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主要構造物

鉄骨柱 屋根 二重壁 断熱材


 柱・床(軽量鉄骨)

 基礎として、地下に直径50センチの円筒状のコンクリート杭を作った後、アンカーを打って、その上に、柱を立てます。

 地表から数十センチのところで、将来の不当沈下などに対応するためのスペーサを挿入するための継ぎ手(ジョイント)を作っておきます。

 柱は、肉薄(厚さ6ミリ未満)の鋼材を使った軽量鉄骨で、現在ではプレハブ住宅などに使われ、コストが安く、工期も短くなります。
 耐用年数は約30年とされますが、腐食と強度なストレスがかかっていなければ、寿命は長くなります。

 鋼材ですから、最大の問題は結露です。
 防錆塗装は充分にされていることは当然ですが、それだけでは、問題に対処できません。
 気密性の高い断熱空間で使用することが前提になっています。

 防音性に問題がありますので、複数階にすると、階下に音がひびきやすいのですが、平屋ですから問題ありません。

 耐火性は木材よりはありますが、鉄筋コンクリートよりは落ちます。
 それでも重量物、重量屋根などをささえず、屋内に可燃物を少なくすれば火災に充分に耐えられますし、損傷しても、一部分を取り除いての交換も可能です。

 これは鉄筋コンクリートや重量鉄骨では不可能でしょうし、木軸構造でも事実上困難です。

 これらの点で、個人や家族レベルでのメンテのしやすさを考えて、軽量鉄骨構造とします。

 規格化もされて標準部品でかなりのことができます。

 作るのは平屋ですので、一気に床、屋根まで組み上げてしまいます。


屋根

 屋根は、上に太陽光発電パネル、太陽熱温水パネル、放射熱冷却パネルなどを、搭載します。
 これら機器のメンテナンスのために、定期的に人が登って、作業しなければなりません。
 南向き(あるいは北向き)で大面積で、ゆるやかな斜面が必要です。(角度10度を想定 二寸勾配)


 さらに、台風・竜巻など暴風・暴雨に耐えねばなりませんし、寒暖の差による劣化もあります。強風に耐えるには、屋根の勾配は低い方が有利で、影響を受けにくくなります。

 雪の降らない地域でも、豪雪にみまわれることがありますし、その場合雪降ろしが必要になりますので、これを安全におこなわねばなりません。

 また、極めてまれな災害でしょうが、遠隔地からの大量の火山灰などが運ばれて、積もることがあります。
 火山灰は粘着性が強く、洗い流すことができず、しかも雪の10倍の重みがありますので、数センチでも、建物に重大な損害を与える可能性があります。

 雪の場合でしたら、地下水を屋根の上部からシャワー上に流すことで対応可能な場合がありますが、火山灰では通用しません。人力での対処、あるいは、なんらかの機械を使っての対応が必要になります。

 条件として、200年使えることが前提の住宅ですから、上記の条件に加えて、耐久性、メンテナンスのしやすさとコストの低さ、当然のことながら屋根としての基本性能(断熱性、防音性、対候性)を満たしていなければなりません。

 単純に考えれば、長距離ウイングボディトラックの荷台に使われる、防食加工をした波状のアルミニウム(ジュラルミン)板を大きな一枚板にして(リベットで事前に接合)使えば、腐食性、強度、耐久性で有効と思われます。

 断熱性や遮音性では、もちろん問題がありますので、対策が必要です。(特に屋根に使えば猛烈に熱くなり、その上の太陽電池パネルに悪影響を与えます)
 ガルバリウム鋼板など、他の金属系の素材も同じです。

 スレート屋根材は、バランスに優れ、コスト面で有利ですが、取り付けが「釘」によるもので、雨漏りの心配があり、そもそも太陽パネルの耐用年数に比べて、短い耐久性しかありません。勾配も3寸は必要です。(角度16.7度)

 メンテするには太陽パネルを外す必要が出てくる可能性が高く、ここが最大の弱点となります。
 また、傾斜のゆるい屋根では、スキマから雨水を吸い上げて内部に侵入させやすい部材です。瓦では、軽量鉄骨がもたないでしょうし、勾配も4寸必要です。


