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自由貿易への反対



 答えははっきりしている。

 貿易品は、消費者の目にみえないところで、略奪された品物を、正体を見せないままに買わせて「富の二重略取」「二重の犯罪」となる可能性があるからだ。

 正当なコストを投入し、千年以上の未来でも、価値を生み出せ、必要とされるものは流通させるべきである。

 だが、化石燃料や鉱物資源は、とりつくせばおしまいだし、農産物とて土地を破壊し、土壌を消耗して一時的に収穫したものであるなら「不道徳」な略奪物である。

 どちらにせよ、その地域の将来の貧困を助長するのである。荒野を残す行為は許してはならない。

 また低賃金労働により、わが人類同胞隣人を奴隷的に働かせて盗んだ時間を使って作られた工業製品も同じである。

 盗まれたものは買ってはならない。あたりまえのことである。

 中世にあっては、貿易は海賊の仕事であった。なるほどである。

 海の向こうから産物をわざわざはこんでくる以上、ぼろもうけの利益がなければできない。

 だったらそんなものは略奪したか、よほど原価と販売価格がかけ離れているに決まっている。
 どっちも恥ずべき行為である。
 日用品を地球の裏側からはこぶのは愚かなことである。

 だからフェアトレ−ドも現在の形では、有効に機能し得ないであろう。

 貿易を倫理的に行うことは、大変な努力を必要とすることである。





2012/01/17