前のページに戻る


 

マルコ福音書
  
   
"410101","マルコ 1:1","イエス・キリストの福音はこうして始まった。──"
"410102","マルコ 1:2","預言書(マラキと)イザヤに、"(神は言われる、)「見よ、わたし
は使をやって、あなたの先駆けをさせ、"あなたの"道を準備させる」""
"410103","マルコ 1:3",""荒野に叫ぶ者の声はひびく、「主の道を用意し、"その"道筋を
まっすぐにせよ」"と書いてあるとおりに、"
"410104","マルコ 1:4","洗礼者ヨハネが(主救世主の道を準備するため、ユダヤの)荒野
にあらわれて、罪を赦されるための悔改めの洗礼を説いた。"
"410105","マルコ 1:5","ユダヤ全国の人々、ことにエルサレムの人が皆ヨハネの所にでて
来て、自分の罪を告白し、ヨルダン川で彼から洗礼を受けた。"
"410106","マルコ 1:6","ヨハネは駱駝の毛(の外套)を着、腰のまわりに皮の腰衣をつけ、
蝗と野蜜とを食べていた。"
"410107","マルコ 1:7","彼は説いて言った、「わたしよりも力のある方が、わたしのあとか
ら来られる。わたしは、かがんでその方の靴の紐をとく値打もない者である。"
"410108","マルコ 1:8","わたしは水で洗礼を授けたが、その方は聖霊で洗礼をお授けにな
る。」"
"410109","マルコ 1:9","そのころ、イエスはガリラヤのナザレから来て、ヨルダン川でヨ
ハネから洗礼をお受けになった。"
"410110","マルコ 1:10","水から上がられると、たちまち天が裂けて、御霊が鳩のように自
分の上に下ってくるのを御覧になった。"
"410111","マルコ 1:11","すると「あなたは(いま)わたしの"最愛の子、""わたしの心に
かなった"」という声が天からきこえてきた。"
"410112","マルコ 1:12","やがて御霊はイエスを荒野に追いやった。"
"410113","マルコ 1:13","イエスは四十日のあいだ荒野にいて、悪魔の誘惑にあわれた。(そ
のあいだ)野獣の中におられたが、イエスには天使たちが仕えていた。"
"410114","マルコ 1:14","(洗礼者)ヨハネが牢に入れられた後、イエスはガリラヤにかえ
り、神の福音を説いて"
"410115","マルコ 1:15","言われた、「時は満ちた、神の国は近づいた。悔改めて福音を信
ぜよ」と。"
"410116","マルコ 1:16","ガリラヤ湖のほとりを通られるとき、シモンとシモンの兄弟のア
ンデレとが、湖で網を打っているのを見られた。彼らは漁師であった。"
"410117","マルコ 1:17","「さあ、ついて来なさい。人間の(漁をする)漁師にしてあげよ
う」とイエスが言われると、"
"410118","マルコ 1:18","すぐ網をすてて従った。"
"410119","マルコ 1:19","また少し進んでいって、ゼベダイの子ヤコブとその兄弟のヨハネ
とが、これも舟で網を繕っているのを見られた。"
"410120","マルコ 1:20","すぐお呼びになると、父ゼベダイを雇人たちと共に舟にのこして、
イエスのあとについて行った。"
"410121","マルコ 1:21","彼らは(湖畔の町)カペナウムに着いた。イエスはさっそく(次
の)安息日に礼拝堂に入って教えられた。"
"410122","マルコ 1:22","人々はその教えに感心してしまった。聖書学者のようでなく、権
威を持つ者のように教えられたからである。"
"410123","マルコ 1:23","そのとき、その礼拝堂に汚れた霊につかれた一人の人がいたが、
たちまち声をあげて叫んで"
"410124","マルコ 1:24","言った、「ナザレのイエス様、"放っておいてください。"わたし
どもを滅ぼしに来られたにちがいない。あなたがだれだか、わたしにはわかっています。
神の聖者(救世主)です。」"
"410125","マルコ 1:25","イエスは「黙れ、その人から出てゆけ」と言って叱りつけられた。
"
"410126","マルコ 1:26","すると汚れた霊はその人をひきつけさせ、大声をあげて出ていっ
た。"
"410127","マルコ 1:27","皆がびっくりして、評議して言った、「これはいったい何事だろ
う。権威のある新しい教えだ。この人が命令されると、汚れた霊までその言うことを聞く
のだ。」"
"410128","マルコ 1:28","イエスの評判がたちまち(カペナウムの)周囲の、全ガリラヤ到
る所に広まった。"
"410129","マルコ 1:29","イエスは礼拝堂を出ると、すぐヤコブとヨハネとをつれて、シモ
ンとアンデレとの家に行かれた。"
"410130","マルコ 1:30","シモンの姑が熱病で寝ていた。人々がすぐ彼女のことをイエスに
言うと、"
"410131","マルコ 1:31","進み寄り、手を取って起された。すると熱が取れ、彼女は彼らを
もてなした。"
"410132","マルコ 1:32","夕方になって日が沈むと(安息日が終ったので)、人々は病人や
悪鬼につかれた者を皆イエスの所につれて来て、"
"410133","マルコ 1:33","町中(の人)が門口に集まった。"
"410134","マルコ 1:34","イエスはさまざまな病気にかかっている大勢の病人をなおし、多
くの悪鬼を追い出された。そして悪鬼どもがイエスを(救世主と)知っているので、口を
きくことをお許しにならなかった。"
"410135","マルコ 1:35","朝早く、まだ真夜中にイエスは起きて、人のいない所に出て行き、
そこで祈っておられた。"
"410136","マルコ 1:36","シモンとその仲間があとを追ってきて、"
"410137","マルコ 1:37","見つけだして言う、「みんながあなたをさがしています。」"
"410138","マルコ 1:38","彼らに言われる、「さあ、どこかほかの近くの町々にも行って、
そこで教えを説こうではないか。そのためにわたしは来たのだから。」"
"410139","マルコ 1:39","それからガリラヤ中にあるその礼拝堂で教えを説き、悪鬼を追い
出しておられた。"
"410140","マルコ 1:40","すると(ある日)一人の癩病人がイエスの所に来てひざまずき、
「清めてください。お心さえあれば、お清めになれるのだから」と言って願った。"
"410141","マルコ 1:41","イエスは(そのあわれな姿を見て悪魔に対する)怒りに燃え、手
をのばしてその人にさわり、「よろしい、清まれ」と言われると、"
"410142","マルコ 1:42","たちまち癩病が消えうせて、その人は清まった。"
"410143","マルコ 1:43","イエスはいきり立ち、すぐその人を追い出して"
"410144","マルコ 1:44","言われる、「だれにも何も言わないように気をつけよ。ただ全快
したことを世間に証明するため、(エルサレムの宮に)行って体を"祭司に見せ、"モーセ
が命じたものを清めのために捧げよ。」"
"410145","マルコ 1:45","しかしその人は出てゆくと、(宮には行かず、)しきりにこの出来
事を言いふらし、ふれまわったので、イエスはもはや公然と町に入ることが出来ず、(町
の)外の人のいない所におられた。人々が四方から、イエスの所にあつまって来た。"
"410201","マルコ 2:1","数日の後、カペナウムにかえられると、家におられることがすぐ
知れわたって、"
"410202","マルコ 2:2","もはや門口にも場所がないほど、大勢の人が集まってきた。この
人たちに御言葉を語っておられると、"
"410203","マルコ 2:3","人々が一人の中風の者を、四人にかつがせてつれて来る。"
"410204","マルコ 2:4","群衆のためイエスのところにつれて行けないので、おいでになる
所の(上の)屋根をはがして穴をあけ、中風の者を担架に寝かせたまま(イエスの前に)
吊りおろす。"
"410205","マルコ 2:5","イエスはその人たちの信仰を見て(驚き)、中風の者に言われる、
「子よ、いまあなたの罪は赦された。」"
"410206","マルコ 2:6","数人の聖書学者がそこに坐っていたが、心の中で考えた、"
"410207","マルコ 2:7","「この人はなぜあんなことを言うのだろう。冒涜だ。神お一人の
ほか、だれが罪を赦せよう。」"
"410208","マルコ 2:8","イエスは彼らがひそかにこう考えているのを、すぐ霊で見抜いて、
「なんで、そんなことを心の中で考えているのか。"
"410209","マルコ 2:9","この中風の者に、あなたの罪は赦された、と言うのと、起きて担
架をかついで歩け、と言うのと、どちらがたやすい(と思う)か。"
"410210","マルコ 2:10","では、人の子(わたし)は地上で罪を赦す全権を持っていること
を知らせてやろう」と彼らに言いながら、中風の者に言われる、"
"410211","マルコ 2:11","「あなたに命令する、起きて担架をかついで、家に帰りなさい。」
"
"410212","マルコ 2:12","すると彼は起き上がり、すぐ担架をかついで、皆の見ている前を
出ていった。皆が呆気にとられ、「こんなことはかって見たことがない」と言って、神を
讃美した。"
"410213","マルコ 2:13","また湖のほとりに出てゆかれた。群衆が皆あつまって来たので、
教えられた。"
"410214","マルコ 2:14","それから通りがかりに、アルパヨの子レビが税務所に坐っている
のを見て、「わたしについて来なさい」と言われると、立って従った。"
"410215","マルコ 2:15","イエスが(レビの)家で食卓についておられたとき、大勢の税金
取りや罪人も、イエスや弟子たちと同席していた。──(すでにこの時)多くの人がイエ
スに従っていたのである。──"
"410216","マルコ 2:16","パリサイ派の聖書学者たちは、イエスが罪人や税金取りと一しょ
に食事をされるのを見て、弟子たちに言った、「なぜあの人は税金取りや罪人と一しょに
食事をするのか。」"
"410217","マルコ 2:17","イエスは聞いてその人たちに言われる、「丈夫な者に医者はいら
ない、医者のいるのは病人である。わたしは正しい人を招きに来たのではない、罪人を招
きに来たのである。」"
"410218","マルコ 2:18","(ある断食日に洗礼者)ヨハネの弟子とパリサイ人が断食をして
いると、人々が来てイエスに言う、「ヨハネの弟子とパリサイ人の弟子は断食をするのに、
なぜあなたの弟子は断食をしないのか。」"
"410219","マルコ 2:19","イエスは言われた、「婚礼の客は花婿がまだ一しょにいるうちに、
断食(をして悲しむこと)が出来ようか。(もちろん)花婿と一しょにいる間に断食は出
来ない。"
"410220","マルコ 2:20","しかしいまに花婿を奪いとられる時が来る。その時、彼らは(い
やでも)断食をするであろう。"
"410221","マルコ 2:21","真新しい布切れで古い着物に継ぎをあてる者はない。そんなこと
をすれば、新しい当て切は古い着物をひきさき、裂け目はますますひどくなる。"
"410222","マルコ 2:22","また新しい酒を古い皮袋に入れる者はない。そんなことをすれば、
酒は皮袋を破って、酒も皮袋もだめになる。」"
"410223","マルコ 2:23","ある安息日に麦畑の中を通られたときのこと、弟子たちが(空腹
を覚えて)歩きながら穂を摘み始めた。"
"410224","マルコ 2:24","パリサイ人がイエスに言った、「なぜあの人たちは、あんな、安
息日にしてはならぬことをするのか。」"
"410225","マルコ 2:25","イエスが言われるには、「あなた達は、ダビデ(王)が自分も供
の者も食べるものがなくて空腹の時に何をしたか、(まだ聖書で)読んだことがないのか。
"
"410226","マルコ 2:26","──彼が大祭司アビアタルの時、神の家に入って、祭司のほかだ
れも食べてはならない、"供えのパンを"食べ、供をしている者にもわけてやったことを。」
"
"410227","マルコ 2:27","また彼らに言われた、「安息日は人のためで、人が安息日のため
にあるのではない。"
"410228","マルコ 2:28","だから人の子(わたし)はまた安息日の主人である。」"
"410301","マルコ 3:1","ふたたび(ある安息日に)礼拝堂に入られると、そこに片手のな
えている人がいた。"
"410302","マルコ 3:2","(パリサイ派の)人々がイエスは安息日にこの人をなおされるか
どうかと、ひそかに様子をうかがっていた。訴え出る(口実を見つける)ためであった。"
"410303","マルコ 3:3","イエスは(それと知って)、手のなえた人に「立って真中に出てこ
い」と言っておいて、"
"410304","マルコ 3:4","彼らに言われる、「安息日には、善いことをするのと悪いことをす
るのと、命を救うのと殺すのと、どちらが正しいか。」彼らは黙っていた。"
"410305","マルコ 3:5","するとイエスは怒気をふくんで人々を見まわし、彼らの心の頑な
なのをふかく悲しんで、その人に言われる、「手をのばせ。」のばすと手が直った。"
"410306","マルコ 3:6","パリサイ人たちは出ていって、すぐヘロデ党の者と、イエスを殺
す相談をはじめた。"
"410307","マルコ 3:7","イエスが弟子たちを連れて湖の方へ立ちのかれると、ガリラヤか
ら来た大勢の人の群がついて行った。またユダヤ、"
"410308","マルコ 3:8","ことにエルサレムから、イドマヤや、ヨルダン川の向こう(のペ
レヤ)や、(遠く)ツロ、シドンあたりから(までも)、大勢の人の群が彼の所にあつまっ
て来た。しておられることをみな、聞いたからである。"
"410309","マルコ 3:9","イエスは自分のために小舟を一艘用意しておくようにと、弟子た
ちに言いつけられた。群衆に押しつぶされないためであった。"
"410310","マルコ 3:10","大勢の者をなおされたので、病気になやむ者がみな彼にさわろう
として、どっと押し寄せたのである。"
"410311","マルコ 3:11","また汚れた霊どもはイエスを見ると、その前にひれ伏して、「あ
なたは神の子だ」と叫ぶのであった。"
