Elsa e Ottorino Respighi

    
left:Elsa Olivieri Sangiacomo Repighi, center:Elsa e Ottorino Respighi, right:Ottorino Respighi

 Respighi と言えば Roman Trilogy が有名ですが、それは彼ら音楽夫婦の一面を示しているにすぎません。あまり知られているとは言い難い Respighi夫妻 の魅力をご紹介。

<Table of Contents>

・レスピーギの最美曲「教会のステンドグラス」と「グレゴリオ旋法による3つの前奏曲」
・Vetrate de Chiesa ,Quattro Impressioni Sinfoniche (Church Windows )
  「教会のステンドグラス」〜4つの交響的印象〜
・甘いメランコリーに満ち溢れた「秋の詩」と幽玄・幻想の世界へ誘う「グレゴリオ聖歌風協奏曲」
・穏やかで内省的な雰囲気を漂わせる旋律美に溢れた歌曲集
・NHKスペシャル「社会主義の20世紀」のテーマ音楽にも使用された重厚で感動的な「変容」
・レスピーギ夫婦の歌曲を収録した珍しいCD


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レスピーギの最美曲「教会のステンドグラス」と「グレゴリオ旋法による3つの前奏曲」
  米Reference Recordings RR-15CD (P)(C)1985 recorded 1983
      Poema Autunnale(Ruggiero Ricci,Vn)
      Keith Clark, Pacific Symphony Orchestra
  米Sony Classical SBK60311 (P)1972(C)1998
      Gli uccelli (1966) , Vetrate di Chiesa (1964) , Scarlatti-Tommasini : La donne di buon umore (*1963)
      Eugene Ormandy and The Philadelphia Orchestra, * Louis Lane and Cleveland Orchestra  
  英Chandos CHAN 8317 (P)(C)1984 recorded 1984
      Brazilian Impressions
      Geoffrey Simon, The Philharmonia Orchestra
      

  米Telarc CD-80356 (P)(C)1994 recorded 1993
      Brazilian Impressions, Roman Festivals
      Jesus Lopez-Cobos, Cincinati Symphony Orchestra
  加CBC SMCD 5146 (P)(C)1995 recorded 1993
      Hindemith:Symphony-Matis der Maler, G.Fiala:The Kurelek Suite
      Orchestra London Canada sous la direction de Uri Mayer
  米Mercury MG50046 (LP,monaural)
      Roman Festivals
      Antal Drati, Minneapolis Symphony Orchestra
      

  
Vetrate de Chiesa ,Quattro Impressioni Sinfoniche (Church Windows )
「教会のステンドグラス」〜4つの交響的印象〜

La fuga in Egitto (The Flight into Egypt)「エジプトへの脱出」
 《...la piccola carovana andava per il deserto, nella notte vivida di stelle,
   portando il Tesoro del mondo 》.
 "...the little caravan moved through the desert, in a night alive with stars,
   carrying the Treasure of the world."
 「小さな商隊が、砂漠を通って進んで行く。空には星を戴き、この世の宝を手に持って。」
 (An. Bon. in Evang. S. Matthew II, 14)

San Michele Arcangelo (St. Michael Archangel)「大天使聖ミカエル」
 《 E si fece un gran combattimento in cielo: Michele e i suoi Angeli pugnavano col dragone,
   e pugnavano il dragone e i suoi angeli. Ma questi non prevalsero, n pi vi fu luogo
   per essi nel cielo 》.
 "And there was a great battle in heaven; Michael and his angels struggled with the dragon,
  and fought the dragon and his angels. But these did not prevail, nor was there any longer
  place for them in heaven."
  「そして天国では大きな戦が起こった。ミカエルと彼の天使は、龍とその部下たちと闘いを交える。龍は天に最早いられなくなる。」
 (S. Grg Homil. XII in Evang. S. Matth. 7-8)

Il Mattutino di Santa Chiara (The Matins of St.Clair)「聖クララの朝の祈り」
 《 Ma Ges Cristo suo sposo, non volendola lasciare cos sconsolata s la
   fece miracolosamente portare dagli angeli alla chiesa di  Sancto Francesco,
   et essere a tutto l'uficio del Matutino... 》.
 "But her husband Jesus Christ, not wanting to leave her so disconsolate,
  had her brought miraculously by the angels to the church of Saint Francis
  to be present at the complete office of Matins..."
  「イエス・キリストはそれを哀れみ、彼らを連れて聖フランシス協会に赴き、朝の祈りにあずからせる。」
 (Fioretti di S FRANC. XXXIV) (Flowers of St. Francis XXXIV)

