バンドマンがよく使う用語の解説です。習得して、清く正しいバンドマンになってなってください。
ただし、中には「方言」や「思いこみ」も含まれているかもしれません。鵜呑みにして恥をかいても当方は責任は持ちません、あしからず。(2013年11月12日「うたじまい」追加)

[ 最終更新日 ] 2013年11月12日 12時00分 [ 登録単語数 ] 254
INDEX























































 あ
あ・かぺら [ a cappella(伊) ]
無伴奏で歌う合唱の形式。教会の賛美歌からうまれたといわれる。バンドでは、歌だけでなく、伴奏無しで演奏することも「アカペラで」と無節操に使うことがある。(例)「そこ、リズム隊休みにして、サックスのアカペラでいってみようか」

あ・てんぽ [ a tempo(伊) ]
初めのテンポから、一旦テンポが変わり、その後、もとのテンポで演奏しなさい、という指示。時々「アレ、元のテンポってどれぐらいだっけ」と言うバンマスもいるので、他人任せにしないで自分でもテンポをしっかりキープしておくこと。

あうふたくと [ auftakt(独) ]
曲の始めが1拍目以外から始まること、アウフのタクト、弱起。2拍目から=枯れ葉、3拍目から=ユードビーソーナス〜、4拍目から=ブルームーン、など。早口で言うと「アフタクト」に聞こえるので、そう思っているバンドマンも多い。

あかほん
赤本。全音楽譜出版社から出ている「歌謡曲のすべて」という曲集のこと。表紙が赤いことからこう呼ぶ。明治、大正、昭和、平成の代表的な歌謡曲を網羅してある、”歌謡曲のセンイチ”的な本。簡単なキーで記載されている曲が多いので、突然歌謡曲のリクエストを受けた時や、ショーの歌手が準備していない曲を歌うと言い出した時にトランスしやすく重宝する、キャバレーなどでは必須のアイテム。但し、年度版が出るたびに曲が少しずつ増え、値段も少しずつ上がるので買い替えに悩むのが欠点。ちなみに2001年度版(1138曲収録)は5000円。「お客さんからのリクエストなんやけど、アカホンある?」→センイチ

あくせんと [ accent ]
他の音より強く演奏する音、またその指示。ジャズでは>や∧の奏法の違いについてうるさいので、ちゃんとその区別を勉強しておくこと。

あこーすてぃっく [ acoustic ]
電気を使わない生音。「電気でない」「電気によらない」「電気のためでない」音楽。「停電になったら音、出んやろ」と言いたがる人種をアコースティック人間という。

あごあしまくら
アゴ=食費、アシ=交通費、マクラ=宿泊費、のこと。ギャラに含むか別途支払われるか、前もって確認しておかないと、泣く泣く自腹を切ることになる。

あそぶ(遊ぶ)
ギャラ無しで演奏すること。ただし言葉の奥には、「次のステージ、遊んでいかない?(=代わりに演奏してくれると一時間半休める、あんたの腕前みれる、メンバーの刺激になる)」、「ハイ、遊ばしてください(腕試しだ、失敗しても責任はもたんでいいし)」、など、丁丁発止(ちょうちょうはっし)のかけ引きが潜んでいることが多い。バンドって、こわー!

あたま
頭、から曲の冒頭部分のこと。バンドでアドリブを廻している最中に行方不明(曲の進行状況が分からなくなる)になった場合、リーダーが「アタマ!」と叫んでテーマに戻り、収拾をはかる。→ケツ

あっちぇれらんど [ accelerando(伊) ]
少しずつ早く演奏しなさい、という指示。なかにはこの指示がなくてもだんだん早くなるバンドがあるのでジャズはおもしろい。

あどりぶ [ ad lib ]
ad libitumというラテン語がもとで、自由に即興で演奏すること。最近はインプロビゼーションという英語が使われることが多い。ジャズがジャズたる根幹であり、尚且つ、一生追求しなければならない一番やっかいな部分。ご愁傷様。

あふたーびーと [ after beat ]
4拍子の2、4拍のことだが、ジャズやロックのように2、4拍にアクセントのあるビートをこう呼ぶ。このビートを自然にきざめないと優等生ジャズマンになれない。

あふろ [ afro ]
アフロ・キューバンの略だが、ただ「アフロで」と言うときは、アフロ・キューバンのリズムで演奏することをさす。インツーで、カンカンカンココ、ンカンカカカコ・・って字ではムリか。

あふろ・きゅーばん [ afro−cuban ]
アフリカ系キューバ人のことだが、一般にはラテン系音楽のジャンルをさす。これをちゃんと演奏できないとキャバレーでは使ってもらえない。

あるこ [ arco(伊) ]
弓で演奏すること。昔、歌伴の楽譜に書いてあって「これ、何?」と訊いた駆け出しベーシストがいた。油断大敵。

あると [ alto ]
女声低音部パートのこと。ジャズバンドではアルトサックスのこと。

あるぺじお [ arpeggio(伊) ]
分散和音。ギターやピアノで和音をタイミングをずらして演奏すること。トロンボーンではちょっとサマにならない演奏法。

あれんじめんと [ arrangement ]
編曲。原曲のメロディをもとにして、さまざまなハーモニーやリズムを加味し、独自の曲想を創造し、それを楽譜に表現する、作曲と同じぐらいまたは、それ以上大変な作業のこと。頭の中のアナログを、楽譜というデジタルに書き起こす能力が必要。バンドの個性を出す根源となるので、時や金を惜しまずやること。市販の楽譜ばかり買っていては、そのうち行き詰まります。

あんさんぶる [ ensemble(仏) ]
合奏。また、ブラスアンサンブルといったように合奏の形態もさす。

あんてぃしぺーしょん [ anticipation ]
先取音。ジャストの拍より前に演奏する音。前の拍のウラと次の拍のオモテをタイで結び、アクセントをつけてビート感を出す。アンティシペーションとシンコペーションをかっこよく演奏することがジャズ表現の基礎。

 い
いーじーりすにんぐ [ easy listening ]
気楽に聴ける音楽。シャンペンミュージックともいう。多分に軽蔑の意味を含んでおり、ジャズをやる人に対しては決してホメ言葉ではないので、そう言われて喜ばないこと。

いーぶん [ even ]
8分音符2個の後ろの音を楽譜通りのタイミングで発音し、はずまないで演奏する。イーブンの場合は、前と後の、音の長さと強弱でリズム感を出す。楽譜で表現することが難しいので8分音符で表記し、表現は演奏者の感性にゆだねられる。バウンスに相対することば。(例)「えーっと、最後の8分音符4つ、ここはイーブンでいきましょう」

いき(生き)
有効なこと。楽譜の一部にエンピツで書きこみがある時などは、「これ、イキですか」と、必ず確認しておくこと。なんとかなる、と思っていると、絶対なんともならない。

いたつき(板付き)
人や物をあらかじめステージにセッティングしておいて、演芸や演奏などを始めること。(例)「2ステージ目はカンバンのイタツキで緞帳あげまーす」

いちょう(移調) [ transposition ]
キーを変えること。曲全体を、音の位置関係は変えず、高さのみ変えること。カラオケマシンでは一発でも、楽器ではつらい。「バンドさん、今日、声の調子が悪いんで1音下げて」なんてステージでいきなり言い出す歌手のわがままを、泣き泣き演奏するバンドマンのあわれなるかな。

いどうど(移動ど) [ movable Do ]
ハ長調の階名(ドレミ・・)を、移調してもそのまま、その調にあてはめて読むやり方。「ちょうちょ」なら、ソミミ、ファレレを、キーがなんであれ当てはめる。便利なようだが、途中で転調している曲ではつらい。移動ド派と、固定ド派の論争は、今も続いている。

いなか(田舎)
軽蔑、侮蔑を表す接頭語。「田舎」そのものを侮蔑していることにもなる、危険な用語。(以前、ニュースカイラークのメンバーが音響業者に向かって「この田舎ピーエーが!」と叫んだばかりに、そのステージでは一切、音響効果を使用してもらえなかった、という苦い思い出がある。使用に関してはくれぐれもご注意を!)

