人間に結びつく生命の起源
あらゆる生命には、ひとつの原則があります。それは「存在 」し続けることです。 生命は途切れてはなりません。自分を再現して、永久の時間を永続して生きていく 「義務」「命令」があるのです。 無限コピー・無限ループの世界 といえるでしょう。すべてはここから始まります。 環境からエネルギーと資源を、自分の体に取り入れてパイプのように通過させる過程によって、命を維持していくのです。 人間の細胞には、核とミトコンドリアで別々の起源のDNAが存在しているそうです。 もともとの細胞は、酸素を利用する能力がない単細胞生物(嫌気性)で、酸素の無い環境で分裂による単純な増殖が行われていました。 同時に酸素を取り込んで効率よくエネルギーを作り出す、別種の単細胞生物(好気性)が生まれます。 好気性生物は、活動すればするほど周囲の環境から酸素を奪いますので、自分で自分の生存環境を劣化させてしまいます。 こうした両者の融合は、双方に利益をもたらし、生物としての新しい枠組みを生み出すことになりました。 酸素を使うことで嫌気性細胞がもともと生み出すより 13.7倍 のエネルギーを生み出せることになりました。 エネルギーが豊富になったことで、多細胞化も可能になりました。 性の分化は、二つの個体から減数分裂を行った生殖細胞を提供しあい、融合してまったく別の個体となるというシステムです。 ここで、最初の生命の大命題の 「無限ループ」は二つの側面を持つことになりました。 ・自己が存続すること。 ・子孫が存続すること。 いうまでもなく、この二つの絶対が、生命すべての悲喜劇の原因となります。 そして、自己の存続は自己所有物の管理業務であり、子孫の存続は社会関係管理となり、まったく性質が違う 「仕事」を同時にやらねばならなくなったのです。 ・・ジェイコブズの二つの倫理に続く 2015/12/01 T.Sakurai |