤会員
 スーパーマリン・ウォーラスとDFSオリンピア 1/48を展示。複雑な形の機体を正確に再現。キリリとした細部の工作にさすがの腕前を感じます。
 
    


宇野会員 
 メッサーシュミット Bf109、 三菱 96式艦上戦闘機と96艦戦の制作過程の写真を展示。1/32の大きなモデルを沢山完成されていて、ソリッドモデル制作を本当に楽しんでいらっしゃいます。
 
    


大石会員 
 マクダネル F-4 ファントムのモックを2機展示。いずれもカーボン製で膨大な資料を基に正確な形状を追及されています。増槽をカットした状態を見ると沢山の胴枠が入っていて、正確性へのこだわりの凄さに驚かされます。
 
    


北原会員 
 1/24のノースアメリカンF-86D、セスナ195、ライアン スピリット オブ セントルイスを展示。正確な形状、外形から小さなパーツまで一切妥協がありません。それを可能としているのが素晴らしいアイデアと技術力です。私も沢山教えていただきました。
 
    


木林会員 
 1/50のボーイングB307、ロッキード1649A、ダグラスDC-7Cを展示。大型のプロペラ4発機にこだわって作ってこられました。エンジンは4個、プロペラはその数倍、大変な作業量ですね。各航空機会社の塗装も楽しく、その時代のシーンを想像させてくれます。
 
    


小林会員 
 1/48、デハビランド DH.82 タイガーモスのモックを展示。残念ながら完成に至りませんでしたが、お皿にバランを敷いてお刺身のような展示、「モスの目刺し仕立て」とあります。モスをキスにもじったのですね、受けますね。それならば熱燗とっくりにおちょこ、それとお手元もお願いします。
 
    


白根会員 
 1/32のki100五式戦を2種、ki61三式戦T型、U型改、V型改、ロッキードC121Aと1/24 P-38のモックを展示。川崎ファミリーの5機はいずれもアルミを貼った力作ですが、その内3機を同時進行で作られていました。また1/32のC-121Aの胴体はバットよりも太そうで文字通りソリッドな木材を脇に抱えて加工していたそうで、そのパワーに感服いたします。 
    


瀧上会員 
 サボイアS21、フォッカーD.7、S.E.5、Bf109、P-51、零式観測機、ユンカースJu52のペーパーモデルを展示。いずれもホッコリしたかわいいモデル達です。
        


武田会員 
 1/24のF-105D、1/100のDC-8、MD-90、B727とペーパーモデルの1/48のT-7×2、1/72のF-100D×2と1/24紫電改のフライングモデルを展示。異様に大きなプロペラを付けた紫電改ですが、その軽さに皆様驚かれていました。
    


手柴会員 
 1/32 ホーカーP1127のスケルトンモデルと犬、猫(エジプト風?)のエンブレムを展示。P1127は鏡面に磨かれたアルミ外板と内部の構造、構成部品等が異種金属で作られた非常に美しく繊細な作品です。
    


寺沢会員 
 1/48 シコルスキーS-40のモックを展示。エンジンの位置決め治具と共に展示。正確さの追求のための苦労の程が偲ばれます。木材は合成木材を使用されています。
    


樋口会員 
 1/32のDFS93、DH.88コメット、1/48のランスエア・レガシー2000、1/72のホンダジェット、ホンダMH-02、ファルコ、ポンドレーサーと1/48 3式戦のモックを展示。おや?ポンドレーサーの左エンジンはブンブン回っているのに、右は停止してますよ。
    


福田会員 
 1/16のソッピース スナイプとカーチス BF2C-1を展示。どちらも内部構造まで再現されている。塗装による表現力が素晴らしく、パーツの素材感や重量感がとてもリアル。
 
    


松崎会員 
 1/72の統一スケールでF4H-1、F8U-3、XF-108、XF-103、XF-107、V-371、YF-17、YF-22、YF-23、X-4、X-19、X-32、XF9F-1、F2H-5、RD-1386、P-551、スカイフォックス、シルバーフォーゲルを展示。現用機ラプターの試作機YF-22からジェット黎明期の試作機、計画機まで本当に沢山のめずらしい機体を作り続けていらっしゃいます。
    


三浦会員 
 ノースアメリカン T-6 テキサン、リパブリック P-47N サンダーボルトとモックの97艦攻を展示。テキサンは凸リベットに挑戦したモデルです。ディテールの表現が素晴らしく圧倒的な存在感があります。
    