"410312","マルコ 3:12","イエスは自分のことを世間に知らせるなと、きびしく戒められた。
"
"410313","マルコ 3:13","それから(近くの)山に上り、自分でこれぞと思う人たちを呼び
よせられると、あつまって来た。"
"410314","マルコ 3:14","そこで十二人(の弟子)をお決めになった。そばに置くため、ま
たこれを派遣して、教えを説かせたり、"
"410315","マルコ 3:15","全権をさずけて悪鬼を追い出させたりするためであった。"
"410316","マルコ 3:16","すなわち十二人を決めて、シモンにペテロという名をつけ、"
"410317","マルコ 3:17","ゼベダイの子ヤコブとヤコブの兄弟のヨハネと──この二人には
ボアネルゲ、すなわち「雷の子」という名をつけられた。──"
"410318","マルコ 3:18","アンデレとピリポとバルトロマイとマタイとトマスとアルパヨの
子ヤコブとタダイと熱心党のシモンと"
"410319","マルコ 3:19","イスカリオテのユダ。この人は(あとで)イエスを売った。"
"410320","マルコ 3:20","家にかえられると、また群衆が集まってきて、みんなは食事すら
出来なかった。"
"410321","マルコ 3:21","身内の者たちが(イエスの様子を)聞いて(ナザレからカペナウ
ムへ)取りおさえに出てきた。「気が狂っている」と思ったのである。"
"410322","マルコ 3:22","またエルサレムから下ってきた聖書学者たちは、「あれはベルゼ
ブル[悪魔]につかれている」とか、「悪鬼どもの頭[悪魔]を使って悪鬼を追い出して
いる」とか言った。"
"410323","マルコ 3:23","イエスは彼らを呼びよせ、譬をもって話された、「悪魔にどうし
て悪魔が追い出せるか。"
"410324","マルコ 3:24","もし国が内輪で割れれば、その国は立ってゆけない。"
"410325","マルコ 3:25","また、もし家が内輪で割れれば、その家は立ってゆけない。"
"410326","マルコ 3:26","(同じように)悪魔(の国)が内輪もめで割れれば、立ってゆけ
ず、ほろびてしまう。(だからわたしが悪鬼どもの頭を使うわけはないではないか。)"
"410327","マルコ 3:27","まず強い者を縛りあげずに、だれも強い者の家に入って家財道具
を掠め取ることは出来ない。縛ったあとで、その家を掠めるのである。(だから悪鬼が追
い出されるのは、悪魔がすでに縛られた証拠だ。)"
"410328","マルコ 3:28","アーメン、わたしは言う、人の子らの(犯す)罪も、また、いか
なる冒涜の言葉でも、すべて赦していただける。」"
"410329","マルコ 3:29","しかし聖霊を冒涜する者は永遠に赦されず、永遠の罪に処せられ
る。」"
"410330","マルコ 3:30","こう言われたのは、彼らが(聖霊によるイエスの業を罵って)、「あ
れは汚れた霊につかれている」と言ったからである。"
"410331","マルコ 3:31","そこにイエスの母と兄弟たちが来て、外に立っていてイエスを呼
ばせた。"
"410332","マルコ 3:32","大勢の人がイエスのまわりに坐っていたが、彼に言う、「それ、
母上と兄弟姉妹方が、外であなたをたずねておられます。」"
"410333","マルコ 3:33","イエスは「わたしの母、兄弟とはだれのことだ」と答えて、"
"410334","マルコ 3:34","自分のまわりを取りまいて坐っている人々を見まわしながら、言
われる、「ここにいるのが、わたしの母、わたしの兄弟だ。"
"410335","マルコ 3:35","神の御心を行う者、それがわたしの兄弟、姉妹、また母である。」
"
"410401","マルコ 4:1","イエスはまた湖のほとりで教え始められた。おびただしい群衆が
集まってきたので、舟に乗り、湖の上で坐(って教え)られた。群衆は皆陸にいて湖の方
を向いていた。"
"410402","マルコ 4:2","譬をもって多くのことを教えられたが、その教えの中でこう話さ
れた、"
"410403","マルコ 4:3","「聞け、種まく人が種まきに出かけた。"
"410404","マルコ 4:4","まく時に、あるものは道ばたに落ちた。鳥が来て食ってしまった。
"
"410405","マルコ 4:5","またあるものは土の多くない岩地に落ちた。土が深くないため、
すぐ芽を出したが、"
"410406","マルコ 4:6","日が出ると焼けて、(しっかりした)根がないので枯れてしまった。
"
"410407","マルコ 4:7","またあるものは茨の(根が張っている)中に落ちた。茨が伸びて
きて押えつけたので、みのらなかった。"
"410408","マルコ 4:8","またあるものは良い地に落ちた。伸びて育ってみのって、三十倍、
六十倍、百倍の実がなった。」"
"410409","マルコ 4:9","そして「耳の聞える者は聞け」と言われた。"
"410410","マルコ 4:10","ひとりでおられた時、弟子たちが十二人とともにこれらの譬(の
意味)を尋ねると、"
"410411","マルコ 4:11","言われた、「あなた達(内輪の者)には、神の国の秘密が授けら
れたいる(のでありのままに話す)が、あの外の人たちには、すべてが譬をもって示され
る。"
"410412","マルコ 4:12","これは(聖書にあるように)"彼らが見ても見てもわからず、聞
いても聞いても悟らないようにする"ためである。"そうでないと、心を入れかえて(わ
たし[神]に帰り、罪を)赦されるかも知れない。"」"
"410413","マルコ 4:13","また彼らに言われる、「この(一番簡単な)譬がわからないのか。
それで、どうしてほかの譬がわかろう。(では説明しよう。)──"
"410414","マルコ 4:14","種まく人は(神の)御言葉をまく。"
"410415","マルコ 4:15","道ばたのものとは、御言葉がまかれて、それを聞く時、すぐ悪魔
が来て、その人たちにまかれた御言葉をさらってゆく人たちである。"
"410416","マルコ 4:16","同じく岩地にまかれたものとは、御言葉を聞く時すぐ喜んで受け
いれるが、"
"410417","マルコ 4:17","自分の中に(しっかりした信仰の)根がなく、ただその当座だけ
であるから、あとで御言葉のために苦難や迫害がおこると、すぐ信仰から離れおちる人た
ちである。"
"410418","マルコ 4:18","また他のものは、茨の中にまかれたものである。これは御言葉を
聞くが、"
"410419","マルコ 4:19","(しばらく信じているうちに、)この世の心配や富の惑わしやそ
の他の欲が入ってきて御言葉を押えつけて、みのらない人たちである。"
"410420","マルコ 4:20","また良い地にまかれたものとはこれである、それは御言葉を受け
入れ、三十倍、六十倍、百倍の実を結ぶ人たちである。」"
"410421","マルコ 4:21","また彼らに言われた、「(しかし外の人たちに神の国の秘密が隠さ
れるのは、ただしばらくである。)明りを持って来るのは、枡の下や寝台の下に置くため
であろうか。燭台の上に置くためではあるまいか。"
"410422","マルコ 4:22","隠れているもので現わされるためでないものはなく、隠されてい
るもので現われるためでないものもないからである。"
"410423","マルコ 4:23","耳の聞える者は聞け。」"
"410424","マルコ 4:24","また彼らに言われた、「(わたしから)聞くことに気をつけよ。(わ
たしの言葉を)量る量りで、あなた達も(神に)量られる。そして(よく聞く人は、持っ
ている上になお)つけたして与えられる。"
"410425","マルコ 4:25","持っている人には(さらに)与えられ、持たぬ人は、持っている
ものまで取り上げられるのである。」"
"410426","マルコ 4:26","また言われた、「神の国はこんなものだ。──ある人が地に種を
蒔き、"
"410427","マルコ 4:27","夜昼、寝起きしていると、種は芽生えて育ってゆくが、本人はそ
の訳を(すら)知らない。"
"410428","マルコ 4:28","(すなわち)地はひとりでに実を結ぶので、初めに茎、次に穂、
次に穂の中に熟しきった粒ができる。"
"410429","マルコ 4:29","実が熟すると、すぐに"鎌を入れる。刈入れ時が来たのである。"」
"
"410430","マルコ 4:30","また言われた、「神の国を何にたとえようか。どんな譬で表わそ
うか。"
"410431","マルコ 4:31","(神の国は)芥子粒のようである。地にまかれる時には、地上の
あらゆる種の中で一番小さいが、"
"410432","マルコ 4:32","まかれると、伸びてきてすべての野菜の中で一番大きくなり、大
きな枝を出して、"その(葉の)陰に空の鳥が巣をつく"れるようになるのである。」"
"410433","マルコ 4:33","イエスは聞く人々の力に応じて、このような多くの譬で御言葉を
語られた。"
"410434","マルコ 4:34","譬を使わずに語られることはなかった。が弟子たちには、人のい
ない時に何もかも説明された。"
"410435","マルコ 4:35","その日、夕方になると、「向う岸に渡ろう」と言われる。"
"410436","マルコ 4:36","弟子たちは(岸に立っている)群衆を解散して、イエスが舟に乗
っておられるのを、そのままお連れする。幾艘かほかの舟もついて行った。"
"410437","マルコ 4:37","すると激しい突風がおこり、波が舟に打ち込んできて、もう舟に
いっぱいになりそうになった。"
"410438","マルコ 4:38","しかしイエスは艫の方で枕をして眠っておられた。弟子たちが「先
生、溺れます、構ってくださらないのですか」と言って起した。"
"410439","マルコ 4:39","イエスは目をさまして風を叱りつけ、湖に言われた、「黙れ、静
かにしないか!」(たちどころに)風がやんで、大凪になった。"
"410440","マルコ 4:40","彼らに言われた、「なんでそんなに臆病なのか。まだ信じないの
か。」"
"410441","マルコ 4:41","弟子たちはすっかりおびえてしまって、「この方はいったいだれ
だろう、風も湖もその言うことを聞くのだが」と語り合った。"
"410501","マルコ 5:1","かくて湖の向う岸、ゲラサ人の地に着いた。"
"410502","マルコ 5:2","イエスが舟からあがられると、すぐ、汚れた霊につかれたひとり
の人が墓場から出てきて、イエスを迎えた。"
"410503","マルコ 5:3","この人は墓場を住家としていたが、もはやだれも、鎖ですらつな
いでおくことが出来なかった。"
"410504","マルコ 5:4","幾たびか足桎と鎖でつないだが、鎖を引きちぎり、足桎を打ちこ
わして、だれの手にもおえなかったのである。"
"410505","マルコ 5:5","どなったり、体を石でなぐったりしながら、夜も昼も、いつも墓
場や山にいた。"
"410506","マルコ 5:6","遠くの方でイエスを見ると、駆けてきてひざまずき、"
"410507","マルコ 5:7","大声で叫んだ、「いと高き神の子のイエス様、"放っておいてくだ
さい。"後生だから、どうぞわたしを苦しめないでください。」"
"410508","マルコ 5:8","これはイエスが「汚れた霊、その人から出てゆけ」と言われたか
らである。"
"410509","マルコ 5:9","「あなたの名はなんというか」とお尋ねになると、「名は軍団です、
大勢だからです」とこたえる。"
"410510","マルコ 5:10","また、この土地から追い出さないようにとしきりに願った。"
"410511","マルコ 5:11","折から、そこの山の中腹で豚の大きな群が草を食っていた。"
"410512","マルコ 5:12","霊どもは、「わたしどもをあの豚の中にやって、あれに乗り移ら
せてください」と願った。"
"410513","マルコ 5:13","お許しになると、汚れた霊どもは(その人から)出ていって豚に
乗り移った。すると二千匹ばかりの群はけわしい坂をどっと湖へなだれこみ、湖で溺れて
死んだ。"
"410514","マルコ 5:14","豚飼たちは逃げ出して、町や部落に知らせたので、何事がおこっ
たのかと人々が見に来た。"
"410515","マルコ 5:15","彼らはイエスの所に来て、前に一軍団の悪鬼につかれていた者が
着物をき、正気にかえってじっと座っているのを見ると、恐ろしくなった。"
"410516","マルコ 5:16","また(現場を)見ていた人たちは、悪鬼につかれていた者におこ
ったことや豚のことを、その人々に話してきかせた。"
"410517","マルコ 5:17","人々は聞いて(気味わるくなり)、イエスにその土地からでて行
ってもらいたいと頼んだ。"
"410518","マルコ 5:18","そこで舟に乗られると、悪鬼につかれていた者が、ついて行きた
いと願った。"
"410519","マルコ 5:19","しかし許さずに言われた、「家に帰ってうちの者に、(神なる)主
があなたを憐れんで、どんなにえらいことをしてくださったかを、知らせてやりなさい。」
"
"410520","マルコ 5:20","すると彼は行って、イエスがどんなにえらいことを自分にされた
かを、デカポリスに言いふらし始めた。皆が驚いた。"
"410521","マルコ 5:21","イエスが舟でまた向う岸に渡られると、大勢の群衆が彼のところ
に集まってきた。彼は湖のほとりにおられた。"
"410522","マルコ 5:22","するとヤイロという一人の礼拝堂監督が来て、イエスを見ると足
もとにひれ伏し、"
"410523","マルコ 5:23","しきりに願って言う、「わたしの小さな娘が死にかかっています。
助かって命びろいをするように、どうか行って、手をのせてやってください。」"
"410524","マルコ 5:24","イエスは彼と一しょに出かけられた。大勢の群衆がイエスについ
て行って押しまくった。"
"410525","マルコ 5:25","すると十二年も長血をわずらって、"
"410526","マルコ 5:26","大勢の医者からひどい目にあわされて、財産を皆使いはたして、
