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ハードランディング 移行期間の過酷イベント



 カーボンストーム時代は200年続いたので、それ以前のノウハウのかなりの部分が失われています。

 そして、恒常時代を迎えるにあたって、新たな知識と技術を組み合わせる必要がありますが、カーボンストームで力まかせに封じ込めていたそれ以前の時代の矛盾(思想・インフラなど)をそのまま引きずっています。

 このギャップと、そもそも予想されるシステム変換時の混乱を考えると、庶民の生活はダブルパンチで困難に直面することが予想されます。

 いくつかについて、処方箋を整えてみます。(未完)
 基本としてシナリオは5パターンになるでしょう。



 1 普通の家庭+ソフトランディング

 2 普通の家庭+ハードランディング

 3 普通の家庭+破局災害+ハードランディング

 4 普通の家庭+破局災害+復旧+ソフトランディング

 5 考えうる最悪のランディング
 大量犠牲 技術水準維持不能と忘却



 ソフトランディングは、恒常時代のサイクルが完結しながらカーボン時代をすごしていた世帯が、いよいよグローバル経済が機能しなくなって、サポートが無くなる状態です。

 完結して自立しているので、生活に問題はありません。
 物資は欠乏するでしょうが、時間が解決します。



 ハードランディングは、突発的な事態により、急速にグローバル経済が機能しなくなった状態です。
 進行が急速で、恒常時代の準備ができていても衝撃は避けられません。
 いくつもの地区や、全体が、共倒れになるかもしれません。



 破局災害によるハードランディングは過酷です。
 事前の予測が一切できず、状況が一変する状態です。
 恒常時代の準備ができていても、実際に完結していても、想定の中で、もっとも厳しい試練に耐え、生き延びねばなりません。

 新人がいきなりタイトルマッチに引っ張りだされるようなものです。
 生き残れるかどうか、疑問です。

 しかしこれしかない状況も考えられるのです。



 破局災害からいったんカーボン時代系の復旧がなされて、それからソフトランディングするのは、いましばらくの時代は可能でしょう。
 しかし犠牲者そのものは、最多になるかもしれません。

 何しろ何も準備ができていない「我々の今」がここだからです。

 破局災害は、自然災害だけではありません。各レベルの地域経済・地域国家が崩壊することも充分な災害です。

 日本でいえば、国債が暴落して金融資産が消滅するといった事態や、ヨーロッパで言えばユーロが崩壊したり、アメリカで言えばリーマンショック型パニックが起きるといったことです。
 戦争・内戦もそうでしょう。


 しかし、充分な化石燃料が残っていなければ、このタイプの復興はできませんし、世界が平等に復興の恩恵をうけられるわけではありません。
 恐るべき生活格差が生じ、闘えなくなった弱者からの「平和な」略奪・支配が行われるでしょう。


2016/06/19 T.Sakurai