San Gregorio Magno (St. Gregory the Great)「偉大なる聖グレゴリオ」
 《Ecco il Pontefice Massimo!... Benedite il Signore... intonate l'inno a Dio. Alleluia! 》.
 "Behold the Mighty Pontiff...Bless the Lord...sing the hymn to God, Alleluia!..."
  「見よ、偉大な法王を・・・主を祝福せよ・・・神に賛美歌を捧げよ、アレルヤ!・・・」
 (Graduale Rom.; Comm. Sanct. 33)(Roman Gradual,Common of Saints 33)

 「美しい音楽とは?」と問われたら、レスピーギの「教会のステンドグラス」と答えたい。レスピーギというと「ローマ三部作」というイメージばかりが擦り込まれているのは残念だ。もちろん、「ローマ三部作」は素晴らしい曲だし、少なくともレスピーギの代表作の一つと考えても良いだろう。
  しかし、妻エルザ(音楽家・作曲家でもあった)の働きかけにより往古の音楽(教会旋法・中世作品)に開眼し、これと近代管弦楽法(レスピーギはR=コルサコフの弟子)を融合させた彼の音楽は、イタリアの古典絵画が新しい衣を纏って現れたような錯覚にすら聴く人を陥らせる。「教会のステンドグラス」は、1921年に書かれた「ピアノ独奏の為の3つの前奏曲」(「エジプトへの脱出」・「大天使聖ミカエル」・「聖クララの朝の祈り」)に「偉大なる聖グレゴリオ」を加えて1926年に3管編成の管弦楽曲に仕立て上げられた曲で、翌年に Koussevitzky/Boston Symphony Orchestra にて初演されている。通常の3管編成に、Tam-Tam(Piccolo-Medio-Grande)・Campana・Celestra・Arpa・Pianoforte・Organoが加わる。


「エジプトへの脱出」
  フリギア旋法(modo frigio)に基づいたグレゴリオ聖歌風の主題がRespighiの華麗なOrchestrationを伴って「小さな商隊が、砂漠を通って進んで行く。空には星を戴き、この世の宝を手に持って。」というまさにそのものの雰囲気を作り出している。フリギア旋法(modo frigio)はギリシア旋法・教会旋法の一つで、この雰囲気はこの旋法によるところが大きいのだろう。最初の clarinett solo から中世世界に引き込まれるようだ。所々あのチャルメラ(?)テーマらしきものが顔を出すが、ルーツはここら辺にあるのだろうか?

「大天使聖ミカエル」
  天国でのミカエルと龍の闘いを描いた壮大な音絵巻。これはオーケストラ版の独壇場だろう。ピアノではどうひっくりかえってもこの迫力は出せない。舞い上がる弦セクションの上昇音階で始まり、オルガンまでを動員して壮絶な死闘を描く。神の審判のごとく、Tam-Tamのfffの大音響で曲を閉じる。

「聖クララの朝の祈り」
  チェレスタとハープと鐘を背景に、穏やかな・そして祈るようなグレゴリオ聖歌風の旋律が織り成すイエス・キリストの物語。

「偉大なる聖グレゴリオ」
  大法王グレゴリウス1世と神を讃えアレルヤを唱える壮大なフィナーレ。オルガン・Tam-Tam・Gran Cassa を総動員して築かれるフィナーレは圧巻。正に、オーケストラによるAlleluia の咆哮。


  この曲は、ガラス細工のような繊細極まる色彩に加えて爆発的な音量をオーケストラと指揮者に要求する非常に演奏が困難な作品であり、これは!といった演奏は少ない。

 この曲のベスト演奏は、Keith Clark と Pacific Symphony Orchestra の米Reference Recordings盤だと思う。1983年の録音にもかかわらずノイズ・リダクション無しのアナログ録音が売りで、録音は良いがノイズが多いというのが珠に傷、しかしそんなことは些細なことと一蹴してしまえるほどこの演奏は傑出している。たゆとうような雰囲気・繊細さ(ちょっと細身?)・そしてここぞというときの爆発的なパワーは他の演奏を大きく凌駕している。さすが、Reference Recordings! スピーカーが吹っ飛ぶ寸前までボリュームを上げて聴いて頂きたい。(但し、家族から非難の業火が浴びせられたり、本当にスピーカーが吹っ飛んでも当方は一切感知しません)
  併録されている「秋の詩」はRicciのソロの衰えがはっきりわかる演奏で残念。

