Riccardo Muti
& The Philadelphia Orchestra.(1972-1992,MD:1980-1992)

Photo:Mutis and Ormandys, in Florence ,1970
from "Riccardo Muti : Twenty years in Philadelphia"
20年間に及ぶ Muti/Philadelphia の録音を紹介していきます。
Discs
Rachmaninov:Piano Concerto No.3
米Angel/EMI Capitol DS-49049 (P)1987 EMI (C)1987 Angel (DMM LP), 英EMI 27 0623 1 (DMM LP)
CDC 7 49049 2 (CD)
recorded at Memorial Hall Fairmount Park, Philadelphia 1986

Andrei Gavrilov(piano)
Riccardo Muti/The Philadelphia Orchestra
ガヴリーロフとムーティ/フィラデルフィア によるラフマニノフのピアノ協奏曲3番。この組み合わせでは同じ作曲家の2番目の協奏曲と「パガニーニの主題による狂詩曲」がある。チャイコフスキーはピアノ協奏曲1番の録音もあるが、オーケストラはフィラデルフィアではなくフィルハーモニアとの組み合わせ。philadelphia と philharmonia は勘違いされやすいのか、なんとこの米LP盤にはチャイコフスキーの録音は philadelphia と記されている。困ったものだ。
この演奏のCDは現在国内外とも廃盤のようで、EMI Red Line Series でも再発売されなかった。(2番と「パガニーニ・・・」は国内盤(EMI Classics/東芝EMI TOCE-4040, 1997)で再発されたが、こちらももう生産終了で入手は困難だろう。 )流通量が少ないのか、オークションでもなかなかお目にかかれない。特にCDは希少価値(?)のせいか、2回くらいお目にかかったことはあるが、残念ながら落札出来なかった。LPもそうお目にかかることはないが、今回運良く(?)アメリカ盤を入手できた。埃だらけのLPだったが殆ど針を通していないせいか、丁寧にクリーニングをすると新品同様の音で聴くことが出来た。DMMプレスでゴーストも無く音も良い。(とはいえ、Direct Metal Mastering が解る人がどれだけいることやら・・・。既にLPを見たこともない世代が社会人になっているのだから)
ムーティ/フィラデルフィア によるラフマニノフの録音は上記3曲しか知らない。他にあるかも知れないし、定期ではシンフォニーも演奏しているかも知れないけど・・・そこらへんはどうなんでしょうね?それはさておき、この演奏はなかなか良い。オーケストラも美しいし、ピアノも堂々として貫禄充分。競合盤の多い名曲なのでなかなか再発されないようだが、是非もう一度他のムーティ/フィラデルフィアの録音も含めてCD再発を期待したい。(2005.7.15)
Beethoven : Klavierkonzert Nr.4
日本フォノグラム/Philips PHLP-4807(070 319-1) (C)1989 CMVP

Claudio Arrau, Riccardo Muti/The Philadelphia Orchestra(Academy of Music, Philadelphia,Feb.1983)
たまたま Yahoo! のオークションで見かけて落札したLD。ormandy が桂冠指揮者となりMutiが本格的に音楽監督として活躍し出したころの映像です。(といっても、主役はピアニストのアラウですが・・・)オーケストラは2管編成と小規模です。(楽譜が無いので推測ですが・・・)Mutiは腕をブンブン振り回していて、見ているこちらが疲れそう・・・。背を丸めて舞台の袖からゆっくり登場し、そのピアノ演奏も華麗とは言い難く見た目にもゴツゴツしたタッチのアラウとは好対照です。オーケストラはすばらしい音を聞かせてくれます。しかし当然のことながら、カメラワークはピアニストと指揮者が中心で、メンバーの映像が少ないのが残念です。ホルンは一度もズーム画面がありませんでした。Philips には他にもこのような映像をLDで発売しているのでしょうか。ちょっと気になります。(2003.1.19)
Beethoven : Symphony no.7
英EMI ASD3646(P)1979 (LP)
recorded at Met Church of Philadelphia
recording prducer:Christpher Bishop, recording engeneer:Michael Gray

Riccardo Muti/The Philadelphia Orchestra
Muti/Philadelphia が EMI とのレコーディングを開始した時期の録音(アナログ録音)であり後年の全集録音(ディジタル録音)とは別物。以前、
オーマンディ掲示板にてこのレコーディングのことを知り、ちょうど引っ越しの最中にこのLPを見つけて購入し、ようやく落ち着いて聞くことが出来た次第。
指揮者・オーケストラとも若々しく覇気に溢れた演奏だが、ただ闇雲に突進するだけではなく、そこはイタリア人というところで、唄わせるところはテンポを落として存分にカンタービレしているところは流石。通常は省略する繰り返しも律義に演奏しているのは、この当時の流行かあるいは Muti の主義によるものだと思われる。(恐らく後者) 4楽章のフィナーレはこれだけ良い演奏だとやっぱり興奮する。
全集の録音と聴き比べたわけでは無いが、埋もれさせておくには惜しい演奏だ。なお、同年に第6番(EMI 069 03501,LP)も録音しているが、残念ながらこちらは未入手で聴いていない。(2002.5.13, 2004.3.5加筆修正)
Swan Lake & The Sleeping Beauty
東芝EMI Classics RED LINE TOCE-4021(C)1997
Swan Lake Suite, The Sleeping Beauty Suite (recorded 1984)

