お気に入り その1

コーナーを一つ作るほどではないけど、放っておけないお気に入りのディスクのご紹介。

<Table of Contents>

・♪シャバダバ・シャバダバ〜♪
  昔懐かし11P.M.、あの「シャバダバ」ソング。
・「新日本紀行」と「今日の料理」
・The TOMITA Planets 
・Water Music of the Impressionists
・Ballet Mcanique
・Snowflakes are Dancing
・Joy to the World, Christmas Music for Pan Pipes and Organ
・今後の期待大、Naxosの「日本作曲家選輯」第1弾、「日本管弦楽名曲集」
・Mambo! Mambo! Mambo! Prado in Japan 1960


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♪シャバダバ・シャバダバ〜♪
昔懐かし11P.M.、あの「シャバダバ」ソング。
  

 実は2種類あるのだ。初期の方(猪俣猛とオールスターズ)はビクターエンターテイメント(株)Love Sounds Style VICL61484(CD:写真中央、LP:写真左側 "Music for 11 P.M."日Victor SJV198 これも全部CD化して欲しいなあ・・・)で聴ける。これはなかなかの曲だ。ベースとドラムの前奏があり、OPとEDを間奏で繋いだ構成の1分弱の曲。

 Love Sounds Style というシリーズはビクターだけではなく、BMG,SME,CME,EMIの横断企画で、国内のイージーリスニング(ムード音楽)のエッセンスを集めたという好企画。CDジャケットサイズの紹介本も同時発売されており、日本のムード音楽を俯瞰したい人にはお勧めかも。(amazon.co.jpで"Love Sounds Style"で検索するといいでしょう)ちなみにスキャットは益田順平・睦美夫妻とのこと(二人はクラシック畑の人だそうな)

 後期の方(スキャット:岡崎広志・伊集加代子)はズババン!と番組タイトルそのまんまのCD(Theme of 11PM, VAP VPCD-82136, 写真右)がある。こちらは前奏も無くいきなり「シャバダ・・・」の声で始まる。OP,EDは別々のトラックで、ボーナスとしてロング・エディットバージョンも収録されている。これはOP,EDを編集して1分弱の長さに仕上げたものだ。といっても、3つのトラックのトータルは3分に満たない。千円は割高かな?

 伊集加代子といえば、「アルプスの少女ハイジ」主題歌、「ルパン3世」テーマのスキャット、「♪ダバダ〜」で始まるあのCMソング等、「声」を脳裏に焼きつけている人は少なくないだろう。あまりにも多くの出演が逆に全体像を掴みにくくさせてているという凄いお方だ。「宇宙戦艦ヤマト」や「銀河鉄道999」のヴォカリーズも彼女だったと思う。

 ちなみに作曲者はジャズピアニストでもある三保敬太郎。本業以外にも国際A級ライセンスのレーサー、ラジオのDJもやっていたという、まさに Multi Talent、こういう才人がいるんですな〜と凡人のワタクシは感嘆する次第。(2005.8.4)



「新日本紀行」と「今日の料理」
 日BMG Victor/RCA BVCF-1525 新日本紀行「富田勲の音楽」1994年(廃盤)
    大友直人/東京交響楽団、他
 日DENON/NHKCD COCQ-83613 "TOMITA ON NHK" 2003年
  

 日本オーケストラ連盟と名フィル主催「第5回現代日本オーケストラ名曲の夕べ」(2004.9.30 愛知県芸術劇場コンサートホール)にて、NHK大河ドラマ「勝海舟」よりテーマ曲「咸臨丸の船出」を聴きましたが、感動的な曲ですなあ。富田氏の音楽は他の日本の現代音楽作曲家と違ってすっと心に入ってくるメロディーを歌い上げるので好きですね。ただ、氏のオーケストラ作品によるCDとなると、映画・アニメーション・ビデオのサウンド・トラックなどを探すことになります。私が知っているのは、1994年に発売された、新日本紀行「富田勲の音楽」と昨年のTOMITA ON NHK、それから氏がLPOを振った「源氏物語幻想交響絵巻」(日DENON COCQ-83482 2000年)くらいですか・・・中古レコード屋さんで「永島茂雄物語」のサウンド・トラックも見かけました・・・

 「咸臨丸の船出」、演奏会では声はテナー一人でしたが、上記CDの演奏(岩城宏之/NHK交響楽団と大友直人/東京交響楽団)では合唱も入って感動的に歌い上げます。この当時のスコアは紛失していることが多いそうで、もしかしたらNHKの音源から作曲者本人が採譜して復元(?)したスコアから演奏していたかもしれませんね。