 そのため、やはり金属系の大面積屋根材を想定します。

 しかも作成時に、屋内側に軽量鉄骨に取り付ける部材と、屋外側に太陽パネルなどの取り付け部材を溶接して、さらに足場となるステップや雪かき時に機材を使用するためのレールなども一体で作りこんで、一気に屋根をふいてしまうのが、効率的でしょう。
 すべてボルト・ナットでの固定です。
(雪下ろしは、屋根の高い部分から屋根の低い方向に下ろす「上下方向」ではなく、左右方向に下ろす方が効果的です。大量の雪や火山灰が一気に落ちると危険なのです。手作業の場合の作業者の落下などの危険も減少します。)

 熱に対しては、パネル側の裏側に断熱材(雨音対策にもなる)を使用する、あるいは断熱塗料を塗ることで改善をはかります。屋根重量に余裕があれば、屋根板を二重にして通気層を作るのも有効でしょう。

 太陽熱利用のパネルを下に設置して水を通すことも考えられますが、構造が複雑になるので、有効かどうか疑問です。

  二重屋根にするとしたら、さまざまな応用が可能ですから、おすすめになります。

 メインの屋根と同じような取り付け方法で、別の屋根の平面を内部に作ります。
 直接見えず、風雨にさらされないので、美観や耐久性は、大幅に簡略化します。
 断熱性はあった方がよいので、ポリカーボネイト素材なども良いでしょう。
 二重の屋根は、いざというときの雨漏りの防止にもなります。
 そして、サンルーム内に吸気口をつけ、屋根の最上部に、排気口をつけます。

 日照がある場合、金属の上屋根は70度以上になり、その熱は伝導率のよい素材なので内部に侵入します。
 すると内部の空気があたためられて下から上へと空気の流れができます。
 これを利用して排気口にファンを設置して、風力発電が可能です。
 太陽光パネルは日照がなくなれば発電しませんが、この風力発電は日が沈んでもしばらくは余熱で発電可能と思われます。
 また、かなりの高温の風の通過が屋根の間であるわけですから、この空間は乾燥する仕事にも使えます。


 二重屋根の内部空間を乾燥に使う場合、内部空間を右と左にわけて、使い分けます。

 一方は、食品、洗濯品などです。
 カット野菜や果物や、穀物・肉・魚などを乾燥して保存食品を作ります。
 ある程度の高温が持続するのですから、パスチャライズ殺菌を行なうことも考えられます。容器や器具の簡単な滅菌にも使えるでしょう。
 また、乾きにくい洗濯品でも、急速に乾燥できるでしょうから、多大のエネルギーを使用する洗濯乾燥機の代用になるでしょう。

 もう一方は、廃棄物の減量化です。生ゴミなどの水分を飛ばして処理する量を減らしましょう。量を減らせば、輸送の手間や、悪臭なども軽減できます。
 換気の空気浄化につかった汚染した塩水などはどこにも投棄できませんが、これで水分を飛ばして、体積を大きく減らせば、密閉容器に入れて、処分も容易になります。

 ともかく、衛生、健康にさしさわる品目とは、吸気から排気まで、まったく別系統、別空間にして、運用します。途中で混合することはあってはなりません。

 乾燥空間にレールと車輪でスライドする棚をつくってワイヤーでささえ、サンルームからモータを操作してワイヤーを伸縮させればいいでしょう。


壁面・コンクリートブロックの二重壁


 屋根を作って、敷地内を雨風から遮断してから、外周の壁面をまったく別に作ります。
 壁は住宅の外周を、途切れることなく囲い込む形となります。

 そして、強い地震にあっても倒壊しない、壁自体で、自立するものとします。
 (長い年月のあいだに複数回の激震に遭遇して、最終的に倒壊するとしても、家の外側に向かって崩れ落ちる構造にします)

 この外壁は、軽量鉄骨の構造体とは、まったく独立したものとなります。(最終的に天井部分でジョイントします。)

 地表面から40センチ下に、3メートル程度の間隔で円柱状に基礎を作りこんだ後に、ベタ連続基礎(フーチング基礎)を鉄筋を組み込んで作ります。厚みは12センチ程度。基礎杭以外の下部は、厚さ10センチ以上の砕石で突き固めます。

 その上に、二重ブロックカベを立ち上げます。
 厚さ15cm程度のコンクリートブロック壁を耐力を受け持つ部分とし、外側に10cm厚の断熱材を貼り付け、さらに空気層(湿度逃がす空間)を3cm空け、外装としての15 cm厚のブロックを積みます。合計で40cm厚の分厚い壁となります。
 基礎の間隔にあわせて、二重の壁を相互に橋渡しして強度を出す部分を作りこんでいきます。