いん・すたんど [ in stand ]
楽器のベルをスタンド(フルバンドで使う机型の譜面台)に向けて吹くというミュート指示。

いん・てんぽ [ in tempo ]
正しい速度で演奏せよという指示。「リットしないで、インポテンツで」という風に使うバンドマンが多いので、その時はムリにでも笑ってやること。

いんすと [ instrumental ]
楽器のこと、また、歌ではなく楽器で演奏すること。(例)歌手がバンドに向って「すいません、歌のあと、2コーラス目はインストでお願いできますか」

いんとろ [ introduction ]
「イントロクイズ」でおなじみ、前奏部分。コンボでやる時、ピアノがポロポロとイントロを弾き始めたら即対応できないと、コンボでは使ってもらえない。

いんぷろびぜーしょん [ improvisation ]
アドリブと同じ即興演奏のことだが、こう言ったほうがアメリカっぽくて解説本も売れる、らしい。

 う
うえすと・こーすと [ west coast ]
ウエスト・コートスト・ジャズのこと。1950年代にアメリカ西海岸、主にロサンゼルスを中人に演奏されたジャズのスタイルで、編曲を重視してカッコよくやろうとすると、一度はここに至る。

うたじまい(歌仕舞い)
歌謡曲などの伴奏のさいに、特別な後奏を付けずに、曲の最終小節をフェルマータにしたり簡単なフレーズを付け足したりして曲を終わらせること。(例)「今日のカラオケ大会、シーメロのフメンしかないんで、エンディングは全部、歌仕舞いでいきます」→コーダ

うたばん(歌伴)
歌の伴奏。(例)「明日のショクナイってなにか知ってる?」「演歌のウタバンらしいです」

うちこみ(打ち込み)
前もってシーケンサーやコンピュータで音や曲を作ること、またその音楽。このおかげで仕事がなくなったバンドマンも多い。(例)「すみませんピアノさん、三味線って書いてあるとこ、そこ、打ち込みでやりますから」

うら
1拍を八分音符2つに分けると後の方。オフビート。ジャズのフレージングの基本で、これにより個性が出る。例えばカンウトベーシーバンドには独特のウラの取り方があり、それがアマチュアバンドの目標ともなっている。

うらばん
ウラのバンド。1つの店に2つのバンドが入っている場合、30分ぐらいの演奏時間で交代するが、メインのフルバンドと交代で入る、コンボバンドのこと。フルとフル、コンボとコンボのように、力関係が同等の時はタイバンと呼びあう。

うらめしや
裏飯屋。昔、北九州市の「キャバレー小倉月世界」の裏手にあった食堂がこう呼ばれていた。ここにサムテーラー、ペレスプラド、レイチャールズなどのバンドのバンドマンが飲みにきて、月世界のバンドマンと交流をはかった。ミセの営業前にリハがあった場合はミセの払いでここで食事をすることができた。現在は食堂はやっていないが、建物は昔のまま線路際に建っている。

 え
えーえーびーえー
AABA形式。8小節のフレーズをAとし、それに似たA’8小節、次に雰囲気の違うフレーズBの8小節、そしてまたA’8小節、の32小節からなる曲の形式。12小節のブルース形式と共に、ジャズでアドリブをやる場合に頻繁に取り上げられる形式。

えーめ
目。1文字のものをわざわざひっくり返す時は、長音にして(メーェ)母音をアタマにもってくる。

えいとびーと [ 8 beat ]
八分音符を基本とするビートのことで、バンドではスイングと対極にあるビート。両方叩けないとジャズバンドでは使ってもらえない。

えこー [ echo ]
反射音、残響の音。風呂場などエコーがかかる場所で練習すると上手に聞こえるが、本当はうまくはなっていないので注意。

えにーきー [ any key ]
どんな調号にも対応できること、エニーキーOKのこと。(例)歌手が「バンドさん、声の調子が悪いんで、この曲一音下げて歌いたいんだけど」「ああ、大丈夫です、エニーキーOK」。ただし、どんな調号にも対応するにはそれなりの研鑽(けんさん)が必要であり、内心はビクビク、というバンドマンも多い。

えむしー(MC) [ master of ceremony ]
司会者、転じてステージでのしゃべりのこと。(例)「三曲続けて演奏して、そこでエムシー入ります」

えれき
以前はエレキ・ギターのこと、最近は電気楽器全般。加山雄三出演の映画「エレキの若大将」は、若大将がエレキで動く、というホラー映画ではない。

えれくとりっく [ electric ]
「電気の」「電気による」「電気のための」音楽。アコースティックに相対する。

えんでぃんぐ [ ending ]
曲の終りの部分。どんな演奏もここでコケると、それまでの好演も台無しになる。曰く「エンディングよければすべてよし」

 お
おーぐめんと [ augmented ]
完全音程または長音程を、さらに半音広げた音程。日本語表記では「増」。

おーるでいず [ oldies ]
懐かしの名曲。古過ぎず新し過ぎずの、1950年代から60年代ぐらいのポップスをさす。ダンスが踊れる店では、これを織り交ぜてやらないと、バントとして使ってもらえない。

おいに
におい。@悪臭。A独特のフィーリング。特に、ジャズでそれらしい雰囲気をもっていることをさす。(例)「あいつのプレーは、モノホンのオイニがする」

おかず [ fill−in ]
曲の途中、小節の区切りに即興的に入れる演奏。ドラムやピアノに要求されることが多い。おかずに対する「ごはん」という言葉は、ない。

おくたーぶ [ octave ]
@完全八度の関係にある音。ユニゾンと同様、チューニングをする場合に基本とする音。Aバンド用語で数字の8。ターブと略す地域もある。

おくてっと [ octet(te) ]
八重奏(唱)。8人編成のバンド。北九州市で活躍している「ニュースカイラーク」の場合は、アルト、テナー、バリトン各サックス、トランペット、トロンボーン、ピアノ、ベース、ドラムの8人編成。

おはようございます
バンドに限らず、その方面の挨拶語。時間に関係なくオールマティに使用する。「こんばんは」、「こんにちは」などの挨拶は、バンドマンは気恥ずかしくて、とても口にできない。

おぶりがーと [ obbrigato ]
セカンド・メロ、サブメロともいう。主旋律といっしょに演奏し、曲を引き立てる旋律。チャンナオンの歌がイマイチでも、隣りでサックスがうくまくオブリガートを付けてくれると、なんとか聞けるようになり、そのまま二人がデキてしまうことが通例。

おんど(音頭)
はずみ過ぎのバウンスをからかっていう。バウンスの場合、前と後の音をレガートで演奏することがキーポイントとなるが、レガート感が弱いとトットトット、という感じになり、「なんとか音頭」に聞こえることから。

おんぶきごう(音部記号) [ clef ]
五線紙上の音の高さを指定する記号。記号の示す位置によりト音記号、ヘ音記号、ハ音記号(ソプラノ、アルト、テナー)がある。

おんぷ(音符) [ note ]
音の長さと高さを現す記号。長さは音符の種類、高さは五線紙の位置で表わす。すなわち、楽譜とは音楽をデジタルで表記したものである。しかし音楽はアナログであり、音符は単なるデジタル記号であるのに、これこだわって演奏しようとすると、音楽の本質を見失ってしまう。

おんめい(音名) [ pich name ]
音の高さにつけられた固有の名前。ハニホヘトイロハ、cdefgabなど。→階名

 か
かいた
高い。値段が高いことや、物、人などの背丈が高いこともいう。(例)「そのタキシード、いくらした?」「ツェージュウ」「ゲェ、カイター!」

かいめい(階名)
ある決まりでオクターブ内に並べた音列を音階と呼び、その各音に付けられた名前。キーが変わっても、音階内での位置関係はかわらないのでメロディを覚える時には便利。