 最近NHK出版からTOMITA Sound Cloudという富田氏の自伝の本が発売されましたが、上記二つのCDを聴きながら読むと本当に面白くて興味深い内容ですよ。CDのブックレットの内容も同様に興味深いですが。

  TOMITA SOUND CLOUD「音の雲」富田勲 NHK出版 2003年

 あの有名な"Snowflakes are dancing"のアルバムが日本のレコード会社では全く相手にされず、結局アメリカのRCAに売り込みに行ったというエピソードがありますが、その時氏が持ち込んだ4chテープを聴いた人の中にRCA Red Sealの伝説的ともいえるプロデューサー Jhon Pfeiffer氏がいたということを知って驚きました。ファイファー氏はHorowitz,Munch,Monteux,Reiner,Stokowskiの録音をプロデュースしており、音楽家(海外のレコード・プロデューサーは音楽家が多いですね)かつ、電子工学にも造形が深いようで、自身の電子音楽のレコードを出していたり、RCA Red Sealによるディジタル録音の最初のレコード(Bartok:Concerto for Orchestra, Ormandy/Philadelphia)には"Quality by the Numbers"というエッセイも書いているくらいの方です。1996年に無くなった時には彼の追悼アルバム(The Age of LIVING STEREO:A Tribute to Jhon Pfeiffer, 米BMG/RCA Victor 09026-68524-2 (C)(P)1996 )が発売されました。この時、ピーター=マンヴィス、トーマス=シェパード氏も立ち会っていたということですが、この3人の名前を見てピンときた方は、かなりのOrmandy/Philadelphiaのファンですよ。

 あの有名な「新日本紀行」のテーマ曲は「君が代」のメロディーがベースになっていたとか、「今日の料理」の音楽は明日迄に演奏テープが必要だから急いで曲を作って録音まで・・・という綱渡り作業の末に出来上がったというエピソードがあるそうですが・・・たまたまその時確保できたプレイヤーが楽器編成を決定したという、そんな曲が有名になってしまった・・・と。「ニュース解説」のシンセサイザー音楽や「空中都市008」の位相シフトを利用した特殊効果などを聴くと、この人、本当に「音」に魅入られた人なんですね。(2004.10.2)



The TOMITA Planets 
 LP:日RCA Red Seal/RVC RVC-2111(ARL1-1919) (P)1977
 CD:米RCA Victor/BMG Music 60518-2-RG (C)1991,1976 (P)1976
  
 Electronically performed by Isao Tomita(Recorded in 1976)

  番外編ということで、富田勲氏によるシンセサイザー版の「惑星」を。私が最初に聴いた「惑星」でもあります。なんといっても、ロケットの発射音(確か、FMラジオの局間ノイズを加工したとのこと)が強烈でした。「火星」の前のこの長いイントロのせいで、通常であれば「火星」〜「木星」までの4曲はLP片面の収まるところが収まらずに「水星」迄の3曲が最初の片面に収録されていました。当然、残り片面に「木星」〜「海王星」の4曲が収まるはずもなく、「木星」は大幅カット、「天王星」と「海王星」はカットの上交互に登場してくるという荒業で何とかLP1枚に納めた・・・という苦労が目に見えるような構成でした。
  シンセサイザー版の惑星には、この富田版の他に パトリック=グリースン(という名前だったと記憶していますが)という人の録音もあります。今手元にはありませんが、蘭Mercury Golden Import の LP で聴いたことがあります。こちらは正統派というか、ロケットが飛んだり突然航行不能に陥るといったハプニングとは無縁の極めて楽譜に忠実な「惑星」でした。(2002.11.24)



Water Music of the Impressionists
 米DELOS DE3006 (P)(C)1983,recorded 1979
   Liszt:Les Jeux d'eaux a la Villa d'Este, Griffes:The Fountain of the Acqua Paola
   Ravel:Jeux d'eau, Ondine, Debussy :  La Cathdrale engloutie , Jardins sous la pluie,
   Reflets dans l'eau, Poissons d'or, Ondine
 