渡辺会員 
 1/150の世界最小を競った機体11機とエンジン単体9基、1/150のソリ式雪上機6機、、1/150の起動車2台+分解展示1、1/170のP-51レーサー5機、1/25の木製プロペラ9個、1/2の照準器2台を展示。虫眼鏡で極小のモデルを見たお客様は一様にワァーと歓声を上げておられました。
 
    


ゲスト 清水様  モグラクラブ(群馬)
 1/32のRF-84K サンダーフラッシュとEWR VJ 101を展示。アルミ貼りのソリッドは初めてとのこと。しかしカッチリ仕上がった外観、平滑に貼られたアルミ等、素晴らしい技術をお持ちなのが判ります。私が驚いたのはアルミの隙間のコントロールが完璧なことです。スケールにジャスト合ってます。
    


ゲスト 渡辺様  
     福岡エアロレプリカ・ソリッドモデルクラブ
 クルトタンク Ta-152H 1/32のモックを展示。パネルラインに合わせて切り出した朴材を接着した物を加工。小さな点検口までも別パーツが埋め込まれています。
 遠方からのご参加ありがとうございました。適当な写真が無く失礼いたします。
    


ゲスト 長曾我部様 
     福岡エアロレプリカ・ソリッドモデルクラブ
 SBD-3 ドーントレス 1/32のモックを展示。極限まで内側がくり貫かれたカウリングと機銃のミゾ、固定スロットの開口、機内フレームの取付、そして計器盤等のパーツ、どれもドーントレスの特徴いっぱいでワクワクします。
 遠方からのご参加ありがとうございました。適当な写真が無く失礼いたします。
        

今回は実演コーナーで実際に木を削る様子をお見せしました。またソリッドモデルの様々な製作技術を展示解説しました。

相澤会員、松崎会員が実演を担当。
 
  木林会員
アルミブロックからプロペラを削る段階を展示。
  松崎会員
木取りされた状態から、削り、磨き、塗装までのソリッドモデル製作の過程を展示。
   

製作途中の作品、モックはまとめて展示。モデラーの興味を集めていました。30日に懇親会を行いました。本格中華料理の店で乾杯! 話が弾みます。すみません歓談の様子は写真を撮り忘れてしまいました。
      

今回は女性のお客様も多く、中には技術的な質問をされる方もいて感心しました。小さなお子様を連れたご家族も来ていただきましたが、私は2組しか記憶がありません。展示場にお子様が現れると一瞬緊張が走りますが、はしゃいだ声に展示場が明るくなります。ご家族での来場が少ないとちょっと寂しいですね。
      



 今回もインターネット航空雑誌「ヒコーキ雲」にTSMC展示会が紹介されました。会員のモデルが鮮明な写真で沢山紹介されています。このレポートよりもビジュアルな情報が断然充実しています。是非ご覧ください。「ヒコーキ雲」へのリンク



 5日間の会期(会員は6日間)が終了して何かどっと疲れを感じました。会員の皆さまも同様のご様子です。5日間は思った以上に長かったですね、3日間ぐらいがちょうどいいかな。それでも沢山のお客様に来ていただき、多くの感想やお話を伺いとても参考になりました。2年目の展示会の開催は大変有意義だったと思います。
 9月頃から各会員が展示会案内のポスターやはがきの配布、さらに関係クラブや雑誌、施設、ショップ、ウェブ、メディア等へ集客のための案内努力をしたのですが、最終的な来場者は5日間で561名になりました。70周年の時は942名/3日、65周年は1200名/3日、ですので5日間の数としては少々物足りない結果となりました。この結果の要因としては、前回まで使用した文京シビックセンター展示室は通行する人が多いエントランスに面していたので、飛び込みで見てくれる人も多かったのに対して、この展示室は一般通路からは見えない上に専用エスカレーターとガラス扉によって隔絶された空間となっています。とても静かでアートの鑑賞には最適ですが、飛び込みで来られるお客様は少なかったようです。それでも我々の両隣の美術展のお客様が少なからず立ち寄ってくださったのですが。
 最終日に集合写真を撮りました。ソリッドモデル界の最先端、精鋭の皆様です。75周年展示会はまたすぐにやってきます。新作を並べたいですね。
頑張りましょう!
      




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