富豪のデニス・チトーなる人物が,ソューズに便乗して宇宙ステーションに個人旅行にいき,無事帰還した。
NASAは計画に支障がでたといって損害賠償を請求しようとしているらしいし,宇宙での待遇もあまり良くはなかったそうだ。
マスコミの取り上げ方もかなり冷ややかであって,論評抜きで事実を報じている。
以前,日本のテレビ局のTBSがやはり同じ程度の金額で,同じようにソューズで観光まがいの旅行をした。そのときのNHKの冷ややかさは,おもわず吹き出してしまうほどであった。
どちらも人類の科学やらなにやらに貢献したわけでもない旅行ではあろうが,それならすべての個人旅行はムダかといえばとんでもなかろう。
考えてみれば,チトー氏は人類史上はじめて,自分だけの意志で宇宙へいった人物なのである。
彼が稼いだ資産で,合法的に,自分の意志で,自分の満足のために,コストとリスクを個人で背負ってプライベートな旅をしたのである。
これまで宇宙へいった人々は確かに志願したであろう。
しかし彼らはそれに見合ったコストを自腹で切ったわけではない。
また,宇宙へ行って自由にふるまえたわけでもない。
むしろこれまでの宇宙飛行士や宇宙へいった科学者たちは機械の一部,国家の一部として(TBSの記者は会社の一員として)宇宙にいったわけで,そのとき,その場所に,その人がいくべき必然性はまるでなかったのだ。
ガガーリンの飛行はチトフでも良かったわけであり,アームストロングはアーウィンでも良かったはずだ。
彼らは選ばれた。しかしチトーは自分で選んだ。
どちらが人類の自由に貢献し,人類の偉大な足跡なのであろう。
私は彼の行動を冷ややかにではなく,彼が感じたであろうのと同じように,いくぶんかの感動をもって見たい。
そして素直な賞賛を送りたい。
この出来事は,現実的な側面でも画期的だと思う。
これで宇宙観光もメドがついたのではなかろうか。
いきなり生臭くなるが,たった7日で26億とは考えればボロイ商売なのだろう。これを延長すればロケットのすきまの奴隷運搬並のせっまいスペースに数人押しこんだだけで,100億かせげるのだ。
てっとりばやく打ち上げをペイする有効な選択手段であろう。
さあどうだろう。
ビル・ゲイツなら宇宙に何回いけるだろう。産油国の王様はどうかな? 北朝鮮やリビヤやイラクのご家族もいけるなら金を出しそうな気もする。もちろん20億や30億ぐらいだせる人間は日本にもいくらでもいよう。
税金が恐いから自分の腕一本で築いた財産でも会社形式にしている人々はゴマンといる。
どうせ自分が死んだら税務署が毟り取って意味もない道路のほじくりかえしで使うか,できの悪い息子や娘,親類縁者骨肉に相続の醜い争いをさせ,けっきょくは維持もできずに散財させるくらいなら,使っちまえ。である。
そのほうが人生を狂わせる人間が少ないのだ,倫理的で社会に有効なはずだ。
働かないし,才覚のない奴らに金を渡すのは不道徳なのだ。
いくら財産を会社に管理させて,株でもっていたって,先はしれている。
パーッと宇宙で散財して,宇宙観光産業を大々的に軌道にのせるのが,人類への貢献ではないか?。
私はそう思う。
儲かるとなれば,いくらでも市場はふくらみ,量産と経験の積み重ねでコストダウンと安全性向上がはかれる。
そうすれば宇宙開発はとてつもない勢いで進み,地球上の問題のかなりの部分が解決するかもしれない。
人類初の宇宙旅行者,デニス・チトー氏の勇気と夢に乾杯!
2001/5
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