  ormandy/philadelphia のEssential Classics盤の演奏水準は高く、この曲の名演の一つに数えても良いと思う。廉価盤であり、多くの人にお勧め出来る盤だ。ただ、Clark盤に比べると雰囲気に欠けるのが惜しい。無理無く余裕をもって鳴らしているのは流石 philadelphia。

  現在、英Cala を主催している Geoffrey Simon が Philharmonia を振ったChandos盤もなかなか良いが、個人的にはちょっとせかせかしている印象がある。「大天使聖ミカエル」の Tp. Solo は一番ゆったりした演奏。 Lopez-Cobos, Cincinati SO の米Telarc盤と Uri Mayer,Orchestra London Canada の 加CBC盤は個人的には今一というところ。 私が所有している中で最も古い録音、Drati, Minneapolis のMercury盤 は流石に年代の古さを感じさせるが、この当時としてはかなり冒険的な録音と思われる。


お次は、「教会のステンドグラス」の原曲「ピアノ独奏の為の3つの前奏曲」を。

  香港Malco Polo 8.220176 (P)1984(C)1986
     Concerto in Modo Misolidio for Piano and Orchestra(1979), Three Preludes on Gregorian Themes for piano solo(1983)
     Sonya Hanke(p), Sydney Symphony Orchestra conducted by Myer Fredman
  香港Naxos 8.553704 (P)(C)1997
     Antiche Danze ed Arie, Six Pieces for Solo Piano, Sonata in F minor
     Konstantin Scherbakov(p)
    
  Tre Plerudi sopra melodie gregoriane
    Molto lento
    Tempestoso
    Lento

  容易に入手できるのはNaxos盤で安いのでお勧め。「教会のステンドグラス」の迫力は無いがその分内省的な静寂さが際だっておりこれはこれで名曲だと思う。ただ、2曲目の "Tempestoso" と "S. Michele Arcangelo" では何故か調が違いかなり異なる印象を受ける。「教会のステンドグラス」とともに是非聴いて頂きたい。併せて収録されている「ミソリディオ旋法によるピアノとオーケストラの為の協奏曲」もかなり珍しい曲。なんでも、自己流のピアノ演奏技法を持ったVirtuosoであったRespighiがその独自の技法を盛り込んだ「一般的な感覚では大変弾きにくい」曲だそうな。(2001.10.7、10.28追記修正)




甘いメランコリーに満ち溢れた「秋の詩」と幽玄・幻想の世界へ誘う「グレゴリオ聖歌風協奏曲」
  英Chandos CHAN 9232 (P)(C)1993
    Poema Autunnale, Concerto Gregoriano, Ballata della Gnomidi
    Lydia Mordkovitch(Vn), Sir Edward Downs , BBC Philharmonic

  英DECCA 443 324-2 (P)(C)1995
    Poema Autunnale, Concerto Gregoriano
    Saint Sans : Violin Concerto no.3
    Pierre Amoyal, Charles Dutoit, Orchestre National de France

  米Reference Recordings RR-15CD (P)(C)1985 recorded 1983
    Poema Autunnale(Ruggiero Ricci,Vn), Vetrate de Chiesa
    Keith Clark, Pacific Symphony Orchestra

    
  秋にぴったりの美しいヴァイオリンとオーケストラの為の曲を2曲。まずは、悲しいことに作曲家に嫌われた「秋の詩」から。
  "A Sweet melancholy pervades the poet's feelings, but a joyful vintner's song and rythm of a Dionyiac dance
   disturb his reverie. Fauns and Bacchantes disperse at the appearance of Pan, who walks alone through fields
   under a gentle rain of golden leaves."
  「甘いメランコリーが詩人の魂を満たす。だがそれはぶどうの収穫の歌やバッカスの踊りのリズムに慰められる。牧神やバッカスはパンの出現で溶けてなくなる。また彼は黄金の木の葉の優しい雨に満たされ野原を寂しく漂っていく」
  2管編成の管弦楽にピアノとチェレスタが加わる。Respighi Revival が無ければ完全に忘れ去られていたこの曲が復活したのは喜ばしい。ヴァイオリンソロで始まる甘いメランコリーに満ちた旋律、そして中間部のバッカスの踊り、名残惜しげに消えてゆく詩人の甘いメランコリー・・・・何故 Respighi がこの曲を嫌ったのかよく分からない。
  モルドコヴィッチ盤・アモヤル盤・リッチ盤の3枚のなかでお勧めはモルドコヴィッチ盤である。リッチ盤は技巧の衰えが著しく、アモヤル盤は致命的なミスがある。恐らく修正する暇が無かったものと思われるが、素人が明確に感知できるミスをそのままで商品化してしまったとは、プロデューサーの大チョンボである。モルドコヴィッチ盤はほぼ完璧な出来。