 Carol Rosenberger
 Bsendorfer Imperial Concert Grand

  どうやら梅雨に入った模様で、空気も湿っぽくなりました。ということで、「印象派の水の音楽」を。
  米DELOS最初期の録音で、ちょうど録音方式がアナログからディジタルへ移行していた換期でもあり、当時のLPには "Soundstream Digital Recording" という文字がそのトレードマークと録音波形(らしきもの)と共に目立ったクレジットがなされていました。LP のプレスはJVCという凝りようで、所謂「オーディオファイル」向けの ハイ・ファイ(もう死語ですね)レコードを製作していたわけです。DELOS が ormandy/philadelphia との チャイコフスキーの5番と6番を録音したのもこの時期になります。当然録音も凝っており、Soundstream社のDigital Recorder(Sampling Frequency 50kHz)やB&Kの測定用マイクロフォンを使用したりしていますが、録音場所にも細心の配慮がなされており、社主自ら
  The hall we selected for this recording has a good music-making ambience:
a large, warm, not echoing room with height, irregular surfaces and lots of wood.
With our engineering we tried to create the sensation that you(the listener) are
seated in  the choice seats - about ten to tweleve rows back in the hall.
(中略)
Since the music is all about water and liquidity and motion, I did not want to
emphasize each tone at the sacrifice of the natural blend of the hall and the "watery"
atmosphere created by the pianist. - Amelia S. Haygood
と書き記している程です。
  もう一つの売りは使用しているピアノで、通常のピアノ(88鍵)の最低音A2(27.5Hz)に対してこの Bsendorfer Imperial(97鍵)はC2(16.35Hz)の音域を持っており、その音は「沈める寺」のクライマックスで打鳴らされています。楽譜にC2の指示はないが効果は絶大なものがありますが・・・がその効果を完全な状態で確認するのに一般家庭のオーディオシステムでは恐らく不可能なのが残念。(それなりの再生は可能ですが・・・)
  まあその辺の細かいところはさておき、選曲の絶妙さ(アクア・パオラの泉、雨の庭、水の反映など絶品!)と他の録音では聴くことの出来ない音の艶やかさ(Steinway とは異なる個性の Bsendorfer の音、そしてホールトーンの美しさ)、そして Rosenberger の繊細且つ力強いタッチに酔い痴れることの出来る1枚です。(2002.6.17)




Ballet Mecanique
  Naxos 8.559060(C)2001
   George Antheil(1900-1959)
    Ballet Mecanique(Revised 1953), Serenade for String Orchestra no.1
    Symphony for five instruments(second version), Concerto for Chamber Orchestra
  
  Philadelphia Virtuosi Chamber Symphony Orchestra/Daniel Spalding

  正直、アンタイルの「機械バレエ」を廉価CD盤で聴けるとは思わなかった。Naxos の快挙にBra〜vo!と言いたい。17年前に出版された「長岡鉄男の外盤A級セレクション(1)」という本にこのアンタイルの「機械バレエ」のアナログディスクが紹介されていた(独TELEFUNKEN 6.42196)が、本の出版時点で既に廃盤になっており、長い間「名前は知っているけど聴いたことがない」曲になっていた。そのアンタイルの作品集が最新録音のしかも廉価盤で発売されるとは・・・この調子で「日本作曲家選輯」もどんどん出してもらいたいものだ。
  さて、自ら「音楽の悪童」(The Bad boy of Music, 自伝)あるいは「高貴な野蛮人」をもって認じた作曲家のアンタイルはアメリカ生まれで、1923年に渡欧しパリにてデビュー、自作のピアノ曲「飛行機ソナタ」「機械の死」で認められ、1926年にこの「機械バレエ」でセンセーションを巻き起こす。当時の未来派運動に参加し、ピカソ・コクトー・ストラヴィンスキーと親交を結んだりして前途洋々に見えたが、1930年代には壁に突き当たった感じで、1940年代にはアメリカのハリウッドに移り映画音楽等で飯を食う・・・といった経歴の持ち主。最後の10年は忙しいが作曲家として成功した人生だったようだ。彼の人生について長岡鉄男氏が『「十で神童、十五で才子、二十過ぎればただの人」という言葉があるが、これを二倍するとアンタイルにぴったり当てはまる』とうまいことを言っている。確かに、後年の作品になるに従い攻撃性は薄れ穏やかだが悪く言えば「普通の人」の作品のイメージが強くなる。
  問題の「機械バレエ」は、ピアノ・打楽器の他、電気ブザーや飛行機のプロペラといった物まで動員する。カーネギーホール(アメリカ初演)でこの曲を演奏したとき、プロペラの風で楽譜が吹き飛ばされたというハプニングまであったそうな。そのせいかはともかく、1953年の改訂版ではプロペラの音は録音したテープの音に変更されている。この演奏でもそうと思われるが解説にはそこまでの記述は無い。約70年前にはセンセーションを巻き起こしたこの曲も、今の耳にはさほどショッキングには響かない。曲の出来もヴァレーズの「電離」や「錬金術」には及ばないような気がする・・・が、それはさほど問題ではないと思う。70年前の未来派の音楽が音楽史の片隅で埋もれて忘れ去られることなく現実の音として聴けることが重要なことなのだから。ちなみに、「機械バレエ」以外の曲は「フツーの人」になってからの曲で穏やかな無調っぽい曲。
  さて、Philadelphia Virtuosi Chamber Symphony Orchestra は 1991年に Daniel Spalding により創設された室内管弦楽団で、このCDがデビュー盤だと思う。philadelphia orchestra とは特に関係は無さそうだが、今後を期待したい。(2002.1.13)