かうべる [ cowbell ]
打楽器のひとつ。牛の首につけるベルから派生したもの。ドラムセットに付けたり手でもったりして叩く。キャバレーでは、これ1つでどんな曲でもラテンに変えてしまうという恐ろしい楽器。

かうんと
小節を数えること。また、曲の始めに出す合図のこと。これにより曲のテンポが決まるので重要なのに、軽視しているバンドも多い。たとえば、アップデンポの場合は予備を付けて、ワン、ツー、ワンツースリーフォー、とか、スローの歌伴の場合スリー、フォー、早い三拍子の場合ワンツースリー、ツーツースリー(ツーボックス)など、きちんと約束ごととして決めておかないと、気持ちも揃わない上に、誰かが飛び出して恥をかくことになる。ただし、スマートな演奏を目指すのなら、カウントはかえって無粋。

かけし
仕掛け。歌謡ショーなどでの、特別な演出のこと。また、そのための、音楽用語では表せない演奏上の指示。(例)「カケシがありまーす。ここでフェルマータ、セリフがあって、カンバンの手でタイコ、キメ、イッパツください、それから、カウントで続き、いってください・・」って、言ったのに、間違って飛び出して、ステージが終わって「そんなこと、わしゃ聞いとらん!」というのが、どこのバントにも必ずいる。

かすたねっと [ castanets ]
2枚の小さな板をつなげ打ち合わせる打楽器。小学校では安価なので全員に楽器を持たせ(たことにす)る為の楽器、スナックでは女の子が楽器の素養があることを示すために使う楽器。

かっぷ
カップミュートのこと。ストレートミュートの先にカップを付けた形のミュート。ショクナイの時、ストレートとともに必須のミュート。大きさによりCカップ、Dカップなどの区別、はない。

かぽたすと [ capotasto(伊) ]
ギターで使う道具で、フレットに取付け全弦を押さえてキーを変えるのに使う。同じ指使いでキーを上げるのには便利だが、安易に使うと音色がだんだんギタレレになるので注意。→ギタレレ

かるてっと [ quartet ]
四重奏(唱)。管楽器奏者にとっては管1本でやるというコンボの基本。隣りの人を頼っていてはうまくなりません。

かんじんちょう(勧進帳)
メドレーの楽譜などで、見開き2ページに収まらず数枚をセロテープでつないで折りたたんである楽譜のこと。ダ・カーポ、ダルセーニョ、コーダなどをあらかじめ確認し、パッ、とその場所が開けるようにしておかないと、本番でとんでもないことになる。

かんばん(看板)
「看板スター」から、歌謡ショーステージのメインとなる歌手のこと。(例)ヤーボに「ここ、カンバンが通るから片付けておいて」。しばらくして、「オイ、片付けておけって言ったろ」と言うと「誰も看板なんか運んで来ませんでしたよ。きれいな女のひとが通っただけです。」「・・・って、それがカンバンだ!」

がそりん
酒のこと。九州の一部(主に北九州地方)で使われている方言。(例)「バンマス、元気ないですね、ガソリン補給しなくていいですか、ルービー買ってきましょうか。」

 き
きー [ key ]
曲の調性のこと。「キー、何でいきます?」という具合に用いる。スタンダード曲はある程度キーが決まっているが、歌手の音域や楽器の音色特性によってはキーを変えることも多い。

きーが
楽器。一般の楽器というより、バンドマンが所有している楽器の呼称として。タイコとヤノピに対しては、あまり使わない。

きっくびーと
シンコペーション奏法の一種で、八分休符の後の付点四分音符に、アクセントを付けて演奏するような演奏法。ジャズでのノリを表現する。

きめ
決めること。曲の途中に演出のためのブレイクを入れたり、エンディングで同じアクションをしたりして演出効果を出すこと。恥ずかしがらずやらないとキメにならない。

きゃばれー
戦後すぐからバブル時代までに盛隆を誇った大人の社交場、グランドキャバレー。キャバクラとは全く別のものなので要注意。体育館ほどの広さのフロアいっぱいに客席があり、中央がダンスフロアで、その一角にバンドステージと演芸用の舞台があり、キラめくミラーボールの下で、男と女が踊り、ショーを見、酒を飲むという、男性にとって夢のような空間。バブルがはじけた後はめっきり少なくなり、カラオケやピンクサロンにその座を取って代わられている。

ぎたれれ
弦楽器のひとつで、形はギター、用法はウクレレという中途半端な楽器。ギターのつもりで弾こうとするとフレットの間隔が狭すぎ、ウクレレのつもりで弾こうとすると音色に魅力がない。しかし、安いのでつい手が出てしまうという腹の立つ楽器。

ぎんばえ(銀蝿)
バイキング方式のレストランや食堂から、食事の一部をくすねて自室へ持ち帰ること。昔海軍で使われていた言葉で、ニュースカイラーク独自のバンドマン用語。食べ物にたかる銀蝿のイメージから。持ち出した食事は夜食や酒のつまみにする。

 く
くいんてっと [ quintet ]
五重奏(唱)。コンボの場合2管3リズムが多い。この場合、管楽器奏者2人というのは演奏面では楽に思えるが、2人合わせて1フロントであるという感覚でやらないと、まとまりのないサウンドになってしまう。

くら [ clarinet(cl.) ]
クラリネット。縦笛型の木管楽器。フルバンドで多用すると、どうしてもデキシー風かグレンミラー風になってしまいがちなので、使用には注意が必要。

くらべす [ claves ]
打楽器のひとつで、2本の堅い木を打ち付けてカン高い音を出してリズムをとる。クラベスといえば「コーヒールンバ」、という団塊おじさんも多い。

くろくろちょう(黒黒蝶)
ステージ衣装で、上下とも黒スーツに蝶ネクタイのこと。白の上着の場合は白黒蝶。(例)「明日のショクナイは、クロクロチョウでお願いします。」

 け
けーさ
酒。日本酒に限らず一般的なアルコール類をさす。(例)「ここ喫茶店やろ、ケーサ、あるかな?」

けつ
曲の終り、または終りの部分。「ケツ4つ」は曲の終りの4小節のこと。「アタマ」と比べて”品がない”と言う人もいるが、ゼンゼン。

げねぷろ [ generalprobe(独) ]
コンサートなどで、本番通りに(または舞台装置のセッティングの関係で逆順で)行う通しリハーサルのこと。クラッシックで使用される言葉だが、ポピュラーのコンサートでも使う。

 こ
こーだ [ coda(伊) ]
曲のエンディングのために付け加えられた部分。リピート記号で戻ったあと、曲の途中にあるコーダマークからコーダの部分へ飛ぶ。→うたじまい

こーだ・こーだ
歌伴のリハーサルで、歌手が遅れて来ていない(または横着して来ない)時に、「コーダコーダで」といって、頭から演奏していき、コーダマークからいきなりコーダへ飛んで、リハーサル時間を節約すること。

こーど・ねーむ [ chord name ]
和音の構成音を、音符ではなく、基音を表すアルファベットと調性を表す記号と加音を表す数字で表現したもの。転回形はベース音を指示するか、演奏者の判断にまかされる。昔、Cmをセンチメートルと読んだバンドマンがいた。

こーらす [ chorus ]
導入部をバース(verse)というのに対して、曲の主題部分のこと。それから派生して、曲の繰り返し回数の単位。ウタバンでは特に、何コーラスかきちんと確認しておくことが必要。

こーる・あんど・れすぽんす [ call and response ]
メインボーカルの呼びかけに対しコーラスが答える「掛け合い」のこと、またその形式の演奏。器楽演奏ではバトル、チェイスとも言う。

こていど(固定ど) [ fixed Do ]
調に関係なくドはドと呼ぶ読み方。「ちょうちょ」をキーGで読むと「レシシ、ドララ、ソラシドレレレ」となる。絶対音感を持つ人に多い読み方。

