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電気馬車
ev




 来るべき世界で、人間の移動手段はどうなるでしょう?

 自転車は、構造の単純さと、筋力を使った移動では、全陸上生物中、最高のエネルギー効率の良さがあるため、引き続き利用されるでしょう。

 ゴム車輪が必要ですが、ゴムは熱帯の産物なので、貿易が必要か、あるいは温室で各地で育てて利用することになるかもしれません。

 また、自転車を活用するには、平坦な道路が必要です。アスファルトをリサイクルしつづけて、舗装技術を維持する必要があるでしょう。

 いうまでもないことですが、村内に、自転車程度の工業製品を作れるくらい(完全修理できる)くらいの設備と技術力も必要でしょう。

 (自転車がつくれるなら、ミシンも時計も織機、製縄、その他家庭内手工業で必要な小型機械のほとんどが、作れます)


 自動車については、現在の形の高速で重たい、あらゆる資源を使い、膨大な部品を必要としながら、十年程度の寿命しかもたない工業製品では、・・使う意味はなくなるでしょう。

 かといって、馬を再び、移動手段に復活させるのはナンセンスです。

 乗馬にせよ馬車にせよ、背後に動物の世話を瞬間とも気を抜けないケア作業が必要ですし、大型動物を大量使用するには、それだけの飼料が必要で、これは人間の食糧生産と衝突します。

 農地に活用できない広大な牧草地、あるいは余剰農地があって家畜用穀物の供給に問題がない場合にのみ、移動手段としての馬、あるいは農耕動力としての牛の利用など、家畜を動力として活用することが可能です。
 この点、パーマカルチャーの提案と認識の差異があります。

 興味深いことに、日本では江戸時代初期までは馬、牛などが動力として農作に使われました。
 しかし、人口の増加で、飼料が人間と競合するため、やがてそれらの家畜の利用が少なくなり、人力の徹底使用に切り替わったような例があるのです。


 必要とされる条件をあげるなら

 動力が農地利用と競合しない。(あまったエネルギーで動く)
 村内でメンテナンス・修理できる。(自力で維持できる)
 長寿命である。(製造に資源を使わない)

 これらの条件を満たすための譲歩用件としては
 高速移動は期待しない
 一度に大量の輸送を期待しない

 となりましょうか。

 現時点で、私が考えているのは、バッテリーで動く、馬車です。

 車軸と軸受けと車輪の構造材クッションバネ以外は、木製で、2人か4人のりで、屋根はホロ式。個人所有可能な、19世紀に使われていた馬車を復活させます。

 村内で生産可能で、軽量で、修理すれば数十年利用可能で、部品を交換していけば、事実上使用期限はありません。

 屋根はホロで、主に近距離移動用ですが、馬車駅を経由していけば、遠距離旅行も可能です。

 各車輪にモータを取り付け、バッテリーで駆動します。

 太陽光発電で、鉛蓄電池に充電し、航続距離は50キロ程度。スピードは時速30キロ程度でしょうか。

 バッテリーを交換することで、連続運転が可能とし、永年使用して劣化したバッテリーは村にそれぞれあるリサイクル施設で再生して新品に戻せると仮定します。

 (鉛蓄電池なら技術的ハードルは高くありません。鉛を永久リサイクルするのです。)

 夜間や天候が悪いときは、運転をひかえる。といった、のんびりとした日常の足としての、軽量EVはいかがでしょう?。

 重量物の運搬は、運河を使った船や、EVの大型化したトラック、あるいはガス内燃機関をもったトラックなどが必要でしょう。


2016/05/09


サバイバルの道具としての自動車




 大規模な災害があるたび、車に寝泊りする人々が大量に発生する。またなんらかの事情で車で夜を明かすこと機会は多い。レジャーにも車中泊は大きな利点になる。

 だが、車の車体は断熱性が低く、すぐに極寒・酷暑になってしまう。また、シートをいくら倒しても、体を横たえて休ませる空間はごく少ないか、まったくない場合がほとんどであろう。なにかおかしくはないか?

 人間は百ワット相当の熱量を常時発生するそうである。であれば、軽自動車の室内が充分に断熱されていれば暖房はほとんどなしですむ。はずだ。

 また夜間であれば、網戸があって窓を全開放するなら暑さもしのげる。

 ガソリンやバッテリーで冷暖房するのはナンセンスであることはいうまでもない。災害時にまっさきになくなるのはガソリンであるというのは、3・11の痛い経験である。

 動力源は非常事態には節約して、自走能力を最後まで維持しなければならないのだ。

 そこで提案したい。

1 車の内部の窓のすぐ上の天井360度に10箇所ほどのホック受けを設定。車内泊で寒い場合は断熱効果のある薄いビニールシートを窓の内側に天井から床まで垂れ下げて暖かい空間を作れるようにする。ある程度不透明にすることでプライバシーも守れる。

2 シートは運転時の快適さを第一とするのではなく、倒せば完全にフラットとなる構造にする。軽自動車でも体を交互に入れ替えて横になれば3人が楽に寝られる空間を作り出せるようにする。

3 さらに極寒だったり、夏の酷暑のときは、車全体をおおうシートを用意しておき、使用する。寒さ対策はこれで三重になるし、窓の部分をはずせばメッシュになるようにすれば、夏の網戸・カヤの代わりになる。

4 寝袋・折りたたみポリ水タンクなどをそなえつける。

5 乳児ミルクが作成できるように保温ホルダーの機能を高めて、湯沸し機能もそなえつけてほしい。(エンジンをかける必要はある)

 どれも簡単なことだが、これで、居住性は飛躍的に高まり、安全で快適な避難所としての車の存在価値が確立する。




2016/12/25 T.Sakurai