Snowflakes are Dancing
  米RCA Red Seal High Performance 09026-63588-2(C)(P)2000
   Virtuoso Electric Performances of Debussy's Beautiful Tone Paintings by TOMITA. (recorded 1973-75)
  
  Snowflakes are Dancing, Reverie, Gardens in the Rain, Clair de lune, Arabesque no.1, The Engulfed Cathedral
  Passpied, The girl with flaxen hair, Golliwog's Cakewalk, Footprints in the snow, Prelude to the Afternoon of a Faun

  この年明けの2日と3日、愛知県は久しぶりの大雪になりました。最近雪が少ないのでこれだけ降るのは珍しいことです。ということで、今回は「雪は踊っている」を取り上げます。と言ってもピアノ演奏ではなく富田勲のシンセサイザー版を。

  実は、初めてこの曲を聴いたのがこの演奏でその印象が強烈に刻み込まれてしまい、オリジナルのピアノ演奏を聴くと違和感があります。「惑星」もその口で、Bernstein/New York Philharmonic のSQ盤(弦楽四重奏版では勿論なく、Matrix 4channel盤です))で初めてオーケストラ演奏を聴いた時も「アレ、交信音と発射音が無いなあ・・・(あたりまえ)」と思ったものです。確か、富田勲のシンセサイザー演奏の第1弾がこの Debussy だったと思いますが、後発のアルバムと比較してもこれが一番出来が良いと思います。録音(?)からもう25年以上経過しており、シンセサイザー演奏の古典といっても良いくらいかも知れません。

  「雪は踊っている」のピアノ演奏は静かにしんしんと降る雪、どちらかと言うと詩的な世界を連想させますが、この富田版はどこか別世界の躍動感あふれる何か・・・としか私には表現できませんが・・・。「雨の庭」「沈める寺」「アラベスク第1番」「亜麻色の髪の乙女」等、「こんなもの聴けん!」という方もいらっしゃるでしょうが、私にとってはピアノやオーケストラでは表現不可能な世界を作り出している希有な演奏(?)だと思います。ちなみに、この富田氏のシンセサイザー演奏が 米RCA より発売されたのは、日本のどのレコード会社も食指を動かさなかったのだそうで、残念なことです。

  つい最近まで私が持っていた氏のイメージは「シンセサイザー演奏のスペシャリスト」だったのですが、最近様々なCD等で、彼の作曲家としての面(というか、本来作曲家が本業)を知りました。「新日本紀行」(君が代の旋律がベースになっていると最近知って驚きました。確かにそういわれてみれば・・・)、「リボンの騎士」「ジャングル大帝」等の手塚アニメの音楽、その他NHKのドキュメンタリーや大河ドラマの音楽も数多く作曲しているのを知り愕然としました。6年前に発売されたCD 「新日本紀行・富田勲の音楽 日BMGVictor/RCA BVCF-1525 」の解説で、「当時の楽譜は残っていないので遺された古いビデオや録音テープから採譜してスコアをおこした」旨のことを氏は語っておりますが、氏の音楽に限らず当時の日本の音楽シーンの重要な部分とも言える映像付随音楽のスコアが紛失しているケースがあまりにも多く残念なことです。今後の発掘と研究を期待したいところです。(アルバムとあまり関係ない話になってしまった・・・)

  ところでどうでも良いことですが、このアルバムの Debussy 、細身の聖徳太子 のように見えるのは私だけでしょうか?(2002.1.6)



Joy to the World, Christmas Music for Pan Pipes and Organ
  英Saydisc CD-SDL367 (P)1977/1979
   O Sanctissima, Silent night, O Christmas tree, Jesu joy of Man's Desireing, Rudolph the Res-nouse Reider
   O gentle title jesus, Come on,shepherds , Ave maria, Wake up all you shepherds, Joy to the world
   Jingle bells, On the christmas tree, Come along children, The first nowell, Dnace of the santons
   O joyful day, Ring,sleigh bells , Angels from the realms of glory, Song of Christmas, The Holy child is born
   