こぴー [ copy ]
他人の演奏をそっくりそのまま真似て演奏すること。アドリブ入門の手段として用いられる。それなりの聴音能力が必要で、昔はレコードを擦り切れるまで聞いてコピーしていたが、最近では自動的にやってくれるコンピュータソフトがあり、それに頼る若い人も多い。

こぴーばんど [ copy band ]
ある有名なバンドの形態や演奏スタイルをそっくりそのまま真似て演奏することを目的としたバンド。演奏の目的はわかるが音楽の目的がわからないという不思議なバンド。

こまーしゃる
→シャレコマ

こんが [ conga(s) ]
細長い胴を持つ大型のドラム。音程の異なる2個またはそれ以上を並べて立って叩く。キャバレーには必ず置いてあり、暇なセクションのお調子者が出てきて叩く。

こんでんす [ condensed score ]
曲全体の概略を把握するための、省略して書かれたスコア。→(フル)スコア、総譜

こんぼ [ combo ]
→ボンコ

ごんた [ tango ]
タンゴ。アルゼンチン発祥の舞踊音楽。ヨーロッパに渡ってコンチネンタルタンゴとなる。キャバレーでは厳密には区別しない。たまに、「タンゴを(踊る)」とリクエストしてくる客がいるので、「奥様お手をどうぞ」など、すぐ引っ張り出せるよう、何曲か揃えておく必要がある。

 さ
さいく
くさい。@悪臭がする。A言動や表現が不快感をもよおすぐらい過剰なこと。(例)「バイシ(芝居)がサイクでモロバレ。」Bオイニと同義で、ジャズのフィーリングがあるということの逆説的誉め言葉として用いる場合がある。

さいど [ side ]
サイドメンの略。トップ(1st)プレーヤーに対して2nd3rdをいう場合や、メロディプレーヤーに対して伴奏奏者をいう場合がある。

さけばら [ The Days Of Wine And Roses ]
ワーナー映画「酒とバラの日々」('62年)のテーマ曲。ジャムセッションなどで必ず取り上げられるので、ごく当たり前の顔をして演奏できなくてはならない曲。(例)「ブルースが続いたんで、サケバラでもいきましょうか」。なお、映画そのものは、アル中の若夫婦が親の経営するバラ園で更生しようとする「酒とバラ」で、語感とはほど遠い暗〜い(しかもモノクロ)内容。

さび [ brige ]
AABAの曲のBの部分のように、雰囲気が変わった部分。サビの語源は、鮨の間にあるワサビなど諸説ある。地方によっては、人差し指を曲げて表現する。

さぶこーど [ substitute chord ]
サブスティテュートコードの略、代理コード。ある和音に対して、ルート音は違うが構成音が似ており、もとの和音の代わりに使用できる和音のこと。コード進行が単調になるのを防ぐのに用いる。

さんど(3度)
3度の音程にある2つの音。2組の3度音程によって和音が決定される。→トライアド

 し
しーじゃむ [ C Jam Blues ]
シージャム・ブルースのこと。シージャン、と訛ることもある。デューク・エリントンの手になるブルースの名曲。たった2音(ソとド)で作られているのに、飽きることなく演奏される。これだから、ジャズは楽しく、奥深い。

しーたく
タクシー。キャバレー全盛期のころには、店の前に長蛇の列を作って並んでいたが、キャバレーが無くなると、今度はバンドマンが、二種免許を取って運転することになった乗り物。

しーでき
デキシーランド・ジャズのこと。ジャズ音楽発祥の地ニューオリンズで起こった初期のジャズ様式。以前は白人によるものをデキシーランド・ジャズ、黒人によるものをニューオリンズ・ジャズと呼び分けていたが、現在では両者が包括されているようである。ニューオリンズ中央銀行発行の10ドル札にD I X(フランス語の10)と印刷されていることからアメリカ南部一帯をデキシーランドと呼んだのがはじまりという説が有力。コルネット(またはトランペット)のメロ、クラリネットのオブリガード、トロンボーンのグリッサンド奏法の掛け合いに、行進曲風のリズムをつけるスタイルが代表的。

しーめ
飯(メシ)のこと、また食事のこと。(例)「本番まで時間ありますね。今のうちにシーメ、行きましょうか」

しーめろ
C調楽器(ピアノなど)のキーで書いてある、メロディーだけの楽譜。編曲してない曲を急遽バンド演奏するために、メロディーとコンサートキーがわかるように配る楽譜。C調楽器はいいが、B♭やE♭楽器(トランペット、サックスなど)はその場で読替えるテクニックが必要で、いい迷惑。パソコンで楽譜を書くようになっても、シーメロは幅をきかせている。ツェーメロと呼ぶ地域もある。

しみれ(しーみれ) [ simile(伊) ]
楽譜で「前の小節と同じ」の意味で記入する用語。例えば、ドラム譜などで最初の1小節だけ書いてあとはそのパターンを繰り返す場合simile、またはsim.と書いて省略する。

しゃふ(写譜)
楽譜を書き写すこと。最近はコピ―機があるため、同じ楽譜を写譜することは少なくなり、フルスコアからのパートおこしぐらいになった。

しゃふぺん
写譜ペン。楽譜を書き写すためのペン。先が平たく、縦線と黒玉を書き分けるのに便利。安いものは300円ぐらいから、高いものは3万円ぐらい。手書きの譜面を見れば、誰が書いたかわかるぐらい、個性が発揮されるものだが、最近はコピー機やパソコンの普及で使う人も少なくなった。

しゃふる [ shuffle ]
3連符の「中抜き」で、幾分ハネる感じのリズムのこと。

しゃれこま
コマーシャル。ゴリゴリのジャズではなく、客受けするスタンダード、ポップスなどの曲のこと。シャルコマ、とは言わない。

しょくない(職内)
内職。臨時に受ける演奏の仕事のこと。歌伴やイベントでの演奏が多い。最近は、バンドをバックに歌うという歌手本来のステイタスを忘れて、カラオケで歌う歌手が増えてしまい、職内はめっきり少なくなり、バンドマンはますます貧乏になっていくばかりである。

しょけん(初見)
初めてその楽譜を見ること。また、その楽譜を演奏すること。初見の楽譜の演奏が、その奏者の技量と判断されるので、リハーサルといえども、心して演奏すること。そのためには、楽譜をもらったら、さりげなくパラパラと見て(ガツガツと見てはいけない)、曲のキー、テンポ、繰り返し記号の位置、ソロの有無を確認し、ザッと音符を追う(消してある部分は生きか確認する)。たいしたことがなければ、興味なさそうに放り出す、ヤバいと思ったら、楽器の調整をするフリをして、他人にわからないようにさらう、これで準備OK。本番でいきなり初見の楽譜を渡された場合は、以上のことを凝縮して行なう。次回のショクナイがあるかないかの瀬戸際なので、ぬかりなくやること。

しんこぺーしょん [ syncopation ]
アクセントの位置を、休符やタイを使って1拍のウラに移動させること。また、そのリズム。ジャズやラテン系の音楽を表現する上で、アンティシペーションとともに最も重要なリズム。この場合の演奏は記譜とは異なり、ジャズバンドの習慣に従う。最近はこの習慣が理解できず、いちいちスタッカートやテヌートを書き入れた楽譜があるが、ジャズを志すものにとっては愚の骨頂。

じゃーまね
マネージャー。バンドの金銭面の取り仕切りや、メンバーのパリヒの掛合いなどの役目をになう人物。バンマスの片腕の場合もあれば、単なる守銭奴の場合もある。

じゃむ・せっしょん [ jam session ]
その場に居合わせた人が集まって即興でジャズ合奏をすること。経験の浅いジャズマンにとってのドキドキ体験。

じんがい
外人、外国の人。→ポンニチ

 す
すーばん
バンス。アドバンスから、前借りのこと。バンドマンの給料は引き抜きによって上がるが、引き抜かれる時に次のバンドから前借りする。この金額が多いことがバンドマンのステイタスとなっている。もちろん、月々のリョーキューから返済していく。楽器の買い代えとか、引越しの為とか、以前のバンスの清算とかの理由をつけて借りるが、遊興費となって消えてしまうことが多い。