なんの甲斐もなくて、かえってますます悪くなって、"
"410527","マルコ 5:27","イエスのことを聞いて、群衆にまじってついて来た女が、後ろか
らその着物にさわった。"
"410528","マルコ 5:28","「お召物にでもさわれば、なおるにちがいない」と思ったのであ
る。"
"410529","マルコ 5:29","はたしてすぐ血の源がかれて、病気が直ったのを身に感じた。"
"410530","マルコ 5:30","イエスは自分の中から力が出ていったのにすぐ気がついて、群衆
の中で振り返ってたずねられた、「わたしの着物にさわったのはだれか。」"
"410531","マルコ 5:31","弟子たちが言った、「御覧のとおり群衆が押しまくっているのに、
さわったのはだれか、とおしゃるのですか。」"
"410532","マルコ 5:32","イエスはこのことをした女を見つけようとして、(黙って)見ま
わしておられた。"
"410533","マルコ 5:33","女は自分(の身)におこったことを知っているので、恐ろしくな
って震えながら、進み出てイエスの前にひれ伏し、すべてをありのままに話した。"
"410534","マルコ 5:34","イエスは言われた、「娘よ、あなたの信仰がなおしたのだ。さよ
なら、"平安あれ。"もう病気をせず、達者でいなさい。」"
"410535","マルコ 5:35","イエスがまだ話しておられるところに、礼拝堂監督の家から人々
が来て(監督に)言った、「お嬢さんはもうなくなりました。どうしてこの上、先生にご
迷惑をかけられるのですか。」"
"410536","マルコ 5:36","イエスはそう言っているのをそばで聞いて、監督に言われた、「こ
わがることはない。ただ信じておれ。」"
"410537","マルコ 5:37","そしてペテロとヤコブの兄弟のヨハネとのほかには、だれもつい
て来ることを許されなかった。"
"410538","マルコ 5:38","やがて監督の家に着いて、人々がひどく泣きわめいて騒いでいる
のを見ると、"
"410539","マルコ 5:39","(家の)中に入って言われる、「なにを泣いたり騒いだりするの
か。子供は死んではいない、眠っているのだ。」"
"410540","マルコ 5:40","人々はあざ笑っていた。しかしイエスは皆を外に出し、子供の父
と母と、一しょに来た者(三人だけ)を連れて、(死んだ)子供のいる所に入ってゆかれ
る。"
"410541","マルコ 5:41","そして子供の手を取って、「タリタクミ!]と言われる。訳する
と「少女よ、あなたに言う。起きなさい!」である。"
"410542","マルコ 5:42","ただちに少女は立ち上がって歩きまわった。十二歳になっていた
からである。見るなり、人々は気が遠くなるほど驚いた。"
"410543","マルコ 5:43","イエスはだれにもこのことを知られるなときびしく人々に言いつ
け、また子供に(何か)食べさせるようにと言われた。"
"410601","マルコ 6:1","そこを去って郷里(ナザレ)に行かれた。弟子たちもついて行っ
た。"
"410602","マルコ 6:2","安息日になって礼拝堂で教え始められると、大勢の人がそれを聞
いて、驚いて言った、「この人はこんなことをどこから覚えてきたのだろう。この人の授
かったこの知恵はなんだろう。また、その手で行われるかずかずのこんな奇蹟はいったい
どうしたのだろう。 "
"410603","マルコ 6:3","これはあの大工ではないか。マリヤの息子で、ヤコブとヨセとユ
ダとシモンとの兄弟ではないか。女兄弟たちは、ここで、わたし達の所に住んでいるでは
ないか。」こうして人々はイエスにつまずいた。(そのため彼の言葉に耳を傾ける者がなか
った。)"
"410604","マルコ 6:4","イエスは彼らに言われた、「預言者が尊敬されないのは、その郷里
と親族と家族のところだけである。」"
"410605","マルコ 6:5","(郷里の人々の不信仰のゆえに)そこでは何一つ奇蹟を行うこと
が出来ず、ただわずかの病人に手をのせて、なおされただけであった。"
"410606","マルコ 6:6","イエスは人々の不信仰に驚かれた。それから村々をぐるぐる回り
ながら教えられた。"
"410607","マルコ 6:7","また(前に選んだ)十二人(の弟子)を呼びよせ、二人ずつ(を
一組にして伝道に)派遣することを始められた。そして汚れた霊を支配する全権を授け、"
"410608","マルコ 6:8","また旅行には杖一本のほかに、何も──パンも、旅行袋も、帯の
中に金も持ってゆかず、"
"410609","マルコ 6:9","ただ草鞋をはくことを、また「下着を二枚着るな」と命じられた。
"
"410610","マルコ 6:10","なお彼らに言われた、「どんな家でも一度入ったら、その土地を
立ってゆくまではその家に泊まっておれ。"
"410611","マルコ 6:11","しかしある所で、あなた達を歓迎せず、言うことに耳をかたむけ
ないなら、(すぐその土地を出てゆけ。そして)そこを出てゆくとき、(縁を切ったことを)
そこの人々に証明するため、足の裏の埃を払いおとせ。」"
"410612","マルコ 6:12","そこで十二人は出かけていって、(罪を赦されるための)悔改め
を説き、"
"410613","マルコ 6:13","多くの悪鬼を追い出し、また油を塗って大勢の病人をなおした。
"
"410614","マルコ 6:14","イエスの噂が高くなったので、ヘロデ(・アンテパス)王の耳に
はいった。──「洗礼者ヨハネが死人の中から生きかえったのだ。それだからあんな(不
思議な)力が彼の中に働いている」とある人々は言った。"
"410615","マルコ 6:15","しかし、「預言者エリヤだ」言う者もあり、「(昔の)普通の預言
者のような預言者だ」と言う者もあった。"
"410616","マルコ 6:16","しかしヘロデは聞いて、「わたしが首をはねたヨハネ、あれが生
きかえったのだ」と言った。"
"410617","マルコ 6:17","それにはこういう訳がある。──このヘロデは(前に)その兄弟
ピリポの妻ヘロデヤと結婚したことから、ヨハネを捕えさせて牢につないだことがあった。
"
"410618","マルコ 6:18","ヨハネがヘロデに、「あなたは自分の兄弟の妻を妻にするのはよ
ろしくない」と言ったからである。"
"410619","マルコ 6:19","(そのため)ヘロデヤはヨハネを恨んで、殺したいと考えていた
が、出来なかった。"
"410620","マルコ 6:20","それはヘロデがヨハネを正しい聖なる人と知って、これを恐れ、
保護を加えていたからである。ヘロデはヨハネに話を聞くと非常に当惑したが、それでも
喜んで聞いていたのである。"
"410621","マルコ 6:21","すると(ヘロデヤにとり)好い機会がきた。ヘロデが自分の誕生
祝いに、大官、将軍、ガリラヤの名士たちを招待して宴会を催した時、"
"410622","マルコ 6:22","ヘロデヤの娘が席に出て舞をまい、ヘロデと列座の人々とを喜ば
せたのである。王が少女に言った、「ほしいものがあったら言ってみよ。褒美にやろう。」"
"410623","マルコ 6:23","また、「願いとあらば、"国の半分でも"やろう」と誓った。"
"410624","マルコ 6:24","少女は出ていって母にきいた、「何を願いましょうか。」「洗礼者
ヨハネの首を」と母がこたえた。"
"410625","マルコ 6:25","少女は大急ぎですぐ王の前に出て、「洗礼者ヨハネの首を盆にの
せてすぐに戴かせてください」と願った。"
"410626","マルコ 6:26","王は非常に悲しんだが、客の前で立てた誓いの手前、拒みたくな
かった。"
"410627","マルコ 6:27","そこで王はすぐヨハネの首を持ってくるように命令して、首斬役
をやった。首斬役は行って牢でヨハネの首をはね、"
"410628","マルコ 6:28","その首を盆にのせて持ってきて少女に渡し、少女はそれを母に渡
した。"
"410629","マルコ 6:29","ヨハネの弟子たちはこれを聞くと、来てなきがらを引き取り、墓
に納めた。"
"410630","マルコ 6:30","(さて旅行から帰った十二人の)使徒たちはイエスの所に集まっ
て、したこと、教えたことをのこらず報告した。"
"410631","マルコ 6:31","彼らに言われる、「さあ、あなた達だけどこか静かな所へ行って、
しばらく休んだがよかろう。」人の出入りが多く、食事する暇もなかったのである。"
"410632","マルコ 6:32","そこで彼らだけ、舟で(イエスと一しょに)人里はなれた所へ行
った。"
"410633","マルコ 6:33","しかしその出かけるのを見て、多くの人はそれと感づいた。それ
で方々の町から陸を走ってそこへ集まり、彼らよりも先に着いた。"
"410634","マルコ 6:34","イエスは(舟から)あがって、多くの群衆が"羊飼のいない羊の
ように"しているのを見ると、かわいそうになり、多くのことを教え始められた。"
"410635","マルコ 6:35","とかくするうち、もう時間もおそくなったので、弟子たちはイエ
スのそばに来て言った、「ここは人里はなれた所、それにもう時間もおそいので、"
"410636","マルコ 6:36","人々を解散させ、まわりの部落や村に行って、自分で何か食べる
ものを買わせてください。」"
"410637","マルコ 6:37","イエスは答えて言われた、「あなた達が自分で食べさせてやった
らよかろう。」彼らが言う、「わたし達が行って二百デナリ[十万円]のパンを買ってきて、
食べさせるのでしょうか。」"
"410638","マルコ 6:38","彼らに言われる、「手許にいくつパンがあるか。見て来なさい。」
確かめて来て言う、「五つ。それと魚が二匹です。」"
"410639","マルコ 6:39","そこで皆を一組一組、青い草の上に坐らせるよう弟子たちに命じ
られると、"
"410640","マルコ 6:40","あるいは百人ずつ、あるいは五十人ずつ、一列一列になってすわ
った。"
"410641","マルコ 6:41","イエスは(いつも家長がするように、)その五つのパンと二匹の
魚を(手に)取り、天を仰いで(神を)讃美したのち、パンを裂き、人々に配るため弟子
たちに渡された。二匹の魚も皆に分けられた。"
"410642","マルコ 6:42","皆が食べて満腹した。"
"410643","マルコ 6:43","そして(パンの)屑を拾うと、十二の篭に一杯あった。魚の残り
も拾った。"
"410644","マルコ 6:44","パンを食べた者は、男五千人であった。"
"410645","マルコ 6:45","それからすぐイエスは弟子たちを強いて舟に乗らせ、向う岸のベ
ッサイダに先発させられた、自分では群衆を解散させる間に。"
"410646","マルコ 6:46","そして群衆に別れると、祈りのため山に行かれた。"
"410647","マルコ 6:47","暗くなって、(弟子たちの)舟はもう湖の真中に出ていたが、イ
エスはひとり陸におられた。"
"410648","マルコ 6:48","そして向い風のために弟子たちが漕ぎなやんでいるのを見ると、
第四夜回りのころ(すなわち夜明けの三時ごろ)、湖の上を歩いて彼らの所に来て、(舟の
わきを)通りすぎようとされた。"
"410649","マルコ 6:49","弟子たちはイエスが湖の上を歩いておられるのを見ると、幽霊だ
と思って声をあげて叫んだ。"
"410650","マルコ 6:50","イエスを見て、皆肝をつぶしたのである。しかしイエスはすぐ彼
らに話しかけ、「安心せよ、わたしだ。こわがることはない」と言われる。"
"410651","マルコ 6:51","そして彼らの舟に乗られると、風はやんだ。弟子たちはすっかり
呆気にとられてしまった。"
"410652","マルコ 6:52","彼らは(五千人の)パンのことによっても(神の子の力を)悟ら
ず、心が頑なになっていたのである。"
"410653","マルコ 6:53","ついに(湖を)渡って、ゲネサレの地に着き、舟をつないだ。(風
でベツサイダに行けなかったのである。)"
"410654","マルコ 6:54","彼らが舟からあがると、人々はすぐイエスと知って、"
"410655","マルコ 6:55","そのあたりを隅なく駆けまわり、イエスがおられると聞く所に、
病人を担架で運び始めた。"
"410656","マルコ 6:56","村でも町でも部落でも、その行かれる所にはどこでも、病人を広
場にねかし、着物の裾にでもさわらせてほしいとイエスに願った。さわったほどの者はみ
ななおった。"
"410701","マルコ 7:1","パリサイ人とエルサレムから来た数人の聖書学者とがイエスの所
に集まったとき、"
"410702","マルコ 7:2","イエスの弟子のうちにけがれた、すなわち洗わない手で食事をす
る者があるのを見た。"
"410703","マルコ 7:3","──いったいパリサイ人はもとより、ユダヤ人というユダヤ人は、
先祖の言伝えをかたく守って、(きまった方式で)手を洗ってからでないと決して食事を
せず、"
"410704","マルコ 7:4","市場から帰ったときは(身を)洗い浄めねば食事をせず、このほ
かにも杯や壷や銅の器をすすぐことなど、かたく守っている仕来たりが沢山あるのである。
──"
"410705","マルコ 7:5","パリサイ人と聖書学者がイエスに尋ねた、「あなたの弟子はなぜ先
祖の言伝えに従って歩かずに、けがれた手で食事をするのか。」"
"410706","マルコ 7:6","彼らに言われた、「イザヤはあなた達偽善者のことを預言して、こ
う書いているが、うまいものである。"この民は口先でわたし[神]を敬いながら、その
心は遠くわたしから離れている。"
"410707","マルコ 7:7","彼らは(熱心に)わたしを拝むが無駄である、彼らが教えとして
教えているのは、人間の(作った)規則であるから。""
"410708","マルコ 7:8","あなた達は神の掟をすてて、人間の言伝えをかたく守っている。」
"
"410709","マルコ 7:9","また話しつづけられた、「あなた達は自分の言伝えを守ろうとして、
神の掟をないがしろにしているが、うまいものだ!"