  Georges Schmitt(Pan-Pipes), Bernard Struber(organ), Roland Bochot & Jean Garron(Percussion)

  音階を構成する閉管をただ横に並べただけの単純な楽器 - Pan-Pipes - は不思議な楽器だ。その名前の Pan はギリシャ神話の(パーン、牧神 又は 半獣神とも訳される。ローマ神話だとfaune, faunus となる)に由来し、その牧神が好んで手にしていた笛 syrinx がこの Pan-Pipes と同じものらしい。(どちらの名前でも呼ばれるようで少々ややこしい。)ちなみに、Debussy の Prlude  L'aprs-midi D'un Faune(牧神の午後への前奏曲)も、このfaune を題にしたMllarmの同名の詩にインスピレーションを得て作曲されている。このパンフルート(とも呼ばれる)はその原理からパイプオルガンの原型と考えても良く、お互いの音の相性は非常に良い。雅楽の楽器でこれと似たような笙(しょう)があるが、こちらはリードが付いていて一度に複数の管の音が出すことが出来るし、音色はかなり異なるので、「似て非なるもの」というところか。
  さて、このアルバム、フランス・イギリス・ドイツのクリスマスキャロルを集めて演奏したもので、パンフルートがどんなものかを知りたいという人には取っつきやすいものだし、クリスマスアルバムとしても面白く、肩ひじ張らず気楽に聞ける。パンフルートの音はフルートほど洗練された音色ではなく、雑音成分(息とか風切り音)を含んだ温かい音がするが、フォルテッシモは強烈だ。尺八とはまた違う強烈さがある。(2001.12.22)



今後の期待大、Naxosの「日本作曲家選輯」第1弾、「日本管弦楽名曲集」
  香港Naxos 8.555071J (P)(C)2001 (recorded 2000)
    外山雄三:管弦楽のためのラプソディ、 近衛秀麿編:越天楽、伊福部昭:日本狂詩曲
    芥川也寸志:交響楽のための音楽、小山清茂:管弦楽のための木挽歌、吉松隆:朱鷺によせる哀歌
  
  沼尻竜典指揮、東京都交響楽団

  どえらい企画の第1弾がついに出た。今後、廉価盤の Naxos から「日本作曲家選輯」として日本のクラシック音楽が体系的に録音・発売されることとなった。改めて Klaus Heimann氏の英断に脱帽!入手が困難であったり(イメージ的に)敷居が高くて近寄り難かった日本のクラシック音楽がこれで一気にぐっと身近になると思う。廉価盤だから興味の赴くままに未知との遭遇が可能だ。
  ここに収録されている曲はそのタイトル通り、「日本作曲家選輯」のサンプラー盤として比較的親しみやすいものばかりであり、初めての人にも抵抗無く聴けると思う。このアンソロジーの今後の展開が楽しみだ。(2001.11.6)



Mambo! Mambo! Mambo! Prado in Japan 1960
  日ビクター/RCA Camden RGP-1079 (P)1973
  Cerezo Rosa , さくらさくら , 浜千鳥 , Historia De Un Amor , La Virgen De La Macarena
  Mambo Japone , Tequila , Mambo no.5 , Mambo no.8 , Princess SUGA
  
  Perez Prado and His Orchestra , 1960年3月東京国際劇場におけるライブ

  1950〜60年にかけて日本に空前のマンボブームがあったと思う。(といっても、1969年生まれの私は当時は存在しておりませんが・・・)「魔法使いサリー」という少女マンガのエンディングが「魔法のマンボ」だったし、「マカロニほうれん荘」というマンガにもマンボのギャグが登場している。(あの、「ウ!」の掛け声が・・・)
  それはさておき、このライブは聴いていて本当に楽しい。Perez Prado 2回目の来日時のライブ録音だそうだが、 Prado も観客もお互いノリまくっている。あの有名な Mambo no.5 の掛け声を観客がタイミングを計って声を出すのだが、 Prado がわざとタイミングをずらして観客の「ウ!」の掛け声を不発(?)に終わらせたり、 Prado がギャグ(?)で観客を笑わせたりとサービス精神旺盛なところを披露している。さくらさくら・浜千鳥・Mambo Japone・Princess SUGA 等日本にちなんだ曲を入れるところもそのサービス精神の現れというところか。スタジオ録音とは比べ物にならない熱気で、収録時間が短いこともあり聴いているとあっと言う間に終わってしまう。ステレオ録音の初期だが録音は明瞭で聞きやすくライブの雰囲気も良く出ている。中古レコード屋さんでの500円バーゲン品、これは掘り出し物。(2001.10.30) 



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