すいや
安い。値段が安いこと。(例)「どこか近くに、スイヤーでシーメの食える店、ないですかね」

すうじ(数字)
バンドの数字の数え方は、1(C)ツェー、2(D)デー、3(E)イー、4(F)エフ、5(G)ゲー、6(A)アー、7(H)ハー、8(octave)オクターブまたはターブ、9(nine)ナイン、またはナインス。だいたいドイツ語読みだが、3だけは、ドイツ語読みのエーではAと混同するためイーと呼ぶ。但し、コードネームはすべて英語読みで行うのが望ましい。Emをエーマイナーと言ったり、B♭mをベーマイナーなどと言ったりすると必ず「え、E、A、どっち?」と聞き返される。

すこあ [ score ]
フルスコア、総譜ともいう。その曲のすべてのパートが縦に並べて書かれており、各楽器のパート譜はこれをもとにして書く。手書きのスコアの場合、ほとんど音符が五線上を暴れまわっている。書いた本人には分かっても、それを写譜するものが分からないと、意図と違ったハーモニーになってしまうので、もう少し丁寧に書いて下さい、って頼んでもムリか。

すたっかーと [ staccato ]
音符の上または下に ・ を書き、その音を短く演奏するよう指定する記号。黒玉の音符に付けることが多い。クラッシックでは「半分の長さ」と表現するが、ジャズの場合はもともとが短く演奏するので、スタッカートが付いた音符は極端に短く切ることが多い。

すたんだーど [ standard ]
人口に膾炙した有名な曲、定番の曲。ジャズの場合はポピュラー、ミュージカル、映画音楽などの曲が多い。またジャズ演奏者の作曲によるものも数多い。但し、あまりにも偉大な曲は、恐れ多くて「スタンダード」とは呼びづらい。

すとれーと
@リピートをせずそのまま次に進むこと。クラッシックではダルセーニョ後はリピートしないのが一般的だが、ジャズの場合は特に指定がない限り、ダルセーニョ後もリピートをする。Aストレートミュートのこと。円錐型の筒をベルに差し込む挿入型ミュート。ショクナイには最低限持っていくミュート。

すりーこーど [ three chord ]
主要三和音の、トニック、サブドミナント、ドミナントのこと。転じて、この三和音だけを使って演奏できる曲。

ずーじゃ [ jazz ]
ジャズ。

 せ
せくすてっと [ sextet ]
六重奏(唱)。6人で編成したバンド。3管、3リズムのことが多い。この場合の3管はサックス類、トランペット、トロンボーンなど、いろいろの組合せがある。

せぷてっと [ septet ]
七重奏(唱)。7人で編成したバンド。

せんいち
1001(センイチ)で、(星野)仙一ではない。戦後、バンドマンに重宝がられた、分厚い海賊版のスタンダードナンバー曲集のこと。1001曲収められているというのでこう呼ぶが、実際に1001曲あったかは定かでない。現在では、分厚い曲集を象徴的な意味で「センイチ」と呼ぶこともある。(例)「サビのメロディーをよく覚えてないんやけど、誰かセンイチ持ってない?」

ぜったいおんかん(絶対音感)
ある音に関してその音の絶対的高さ(音名)がわかる能力。その能力のない者にとってはうらやましい能力だが、逆に、すべの音が音名として聞こえてしまう、わずかのピッチの違いが気になる、戦争時潜水艦のソナー役にされる(山本直純氏)など、いいことばかりではないらしい。

 そ
そうふ(総譜)
→スコア

そふとりぃ
Softly As In The Morning Sunrise、邦題「朝日のようにさわやかに」のこと。AABA形式で、AがCマイナー、BがE♭メジャーという、超わかりやすい進行のスタンダード。歌詞の内容からすると、Softlyは「そっと」が適訳で、「さわやかに」は明らかに誤訳。(例)「次何いきます?」「えーとえーと、とりあえず、ソフトリー」。ミディアムスイングでやるのが飽きたら、16ビートシャフル、サンバ調など、いろいろなバリエーションでお試しも。

そぷらの [ soprano(伊) ]
女性の最高声部パート。バンドではソプラノサックスのこと。

そり [ soli(伊) ]
小編成の合奏。ソロと区別し、同じ楽器が同時に演奏することをさす。(例)「そこはトップのソロではなくて、サックス・ソリです」

そろ [ solo ]
独唱あるいは独奏のこと。「ソロやからソロっと吹かにゃ」というバンドマンがどこのバンドにも必ずいるので、そんなときは「ハイ、ハイ」と答えておくこと。

そろとーんみゅーと
挿入式のミュート。ストレートミュートを2段重ねにしたようなミュートで、センターホールがあるため、ストレーミュートより明るく柔らかい音を出す。トロンボーンで用いられることが多い。メガ・ミュートともいう。

 た
たーう
歌のこと、また歌手のこと。

たーぎ
ギターのこと、またギタリストのこと。

たーぶ
オクターブから、数字の8のこと。8を表す場合(例8000円)、地域によってオクターブ派(オクターブセン)と、ターブ派(ターブセン)があり、どちらが主流か調査中である。

たいこ
ドラムセット、またドラマーのこと。和太鼓のことではない。

たいばん
1つの店に2つのバンドが入っている場合、反対側のバンドのこと。両方のバンドの力関係が同等の場合に使われるようである。→ウラバン

たせっと [ tacet ]
小節単位の休みの指示で、比較的長い休みを指示する時に用いる。リピートがある場合、1回目は休みで2回目のみ演奏する時に、1Xtacet、と表記する。

ただ
只、から演奏が簡単なこと。

だぶらー [ doubler ]
主になる楽器以外にもう一つ、別の楽器を演奏できる奏者のこと。サックスの他にフルート、またはクラリネットを演奏できる奏者など。多種のサックスやフルート、クラリネットを演奏できる場合はマルチリードプレーヤーと呼ぶ。二兎を追うもの一兎も得ずの場合もあれば、天はニ物を与え賜もう場合など、奏者それぞれ。

たぶふ(たぶ譜) [ tablature ]
弦楽器用の独自の記譜。五線ではなく弦の数だけの線を引き(ギターなら6本)音符の玉の代わりにフレットのポジションを数字で書き入れたもの。楽譜の読めない人が発明したのかと思ったら、15世紀以降からリュートなどにすでに使われていた記譜法の復活だそうだ。

たりはつ
ハッタリ。@(悪い意味で)音楽的な技量が乏しいにもかかわらず、さもあるかのように見せかけて演奏すること。(例)「1回目はいいが、2回目からはタリハツはきかんもんなー」A(いい意味で)理論的に演奏ことを主眼にするより、勢いにまかせ、大音量、奇音、フリーリーな拍取りを織り交ぜて、盛り上げることを主眼に演奏すること。(例)「最後は全員でアドリブまわします、タリハツかましてください」

だーた
タダ、只。お金がかからないこと。漢字の形からロハというのは別の業界用語で、バンドではあまり耳にしない。

だぶるしゃーぷ [ double sharp ]
重嬰記号。調号によってすでにシャープ(半音高く)されている音をさらに半音上げる場合には、単にシャープ記号を付けるのではなくて、このダブルシャープ(])を付ける。

だぶるふらっと [ double flat ]
重変記号。調号によってすでにフラット(半音低く)されている音をさらに半音下げる場合には、単にフラット記号を付けるのではなくて、このダブルフラット(♭♭)を付ける。

だんご
団子。和音をコードネームではなく、音符を重ねて書き表したもの。奏者の感性に任せる場合はコードネームで表すが、編曲者の意図を盛り込みたい場合には団子で音を指定する。しかし、たまにそうではなくて、ジャズ関係者でない編曲者が書いた譜面で、アドリブのコードをダンゴで書いてある譜面がある。この場合は、「ちょっとー、かんべんしてよ」となる。

