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リサイクル


 トイレの項目なのですが、単純に水洗で排泄物を流して、他者に処理をおまかせすることは問題がありますので、多面的に考えます。

 人間が手を加えない状態の自然環境が、永続しているのは・・。永続できているように見えるのは、物質が循環して、何度も利用しているからです。
 その土地にある「生物資源」が、流入よりも外部への流出の方がわずかでも多ければ、やがてその土地は荒廃してしまいます。

 人間が太陽のエネルギーを取り入れて、食料・カロリーに変換するには、植物や動物の「生物資源」に頼らなければなりません。
 農産物を作るには、その土地の水や土や気候などの、豊かさに依存し、人間はそれを利用した後、そっくり同じ分を返却して、農地はそれを再利用して次の収穫に変化させねばなりません。

 人間が作物の栄養分を吸収できる割合は90%程度といわれており、後の栄養分は排泄物に含まれます。また、摂取した物質はかならず排出されますので、それが作物の生育環境外に運ばれてしまうと、その分を「肥料」でおぎなってやらねばなりません。

 農地は、永久に使用するもので、使い捨てはできませんから、収穫物の遠隔地への輸送、廃棄は慎重に考える必要があるのです。
(輸入肥料や化学肥料を必要としない、「ミネラル・ニュートラル」を目指しましょう)

 収穫物の販売も、肥料の購入も、流通が前提で、当然輸送のエネルギーが必要であることも考えねばなりません。
 単純な作物の輸送は効率が悪いので、加工して付加価値をあげることもなされますが、それにもエネルギーが必要となります。

 村落共同体の一家庭として考えても、排泄物を不適切に廃棄するのは許されません。
 人間の体内から出る「ゴミ」だけではなく、生ゴミ、食器や洗濯物を洗浄した汚染水、さらには廃材、廃金属、廃プラスチックなどを、気軽に放置したり、流水に投入するとどうなるか説明の必要はありません。

 あらゆる永続の前提は循環ですから、ゴミとして「捨てる」ものは、限りなく「ゼロ」に近づけるのが環境的には「安上がり」なのです。

(貨幣経済は、ここで落とし穴に落ち込んで、単純な廃棄が金銭的に利益を生むと誤解して、結果としてとんでもない非効率をもたらしやすいのです。世界中の農地の産物を世界中にばらまき、そのために世界中から肥料を集めて提供するのは・・すごいことしてますね。)

 なんといっても、環境中の生物資源も、それを加工する原資である「太陽エネルギー」も、もともと原価は「タダ」なのです。

 わざわざ手間をかけて、非効率にして、他者の思惑に依存して、結果として支配される必要はないではありませんか。


トイレ



 第一期工事では、トイレは二つ並べて廊下に面して設置します。
 もちろん屋内の恒温環境で寒暖のヒートショックはなく、バリアフリーのこしかけ(洋式)トイレです。

 水洗ではなく、排泄後、処理した紙と一緒に、隠れる程度に補助材などをスコップでかけて、下のバケツへ落とします。(単体の大小便だけでは確実に腐敗します)
(補助材は、分解しにくいリグニンが豊富な製材残渣ではなく、土、朽木、ピートモス、竹チップなどです。)

 バケツには底に水抜き穴があり、液体部分はさらに下でうけとめて別になります。
 手の洗浄は、個室内に備え付けの小型の手洗い台(せっけんつき)で行ないます。

 蓄えるバケツのあるトイレの下空間は、上とつながって、夏冬ともに微生物が働いて分解できるだけの温度が維持されています。2-3日ごとに内部を攪拌できるようにします。

 温度の維持には、浴室・シャワーの温排水を利用するべきです。熱が不足するときは余剰電力での過熱、暑すぎるときは換気をして、電子的に自動制御しなければなりません。


 冬の外気では微生物が働かず発酵できませんし、夏の温度では発酵ではなく腐敗して耐え難い悪臭となります。
 そしてトイレの下部空間は、玄関と同じく、強制換気が24時間行なわれて、その他の臭気もすべて屋内にこもることのないようにします。

 二つトイレがあるのは、4人の住人の利便性もありますが、トイレの下部空間の容量がかぎられているので予備を用意するという意味でもあります。

 個体部分も液体部分も発酵させて、そのまま肥料にする場合もありますし、村内の処理施設に集めて、まとめて他の廃棄物と堆肥化したり、あるいはメタンガスをとりだして、ボンベに充填して利用することを考えねばなりません。