  お次は、Respighiが絶対の自信を持っていた「グレゴリオ聖歌風協奏曲」を。
曲名の通り古風な旋法の「グレゴリオ聖歌」風の主題によるヴァイオリン協奏曲。往古の旋法に近代管弦楽法の衣を被せた「温故知新」のRespighiならではの傑作。弦楽セクションの儚いppから始まる幽玄さに満ちた導入部、そして何故か懐かしさを感じさせる旋律をオーボエが奏でると、中世へタイムスリップしたような錯覚を呼び起こされる。1楽章に続けて演奏される2楽章は、「グレゴリオ聖歌」を想わせる感動的なヴァイオリンソロから始まり、ヴァイオリンとオーケストラがメロディーをリレーのように引き継いで演奏する実に不思議な構成であり、この協奏曲の一番の聴き所と言って良くソロとオケの掛け合いは聴いていてワクワクする。勇ましく始まる3楽章は何故か中華風の旋律に聴こえてしまい、妙な雰囲気が醸し出されてしまうのは旋法の関係によるものだろうか?
  この曲はモルドコヴィッチ盤・アモヤル盤の2枚あるが、こちらについてはアモヤル盤に軍配を上げたい。モルドコヴィッチ盤も悪くはないが、この曲についてはデュトワのサポートが1枚も2枚も上手だ。

 どちらも、Respighiには「ローマ3部作」しかないと思い込んでいる人に是非聴いて頂きたい逸品である。(2001.10.8)




穏やかで内省的な雰囲気を漂わせる旋律美に溢れた歌曲集
  米LAN Recordings CD82280
    Il tramonto, Invito alla danza, Notte, O Falce di luna, Contrasto,  No,non  morto il figlio tuo
    La mamma  come el pane caldo, Ballata, Pioggia, Nevicata, Nebbie, Lamento d'Arianna
    Burjana Antonova (ms), Emil Tabakov/Sofia Chamber Orchestra
  
  Respighi が声の国・オペラの国イタリアの作曲家であることを認識させてくれる歌曲集。Il tramonto(日没)は16分もの長い曲で、弦楽によるの伴奏。穏やかで内省的だが深く濃厚な情感を漂わせた佳曲だ。他の曲も同じような傾向の曲で、秋の夜長に一人静かに聴くのに好適。これまで知られていなかったRespighiの一面を知るには格好のディスク。なお、「日没」以外の曲は指揮者による orchestration での premiere recordings とのこと。「日没」も作曲者以外の手による編曲版。(2001.10.9)





NHKスペシャル「社会主義の20世紀」のテーマ音楽にも使用された重厚で感動的な「変容」
  英Chandos CHAN8405 (P)(C)1985
    Belkis, Regina di Saba 
    Metamorphoseon XII Modi Tema e Variazioni
    Geoffrey Simon/Philharmonia Orchestra (World Premire Recordings)
  米Telarc CD-80505 (P)(C)2000
    Pines of Rome, Fountains of Rome, Metamorphoseon modi XII Theme and Variations
    Jess Lpez-Cobos/Cincinati Symphony Orchestra    
  