 ち
ちーた
立ち。フルバンドなどで、ソロやセクションソリの時に立って演奏すること。(例)「バンド紹介は全員チータでお願いします」

ちーばく
博打(ばくち)。ある一部のバンド部屋は、決して誉められた話ではないが、賭博場化していることがある。博打の種類には、マージャン、ブラックジャック、花札、チンチロリンなど地域性がある。

ちゃんかー
カーチャン、奥さんのこと。母のことではない。自分の女房や、親しい人の奥さんや、他人の奥さんのことをかげで言う時に使う。目上に向かってその人の奥さんを「チャンカー」と呼ぶのは失礼。

ちゃんなおん
ナオンチャン。ナオン(女)より丁寧な言い方。名前の場合も、マリちゃんなら「チャンマリ」。

ちゃんばー
ばーちゃん、年をとった女性・・といっても、本当のお婆さんというより、比較的年増の女性をさしたり、思ったより若くないことを表すときに用いる。(例)「バンマスの奥さんてカイワー?」「いや、結構シートのチャンバーよ」

ちょうごう [ key signature ]
キーを移動させた時、スケールを調整するために楽譜の冒頭につける♯と♭の記号の組合せ。♯系のキーは、トイニホロヘハの順で、付ける場所はファドソレラミシ。♭系のキーはヘロホイニトハの順で、付ける場所はシミラレソドファ。

ちょさくけん(著作権) [ copyright ]
曲や歌詞を著作した人がその著作物に対して取得した権利。その著作物を営利目的で使用する場合(演奏、カラオケ、店内BGM、書物掲載など)、その権利にのっとって一定の著作権料が権利者に支払われる。著作権のある楽譜や歌詞をホームページに無断で掲載することはこの権利に抵触する。この権利代行を日本で行っているのがJASRAC(ジャスラック・日本音楽著作権協会 http://www.jasrac.or.jp/)。

ちりめん
チリメンビブラートの略。チリメン(縮緬)とは縦糸と横糸の性質を違えることによってできる細かいしわのある布地のことで、それになぞらえて、口先だけで細かくかかっている深みのないビブラートのことをさす。(例)「あいつ、ハイトーンは出るんやけど、ビブラートがチリメンやから、トップは無理やなー」

 つ
つー・びーと [ two beat(和) ]
ジャズのビートのひとつで、4拍子1小節を2分音符2つで刻むビート。スローやミディアムテンポの曲でメロディラインを生かす時に用いられるリズム。昔、この名前の漫才コンビがいたが、ジャズとは無関係。和製英語。

つーぼっくす
2回カウントのこと。早い3拍子の曲などでワン、ツー、スリー、ツー、ツー、スリーのように2回カウントを出して、テンポが分かりやすいようにすること。

 て
てーま [ theme ]
主題のことから、曲の主題部分。アドリブをまわした後「テーマに戻る」というように使う。

てなー [ tenor ]
男声高音部パートのこと。バンドではテナーサックスのこと。

てるほ [ hotel ]
ホテル。一般的なホテルではなく、連れ込みホテル(ラブホテル)のイメージが強い。(いまどき、「連れ込みホテル」などと表現するのもバンドマンぐらいか)

てんちょう(転調) [ modulation ]
曲の途中から、それまでの調とは違う調へ移行すること。調号はそのままで、臨時記号などで一時的に別のキーに感じさせてすぐ戻る一時的転調と、それ以降調号を変更する本格的転調がある。

でーはー
ハデ、派手。(例)「どうしたん、その服!?デーハー!」

でぃみにっしゅ [ diminish ]
完全音程または短音程を、さらに半音狭めた音程。日本語表記では「減」。

でぃれい [ delay ]
ミディアムやスローテンポの曲で、メロディを伴奏よりわずかに遅れ気味に演奏してゆったりとした感じを出す演奏法。ただし、過ぎると「ヨタる」とか「モタる」といってテンポに乗りきれない状態としてバカにされる。

できしーらんど・じゃず [ dixieland jazz ]
→シーデキ

でんしんばしら(電信柱) [ ledger line ]
五線より上の音、特にハイCから上のような高音を指定するときに書き加える線。それが電信柱のように見えることから。(下の加線は電信柱とは呼ばない)。ジャズのトロンボーンの楽譜では、どんなに高い音でも加線で表わすのが、バンドマンのステイタス。ト音記号やハ音記号で書かれると、かえって読みづらい。

 と
とこお
男(オトコ)。

とらいあど [ triad ]
3つの音からなる和音。長3度と短3度の組み合わせにより、4通りの組合せが出来る。@長3度の上に短3度でメジャー(長)、A短3度の上に長3度でマイナー(短)、B長3度の上に長3度でオーグメント(増)、C短3度の上に短3度でディミニッシュ(減)。

ど(度) [ degree ]
音程を示す単位。基準になる音と同じ音を1度と呼び、それから五線の1線、1間はなれるごとに2度、3度・・と付け、1オクターブが8度となる。

どあたま
ド頭。曲の冒頭部分。「アタマ」が漠然と曲の初めの方をさすのに対し、ドアタマは曲の一番初めの部分をさす。(例)「あれ、私のフメン、どこに戻るか書いてないよ」「あ、ごめん、ドアタマに戻って」

どもこ
子供(コドモ)。親と子の関係の「子供」をさす。大人と「小人」のコドモ、にはあまり使わない。(例)「スンマセン、チャンカーがドモコ、病院に連れて行ってくれと言うもんで、1ステージ遅れます」

どろん
「ドロン」は昔の漫画で忍者が煙に紛れて姿を隠す時に書かれていた擬音語で、そこから、バンドマンが「借金逃れ」や「他人の楽器持ち逃げ」などで行方をくらますことをこう言う。「ドロンした」と言う時には、片方の人差し指を片方の手の平で握る「隠遁の術」のポーズをとると完璧。

どんば
バンドのことだが、この「ドン、バ」、という独特の響きは、コンボやロックバンドではなく、やはりキャバレーの、それもフルバンドがよく似合う。

 な
なおん
女(オンナ)。→チャンナオン

 ね
ねか
カネ、お金。(例)「シーメ、行こか」「いい、俺、今月ネカ無い」

ねかび
給料日。(例)「ごめん、ネカビまでC(ツェー)万貸して!」

 は
はいのーと
高音のこと、特にトランペットが出す高音を指すことが多い。ピュルルル、ピュイーといった音が女性の性感帯を刺激するとのうわさが流れて以来、この音を出すことがトランペット奏者の最大の目標となっている。

ぱくいん
はったりや口先ばかりで、実行が伴わないこと。インパクトの逆読み。動詞をつける場合は「パクインをたれる」。「パクインたれ」は、楽器を吹くよりホラを吹く方が性に合っている、各バンドにたいてい一人はいる種類の人間。

はこ
「箱」から、キャバレーや音楽パブなどの専属で演奏すること。店が箱であるという説と、フルバンド用のスタンドの形が箱である説とある。(例)「以前は、ハコでやってました」

はこばん
ハコで演奏しているバンド。収入は安定するがシャレコマをやることが多く、ジャズに対する情熱や進歩が止まってしまうことがあるので注意。「最近はハコバンやってるとこ、ほとんどないよ」

はっと [ hat ]
ハットミュートのこと。帽子の形をしたプラスティックやグラスファィバー製のミュート。楽器スタンド上部に取り付けておき、ベルをその中に入れて(向けて)演奏する。トランペットやトロンボーンの音色を軟らかくする効果がある。

はなもあらしもふみこえて
花も嵐も踏み越えて。→ベタ

はもる
ハーモニーの動詞形。活用はハモらない、ハモります、ハモる、ハモれば、ハモれよおめーら、である。

ばいてん(倍てん) [ double time ]
倍のテンポ刻みにすることで、速度は倍になるのではなく逆に半分になる。アップテンポの曲のエンディングなどで使用すると効果がある。