 台所からでる生ゴミなども、同じように処理していきます。いわゆるコンポストです。

 ただし、メタンを取り出すなら嫌気性発酵をしなければならないので、早めに回収して密閉タンクで処理しなければなりません。

 堆肥・液肥として使うなら好気性発酵をします。

 方法が違いますので、選択が必要です。


浴 室


 日本人の入浴好きについては、定評がありますし、私も大好きです。
 ですから廃止はできません。できることはお湯をどうやって確保し、そのお湯をどうムダにしないかになります。

 必要なのは40度程度の低温湯です。日照があれば問題ありません。
 屋根の太陽熱温水パネルでお湯を作ればいいです。補助の過熱器で太陽電池パネルの電力を一部使って温めてもいいでしょう。
 使う水は井戸水で、冬季はあたたかいですから、その分温める節約もできます。


 日本の太平洋に面した地域でしたら、これで充分でしょう。天気が悪いときは入浴をあきらめればいいのですから。


 問題は、日本海側、あるいは他の国で寒冷地で天候が悪い日々が続く地域です。
 この場合は、あきらめるのが、もっともではありますが、それでも入りたい、健康上、入らねばならない場合があります。

 もちろん食事の準備の熱源や暖房はどんなときでも必要ですから、その際に温水も同時に作ってしまうしかありません。
 熱を発生させた場合に廃熱を水に伝えてお湯にして断熱されたタンクに蓄えるのです。
 また、冷蔵庫の廃熱を利用することも考えましょう。

 排水、そして浴室を洗浄した汚染水は、そのままでは家の外にはだしません。ふくまれるものは人間の肌の残渣や体毛ですし、洗浄も自然石鹸などに限定します。
 そして、ろ過器に通して農業用水・その他に使用できるまでに浄化して自己で利用します。
 自然石鹸は分解が早く、環境負荷が低いので、農地に使うなら、ろ過は簡単なものでよいです。

 残った廃物は、乾燥させて堆肥や燃料として利用も考えます。
 さらに高度な利用は最後に触れます。


洗 濯


 洗濯については、石鹸と洗濯機を使用しますが、日本でなじみが薄い、温水を使っての洗濯を導入していきましょう。
 徹底した洗浄での洗剤の利用が減りますし、脱臭・消毒にもなります。

 太陽熱温水器の熱水を、入浴、暖房、調理、洗濯にも使用すれば、温水タンクの利用率が上がり、家の燃費性能も向上します。

 排水は入浴と同様に処理し、乾燥はサンルーム、あるいは二重屋根の乾燥空間で行ないます。外干しはなるべく避けます。

 また乾燥機は電力に余裕がある場合には良いですが、使用しなくてもさしつかえないように、準備は必要です。


排水の処理と利用


 もっとも安易な方法として、浸透マスがあります。

 直径60センチ深さ2メートルほどの穴を掘って、砕石で固めた上にコンクリート菅を立て、半分ほどまた砕石をいれて、そこに雑生活排水を流し込んで地中に浸透させるものです。

 分解性の高い汚水なら、問題ないこともありますが、井戸の近くには常識的には作りたくないですね。

 外部放流するなら、普通の家庭用では合併処理浄化槽が必要です。
 換気装置の電力は必要ですが、処理水は普通に放流できるようになりますし、これなら浸透マスに流してもいいかもしれません。

 普通の家庭排水で、30%を占めるし尿はリサイクルにまわしますので、洗濯水9%、入浴水21%、炊事関係39%の処理をすればいいです。

 合成洗剤を制限し、油や、食品残渣をふきとってから洗うなど、排水を汚す量を最小限にすれば、自分の生活環境をそれだけ汚さずにすみます。


 また、さらにアグレッシブに・・

 1 処理水を養殖池に使えるまでにしておけば、汚水も資源になります。

 2 タンク培養に使う。
 クロレラや他の有用微生物を大量に作り出し、飼料・食用にする方法が確立すれば、究極の安全保障に近づくでしょう。

 3 植物工場の液肥に改質することも、考えられます。

 ともかく、基本は、汚水排出ゼロです。
 完全リサイクルが理想です。