"410710","マルコ 7:10","モーセは、"父と母とを敬え、"また"父または母を罵る者はかな
らず死に処せられる"と言ったのに、"
"410711","マルコ 7:11","あなた達はこう言うのだから。──『もしある人が父または母に
むかって、わたしがあなたに差し上げるはずのものはコルバン[すなわち(神への)供え
物]にする、と言えば、"
"410712","マルコ 7:12","(扶養の義務をまぬかれて、)もはや父または母に何一つするこ
とを許されない』と。"
"410713","マルコ 7:13","こうして、あなた達は自分で伝えてきた言伝えによって神の言葉
を反故にしている。なお、これに似たことをあなた達は沢山している。」"
"410714","マルコ 7:14","それからまた群衆を呼びよせて言われた、「皆、わたしの言うこ
とを聞いて悟れ。"
"410715","マルコ 7:15","人の(体の)外から入って、人をけがし得るものは何もない。人
から出るものが、人をけがすのである。」"
"410716","マルコ 7:16","(無し)"
"410717","マルコ 7:17","群衆を離れて家にかえられた時、弟子たちがこの譬(の意味)を
尋ねた。"
"410718","マルコ 7:18","彼らに言われる、「あなた達までそんなに悟りが悪いのか。すべ
て外から人(の体)に入るものは、人をけがし得ないことが解らないのか。"
"410719","マルコ 7:19","心に入らず、腹に入って、便所に出てゆくからだ。」──イエス
は(これによって、人は何を食べてもけがれないことを教えて、)すべての食物を清めら
れたのである。"
"410720","マルコ 7:20","また言われた、「人から出るもの、そちらが人をけがす。"
"410721","マルコ 7:21","内から、つまり、人の心からは、邪念が出るからである。(すな
わち)不品行、盗み、人殺し、"
"410722","マルコ 7:22","姦淫、欲張り、悪意、悪巧み、道楽、妬み、悪口、高ぶり、愚か
さ(など)。"
"410723","マルコ 7:23","これらの悪は皆、内から出て人をけがすのである。」"
"410724","マルコ 7:24","そこを立って、ツロ地方に行かれた。ある家に入って、だれにも
知られたくないと思っておられた。しかし隠れていることが出来ず、"
"410725","マルコ 7:25","汚れた霊につかれた小さい娘を持つ一人の女が、すぐイエスのこ
とを聞きつけ、来て足下にひれ伏した。"
"410726","マルコ 7:26","この女は異教人で、スロフェニキア生まれであったが、娘から悪
鬼を追い出してほしいとイエスに願った。"
"410727","マルコ 7:27","女に言われた、「まず子供たち(イスラエル人)を満腹させなく
てはいけない。子供たちのパンを取り上げて、(異教の)小犬どもに投げてやるのはよろ
しくない。」"
"410728","マルコ 7:28","しかし女は答えた、「主よ、是非どうぞ!食卓の下の小犬どもも、
子供さんたちのパン屑をいただきます。」"
"410729","マルコ 7:29","イエスは言われた、「それほど言うなら、よろしい、帰りなさい。
悪鬼はもう娘から出ていった。」"
"410730","マルコ 7:30","女が家にかえって見ると、子供は寝床にねており、悪鬼はもう出
ていた。"
"410731","マルコ 7:31","それからイエスはツロ地方を出て、シドンを通り、またガリラヤ
湖の近く、デカポリス地方の真中に来られた。"
"410732","マルコ 7:32","人々が聾で舌のまわらぬ人をつれて来て、手をのせて(直して)
ほしいと願う。"
"410733","マルコ 7:33","イエスはその人をただ一人、群衆の中から連れ出して、指をその
両耳にさしこみ、次に(指に)唾をしてその舌にさわり、"
"410734","マルコ 7:34","天を仰いで溜息をつき、その人に「エパタ!」[すなわち「開
け!」]と言われる。"
"410735","マルコ 7:35","すると耳があき、すぐ舌のもつれが解けて、普通に物が言えるよ
うになった。"
"410736","マルコ 7:36","イエスはだれにも言ってはならぬと人々に命じられたが、命ずれ
ば命ずるだけ、ますます言いふらした。"
"410737","マルコ 7:37","そして驚きはてて言った、「あの方のされたことは、何もかも良
いことばかりだ。聾や唖に、聞かせたり、物を言わせたりされるのだから。」"
"410801","マルコ 8:1","そのころ、また多くの群衆が(集まって)いて、何も食べるもの
を持っていなかったとき、弟子たちを呼びよせて言われる、"
"410802","マルコ 8:2","「群衆がかわいそうだ。もう三日もわたしをはなれずにいるので、
何も食べるものを持っていない。"
"410803","マルコ 8:3","空腹のままで家に帰したら、途中でへたばってしまうにちがいな
い。それに、中には遠くから来た者もある。」"
"410804","マルコ 8:4","弟子たちが答えた、「こんな荒野で、いったいどこからパンを買っ
て来て、この人たちを満腹させることが出来ましょうか。」"
"410805","マルコ 8:5","彼らに尋ねられた、「手許にいくつパンがあるか。」「七つ」とこた
えた。"
"410806","マルコ 8:6","イエスは群衆に命じて地面にすわらせ、それからその七つのパン
を(手に)取り、(神に)感謝して裂き、群衆に配るため弟子たちに渡されると、それを
配った。"
"410807","マルコ 8:7","また小魚が少しあったのをイエスは祝福して、これも配るように
言われた。"
"410808","マルコ 8:8","人々は食べて満腹した。そして余った(パンの)屑を拾うと、七
篭あった。"
"410809","マルコ 8:9","それは四千人ばかりであった。イエスは人々を解散させられた。"
"410810","マルコ 8:10","それからすぐ弟子たちと一しょに舟に乗って、ダルマヌタ地方に
行かれた。"
"410811","マルコ 8:11","するとパリサイ人たちが出てきて、イエスを試そうとして議論を
吹きかけ、(神の子である証拠に、)天からの(不思議な)徴を(示すようにと)彼に求め
た。"
"410812","マルコ 8:12","イエスは心の中で大きく溜息をついて言われる、「この時代の人
はなぜ徴を求めるのだろうか。アーメン、わたしは言う、この時代の人に徴が与えられる
ものか。」"
"410813","マルコ 8:13","イエスは彼らを(そこに)のこし、また(舟に)乗って向う岸へ
立ち去られた。"
"410814","マルコ 8:14","ところがパンを持ってくるのを忘れたので、舟にはたった一つし
かパンがなかった。"
"410815","マルコ 8:15","するとイエスは弟子たちに、「パリサイ人のパン種とヘロデのパ
ン種とに注意し、気をつけよ」と命じられた。"
"410816","マルコ 8:16","弟子たちは(その意味がわからず)、パンのないことを互に評議
をしていた。"
"410817","マルコ 8:17","イエスはそれと知って言われる、「なぜパンのないことを評議す
るのか。まだ解らないのか、悟らないのか。心が頑なになってしまったのか。"
"410818","マルコ 8:18",""目があっても見えず、耳があっても聞えない"のか。覚えてい
ないのか、"
"410819","マルコ 8:19","わたしが五つのパンを五千人に裂いた時に拾った(パンの)屑は、
篭に一ぱい、いくつあったか。」「十二」と弟子たちがこたえる。"
"410820","マルコ 8:20","「七つを四千人の時には、拾った(パンの)屑は篭に一杯いくつ
あったか。」「七つ」とこたえると、"
"410821","マルコ 8:21","「まだ悟らないのか」と言われた。"
"410822","マルコ 8:22","彼らはベッサイダに来る。人々が一人の盲人をイエスのところに
つれて来て、さわって(直して)ほしいと願う。"
"410823","マルコ 8:23","イエスは盲人の手を取って村の外につれ出し、その両方の目に唾
をかけ、両手を(その目に)あてて尋ねられた、「何か見えるか。」"
"410824","マルコ 8:24","盲人は目をあげてこたえた、「人が見えます。木のようで、歩い
ているのがわかります。」"
"410825","マルコ 8:25","それから、かさねて両手を目にあてられると、よく見えてきてす
っかり直り、なんでも遠くからはっきり見えるようになった。"
"410826","マルコ 8:26","イエスは「村にも入るな(、まっすぐに帰りなさい)」と言って、
その人を家にかえされた。"
"410827","マルコ 8:27","イエスは(そこから)弟子たちとピリポ・カイザリヤの(町に近
い)村々に出てゆかれた。道すがら弟子たちにこう言って尋ねられた、「世間の人はわた
しのことをなんと言っているか。」"
"410828","マルコ 8:28","彼らが言った、「洗礼者ヨハネ。あるいはエリヤ、あるいは(昔
の)普通の預言者と言う者もあります。」 "
"410829","マルコ 8:29","イエスは尋ねられた、「では、あなた達はわたしのことをなんと
言うのか。」ペテロが答えて言う、「あなたは救世主であります!」"
"410830","マルコ 8:30","イエスは自分のことをだれにも言ってはならないと、弟子たちを
戒められた。"
"410831","マルコ 8:31","(この時から、)イエスは、「人の子(わたし)は多くの苦しみを
うけ、長老、大祭司連、聖書学者たちから排斥され、殺され、そして三日の後に復活せね
ばならない。(神はこうお決めになっている)」と弟子たちに教え始められた。"
"410832","マルコ 8:32","しかもおおぴっらにこのことを話された。するとペテロはイエス
をわきへ引っ張っていって、忠告を始めた。(救世主が死ぬなどとは考えられなかったの
である。)"
"410833","マルコ 8:33","イエスは振り返って、弟子たちの見ている前でペテロを叱りつけ
られた、「引っ込んでろ、悪魔!お前は神様のことを考えずに、人間のことを考えてい
る!」"
"410834","マルコ 8:34","それから、群衆を弟子と一しょに呼びよせて言われた、「だれで
も、わたしについて来ようと思う者は、(まず)己れをすてて、自分の十字架を負い、そ
れからわたしに従え。"
"410835","マルコ 8:35","(十字架を避けてこの世の)命を救おうと思う者は(永遠の)命
を失い、わたしと福音とのために(この世の)命を失う者は、(永遠の)命を救うのだか
ら。"
"410836","マルコ 8:36","全世界をもうけても、命を損するのでは、その人になんの得があ
ろう。"
"410837","マルコ 8:37","また、人は(一度失った永遠の)命を受けもどす代価として、何
か(神に)渡すことができようか。"
"410838","マルコ 8:38","(わたしを信ずると言いながら、)神を忘れた、罪のこの時代に
おいて、わたしとわたしの福音(を告白すること)とを恥じる者があれば、人の子(わた
し)も、父上の栄光に包まれ、聖なる天使たちを引き連れて(ふたたび地上に)来る時、
その(臆病)者を(弟子と認めることを)恥じるであろう。」"
"410901","マルコ 9:1","また言葉をつづけられた、「アーメン、わたしは言う、(その時は
じきに来る。)今ここに立っている者のうちには、死なずにいて、力強い神の国が来るの
を見る者がある。」"
"410902","マルコ 9:2","(それから)六日の後、イエスはただペテロとヤコブとヨハネだ
けを連れて、高い山にのぼられた。すると彼らの見ている前でイエスの姿が変った。"
"410903","マルコ 9:3","着物(まで)が真っ白に輝きだし、この世のどんな晒し屋でも、
これほど白くは出来ないくらいであった。"
"410904","マルコ 9:4","するとエリヤがモーセと共に彼らにあらわれ、二人はイエスと話
していた。"
"410905","マルコ 9:5","ペテロが口を出してイエスに言う、「先生、わたし達(三人)がこ
こにいるのは、とても良いと思います。だから小屋を三つ造りましょう。あなたに一つ、
モーセに一つ、エリヤに一つ。」"
"410906","マルコ 9:6","彼はなんと言ってよいかわからなかったのである。三人とも怯え
ていたから。"
"410907","マルコ 9:7","すると雲がおこって彼ら(イエスとモーセとエリヤと)を掩い、「こ
れはわたしの"最愛の子、""彼の言うことを聞け"」という声が雲の中からきこえてきた。
"
"410908","マルコ 9:8","途端に(すべてが消えうせて、)見まわすと、もはやだれも見えず、
ただイエスだけが、自分たちと一しょにおられた。"
"410909","マルコ 9:9","山を下りながら、イエスは、人の子(わたし)が死人の中から復
活する時でなければ、いま見たことをだれにも話してはならないと彼らに命じられた。"
"410910","マルコ 9:10","彼らはこの言葉をかたく守ったが、互の間では(人の子が)死人
の中から復活するとは、いったい何事だろうと評議をしていた。"
"410911","マルコ 9:11","彼らはこう言ってイエスに尋ねた、「なぜ聖書学者は、まずエリ
ヤが(来てそのあとで人の子が)来るべきである、と言うのですか。(人の子は来られた
のに、エリヤはまだ来ないではありませんか。)」(彼らは山の上のことを思い浮かべたの
である。)"
"410912","マルコ 9:12","彼らに言われた、「たしかにまず"エリヤが"来て、(人の子の道
を準備するために)万事を"整頓する。"ただ(もしそれならば)、どうして人の子が多く
の苦しみをうけて、軽蔑されることが(聖書に)書いてあるのだろうか。"
"410913","マルコ 9:13","しかしわたしは言う、エリヤも(すでに)来た。(洗礼者ヨハネ
がそれであった。)ただ人々は、彼について書いてあるとおりに、したい放題のことを彼
にしたのである。(すなわち彼を殺し、人の子の道を準備させなかったので、人の子が苦
しみをうけねばならない。)」"
"410914","マルコ 9:14","(山を下りて、ほかの)弟子たちの所にかえって見ると、大勢の
群衆が弟子たちを取り巻き、聖書学者たちがこれと議論をしていた。"
"410915","マルコ 9:15","群衆はイエス(の姿)を見るが早いか、皆びっくりして、駆けて
きて歓迎した。"
"410916","マルコ 9:16","イエスが群衆に尋ねられた、「弟子たちと何を議論しているの
か。」"
"410917","マルコ 9:17","群衆のうちの一人が答えた、「先生、唖の霊につかれている伜を
あなたの所につれて来ました。"
"410918","マルコ 9:18","この子は霊がつくと所かまわず投げ倒され、泡をふき、歯斬りし
て、体がこわばってしまいます。それで霊を追い出すことをお弟子たちに頼みましたが、
おできになりませんでした。」"
"410919","マルコ 9:19","彼らに答えられる、「ああ不信仰な時代よ、わたしはいつまであ
なた達の所におればよいのか。いつまであなた達に我慢しなければならないのか。その子
をつれて来なさい。」(こう言って群衆のいない所に行かれた。)"
"410920","マルコ 9:20","人々がイエスの所につれて来ると、霊はイエスを見るや否や、そ
の子をひどくひきつけさせたので、子は地に倒れ、泡をふきながらころげまわった。"
"410921","マルコ 9:21","イエスが父親に尋ねられた、「こうなってから、どのくらいにな
るか。」父親がこたえた、「子供の時からです。"
"410922","マルコ 9:22","霊はこの子を殺そうとして、幾たびか、火の中、水の中に投げ込
みました。それでも、もしなんとかお出来になるなら、わたしども(親子)を不憫と思っ