ばうんす [ bounce ]
ハネること。8分音符2個の後ろの音を楽譜通りでなく、幾分遅らせて、はずむように演奏する。但し、はずみ過ぎると「音頭」になってしまうので注意。楽譜で表現することが難しいので8分音符で表記し、表現は演奏者の感性にゆだねられる。3連符の前2つと後1つといういい方から全部の楽譜を3連符で書いた楽譜もあるが、ジャズを志すものにしてみれば愚の骨頂。イーブンに相対することば。

ばけっと
バケットミュートのこと。ベルベットトーンミュートともいう。バケツ型の円筒の中に布類を入れ、3つの爪でベルに取り付けるものが一般的だが、バイクのマフラーみたいに穴があいていてベルに挿入するものもある。

ばっきんぐ
メロディーに対してリズム隊が付ける伴奏のこと。

ばっく [ Bach ]
アメリカの楽器メーカー。昔、楽器に「USA Bach」と書いてあるのを見て「ほう、その楽器、ウサのバッチですか」と言ったバンドマンがいた。

ばっく [ back ]
コンボで、後方で演奏するピアノ、ベース、ドラムなどのリズム楽器隊のこと。→フロント

ばらーど [ ballad ]
スローなテンポでかつ感傷的なメロディを持つ曲。感情を込めて演奏しようとするあまり、演奏する者だけが感傷的になっている、ということが往々にして発生する曲。

ばりさく
バリトンサックス。ジャズバンドで使用されるサックス群の中で一番大きくて重いサックス。首への負担が大きく、腰痛に悩む奏者が後を絶たない楽器。

ばんす
前借り→スーバン。

ばんぷ [ vamp ]
伴奏だけの、リズムパターンの繰り返しのこと。曲のテーマの前にイントロの代わりに使用したり、曲の中間部で間奏として使用される。「ここでバンプ4つください」と言われても、管楽器奏者は「え、なにくださいって言った?」と、アタフタする必要はない。

ばんます
バンドマスター。特にキャバレーなどで、バンドを統括し、バンドの花形プレーヤーであるとともに、ステージで曲のカウントを出したり、代表者として店と交渉したり、メンバーの人数調整をしたり、流行の曲をバンド用に編曲したり、そのくせバンドメンバーからは陰口をきかれ、酒をおごらされる人をいう。アマチュアバンドの場合はバンドリーダーと言った方がスマート。

ぱつら
ラッパ。トランペット、またトランペットプレーヤーのこと。トロンボーン、サックスを含めた管楽器をいう場合もあるが、その形状からもトランペットに限る方がよい。パーラツではなく、これは完全逆読み。

ぱりひ
引っ張り、から引き抜き。バンドが他のバンドのメンバーを引き抜くこと。バンマスやマネージャーの仕事。バンドマンの給料は、パリヒで別のバンドに移ることによって上がる。→スーバン

 ひ
ひーこー
コーヒー。また、休憩時間に外に出て喫茶店に入ること。(例)「リハまで時間ありますねー、ヒーコー行きましょうか」

びーた
旅、から、長期の演奏旅行のこと、また、歌手の長期ツアーに歌伴として付いてまわること。(例)「○○さん最近見ないけど、病気?」「いえ、彼、ビータですよ」

びーなか
ナカビ(中日)。ショーなどが長期にわたる時、出演者側からの、バンドやスタッフへの付け届け。もとは舞台の中日から。1日限りの場合でもこう呼ぶ。内容は現金や酒だが、気のきかないお菓子を持ってくる場合もある。(例)「あれ、このケーサ、どうしたの」「今日のショーのビーナカです」

びす [ bis(伊) ]
小節を2回反復する指示記号。たとえば、小節ABCDEの、CDの上にbisと書いてあれば、ABCDCDEと演奏する。ラテン語で2が元になっている記号で、3回反復の場合は「ter」。

びっぐ・とーん [ big tone ]
アメリカですぐれたプレーヤーを賞賛する時に用いるほめ言葉。

 ふ
ふぃるいん [ fill−in ]
→オカズ

ふぇぃど・あうと [ fade out ]
もともとは、レコーディングで音量を少しずつ小さくしながら曲を終わらせる録音テクニックのこと。演奏で次第に音量を落とすこともいうが、ライブでやると、客が拍手のタイミングがわからずにシラける。ついでに、世間からいつのまにか忘れ去られることもこう呼ぶ。

ふぇいく [ fake ]
もとのメロディラインを変化させて、サブメロディのように演奏すること、またそのメロディ。

ふぉー・ばーす [ four bars ]
ジャムセッションなどで、各人のアドリブが終わった後に、アドリブを4小節ごとに交代して演奏すること。ステージでは4本指を立てて合図する。エイトバース、ツーバースで行うこともある。正しい英語ではバーズだが、バンドマンの間では、逆にバーズでは通じない。

ふぉー・びーと [ four beat(和) ]
ジャズのリズムで、1小節を4分音符4つで刻むビート。ツービートがメロディラインを生かすリズであるのに対し、フォービートには躍動感があり、テンポの速い曲やアドリブ演奏時に用いられる。フォービートは和製英語。

ふりゅーがぼーん
キング社製の管楽器。形はフリューゲルホーンに似ているが一回り大きく1オクターブ低い。バルブトロンボーンより短いので運搬に便利、トランペットに似ていてカッコいい、トロンボーンと同じ音色のバルブ楽器、などの理由ではなく、あくまで独特の楽器として購入すること。

ふる
フルバンド。ビッグバンドとほぼ同義だが、コンボバンドと対比して言うときに使うことが多い。フルメンバー揃っていなくても、そう呼ぶ。(例)「うちに来る以前はコンボでやってたの?」「いえ、ずっとフルです」

ふろんと
コンボの前面で演奏する管楽器奏者のこと。→バック

ぶらす・せくしょん [ brass section ]
金管パート。ビッグハンドではトランペット、トロンボーンのセクション。

ぶりっじ
サビと同じ。曲の中で橋渡しになる部分の意味。

ぶるーす [ blues ]
19世紀半ば以降に起きたアメリカの黒人音楽がもととなっている音楽。ジャズでは、ワンコーラスが12小節でブルースコード進行の曲を指すことが多い。日本の演歌などで見かける「○○のブルース」のブルースはこれとは全く無関係。

ぶるーのーと [ blue note ]
ブルースを特徴づける音階のもととなる音。一般的には3度、5度、7度を半音下げた音というが、単純に半音下げるという認識では、ただのマイナー(短調)になってしまう。四分音にしたり、元の音と微妙にからませたりして、ブルース感を出す。

ぷらんじゃー
プランジャーミュートのこと。お椀型のカップを手に持ってベルの前で開閉させ、音質を変化させるミュート。開閉の度合いによってさまざまな表現が可能であり、トランペットとトロンボーンで頻繁に使用される。特にデュークエリントンバンドでの使用が有名。開閉のみや運指のみに気をとられ、両方をバランスをとるのが難しい。市販のものもあるが、100円ショップで「トイレのスッポン」を買ってゴムの部分をはずして使うのが便利。なお、やってみると、サックスでもそれなりの効果はあるが、あまり見かけない。

 へ
へんきょく [ arrangement ]
編曲。→アレンジメント

べし
筆者の私的用語。歌伴のショクナイの場合、各地のステージによって歌うコーラス数が変わるため、そのバンドごとにコーラス数のメモ書きを楽譜に書き込み、どれが本当かわからなくなる。そのため自分独特の書き方を考える。丸で囲んだり三角で囲んだり。私的には、ギャグ漫画のセリフで「〜べし」というのがあり、それを取って2べし、3べし、と書いている。