Riccardo Muti/The Philadelphia Orchestra
Muti/Philadelphia の 「白鳥の湖」と「眠れる森の美女」です。Ormandy の指揮よりも幾分早めのテンポで軽快に曲を運んで行きます。1枚のLP(CD?)に納めるために曲数が少なくなっているのは残念ですが、この2曲の演奏はなかなか良いです。Muti が完全に philadelphia を自分の楽器として掌握したと思える出来栄えの演奏ではないでしょうか?
「白鳥の湖」のワルツなど、ormandy の演奏では省略された(とても)美味しい部分もちゃんと演奏してくれていますし(さて、どこでしょう?)、「眠れる森の美女」のPas d'action(Rose adagio,聴き所の一つ)も期待を裏切りません。金管が威勢良く鳴りますが、エレガントな brass の咆哮は聴いていて爽快です。ormandy の円熟の棒もいいですが、Muti のエネルギッシュでダイナミックな棒で聴くのもまた良し。「くるみ割り人形」を録音しなかったのは残念。(2001.12.28)
Muti/Philadelphia 最後の年のShostakovich
EMI RED LINE 7243 5 72978 2 0 (P)1993 (C)1998
Shostakovich : Symphony no.5, Festive Overture (recorded 1992)

Riccardo Muti/The Philadelphia Orchestra
今日(昨日?)、タワーでたまたま890円で売られていたこの盤を見つけて購入。Mutiのレパートリーとしては異色の曲かも知れない。早速聴いてみたが、philadelphia は相変わらず充実した音を出しているし、Mutiの指揮も金管を張り出させる場面もあるがどちらかというと全体的にふくよかな音作りをしている。久しぶりに5番交響曲と祝典序曲を聴いたが、特に祝典序曲は爽快。5番交響曲で一番感動的なのが、3楽章の Largo であり、ここでも philadelphia の弦の美しさが光っていると思う。(2001.11.9、2001.11.14 追記)
Muti/Philadelphia の 1979年と1990年の2つの「展覧会の絵」
英EMI CDC-7 47099 2 (P)1979 (P)1985
Mussorgsky : Pictures at an Exhibition , Stravinsky : L'oiseau de Feu - Suite(1919)
日Philips PHCP-1688(432 170-2) (recorded 1990)
Mussorgsky : Pictures at an Exhibition , Night on the Bare Mountain

The Philadelphia Orchestra/Riccardo Muti
Muti が Philadelphia Orchestra の Music Director に就任する少し前(主席客演指揮者時代)の録音と辞任する少し前の録音が、奇しくも同じ「展覧会の絵」というのは単なる偶然なのだろうか?ジャケットを並べてみると、10年の歳月というものをより一層感じさせる。
さて、「展覧会の絵」演奏について、 ormandy 時代の1979年の録音とオーケストラを完全に自分のものにしている1990年の2種類の録音があるが、これは流石に録音の良さもあって1990年盤に軍配が上がる。1979年盤も悪くはないが、個人的には少々ブラスが荒々しい気がする。1990年盤の方はそのような荒々しさは無く、弦とブラスのバランスが程良く十分な余裕と迫力を感じさせる。この演奏は muti/philadelphia コンビの最良の成果の1つだと思う。(2001.10.20)
至福の音に満たされるBrahms
Brahms Symphonies & Orchestral Works.
Philips PHCP-10525(434-868-2) , No.1 and Haydn Variations (1989)
Philips 422-334-2 (C)1990 ,No.2 and Academic Festival Overture (1988)
Philips 426-253-2 (C)1990 ,No.3 and Alto Rhapsody (Norman) (1989)
Philips 422-337-2 ,No.4 and Tragic Overture (1988)

1番と2番しか聴いていませんが、ディジタル録音が安定してきた時期ということもあり、至福の音に満たされたBrahmsが楽しめます。2番の4楽章などは本当に幸福な音の洪水状態です。残念なことに4曲そろえようとすると廃盤になっていたりして入手は困難のようです。名演なのにもったいない。(2001.8.29)

なお、Alto Rhapsody を除いた3枚組の再発売CD(Philips 470-942, 2002/5)が現在では入手しやすいかと。(2005.7.16)
Videogram
The Philadelphia Orchestra Live! A Tribute to Riccardo Muti
Arts & Entertainment Network ETV 705 (VHS NTSC)
1992/4/29 Live at Academy of Music, Philadelphia

ebay の オークションで入手したビデオ。 このコンサートが Muti の音楽監督としての最後のコンサートかどうかはよく分かりませんが、Live Performance の合間を縫ってこれまでの Muti のphiladelphia での軌跡を振り返る構成となっています。コンサートマスター の Norman Carol や オーケストラ のコミュニティー・ボランティアの関係者のインタビュー、そして Muti夫妻の philadelphia での貢献が語られていきます。コンサートの中身も豪華なもので、Pavarotti,stade,Kyung wha Chung等のゲストを迎えての多彩な曲目で構成されています。次の音楽監督のSawalischの挨拶も入っています。
なお、番組中に記念本のコマーシャルもちゃっかり入っており、抜かりなしというところか。(2001.10.28)
Biography
Riccardo Muti, Twenty Years in PHILADELPHIA
Philadelphia Orchestra Association, (C)1992

Muti辞任の1992年に出版された記念本。Muti ファン必携の本。詳細なDiscographyも必見。(2001.8.27)
Links
La Camerata Muti(Bravo Muti)
Rei Masai さん主催の Muti ファンクラブです。
南イタリアの申し子〜リッカルド・ムーティ
Mizuno Yoko さんによるブログ形式のページ。マエストロへの愛情にあふれています。
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