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立地 調査 整地 地質改良



立地の検討


 危険な場所に住んではいけません。簡単に基本を羅列しますと

・川のそば、中州
(台風・洪水時に危険)(津波が逆流する場合もある)(昔の川のあとも同様)

・海のそば
(上記と同様)(縄文以前の海のあとも同様)

・低地、湿地
(海抜の低いところ、水はけの悪いところ)(低地は地震の時にエネルギーが集中する)

・崖のそば、崖の上、急斜面

・埋立地、盛り土、切り崩し整地

・扇状地 谷地 

・地質がもろいところ。過去に地すべり、土砂くずれのあった場所

・火山の近く

 危険性がわかっていても、リスク管理でどうにかなるものとしては、豪雪地帯・台風竜巻常襲地域・酷暑・極寒地域、寒暖の激しい地域、季節風の強い地域、周期的震災経験地域があります。これは、知恵で克服しなければなりません。

 周囲の地形に崩壊する可能性のある崖、人工的な切り崩し、盛り土があれば、これも自然災害の時に崩壊して被害を出すでしょう。

 安全性の高い地域は上記の逆なのですが 

・丘陵 ・台地 ・古代からの居住場所(古くからの神社仏閣の隣接地)などの目安があります。
 土の性質としては、小石の多い場所や、火山灰の厚く積もった場所は地盤沈下のおきにくい場所とされ、粘土、砂地は危険です。


地質調査

 なにしろ超長期の住宅を建てるのですから、土地の地質の安全確認が必要です。

 軟弱地盤では住宅の重みで数年後に不当沈下を起こしたり、地震の時に液状化を起こしたりして、建物を放棄しなければならない事態も考えられます。

 正方形の住宅を想定すると、四隅と中央の五箇所を最低調査します。

調査方法(簡略な住宅用)

1・ 地面に垂直に調査ドリルをたて、機械で力を加えて掘り進め、土の深さに応じた固さを測定する(深さ10メートルまで可能)。
2・ 振動波を発生させて、反射して戻ってくる強さと時間を測定して判定する。

 この二つが簡単で現在住宅用に使われている方法です。
 機材があれば、どちらも半日で調査可能です。
 これで地盤の硬さを示すN値を深さごとに測定(推定)して、計算式を適用して対策を判断します。
 地盤のN値が10-20あれば、長期許容地耐力(トン/平米)が10トン程度になるので、平屋部分は問題ないでしょう。
 重量のかかる部分は、N値が30-50(地耐力30トン)の堅固な地盤に杭が達している必要があります。


整地


 建築場所は、当然、平面とします。
 地中に植物の大きな根や、ガレキ、岩などがない場所にします。
 敷地内に、それらがあれば、物理的に取り除きます。
 具体的には重機を使うことになるでしょう。

 整地残土、廃棄物の処理場所も考慮して、資源となるものは、有効利用するか、後に利用可能になるようにします。

 整地のさいは、盛り土は避けねばなりませんが、低地や、洪水常習地帯の場合は、基準地表面からなるべく高く地盤をして、護岸します。(できれば基準標高から1メートル、

 洪水時の被害を少なくして、屋内への水の浸入をふせぐためですが、濁流、土石流の洪水の場合、基礎地盤からえぐられることがあります。

 これに対処するのは難しいです。家の周囲を石垣や、「屋敷林」や、竹やぶで囲うと、効果があります。これらは津波のときにも、破壊力を弱めるために有効です。

 また、濃尾平野で伝統的にみられる「輪中」システムも考えるべきです。これは、集落全体を堤防でかこって、洪水への備えにするものです。

 もちろん、洪水常襲や津波常襲地帯に住みたい人はいないはずですが、地球の居住可能な地域は限られています。工夫して、土地を有効利用しなければなりません。


 杭打ち・地質改良

 軟弱層が8メートル以下の場合 柱状改良工法を使用します。

 直径50センチ程度の円柱状に土掘り用の金属ヘッドで穴を掘っていき、底まで到達してから、先端から液状のセメントを放出しながら土砂と撹拌して地表まで埋め戻します。
 セメントが硬化したら地面の中に円柱状のコンクリートの柱が残ります。
 これで、支える地盤(支持層)がN値4程度でも沈下を防ぐことができます。支持層が浅いところにあれば、掘る深さは浅くなります。

 軟弱層が厚くて、8mを超える場合は、50ミリ程度の金属のパイプをN値15以上で2メートルの深さに達するまで、打ち込む工法になります。

 長さが不足したら途中まで打ち込んでから中間の継ぎ手を溶接してさらに打ち込みます。
 現地溶接のため、現状では通常の鉄パイプを使用します。

 耐用年数は50年で、空気や水がなければ腐食しないので問題ないといえますが、最低200年程度の耐久性を持つ住宅をめざすなら、腐食しにくい素材を選択すべきでしょう。
 この場合溶接のみではなく、施工中でのねじ加工、ジョイント、溶接の手順を踏むことになります。

 杭は、屋根と床を持ち上げる軽量鉄骨の土台部分と、家の周囲の壁となる二重ブロック塀の下に使います。
 鉄骨部分は重量が軽いので、本数は少なく、数量が変化することはないですが、壁の部分は地盤の軟弱度に応じて、本数を増やす必要があります。

 どれも小型重機、専用設備が必要ですね。人力のみでは問題外です。しかし設備があれば、数人程度の工数で実現できます。