 外壁面の立ち上がりですが、上記の断熱材を、地下のフーチン基礎まで到達させます。
 いわゆる外側基礎断熱ですが、この場合は、さらに外にもうひとつ断熱壁が地中から続いている状態になります。
 当然、床下の通風孔は作りません。

 壁に使用する鉄筋は、腐食に強い性質のものを使用します。鉄筋が錆びると体積が膨張してひび割れを起こし、そこから水や塩分が浸入すると、ひびが拡大して、劣化につながっていきます。

 ステンレスは腐食に強いので、鉄筋に使用したいのですが、資源として貴重なので、防食処理をした鋼材を使います。低コストの防食鉄筋がすでに開発されています。

 もちろん、ブロックに使われているセメント自体に塩分の強い骨材が使われていると腐食しやすいので、コンクリート自体の塩分濃度を注意しなければなりません。

 最外壁のブロック表面は、美観のため、モルタルなどで平滑に仕上げ、さらに水ガラスを塗布して、ほぼ完全に水や湿気の浸透を防御し、汚れもつかない状態にします。

 これはコンクリートの耐久性を飛躍的(7倍と言われています)に向上させます。
 耐用年数は100年を軽くクリアするはずです。ちなみに、通常のコンクリートブロック壁の耐用年数は10-15年です。

 高さは、屋根までではなく、室内の屋根断熱材までとして、高さ3メートルまでが、この二重ブロック壁になります。それより上は、通風と強風での雨風の吹き込みを充分に考慮した金属板などでふさぎます。
(ブロック塀が高くなると、倒壊の危険性が増します)


断熱材(床下と天井)


 床下の下の土は、そのまま厚い断熱材として、同時に地下からの蓄熱層にしてしまいます。
 それでも自然のままの土では問題があるので、数センチ程度の砕石で覆います。

 その上は数十センチの空間を開けて、軽量鉄骨の床梁の上に床材を張ります。場所によっては太陽熱温水を利用した床暖房のため、温水パイプをはりめぐらせます。
 また、非常用の薪ストーブを使う部分は、耐熱材でおおいます。


 天井部分は、もっとも熱が出入りしやすく、しかも大面積で影響が大きいので、厚い断熱材を使用します。

 現代工法では、発泡ウレタンを使うのが最も優れていますが、資源と環境汚染の問題、経済が定常化した場合の供給制限を考えると、「おがくずとセメント粉」を混合して、圧縮成型した、「木質系セメント板」を使用します。

 木材としての性質から、断熱性、調湿性、軽量性があり、セメントとしての性質から防火性があります。また吸湿性、遮音性、安全性もあり、ノコギリでの加工、釘打ちなど可能で、加工性も良好です。(比重0.6-1.0)

 これを層状に重ね、内部に通気層も作って、全体の厚みを20センチ程度の大きな板にしてにして、天井の断熱に使います。また、壁面内部の断熱層(厚み10センチ)にも使用します。

 壁と天井はスキマが生じますが、壁の上にかぶせる形で天井のセメント板をはりださせて、スキマをシートなどの柔軟性のある素材で密封して、気密性を確保します。

 これで、屋内は、隙間風のはいらない、気密性の高い空間となります。


(参考 断熱性能) 
木材     0.15W/mk スギ比重0.38 ヒノキ比重0.41
石膏ボート 0.22W/mk 比重0.65-0.9
コンクリート 1.6W/mk  比重2.3
木質系セメント板  0.08W/mk 比重0.5-0.6 20cm厚で、一畳分は160kg程度
 (5センチの板の間に5センチの空気層を作れば、15cm厚で、一畳分は80kg程度 性能は30%増しとなる)

ウレタン断熱材    0.02W/mk 比重0.03   20cm厚で、一畳分は10kg程度
グラスウール断熱材 0.03W/mk 比重0.02
空気 0.02W/mk
ガラス 1.0W/mk
鉄 53W/mk  銅 370W/mk

(上記は単体の性能なので、厚みが違えば伝える熱の量は当然違います。その場合の性能は、熱抵抗で判定します。また、多数の資料からのよせあつめですから、目安程度としてください。)