て、お助けください。」"
"410923","マルコ 9:23","イエスは言われた、「もしお出来になるなら(と言うの)か。信
ずる者にはなんでも出来る。」"
"410924","マルコ 9:24","即座にその子供の父親が叫んだ、「信じます。不信仰をお助けく
ださい。」"
"410925","マルコ 9:25","イエスは群衆が駆けよってくるのを見ると、(急いで)汚れた霊
を叱りつけて言われた、「唖と聾の霊、わたしが命令するのだ、この子から出てゆけ、二
度と入るな!」"
"410926","マルコ 9:26","霊はどなって、はげしくひきつけさせて、出ていった。子は死ん
だようになったので、多くの人が、「死んだ」と言った。"
"410927","マルコ 9:27","イエスはその子の手をとって起された。すると立ち上がった。"
"410928","マルコ 9:28","家にかえられると、弟子たちは人のいない時に尋ねた、「なぜわ
たし達には霊を追い出せなかったのでしょうか。」"
"410929","マルコ 9:29","彼らに言われた、「この種類(の霊)は、祈り以外(の手段)で
は決して出てゆかせることは出来ない。」"
"410930","マルコ 9:30","一行は(エルサレムに上るため)そこを去って、ガリラヤを通っ
た。しかしイエスは(この旅行が)人に知られることを好まれなかった。"
"410931","マルコ 9:31","「人の子(わたし)は人々の手に引き渡され、彼らはこれを殺す。
殺されるが、三日の後に復活する」と言って、弟子たちに教えて(その覚悟を求めて)お
られたからである。"
"410932","マルコ 9:32","彼らはこの言葉(の意味)がわからなかった。でもこわいので尋
ねなかった。"
"410933","マルコ 9:33","カペナウムに来た。家につかれるとイエスは、弟子たちにお尋ね
になった、「道々何を評議していたのか。」"
"410934","マルコ 9:34","彼らは黙っていた。(自分たちのうちで)だれが一番えらいかと、
道々論じ合っていたからである。"
"410935","マルコ 9:35","イエスは坐って、十二人を呼んで言われる、「一番上になりたい
者は皆の一番下になれ、皆の召使になれ。」"
"410936","マルコ 9:36","それから、一人の子供(の手)を取って彼らの真中に立たせ、そ
れを抱いて言われた、"
"410937","マルコ 9:37","「わたしの名を信ずる一人のこんな子供を迎える者は、わたしを
迎えてくれるのである。わたしを迎える者は、わたしを迎えるのでなく、わたしを遣わさ
れた方をお迎えするのである。」"
"410938","マルコ 9:38","ヨハネがイエスに言った、「先生、わたし達の仲間でない者が、
あなたの名を使って悪鬼を追い出しているのを見たので、止めるように言いました。仲間
にならないからです。(しかし言うことを聞きませんでした。)」"
"410939","マルコ 9:39","イエスは言われた、「止めさせるに及ばない。わたしの名を使っ
て奇蹟を行ったすぐそのあとで、わたしの悪口の言える者はないのだから。"
"410940","マルコ 9:40","反対しない者はわたし達の味方である。"
"410941","マルコ 9:41","キリストの弟子だからとてあなた達に一杯の水を飲ませる者は、
アーメン、わたしは言う、(天にて)その褒美にもれることはない。"
"410942","マルコ 9:42","しかし(わたしを)信ずるこの小さな者を一人でも罪にいざなう
者は、大きな 挽臼を頚にかけられて海に投げ込まれた方が、はるかにその人の仕合わせ
である。"
"410943","マルコ 9:43","もし手があなたを罪にいざなうなら、切ってすてよ。両手があっ
て地獄の消えぬ火の中へ行くよりも、片手で(永遠の)命に入る方が仕合わせである。
"410944","マルコ 9:44","[無し]
"410945","マルコ 9:45","もし足があなたを罪にいざなうなら、切ってすてよ。両足があっ
て地獄に投げ込まれるよりも、片足で(永遠の)命に入るほうが仕合わせである。
"410946","マルコ 9:46","[無し]
"410947","マルコ 9:47","もしまた目があなたを罪にいざなうなら、えぐり出せ。両目があ
って地獄に投げ込まれるよりも、片目で神の国に入るほうが仕合わせである。
"410948","マルコ 9:48","地獄では、"蛆は(永遠に)死なず、火は消えない"(で、その人
たちを責めさいなむからである。)
"410949","マルコ 9:49","人は皆、火で塩味をつけられねばならない。(神のお喜びになる
供え物となるためである。)
"410950","マルコ 9:50","塩は良いもの。しかしもし塩に塩気がなくなったら、何で(もう
一度)それに塩気をつけるか。(いつも)心に塩を保って、互に仲良くせよ。」
"411001","マルコ 10:1","そこを立って、ユダヤ地方とヨルダン川の向こう(のペレヤ)と
に行かれる。すると群衆がまた彼の所に集まってきたので、またいつものように教えられ
た。"
"411002","マルコ 10:2","そこにパリサイ人たちが進み出て、イエスを試そうとして尋ねた、
「夫は妻を離縁してもよろしいか。」"
"411003","マルコ 10:3","彼らに答えられた、「モーセはあなた達になんと命じているか。」
"
"411004","マルコ 10:4","彼らが言った、「モーセは、"離縁状を書いて(妻を)離縁するこ
とを"許した。」"
"411005","マルコ 10:5","イエスは彼らに言われた、「モーセはあなた達の心が(神に対し
て)頑固なために、この掟を書いたのである。"
"411006","マルコ 10:6","しかし(天地)創造の始めから、"神は彼らを男と女とに造られ
た。""
"411007","マルコ 10:7",""それゆえに人はその父と母とをすてて、"
"411008","マルコ 10:8","二人は一体となる"(とモーセは書いている。)従って、もはや二
人ではない、一体である。"
"411009","マルコ 10:9","だから夫婦は(皆)神が一つの軛におつなぎになったものである。
人間がこれを引き離してはならない。」"
"411010","マルコ 10:10","家で弟子たちが、またこのことをお尋ねした。"
"411011","マルコ 10:11","彼らに言われる、「妻を離縁してほかの女と結婚する者は、妻に
対して姦淫を犯すのである。"
"411012","マルコ 10:12","もし妻が夫を離縁してほかの男と結婚すれば、(これも)姦淫を
犯すのである。」"
"411013","マルコ 10:13","イエスにさわっていただこうとして、人々が子供たちをつれて
来ると、弟子たちが咎めた。"
"411014","マルコ 10:14","イエスはこれを見て憤り、弟子たちに言われた、「子供たちをわ
たしの所に来させよ、邪魔をするな。神の国はこんな(小さな)人たちのものである。"
"411015","マルコ 10:15","アーメン、わたしは言う、子供のように(すなおに)神の国(の
福音)を受け入れる者でなければ、決してそこに入ることはできない。」"
"411016","マルコ 10:16","それから子供たちを抱き、(頭に)手をのせて祝福された。"
"411017","マルコ 10:17","旅行に出ようとされると、ひとりの人が駆けてきて、ひざまず
いて尋ねた、「善い先生、永遠の命をいただくには、何をすればよいでしょうか。」"
"411018","マルコ 10:18","イエスは言われた、「なぜわたしを『善い』と言うのか。神お一
人のほかに、だれも善い者はない。"
"411019","マルコ 10:19","(するべきことは神の掟を守ることだけで、)掟はあなたが知っ
ている通り。──"殺してはならない、姦淫をしてはならない、盗んではならない、偽り
の証言をしてはならない、"奪い取ってはならない、"父と母とを敬え。"(ただこれだけで
ある。)」"
"411020","マルコ 10:20","その人が言った、「先生、それならみんな若い時から守っており
ます。」"
"411021","マルコ 10:21","イエスは彼をじっと見て、かわいく思って言われた、「(よく守
った。だが)一つ足りない。家に帰って、持っているものをみな売って、(その金を)貧
乏な人に施しなさい。そうすれば天に宝を積むことができる。それから来て、わたしの弟
子になりなさい。」"
"411022","マルコ 10:22","彼はこの言葉に顔をくもらせ、悲しそうにして立ち去った。大
資産家であったのである。"
"411023","マルコ 10:23","イエスは(うしろ姿を見送っておられたが、)やがて見まわして、
弟子たちに言われる、「物持ちが神の国に入るのは、なんとむずかしいことだろう。」"
"411024","マルコ 10:24","弟子たちはその言葉にびっくりした。(彼らは富むことが、神に
特別に愛されているしるしと信じたのである。)イエスはかさねて言われる、「子供たちよ、
神の国に入ることは、なんとむずかしいのだろう。"
"411025","マルコ 10:25","金持が神の国に入るよりは、駱駝が針の孔を通る方がたやす
い。」"
"411026","マルコ 10:26","弟子たちはいよいよ驚いて互に言った、「それでは、だれが救わ
れることが出来るのだろう。」"
"411027","マルコ 10:27","イエスは彼らをじっと見て言われる、「人間には出来ないが、神
には出来る。"神にはなんでも出来る。"」"
"411028","マルコ 10:28","ペテロがイエスに、「でも、わたし達は(あの金持とちがいま
す。)この通り何もかもすてて、あなたの弟子になりました」と言い出した。"
"411029","マルコ 10:29","イエスは言われた、「アーメン、あなた達に言う、わたしのため、
また福音のために、家や兄弟や姉妹や母や父や子や畑をすてた者で、"
"411030","マルコ 10:30","今、この世で──迫害のうちにおいてではあるが──百倍の家
と兄弟と姉妹と母と子と畑とを、また来るべき世では永遠の命を受けない者は一人もない。
"
"411031","マルコ 10:31","しかし(決して油断をしてはならない。)一番の者が最後になり、
最後の者が一番になることが多い。」"
"411032","マルコ 10:32","一行はエルサレムへ(の道を)上る途中であった。イエスが(十
二人の)弟子たちの先頭に立って(どしどし)歩かれるので、彼らは薄気味わるく思い、
ついて行く(ほかの)人たちは恐ろしがっていた。イエスはまた十二人(だけ)をそばに
呼んで、自分の身に起ろうとしていることを話し出された、"
"411033","マルコ 10:33","「さあ、いよいよわたし達はエルサレムへ上るのだ。そして人
の子(わたし)は(そこで)大祭司連と聖書学者たちとに引き渡される。彼らは死刑を宣
告して異教人に引き渡し、"
"411034","マルコ 10:34","異教人はなぶり、唾をかけ、鞭で打って、ついに殺すのである。
しかし三日の後に復活する。」"
"411035","マルコ 10:35","ここに、ゼベダイの子ヤコブとヨハネとが進み寄ってイエスに
言う、「先生、お願いがあります、きいていただきたいのです。」"
"411036","マルコ 10:36","彼らに言われた、「何をしてほしいのか。」"
"411037","マルコ 10:37","彼らが言った、「(来ようとしている)あなたの栄光の中で、わ
たし達の一人をあなたの右に、一人を左に坐らせてください。」"
"411038","マルコ 10:38","イエスが言われた、「あなた達は自分で何を願っているのか、わ
からずにいる。わたしが飲む(苦難の)杯を飲み、わたしが受ける洗礼を受けることが出
来るのか。」"
"411039","マルコ 10:39","「出来ます」と彼らがこたえた。イエスは言われた、「(いかに
も、)あなた達はわたしが飲む杯を飲み、わたしが受ける洗礼を受けるにちがいない。"
"411040","マルコ 10:40","しかし、わたしの右と左の席は、わたしが与えるのではなく、(あ
らかじめ神に)定められた人々に与えられるのである。」"
"411041","マルコ 10:41","(ほかの)十人(の弟子)はこれを聞いて、ヤコブとヨハネと
のことを憤慨し始めた。"
"411042","マルコ 10:42","イエスは彼らを呼びよせて言われる、「あなた達が知っているよ
うに、世間ではいわゆる主権者が人民を支配し、また(いわゆる)えらい人が権力をふる
うのである。"
"411043","マルコ 10:43","しかしあなた達の間では、そうであってはならない。あなた達
の間では、えらくなりたい者は召使になれ。"
"411044","マルコ 10:44","一番上になりたい者は皆の奴隷になれ。"
"411045","マルコ 10:45","人の子(わたし)が来たのも仕えさせるためではない。仕える
ため、多くの人のあがない金としてその命を与えるためである。」"
"411046","マルコ 10:46","彼らはエリコ(の町)に来る。イエスが弟子たちや多くの群衆
と一しょにエリコを出られると、テマイの子のバルテマイという盲の乞食が道ばたに坐っ
ていた。"
"411047","マルコ 10:47","ナザレのイエス(のお通り)だと聞くと、「ダビデの子イエス様、
どうぞお慈悲を」と言って叫び出した。"
"411048","マルコ 10:48","多くの人が叱りつけて黙らせようとしたが、かえってますます
「ダビデのお子様、どうぞお慈悲を」と叫びつづけた。"
"411049","マルコ 10:49","イエスは立ち止まって、「あれを呼べ」と言われた。人々が盲人
を呼んで言う、「安心せよ。起きよ。お呼びだ。」"
"411050","マルコ 10:50","盲人は上着をぬぎ捨て、躍り上がってイエスの所に来た。"
"411051","マルコ 10:51","イエスが彼に言われた、「何をしてもらいたいのか。」盲人がこ
たえた、「先生、見えるようになりたい。」"
"411052","マルコ 10:52","そこでイエスが、「お帰り。あなたの信仰がなおした」と言われ
ると、すぐ見えるようになって、イエスの旅行について行った。"
"411101","マルコ 11:1","一同がエルサレムの近く、(すなわち)オリブ山の中腹にあるベ
テパゲとベタニヤとに来ると、イエスはこう言って弟子を二人使にやられる、"
"411102","マルコ 11:2","「あの向いの村まで行ってきなさい。村に入るとすぐ、まだだれ
も乗らない一匹の子驢馬がつないであるのが見える。それを解いて、引いてきてもらいた
い。"
"411103","マルコ 11:3","もし『何をするのか』と言う者があったら、『主がお入用です。
すぐここにお返しになります』と言えばよろしい。」"
"411104","マルコ 11:4","二人が行って見ると、はたして(ある家の)外の通りに向いた戸
に、子驢馬がつないであったので、それを解いた。"
"411105","マルコ 11:5","するとそこに立っていた人たちが「子驢馬を解いて、何をするの
か」と言ったので、"
"411106","マルコ 11:6","イエスに言われたとおりにこたえると、許してくれた。"
"411107","マルコ 11:7","二人が子驢馬をイエスの所に引いてきて、自分たちの着物をその
上にかけると、イエスはそれに乗られた。"
"411108","マルコ 11:8","大勢の者は着物を道に敷いた。野原から小枝を切ってき(て敷い)
た者もあった。"
"411109","マルコ 11:9","(イエスの)前に行く者もあとについて行く者も、叫んだ。──
"ホサナ!、主の御名にて来られる方に祝福あれ。""
"411110","マルコ 11:10","来たるわれらの父ダビデの国に祝福あれ。いと高き所に"ホサ
ナ!""