  NHKスペシャル「社会主義の20世紀」で初めて耳にしたとき、重厚で重苦しい冒頭部分にびっくりしてすぐさまこの曲の虜になってしまった。NHKに問い合わせれば良かったものを、あれこれ作曲家や曲を想像してCDを買い込んでは「ハズレ」という、今考えると本当に馬鹿なことをやっていた。当時は、Enesco の Romanian Poem に似ていると思い、Enesco の他の曲のCDを「もしかしたら・・・」と思って購入していた。結局、誰のどの曲か解らぬままあきらめかけていたところ、たまたま寄った秋葉原の石丸電気CDフロアで「NHKスペシャル『社会主義の20世紀』のテーマ曲」という触れ込みで Simon/Philharmonia 盤が展示されていたのを見て「え!」と驚いてしまった。それは、「やっと見つけた」という喜びと同時に、「Respighi がこんな曲を書いているのか?」という予想もしなかった「発見」に対する驚きでもあった。その当時私は、 Respighi を「『ローマ3部作』のような外面的なド派手な曲しかない作曲家」という何の根拠もない思い込みと色眼鏡で見ていたが、この「発見」で俄然 Respighi に対する偏見が消えてしまい、彼の曲を意識的に探すようになった。

  「変容」は1930年に創立50周年を迎える Boston Symphony Orchestra の為に Koussevitzky から作曲の依頼を受けたものであり、初演は同年11月7日に行われている。楽器編成は3管編成にオルガンが加わる。弦楽合奏にファゴット・コントラファゴットのみという異様に低音に偏った重苦しいテーマで開始され、9小節目でクラリネットの対旋律が現れ短く劇的な展開を見せた後、また冒頭のメロディーが現れるという基本的な"ABA"構成の最初の"Teme"に続いて、各々の"Modo"により変奏される12の変奏曲が途切れなく続く。それぞれの変奏曲は冒頭曲のテーマを基調にしつつ変形が加えられると同時に各楽器に virtuosity な solo が与えられ、さながらレスピーギによるブリリアントな「管弦楽のための協奏曲」が展開される。最後は劇的なクライマックスを迎える。

  「世界初録音」と銘打った Simon/Philharmonia 盤 がこれまでの唯一の盤だったが、最近 Cobos/Cincinati 盤が加わった。Simon/Philharmonia 盤 はこれまた珍しい「ベルキス、シバの女王」も聴けるので見逃せない。この曲も「社会主義の20世紀」で使われている。演奏はかなり感情的というか思い入れが強く、Simon の意気込みが感じられる。Chandos の Respighi Rinascimentale の先陣を切った盤でもありお勧めできる。
  一方のCobos/Cincinati 盤はかなり端整な演奏であり、スコアの隅々まで見通すことが出来るこれまた得難い盤。出来れば両方入手して聴いて頂きたいと思う。(2001.10.13)




レスピーギ夫婦の歌曲を収録した珍しいCD
 伊Nouva Era 7182 (P)7-1994  Elsa e Ottorino Respighi, Liriche per Voce e Pianoforte
   Elsa Respighi : Tre canzoni spagnole, Quattro liriche dai "Rubaiyat", Berceuse Bretonne, Je n'ai rien
   Ottorino Repighi : Cinque liriche inedite, Miranda, Ballata alla luna, Voici Noel,  Il pleut,gentil berger,
   Canzone sarda, Le funtancelle
  
  Tiziana Cisternino(s), Massimo Palumbo(p)

  Respighi夫妻の珍しい(?)歌曲を収録したCD。ブックレットには、夫妻の生い立ちから、出会い・結婚までの経緯、そして夫の死別後の夫人の活動までの詳しい説明が記載されている。(Elsa e Ottorino Repighi 'Due vite per la musica' - Potito Pedarra) エルザ夫人の収録曲はレスピーギと結婚する1919年前後に作曲され Ricordi社から出版されたもの。当時レスピーギのクラスを受講していたエルザの作曲したこれらの曲の出来を褒めたたえ、ミラノのリコルディ社に印刷を依頼したそうで、夫人の作曲家としてのキャリアもこの時点から始まった。レスピーギは結婚後も夫人に作曲を続けることを望んでおり、メンデルスゾーン姉・アルマ=マーラー・クララ=シューマンとはかなり異なるケースと言える。
  このCDの収録曲を聴く限りレスピーギ(夫)の方が出来が良い。しかし、恐らく、レスピーギに認められようとして20歳代後半に作曲されたこれらの曲は、レスピーギに対する想いが詰まった初々しさに満ちており、それはそれで魅力的な曲である。円熟したレスピーギの曲と比較するのは酷というところか。めったに聴くことが出来ない夫人の曲を聴ける唯一(かもしれない)CDなので、レスピーギファンには見逃せない。(2001.10.13)


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