Wolfgang Sawalisch
 & The Philadelphia Orchestra.(1992-2002)

  Sawalisch & Philadelphia Orchestra のCD のご紹介。

R.Strauss : Vier Letzte Lieder und 15 Lider
 EMI 7243 5 55594 2 5 (P)(C)1996
  R.Strauss
   2 Lieder aus Op.68(*), Madchenblumen Op.22, 3 Lieder aus Op.10, 4 Lieder Op.27
   Das Rosenband, Heimkehr, Vier Letzte Lieder(*)
 
 Barbara Hendricks(s)
 Walfgang Sawalisch(cond, piano) / The Philadelphia Orchestra(*), recorded 1994-1995

  Barbara Hendricks による Strauss の歌曲集です。最初の2曲と最後の「四つの最後の歌」のみ philadelphia Orchestra の伴奏で、その間の曲はSawalisch自身のピアノ伴奏です。個人的には全てオーケストラ伴奏の曲にして欲しかったのですが・・・録音費用の高沸がそれを許さなかったのでしょうか?まあそれはさておき、ピアノとソプラノという組み合わせが示すとおり、かなり渋いアルバムでもあります。Maestro の趣味かもしれませんが。
  Straussの歌曲には好きな曲が多いのですが、別格はやはり「四つの最後の歌」ですね。Strauss のスペシャリストである Maestro の手によるものだけに演奏も素晴らしく、オーケストラ伴奏はいぶし銀のような美しい伴奏を付けてくれています。他の曲も、Maestro のピアノ伴奏が曲に相応しい雰囲気をよく出しています。ソプラノのHendricks については人により好みが分かれると思いますが・・・私の好みとしてはもう少し抑制を効かせて欲しかったと思う部分もありますが、張りのある声は聞いていて気持ちが良いです。 philadelphia orchestra としてはかなり異色のアルバムかもしれません。(2002.7.1)




Stokowski Transcriptions , Sawallisch/phily orchestra.
   東芝EMI TOCE-8840 recorded Feb,1995
     Transcriptions from Bach,Boccherini,Beethoven,Chopin,Franck,Tchaikovsky,Debussy,Rachmaninov
     Wolfgang Sawalisch conducting the Philadelphia Orchestra.
  
  「このようなバッハ編曲・演奏はその歴史的役割を終えて・・・」と、ある評論家がストコフスキ編曲物の自作自演の演奏評を書いておりましたが、全くもって「余計なお世話」です。現代の大オーケストラによってかき鳴らされるバッハは、それはそれで独自の魅力を持っており、ピリオド楽器演奏が流行の現在と言えど、これらの演奏を歴史の中に「埋没させてしまう」必要は全くありません。(誤解されては困りますが、私はピリオド楽器による演奏も好きですよ)
  台風一過の朝に、Sawallisch/Philadelphia による「羊は安らかに草をはみ」「目覚めよと呼ぶ声あり」を聞くのはなかなかオツなものです。インタビューでSawallischさん、「もう、オペラなんか二度とやりませんよ!やるならSymphony Orchestra ですよ!」と意気揚々に語っていたので、本当はこういうのを伸び伸びとやりたかったんじゃないだろうか。
  それはさておき、この演奏は素晴らしい。個人的にはこういう編曲ものはormandy/Harris によるものよりもStokowski編曲によるものの方が好きです。もちろん、今のPhiladelphiaの音はSawallischの音であり、Stokowskiやormandyの音を期待するのは筋違なのでそれを期待する向きにはもの足りない部分もあると思われるますが、弦のしなやかさはやはりPhiladelphiaだし、こういう曲を高度に実現するSawallischの手腕はやはり大したもの。Kunzel/Cincinati, Bamert/BBC Philharmonic 等の Stokowski Transcriptionに対する「本命盤」と言ったところでしょうか?Kunzel/Cincinati は聴いていませんが、Bamert/BBC の演奏は持っています。こちらも見事な演奏で、Bamert は Stokowski の アシスタントを務めていたと言うことですから「なるほど」と言うところでしょうか。
  N響とDutoitが「トッカータとフーガニ短調」を振っていたのをテレビで見たことがありますが、この時の演奏ははっきりいって「練習不足」で、ハラハラドキドキの「実況中継に」なっていました。十分なリハーサル時間か取れなかったものと想像しますが、これは演奏家 として大変恥ずかしいことだと思います。N響は彼らにのみ専念してくれる「音楽監督」を探さなければ・・・と思わせる出来事でした。(2001.8.25 追記)


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