"411111","マルコ 11:11","やがてエルサレムについって宮に入られた。隅なく見てまわれ
たのち、時間もはやおそくなったので、十二人を連れてベタニヤに出てゆかれた。"
"411112","マルコ 11:12","あくる日、弟子たちとベタニヤから出てくるとき、イエスは空
腹であった。"
"411113","マルコ 11:13","それで葉のしげった無花果の木を遠くから見て、何か(実が)
ありはしないかとそこに行かれた。が行って見ると、葉ばかりで何もなかった。(まだ)
無花果の季節でなかったのである。"
"411114","マルコ 11:14","イエスはその木に言われた、「もはやいつまでも、だれもお前の
実を食べることのないように!」弟子たちは(この呪いの言葉を)聞いていた。"
"411115","マルコ 11:15","エルサレムに来た。イエスは宮に入り、宮(の庭)で物を売る
者や買う者を追い出し始め、両替屋の台や、鳩を売る者の腰掛を倒された。"
"411116","マルコ 11:16","(また近道をするために)器物を持って宮(の庭)を通り抜け
ることを許されなかった。"
"411117","マルコ 11:17","それからこう言って教えられた、「"わたしの家は、すべての国
の人の祈りの家と呼ばれるべきである"と(聖書に)書いてあるではないか。ところがあ
なた達はそれを"強盗の巣"にしてしまっている。」"
"411118","マルコ 11:18","大祭司連と聖書学者たちはこれを聞いて、どうしてイエスを殺
そうかと(その手段を)考えていた。民衆が皆その教えに感心しきっていたので、イエス
(の勢力)を恐れたのである。"
"411119","マルコ 11:19","夕方になると、イエス達はいつも都を出て(ベタニヤに)いっ
た。"
"411120","マルコ 11:20","(次の)朝早く、通るときに見ると、(きのうの)無花果の木は
根元から枯れていた。"
"411121","マルコ 11:21","ペテロは思い出してイエスに言う、「先生、御覧なさい、お呪い
になった無花果は枯れています。」"
"411122","マルコ 11:22","イエスが彼らに答えられる、「神(の力)を信ぜよ。"
"411123","マルコ 11:23","アーメン、わたしは言う、だれでもこの山に向かい、『立ち上が
って海に飛び込め』と言って心に疑わず、自分の言うことは成ると信ずるならば、そのと
おりになる。"
"411124","マルコ 11:24","だからわたしは言う、(神に)祈り求めるものはなんでも、すで
に戴いたと信ぜよ。そうすればそのとおりになる。"
"411125","マルコ 11:25","なお立って祈っている時に、だれかに恨みがあったら赦してや
れ。これは天の父上からも、あなた達の過ちを赦していただくためである。」"
"411126","マルコ 11:26","(無し)"
"411127","マルコ 11:27","またエルサレムに来る。イエスが宮の中をぶらついておられる
と、大祭司連、聖書学者、長老たちがよって来て"
"411128","マルコ 11:28","言った、「なんの権威で(きのうのような)あんなことを(宮で)
するのか。だれがそれをする権威を授けたのか。」"
"411129","マルコ 11:29","イエスは言われた、「では一つ尋ねる。それに答えよ。その上で、
なんの権威でそれをするかを言おう。"
"411130","マルコ 11:30","──ヨハネの洗礼は天(の神)から(授かったの)であったか、
それとも人間からか、それに答えよ。」"
"411131","マルコ 11:31","彼らはひそかに考えた、「もし『天から』と言えば、『では、な
ぜヨハネを信じなかったか』と言うであろうし、"
"411132","マルコ 11:32","それとも『人間から』と言おうか。」──(だが)民衆(の反対)
がこわかった。みんながヨハネをほんとうに預言者だと思っていたからである。"
"411133","マルコ 11:33","そこで「知らない」とイエスに答える。彼らに言われる、「では
なんの権威であんなことをするか、わたしも言わない。」"
"411201","マルコ 12:1","それから譬をもって彼らに話し出された、「ある人が"葡萄畑を
つくって、垣根をめぐらし、(その中に)搾り場をもうけ、(見張りの)櫓を建てた"上、
小作人たちに貸して旅行に出かけた。"
"411202","マルコ 12:2","(収穫の)時が来たので、小作人から葡萄畑の収穫の分け前を取
り立てるために、一人の使用人を小作人の所に使にやった。"
"411203","マルコ 12:3","すると、それをつかまえてなぐりつけ、手ぶらでかえした。"
"411204","マルコ 12:4","またほかの使用人を一人やると、それをも頭をなぐり、かつ侮辱
した。"
"411205","マルコ 12:5","そこで(また)ほかの一人をやっると、それも殺してしまった。
ほかの大勢(の使用人)を(やったが、)なぐったり、殺したりしてしまった。"
"411206","マルコ 12:6","(最後に)まだ一人、最愛の(独り)息子があった。『わたしの
息子なら恐れ入るにちがいない』と言って、最後にこれを使にやった。"
"411207","マルコ 12:7","するとその小作人たちは、『これは相続人だ。さあ、殺してしま
おう。そうすればその財産はおれ達のものになるのだ』と互に言いながら、"
"411208","マルコ 12:8","つかまえて殺した上、葡萄畑の外に放り出してしまった(という
話)。"
"411209","マルコ 12:9","(それで尋ねるが、)葡萄畑の持ち主はどうするだろうか。(もち
ろん)来て小作人たちを殺し、葡萄畑をほかの人に貸すにちがいない。"
"411210","マルコ 12:10","あなた達はこの聖書の句をすら読んだことがないのか。──"大
工たちが(役に立たぬと)捨てた石、それが隅の土台石になった。"
"411211","マルコ 12:11","これは主のなされたことで、われわれの目には不思議である。"」
"
"411212","マルコ 12:12","彼らはイエスが自分たちに当て付けてこの譬を言われたことを
知ったので、(怒って)イエスを捕えようと思ったが、民衆(が騒ぎ出すの)を恐れた。
それで、イエスをそのままにして立ち去った。"
"411213","マルコ 12:13","それから彼らは数人のパリサイ人とヘロデ党の者とを、イエス
の所にやった。その言葉尻をとらえ(て訴え出)ようとするのである。"
"411214","マルコ 12:14","その人たちは来てイエスに言う、「先生、あなたは正直な方で、
だれにも遠慮されないことをよく承知しております。人の顔色を見ず、本当のことを言っ
て神の道を教えられるからです。(それでお尋ねしますが、わたし達は異教人である)皇
帝に、税を納めてよろしいでしょうか、よろしくないでしょうか。納めるべきでしょうか、
納めるべきでないでしょうか。」"
"411215","マルコ 12:15","イエスは彼らの偽善を見抜いて言われた、「なぜわたしを試すか。
デナリ銀貨を持ってきて見せなさい。」"
"411216","マルコ 12:16","持ってくると、言われる、「これはだれの肖像か、まただれの銘
か。」「皇帝のです」と彼らが言った。"
"411217","マルコ 12:17","イエスは言われた、「皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返
せ。」彼らはイエスに驚いてしまった。"
"411218","マルコ 12:18","そこに、復活なしと主張するサドカイ人たちが来て、イエスに
こう言って質問した、"
"411219","マルコ 12:19","「先生、モーセは(その律法に、)"もし死んだ兄が、"妻を残し
て"子をのこさない場合には、弟はその女をめとり、兄の家をつぐべき子をもうけよ"と
わたし達のために書いています。"
"411220","マルコ 12:20","(ところでここに)七人の兄弟があって、長男が妻をめとった
が、子をのこさずに死に、"
"411221","マルコ 12:21","次男が(この律法に従って)その女をめとったが、また子を残
さずに死に、三男も同様で、"
"411222","マルコ 12:22","ついに七人とも子をのこさず、一番最後にその女も死んでしま
いました。"
"411223","マルコ 12:23","(もし復活があるなら、)人が復活する復活の折には、この女は
その(七人の)うちのだれの妻になるのでしょうか。七人ともその女を妻にしましたから。」
"
"411224","マルコ 12:24","イエスは言われた、「あなた達は聖書も神の力も知らないから、
そんな間違いをしているのではないか。"
"411225","マルコ 12:25","死人の中から復活する時には、めとることもなく嫁ぐこともな
く、ちょうど天の使のようである。"
"411226","マルコ 12:26","死人が復活することについては、(聖書にはっきり書いてあ
る。)モーセの書の茨の薮の(燃える話の)ところで、神がモーセにこう言われたのを読
んだことがないのか、──"わたしはアブラハムの神、またイサクの神、またヤコブの神
(である)"と。"
"411227","マルコ 12:27","(ところで)神は死人の神ではなく、生きている者の神である。
(だからアブラハム、イサクなども皆復活して、今生きているわけではないか。)あなた
達は大間違いをしている。」"
"411228","マルコ 12:28","一人の聖書学者がこの議論を聞いていたが、イエスがあざやか
に答えられたのを見ると、進み出て尋ねた、「どの掟がすべてのうちで第一ですか。」"
"411229","マルコ 12:29","イエスは答えられた、「第一はこれである。──"聞け、イスラ
エルよ、われわれの神なる主はただ一人の主である。"
"411230","マルコ 12:30","心のかぎり、精神のかぎり、"思いのかぎり、"力のかぎり、あ
なたの神なる主を愛せよ。""
"411231","マルコ 12:31","第二はこれ。──"隣の人を自分のように愛せよ。"これら(二
つ)よりも大事な掟はほかにはない。」"
"411232","マルコ 12:32","聖書学者が言った、「先生、ごりっぱです。"神はただ一人であ
る、彼のほかに神はない"とは、本当のことを言われました。"
"411233","マルコ 12:33","また"心のかぎり、知恵のかぎり、力のかぎり神を愛する"こ
とと、"隣の人を自分のように愛する"こととは、どんな"燔祭や犠牲"にも勝っており
ます。」"
"411234","マルコ 12:34","イエスは彼がかしこく答えたのを見て、「あなたは神の国から遠
くない」と言われた。もうだれ一人、問おうとする者はなかった。"
"411235","マルコ 12:35","イエスは宮で教えておられたとき、言い出された、「聖書学者は
どういう訳で『救世主はダビデの子である』と言うのであろうか。"
"411236","マルコ 12:36","ダビデ自身が聖霊に感じてこう言った。──、"(神なる)主は
わが主(救世主)に仰せられた、『わたしの右に坐りなさい、わたしがあなたの敵を(征
服して)あなたの足の下に置くまで』と。""
"411237","マルコ 12:37","(このように)ダビデ自身が救世主を主と言っているのに、ど
うして(その救世主が)ダビデの子であろうか。」大勢の群衆は喜んでイエスの話を聞い
ていた。"
"411238","マルコ 12:38","またその教えの中で(こんなことを)言われた、「聖書学者に気
をつけよ。あの人たちは(人の目につくように)長い衣を着て歩くことや、市場で挨拶さ
れることや、"
"411239","マルコ 12:39","礼拝堂の上席、宴会の上座が好きである。"
"411240","マルコ 12:40","また寡婦の家を食いつぶし、長く、見かけばかりの祈りをする。
あの人たちは人一倍きびしい裁きを受けるであろう。」"
"411241","マルコ 12:41","それから賽銭箱の真向いに坐って、群衆が賽銭箱に金を入れる
のを見ておられた。大勢の金持が沢山入れているとき、"
"411242","マルコ 12:42","ひとりの貧乏な寡婦が来て、レプタ銅貨[五円]二つ、すなわ
ち(ローマの金で)一コドラントを入れた。"
"411243","マルコ 12:43","イエスは弟子たちを呼びよせて言われた、「アーメン、わたしは
言う、あの貧乏な寡婦は、賽銭箱に入れただれよりも多く入れた。"
"411244","マルコ 12:44","皆はあり余る中から入れたのに、あの婦人は乏しい中から、持
っていたものを皆、生活費全部を入れたのだから。」"
"411301","マルコ 13:1","イエスが宮を出てゆかれるとき、一人の弟子が言う、「先生、御
覧なさい、なんと大きな石、なんと堂々たる建築でしょう!」"
"411302","マルコ 13:2","イエスは言われた、「この大きな建築を見ているのか。このまま
重なっている石が一つもなくなるほど、くずれてしまうであろう。」"
"411303","マルコ 13:3","オリブ山で宮の方を向いて坐っておられると、ペテロとヤコブと
ヨハネとアンデレとだけでイエスに尋ねた、"
"411304","マルコ 13:4","「(宮がくずれると言われますが、)そのことはいつ起るか、また、
(世の終りが来て)すべてのことが実現しようとする時には、どんな前兆があるか、話し
てください。」"
"411305","マルコ 13:5","そこでイエスが話し出された。──「人に迷わされないように気
をつけよ。"
"411306","マルコ 13:6","いまに多くの人があらわれて、『(救世主は)わたしだ』と言って
わたしの名を騙り、多くの人を迷わすにちがいない。"
"411307","マルコ 13:7","戦争(を目のあたりに見たり、)また戦争の噂を聞いた時に、あ
わてるな。"それはおこらねばならないことである"が、しかしまだ最後ではない。"
"411308","マルコ 13:8","(世の終りが来る前に、)"民族は民族に、国は国に向かって(敵
となって)立ち上がる"のだから。またここかしこに地震があり、飢饉がある。(だが)
これは(まだ、新しい世界が生まれるための)陣痛の始めである。"
"411309","マルコ 13:9","しかしあなた達は(こんな外の出来事よりも)自分のことに気を
つけておれ。あなた達は裁判所に引き渡され、礼拝堂で打たれる。また、わたし(の弟子
であるが)ゆえに、総督や王の前に立たされるであろう。これは、その人たちに(福音を)
証しする(機会を与えられる)ためである。"
"411310","マルコ 13:10","(終りの日が来る前に)福音はまずすべての国の人に説かれね
ばならないのだから。"
"411311","マルコ 13:11","人々があなた達を引いていって(裁判所や役人に)引き渡した
時には、何を言おうかと取越し苦労をするな。なんでもその時に(神から)授かるもの、
それを言えばよろしい。言うのはあなた達でなく、聖霊だから。"
"411312","マルコ 13:12","また兄弟は兄弟を、父は子を、殺すために(裁判所に)引き渡
し、"子は親にさからい立って"これを殺すであろう。"
"411313","マルコ 13:13","あなた達はわたしの弟子であるために皆から憎まれる。しかし
最後まで耐え忍ぶ者は救われる。"
"411314","マルコ 13:14","しかし"(聖なる所を)荒す忌わしい者が"立ってはならない(聖
なる)所に立つのを見たら[読者は(ここに隠された意味を)よく考えるがよい]、その
時ユダヤ(の平地)におる者は(急いで)山に逃げよ。"
"411315","マルコ 13:15","屋根の上におる者は、下におりて家に入って何か取りだそうと
するな。"
"411316","マルコ 13:16","畑におる者は上着を取りに"家にもどる"な。"
"411317","マルコ 13:17","それらの日には、身重の女と乳飲み子をもつ女とは、ああかわ
いそうだ!"
"411318","マルコ 13:18","このことが冬にならないように祈れ。"
"411319","マルコ 13:19","それらの日には、神が(天地を)創造された"その創造の始め
から今日までになかった、"また(これからも)決してない"ような苦難が"臨むのだか
ら。"
"411320","マルコ 13:20","もし主がこれらの(苦難の)日を短くされなかったら、だれ一
人助かる者はあるまい。しかし選びをうけた、選ばれた人々のために、これらの日を短く
してくださっているのである。"
"411321","マルコ 13:21","またその時『ここに救世主が!』、『かしこに!』と言う者があ
っても、信ずるな。"
"411322","マルコ 13:22","偽救世主たち、"偽預言者たちが"あらわれて、"奇蹟や不思議
なことを行い、"あわよくば、選ばれた人々を惑わそうとするのである。"
"411323","マルコ 13:23","だからあなた達、気をつけておれ。あなた達には皆前もって言
っておく。"
"411324","マルコ 13:24","しかしそれらの日には、こんな苦難の後に、"日は暗く、月は光
を放たず、""
"411325","マルコ 13:25",""星は"天から"落ち、もろもろの天体が"震われるであろう。
"
"411326","マルコ 13:26","するとその時、人々は"人の子(わたし)が"大いなる権力と
栄光とをもって、"雲に乗って来るのを"見るであろう。"
"411327","マルコ 13:27","するとその時、人の子は天使たちをやって、地の"果てから天
の果てまで""四方から、"選ばれた人々を"集めるであろう。""
"411328","マルコ 13:28","無花果の木で(この神の国の)譬を学ぶがよい。──枝がすで
に柔らかになって葉が出ると、夏が近いと知るのである。"
"411329","マルコ 13:29","そのようにあなた達も、これらのことがおこるのを見たら、人
の子(わたし)が門口近く来ていることを知れ。"
"411330","マルコ 13:30","アーメン、わたしは言う、これらのことが一つのこらずおこっ
てしまうまでは、この時代は決して消え失せない。"
"411331","マルコ 13:31","天地は消え失せる。しかし(いま言った)わたしの言葉は消え
失せない。"
"411332","マルコ 13:32","ただし、(人の子の来る)その日また時間は、父上のほかだれも
知らない。天の使たちも、子(であるわたし自身)も知らない。"
"411333","マルコ 13:33","気をつけよ、油断するな。あなた達はその時がいつであるか、
知らないのだから。"
"411334","マルコ 13:34","それはちょうど、ある人が旅行に出かけようとして家を出ると
き、僕たちに全権をゆだねてひとりびとりに仕事をわりあて、また門番には目を覚まして
おれ、と言いつけるようなものである。"
"411335","マルコ 13:35","だから(たえず)目を覚ましておれ。あなた達は家の主人がい
つかえって来るか、夕方か、夜中か、一番鶏か、それとも夜明けかを知らないのだから。"
"411336","マルコ 13:36","だしぬけに主人がかえって来て、あなた達の眠っているのを見
ないとはかぎらない。"
"411337","マルコ 13:37","わたしはあなた達に言うことをすべての人に言う、『目を覚まし
ておれ』と。」"
"411401","マルコ 14:1","過越の祭と種なしパンの祭との二日前になった。大祭司連と聖書
学者たちは、どんな計略でイエスを捕えて殺そうかと考えていた。"
"411402","マルコ 14:2","「(早く片付けよう。)祭の時(に手を下して)はいけない。人民
どもが騒動を起すかも知れない」と言っていたのである。"
"411403","マルコ 14:3","ベタニヤで癩病人シモンの家におられるとき、食卓についておら
れると、一人の女が混ぜ物のない、非常に高価なナルドの香油のはいった石膏の壷を持っ
て来て、その壷をこわし、(香油をすっかり)イエスの頭に注ぎかけた。"
"411404","マルコ 14:4","数人の者は(これを見て、こう言って)互に憤慨した、「香油を、
なぜこんなもったいないことをしたのだろう。"
"411405","マルコ 14:5","この香油は三百デナリ[十五万円]以上にも売れて、貧乏な人に
施しが出来たのに。」そして女にむかっていきり立った。"
"411406","マルコ 14:6","イエスは言われた、「構わずにおきなさい。なぜいじめるのか。
わたしに良いことをしてくれたのだ。"
"411407","マルコ 14:7","貧乏な人はいつもあなた達と一しょにいるから、したい時に慈善
をすることが出来る。だがわたしはいつも一しょにいるわけではない。"
"411408","マルコ 14:8","この婦人はできるかぎりのことをした。──前もってわたしの体
に油をぬって、葬る準備をしてくれたのである。"
"411409","マルコ 14:9","アーメン、わたしは言う、世界中どこででも(今後)福音の説か
れる所では、この婦人のしたことも、その記念のために(一しょに)語りつたえられるで
あろう。」"
"411410","マルコ 14:10","ここに十二人の(弟子の)一人であるイスカリオテのユダは、
イエスを売ろうとして大祭司連の所に出かけた。"
"411411","マルコ 14:11","彼らは聞いて喜び、金をやる約束をした。ユダはどうしてイエ
スを引き渡そうかと、よい機会をねらっていた。"
"411412","マルコ 14:12","種なしパンの祭の初めの日、すなわち過越の小羊を屠る日(の
朝)、弟子たちがイエスに言う、「どこへ行って過越のお食事の支度をしましょうか。」"
"411413","マルコ 14:13","そこでイエスはこう言って二人の弟子を使にやられる、「都まで
行ってきなさい。水瓶をかついだ男に出合うから、そのあとについて行って、"
"411414","マルコ 14:14","どこでもその人が入ってゆく(家に入って、)家の主人に、『わ
たしが弟子たちと一しょに過越の食事をする部屋はどこか、と先生が言われる』と言いな
さい。"
"411415","マルコ 14:15","すると主人は敷物のしいてある、用意のできた大きな二階座敷
に案内してくれるから、そこでわたし達のために(食事の)支度をしなさい。」"
"411416","マルコ 14:16","(二人の)弟子たちは出かけて都に行って見ると、はたしてイ
エスの言葉どおりだったので、(そこで)過越の食事の支度をした。"
"411417","マルコ 14:17","夕方になると、イエスは十二人をつれて(そこに)来られる。"
"411418","マルコ 14:18","彼らが席について食事をしているとき、イエスは言われた、「ア
ーメン、わたしは言う、あなた達のうちの一人、"わたしと一しょに食事をする者が、"わ
たしを(敵に)売ろうとしている!」"
"411419","マルコ 14:19","(これを聞くと)弟子たちは悲しくなって、「(先生、)わたしで
はないでしょう!」(「わたしではないでしょう!」)と、ひとりびとりイエスに言い始め
た。 "
"411420","マルコ 14:20","イエスは言われた、「十二人の一人、わたしと一しょにひとつ鉢
から食べる者だ。"
"411421","マルコ 14:21","人の子(わたし)は(聖書に)書いてあるとおりに死んでゆく
のだから。だが人の子を売るその人は、ああかわいそうだ!生まれなかった方がよっぽど
仕合わせであった。」"
"411422","マルコ 14:22","(ユダが立ち去ったあと、)彼らが食事をしているとき、イエス
は(いつものように)パンを(手に)取り、(神を)讃美して裂き、弟子たちに渡して言
われた、「取りなさい、これはわたしの体である。」(皆がそれを受け取って食べた。)"
"411423","マルコ 14:23","また杯を取り、(神に)感謝したのち彼らに渡されると、皆がそ
の杯から飲んだ。"
"411424","マルコ 14:24","彼らに言われた、「これは多くの人のために流す、わたしの"約
束の血"である。"
"411425","マルコ 14:25","アーメン、わたしは言う、神の国で新しいのを飲むその日まで、
わたしはもう決して、葡萄の木に出来たものを飲まない。」"
"411426","マルコ 14:26","(食事がすむと、)みなで讃美歌をうたったのち、オリブ山へ出
かけた。(もう真夜中すぎであった。)"
"411427","マルコ 14:27","(道で)イエスは弟子たちに言われる、「(今夜)あなた達は、
一人のこらず(信仰に)つまずくであろう。(聖書に)"わたしは羊飼を打つ、羊はちりぢ
りになるであろう"と書いてあるからである。(羊飼はわたし、羊はあなた達である。)"
"411428","マルコ 14:28","しかしわたしは復活した後、あなた達より先にガリラヤに行く。
(そこでまた会おう。)」"
"411429","マルコ 14:29","するとペテロは言った、「仰せのとおり皆がつまずいても、この
わたしはつまずきません。」"
"411430","マルコ 14:30","イエスはペテロに言われる、「アーメン、わたしは言う、きょう
今夜、鶏が二度鳴く前に、あなたは三度、わたしを知らないと言う。」"
"411431","マルコ 14:31","するとペテロが躍起となって言った、「たとえご一しょに死なね
ばならなくても、あなたを知らないなどとは、決して申しません。」皆も異口同音にこた
えた。"
"411432","マルコ 14:32","やがて(オリブ山の麓の)ゲッセマネと呼ばれる地所に着いた。
イエスは弟子たちに言われる、「わたしの祈りがすむまで、ここに坐って(待って)おれ。」
"
"411433","マルコ 14:33","そしてペテロとヤコブとヨハネ(だけ)を連れて(奥の方へ)
ゆかれると、(急に)おびえ出し、おののきながら"
"411434","マルコ 14:34","彼らに言われる、「"心がめいって、""死にたいぐらいだ。"ここ
をはなれずに、目を覚ましていてくれ。」"
"411435","マルコ 14:35","そしてなお少し(奥に)進んでいって、地にひれ伏し、出来る
ことなら、この時が自分の前を通りすぎるようにと祈って"
"411436","マルコ 14:36","言われた、「アバ、お父様、あなたはなんでもお出来になります。
どうかこの杯をわたしに差さないでください。しかし、わたしの願いでなく、お心がなれ
ばよいのです。」"
"411437","マルコ 14:37","やがて来て、彼らが眠っているのを見ると、ペテロに言われる、
「シモン、眠っているのか。たった一時間も目を覚ましておられないのか。"
"411438","マルコ 14:38","あなた達、目を覚まして、誘惑に陥らないように祈っていなさ
い。心ははやっても、体が弱いのだから。」"
"411439","マルコ 14:39","それからまた向こうへ行って、同じ言葉で祈り、"
"411440","マルコ 14:40","また来て見られると、彼らはまたもや眠っていた。(悲しみのた
めに疲れて、)瞼が重かったのである。イエスになんと答えてよいかもわからなかった。"
"411441","マルコ 14:41","三度目に来て、(また眠っているのを見ると)言われる、「もっ
と眠りたいのか。休みたいのか。もうそのくらいでよかろう。時が来た。そら、人の子は
罪人どもの手に渡されるのだ。"
"411442","マルコ 14:42","立て。行こう。見よ、わたしを売る者が近づいてきた!」"
"411443","マルコ 14:43","イエスの言葉がまだ終らぬうちに、早くも十二人の一人のユダ
があらわれる。大祭司連、聖書学者、長老のところから派遣された一群の人が、剣や棍棒
を持ってついて来た。"
"411444","マルコ 14:44","イエスを売る者は、「わたしが接吻するのがその人だ。それを捕
えて、手ぬかりなく引いてゆけ」と、(あらかじめ)合図をきめておいた。"
"411445","マルコ 14:45","そこで、来るや否やイエスに近寄って、「先生」と言って接吻し
た。"
"411446","マルコ 14:46","人々がイエスに手をかけて捕えた。"
"411447","マルコ 14:47","(イエスの)そばに立っていたひとりの人が剣を抜いて大祭司
の下男に切りつけ、片耳をそぎ落してしまった。"
"411448","マルコ 14:48","イエスは人々に言われた、「強盗にでも向かうように、剣や棍棒
を持ってつかまえに来たのか。"
"411449","マルコ 14:49","わたしは毎日宮にいてあなた達の所で教えていたのに、捕えず
において、(どうして今、こんな真夜中に来たのか。)しかしこれは、(救世主は罪人のよ
うにあつかわれるという)聖書の言葉が成就するためである。」"
"411450","マルコ 14:50","一人のこらずイエスをすてて逃げた。"
"411451","マルコ 14:51","ある青年が素肌に亜麻布をひっかけて、イエスについて来てい
た。人々が捕えようとすると、"
"411452","マルコ 14:52","亜麻布を(人々の手に)残して裸で逃げていった。"
"411453","マルコ 14:53","イエスを大祭司(カヤパ)の所に引いてゆくと、(最高法院の役
人、すなわち)大祭司連、長老、聖書学者たちが全部集まってきた。"
"411454","マルコ 14:54","ペテロは見えがくれにイエスについて大祭司(官邸)の中庭ま
ではいって行き、下役らと一しょにすわって、火にあたっていた。"
"411455","マルコ 14:55","大祭司連をはじめ全最高法院は、イエスを死刑にするためしき
りにイエスに不利な証言をさがしたが、見つからなかった。"
"411456","マルコ 14:56","イエスに不利な偽証をする者は多かったが、その証言は合わな
かったのである。 "
"411457","マルコ 14:57","すると数人の者があらわれ、イエスに不利な偽証をして言った、
"
"411458","マルコ 14:58","「わたし達はこの人が、『自分は(人間の)手で造ったこのお宮
をこわして、手で造らない別のお宮を三日のうちに建てる』と言うのを聞いた。」"
"411459","マルコ 14:59","しかし今度も証言が合わなかった。"
"411460","マルコ 14:60","そこで大祭司は立ち上がり、真中に進み出てイエスに問うた、
「何も答えないのか。この人たちは(あんなに)お前に不利益な証言をしているが、あれ
はどうだ。」"
"411461","マルコ 14:61","しかしイエスは黙っていて、何もお答えにならなかった。大祭
司がふたたび問うて言う、「お前が、讃美されるお方の子、救世主か。」"
"411462","マルコ 14:62","するとイエスは(はじめて口を開いて)言われた、「そうだ、わ
たしだ。あなた方は"人の子(わたし)が""大能の(神の)右に坐り、""天の雲に囲ま
れて来るのを"見るであろう。」"
"411463","マルコ 14:63","すると大祭司は自分の着物を引き裂いて言う、「これ以上、なん
で証人の必要があろう。"
"411464","マルコ 14:64","諸君は(今、おのれを神の子とする許しがたい)冒涜を聞かれ
た。(この者の処分について)御意見を承りたい。」満場一致で、死罪を相当とすると決定
した。"
"411465","マルコ 14:65","(法院の役人たちの)中にはイエスに唾をかけ、目隠しをして
拳でうちながら、「(だれだか)当ててみろ」と言った者もあった。下役らはイエスにいく
つも平手打ちをくらわせた。"
"411466","マルコ 14:66","ペテロは下の中庭にいたが、大祭司の女中が一人来て、"
"411467","マルコ 14:67","ペテロが火にあたっているのを見ると、じっと見つめながら、
「あなたもあのナザレ人と一しょだった、あのイエスと」と言う。"
"411468","マルコ 14:68","しかしペテロは、「あなたが何を言っているのかわからない、見
当もつかない」と言って打ち消した。そして前庭に出てゆくと、鶏が鳴いた。(すると)"
"411469","マルコ 14:69","その女中がペテロを見て、そばに立っていた人たちに、またも
「この人はあの仲間だ」と言い出した。"
"411470","マルコ 14:70","ペテロはまた打ち消した。しばらくすると、そばに立っていた
人たちがまたペテロに言った、「確かにあの仲間だ。あなたもガリラヤ人だから。」"
"411471","マルコ 14:71","しかしペテロは、「あなた達が言っているそんな男は知らない。
(これが嘘なら、呪われてもよい)」と、幾たびも呪いをかけて誓った。"
"411472","マルコ 14:72","するとすぐ、二度目に鶏が鳴いた。ペテロは、「鶏が二度鳴く前
に、三度、わたしを知らないと言う」とイエスに言われた言葉を思い出して、わっと泣き
だした。(いつまでも涙が止まらなかった。)"
"411501","マルコ 15:1","夜が明けるとすぐ、大祭司連は長老、聖書学者と共に、すなわち
全最高法院で決議をすませたのち、イエスを縛り、引いていって(総督ピラトに)渡した。
"
"411502","マルコ 15:2","ピラトはイエスに問うた、「お前が、ユダヤ人の王か。(お前はそ
の廉で訴えられているが。)」答えて言われる、「(そう言われるならば)御意見にまかせ
る。」"
"411503","マルコ 15:3","大祭司連が(いろいろ罪状をあげて、)しきりにイエスを訴えた。
"
"411504","マルコ 15:4","そこで、またピラトが問うた、「何も答えないのか。そら、あん
なにお前を訴えているではないか。」"
"411505","マルコ 15:5","しかしイエスはもはや何もお答えにならなかったので、ピラトは
不思議に思った。"
"411506","マルコ 15:6","さてピラトは(過越の)祭の都度、人民から願い出る囚人を一人
だけ(特赦によって)赦していた。"
"411507","マルコ 15:7","ところが暴動の折、人殺しをして繋がれていた暴徒の中に、バラ
バという者があった。"
"411508","マルコ 15:8","群衆が(官邸に)上がってきて、いつもするように(してもらい
たい)と願い始めた。"
"411509","マルコ 15:9","ピラトは答えて言った、「あのユダヤ人の王を赦してもらいたい
のか。」"
"411510","マルコ 15:10","ピラトは大祭司連が妬みからイエスを引き渡したことを知って
いたのである。"
"411511","マルコ 15:11","しかし大祭司連は、(彼よりは)バラバの方を赦してもらえと群
衆を煽動した。"
"411512","マルコ 15:12","ピラトはまた彼らに言った、「では、お前たちがユダヤ人の王と
言っているあの人を、どうしようか。」"
"411513","マルコ 15:13","「それを十字架につけろ」とまた人々が叫んだ。"
"411514","マルコ 15:14","ピラトは言った、「いったいどんな悪事をはたらいたというの
か。」しかし人々はいよいよ激しく、「それを十字架につけろ」と叫んだ。"
"411515","マルコ 15:15","ピラトは群衆の機嫌を取ろうと思ってバラバを赦してやり、イ
エスを鞭打ったのち、十字架につけるため(兵卒)に引き渡した。"
"411516","マルコ 15:16","兵卒らは官邸、すなわち総督官舎、の中にイエスを引いてゆき、
(王の茶番狂言を見せるために)全部隊を呼びあつめた。"
"411517","マルコ 15:17","彼らはイエスに紫の衣を着せ、茨の冠を編んでかぶらせて(王
に仕立てたのち、)"
"411518","マルコ 15:18","「ユダヤ人の王、万歳!」と(叫んで)喝采した。"
"411519","マルコ 15:19","それから葦(の棒)で頭をたたき、唾をかけ、ひざまずいてお
がんだ。"
"411520","マルコ 15:20","こうしてなぶった後、紫の衣を脱がせてもとの着物を着せた。
兵卒らはイエスを十字架につけるために(都から)引き出した。"
"411521","マルコ 15:21","するとアレキサンデルとルポスとの父であるシモンというクレ
ネ人が、野良から来て通りかかったので、有無を言わせずイエスの十字架を負わせる。(イ
エスにはもう負う力がなかったのである。)"
"411522","マルコ 15:22","兵卒らはイエスをゴルゴダという所──訳すると「髑髏の所」
──につれて行く。"
"411523","マルコ 15:23","人々は(苦痛をやわらげるために)没薬をまぜた葡萄酒をやろ
うとしたが、お受けにならなかった。"
"411524","マルコ 15:24","兵卒らはイエスを十字架につける。それから、だれが何を取る
かと、"籤を引いて、"その"着物を自分たちで分ける、""
"411525","マルコ 15:25","十字架につけたのは朝の九時であった。"
"411526","マルコ 15:26","罪状札には ユ ダ ヤ 人 の 王と書いてあった。"
"411527","マルコ 15:27","またイエスと共に二人の強盗を、一人をその右に、一人を左に
十字架につけた。"
"411528","マルコ 15:28","(無し)"
"411529","マルコ 15:29","通りかかった人々が"頭をふりながら、"こう言ってイエスを冒
涜した、「へへえ、お宮をこわして三日で建てるという人、"
"411530","マルコ 15:30","自分を救ってみろ、十字架から下りてきて!」"
"411531","マルコ 15:31","同じように大祭司連も、聖書学者と一しょに、こう言って(イ
エスを)なぶり合った、「あの男、人は救ったが、自分は救えない。"
"411532","マルコ 15:32","救世主、イスラエルの王様が!今すぐ十字架から下りてくるが
よい。見たら信じてやるのに!」一しょに十字架につけられた二人(の強盗)も、イエス
を罵った。"
"411533","マルコ 15:33","昼の十二時になると、地の上が全部暗闇になってきて、三時ま
でつづいた。"
"411534","マルコ 15:34","三時に、イエスは大声を出して"エロイ エロイ ラマ サバ
クタニ!"と叫ばれた。訳すると、"わたしの神様、わたしの神様、なぜ、わたしをお見
捨てになりましたか!"である。"
"411535","マルコ 15:35","そばに立っていた人たちのうちにはこれを聞いて、「そら、エリ
ヤを呼んでいる」と言った者が何人かあった。(エロイをエリヤと聞きちがえたらしい。)"
"411536","マルコ 15:36","ひとりが駆けていって、"酸っぱい葡萄主を"海綿に含ませ、葦
(の棒の先)につけて、「(もう少し生かしておいて、)エリヤが下ろしに来るかどうか、
見ていよう」と言いながら、イエスに"飲ませようとした。""
"411537","マルコ 15:37","しかしイエスは(それを受けず)大声を放たれるとともに、息
が絶えた。"
"411538","マルコ 15:38","(その途端に、)宮の(聖所の)幕が上から下まで真っ二つに裂
けた。"
"411539","マルコ 15:39","イエスと向かい合ってそばに立っていた百卒長は、こんなにし
て息が絶えたのを見て、「この方は確かに神の子であった」と言った。"
"411540","マルコ 15:40","また遠くの方から眺めていた女たちもいた。そのうちにはマグ
ダラのマリヤ、小男ヤコブとヨセとの母マリヤ、およびサロメもいた。"
"411541","マルコ 15:41","──この三人はイエスがまだガリラヤにおられた時に、ついて
回って仕えていた人たちである。──(そこには)このほかに、イエスと一しょにエルサ
レムに上ってきた多くの女たちもいた。"
"411542","マルコ 15:42","もはや夕方になった。その日は支度日、すなわち安息日の前の
日[金曜日]であったので、(日が暮れると安息日になって、死体を十字架にかけておく
ことを許されなかった。そこで)"
"411543","マルコ 15:43","名望の高い最高法院の議員であるアリマタヤ生まれのヨセフが
来て、臆することなくピラトの所に行き、イエスの体(の下げ渡し)を乞うた。彼も神の
国(の来るの)を待ち望んでいた一人であった。"
"411544","マルコ 15:44","ピラトはイエスがもう死んでしまったのかと不思議に思い、百
卒長を呼んで、とうに死んだかどうかを尋ね、"
"411545","マルコ 15:45","百卒長からそうと聞くと、なきがらをヨセフに下げ渡した。"
"411546","マルコ 15:46","そこでヨセフは(日が暮れぬうちにと大急ぎで)亜麻布を買い、
イエスを(十字架から)下ろして亜麻布で巻き、岩に掘ってあった墓に横たえ、墓の入口
に石をころがしておいた。"
"411547","マルコ 15:47","マグダラのマリヤとヨセの母マリヤとは、なきがらの納められ
た所を見ていた。"
"411601","マルコ 16:1","(翌日、日が暮れて)安息日が終ると、マグダラのマリヤとヤコ
ブの母マリヤとサロメとは、イエス(の体)に油を塗りに行くために、(油にまぜる)香
料を買いととのえた。"
"411602","マルコ 16:2","そして(あくる朝、すなわち)週の初めの日[日曜日]の朝、ご
く早く、日が出ると墓場に行く。"
"411603","マルコ 16:3","「だれか墓の入口から石をころがしてくれる者があるだろうか」
と互に話しながら、"
"411604","マルコ 16:4","(ふと)目をあげて見ると、石はもうころがしてあった。(彼ら
が心配したのは)石が非常に大きかったからである。"
"411605","マルコ 16:5","墓に入ると、白い衣をきた一人の青年が右手の方に坐っているの
を見たので、ぎょっとした。"
"411606","マルコ 16:6","青年は彼らに言う、「驚くに及ばない。あなた達は十字架につけ
られたナザレ人イエスをさがしているが、もう復活されて、ここにはおられない。そら、
ここがお納めした場所だ。"
"411607","マルコ 16:7","さあ行って、弟子たち、とりわけペテロに、『イエスはあなた達
より先にガリラヤに行かれる。(前に)あなた達に言われたとおり、そこでお目にかかれ
る』と言いなさい。」"
"411608","マルコ 16:8","女たちは墓から逃げ出した。びっくりして震えあがったのである。
そしてだれにも何も言わなかった、恐ろしかったので。……"
"411609","マルコ 16:9","【さて週の第一日の朝早く復活して、まずマグダラのマリヤに自
分を現わされた。以前に七つの悪鬼を追い出していただいた女である。"
"411610","マルコ 16:10","この女は、(御在世中)おそばにいた人たちが泣き悲しんでいる
ところに行って知らせたが、"
"411611","マルコ 16:11","この人たちは、(今)生きておられること、彼女がそれを見たこ
とを聞いても、信じなかった。"
"411612","マルコ 16:12","そのあとで、そのうちの二人が田舎の方へ歩いて行く途中、別
の姿で自分を現わされた。"
"411613","マルコ 16:13","この人たちも、行って残りの人たちに知らせたが、この人たち
(の言うこと)も信じなかった。"
"411614","マルコ 16:14","その後、十一人(の弟子)が食事をしているとき自分を現わし
て、彼らの不信仰と心の頑固とをお責めになった。復活されたのを見た人々(の言うこと)
を信じなかったからである。"
"411615","マルコ 16:15","彼らに言われた、「行って、全世界のすべての人間に福音を説け。
"
"411616","マルコ 16:16","信じて洗礼を受ける者は救われ、信じない者は罰せられる。"
"411617","マルコ 16:17","そして信じた者(の伝道)には、次のような(不思議な)徴が
伴うであろう。──わたしの名を使って悪鬼を追い出し、新しい(霊の)言葉を話し、"
"411618","マルコ 16:18"," 蛇をつかむことができ、たとえ毒を飲んでも決して害をうけず、
病人に手をのせれば(かならず)癒えるであろう。」
"411619","マルコ 16:19"," 主は(このように)彼らに語った後、"天にあげられて""神の
右にお座りになり、"
"411620","マルコ 16:20"," 弟子たちは出ていって到る所で教えを説いた。すると主は彼ら
と共に働いて、(その伝道に)いろいろな(不思議な)徴をともなわせ、(彼らが説く御言
葉(の正しいこと)を保証された。】
 別 の 附 録
【しかし女たちは(今)命じられたことの一切を、手短かにペテロたちに告げた。そのあ
とで、イエス自身も彼らをもって、東から西まで、永遠の救いの、聖なる朽ちざるおとず
れを、おくられた。】