べしゃり
しゃべり。司会、司会者のこともいう。「べりしゃ」、になりそうなものだが、習慣でこういう。

べた
リハーサルの時間を短縮したい、しかし、一応曲を最初から最後までやっておきたい、というときに、楽譜を初めから終りまで、繰り返し記号を無視して、1カッコの次にすぐ2カッコにいくなど、書いてあるまま「ベタッ」と演奏すること。「花も嵐も踏み越えて」とも言う。

 ほ
ほーんせくしょん [ horn section ]
トランペット、トロンボーン、サックスなどの管楽器群のこと。

ほうき
掃除をする箒。別にバンドマン用語ではないが、ステージで「おーい、誰がホウキ持って来い、こいつのまわりに、♯やら♭やら、いっぱい落ちとる」というように使う。逆に全く悪意がなくても、ステージで先輩に「ホウキ持ってきましょうか」などと言ったら、二度とそのバンドでは浮かび上がれない。

ぼいしんぐ [ voicing ]
あるメロディに対してハーモニーを作成すること。また、作成されたハーモニー。

ぼんこ
コンボ、小編成のバンドのこと。語源はcombinationから。

ぼんとろ
トロンボーン、またトロンボーンプレーヤーのこと。以前「平凡太郎」というコメディアンがいたので、ボントロと聞くと「ああ、平のボントロか」というギャグをかます人がまだいるが、残念ながら、若い人には全く通じない。

ぽんにち
日本人。音楽関係やショー関係では、日本人と外人が入り混じっていることが多いので、声をかけた時恥をかかないよう確認する時に使う。(例)「今日のターウのチャンナオンって、パイオツカイデーだけど、あれポンニチ?」→ジンガイ

 ま
まくら
宿泊費のこと。なので、「今回の泊りのショクナイ、マクラ付きです」と言われて、「枕だけで布団は付いていないんですか?」と心配する必要はない。→あごあしまくら。

まーくるびーえー
車海老。複合語は半分づつひっくり返すことが多いが、その一例。(例)「沖縄のショクナイ、どうだった?」「マークルビーエーがメッチャ、マイウ〜!」

まるち・ぷれーやー [ multi−instrumentalist ]
種類の違う楽器(特に管楽器)を演奏できるプレーヤー。ピアノは含まないのが一般的。サックスやクラリネットなどのリード楽器(フルートも含む)を複数演奏できる場合はマルチリードプレーヤーと呼ぶ。

 み
みーの
飲み、から酒を飲むこと、また飲みに行くこと。(例)「今日、終わったらミーノ、行きましょうか」

みせ(店)
単なる店舗を指すのではなく、水商売をやっている店を指す場合に使う。バンドマンの場合は、バンドを雇って演奏させている店を指す。

みゅーと
管楽器、特にトランペット、トロンボーンで用いられる、音質を変化させる為の用具。ベルの中に入れて固定させる挿入型や、ベルの淵に取りつける外付け型、手で持つ操作型などがある。挿入型は音程が高くなり、外付け型は低くなるのでチューニングに注意が必要。弱音器と訳されるが、音質の変化がミュート本来の目的なので、買う時はちゃんと楽器に取り付けて、音色を確かめて買うこと。

 め
めんふ
譜面、楽譜。バンドマンのメシの種。バンドマンはメンフさえ有れば鬼に金棒、逆にメンフが無いと、からっきし意気地がない。キャバレーでは譜面台(ボックス型)の中に、200曲ぐらいがワンセットの、表紙にA、B、C、D、Sなどと書かれた楽譜の束が入っていて、とっ代えひっ代え演奏する。

 も
もんきーらっぱ
小型のトランペット。巻きを多くして全体の長さを縮め、ポケットに入るぐらいの大きさのトランペット。遊びごころがあり、持ち運びには便利だが、音量、音色、音程とも、大きなバンドでの使用にはかなりムリがある。

 や
やーぼ
坊や。芸事を習得したいという意思のもとに、個人またはグループに付いて無給で勉強している若い(とは限らないが)人のこと。原則的に無収入のため、よほどの覚悟か、もの好きか、ある意味鈍感か、でないと、いつのまにかナオンを作っていなくなる。

やっきょく(薬局)
以前、北九州市小倉北区の「新世紀」前にあった一杯飲み屋。薬を売っているわけではなく、「薬を買いに行く」という名目で酒を飲みに行くためにつけた名。そうとは知らないフロアマネージャーが「森口さん(バンマス)は?」「今、薬局に行ってます」「・・ああ、そうですか、お大事に」

やのぴ [ piano ]
ピアノ、またピアノプレーヤーのこと。アノピ、とは言わない。

 ゆ
ゆくえふめい(行方不明)
ジャムセッションなどで、アドリブの最中にどこをいっているのか、わからなくなってしまうこと。特に管楽器に多い。数ばかり数えて、ベースやピアノを聴いていないとよくおこる現象。リズム隊から冷たい視線を浴びせられるが、これでめげていては、アドリブは上達しない。感謝しつつ、将来の成長を抵当に、お付き合いしてもらう気持ちでやること。合掌。

ゆにけ
ユニホーム・ケースのこと。ショクナイの時のステージ用衣装をいれておくバッグ。楽器とユニケをもつことで、見かけだけでなんとかプロと判断してもらえる、バンドマンの必需品。

ゆにぞん [ unison ]
同一音のこと、また同一音の演奏のこと。1オクターブ違う音でも(トランペットとトロンボーンの場合など)ユニゾンと言うことが多い。

 ら
らーぎゃ
ギャラ。演奏に対する報酬。ショクナイやラートなどの、その場限りの演奏に対する報酬をさすことが多い。以前はギャラの支払いは、ウサン臭いプロダクションもあったりするので、即日・現金の日雇い式が原則であったが、最近は月末振込みになるなど、すっかりサラリーマン化している。

らーと
トラ。エキストラから、臨時に雇われた演奏者のこと。筆者が以前サーカスでトラを頼まれた時、団長の奥さんに電話で「トラの○○ですけど・・」と言ったら「エーッ!、トラが逃げた!?」と、とんでもない返事が返ってきた。

 り
りずむ・せくしょん
ピアノ、ベース、ギター、ドラムなど、常時リズムを担当している楽器群。

りは
リハーサル。本番前に行なう練習。ショクナイの際に、たいした曲でもないのに時間をかけてやることもあるが、「これもギャラのうち」と、作り笑顔でやること。

りはーさるまーく [ rehearsal mark ]
練習記号。リハーサルや普段の練習で、曲の途中の個所を指定する場合に、その位置が分りやすいように、曲の部分部分につけられている番号や記号。これがないと練習で時間ばかりかかる。(例)「すみません、アタマから57小節目のダブルバーからもう一回やってください」「えーと、25、26、27・・」「ケツからだと32」「ケツから32ね」「だから、コーダから12」「コーダって、コーダの中?」「いやtoコーダ」「あれ、俺のとリピートの書き方が違うみたい・・」、みかねて横から「もー、アタマからやったらいいやん!」

りょーきゅー
給料。キャバレーの給料は、15日区切りで月2回支払われるのが通例であった。

 る
るーびー [ beer ]
ビール。酒税法では酒類であるが、バンドでは酒とジュースの中間に位置する飲み物。つまり、ちょっと景気を付ける、という面では酒であるが、のどの渇きをいやす、という面ではジュース。最近ではバンドでもごたぶんに漏れず、発泡酒や、第三のビール愛好家が多い。

 わ
わうわう
ワウワウミュートのこと。挿入型のミュートで、中心に取り外しのできるパイプが通っており、パイプの口を開閉して「ワウワウ」という効果を出す。ハーマン社のものが有名なことからハーマンミュート、また、中心のパイプを取り除いたものをチッチミュートとも呼ぶ。

わおん [ chord ]
和音。2つ以上の楽音が同時に鳴ること。以前小学校で、3度の重なりの協和音を「きれい」、2度などの重なりの不協和音(これもひどいネーミングだが)を「きたない」、と教えられた。これは味にたとえると、甘い=おいしい、苦い・辛い=まずい、と言うのと同じで、複雑で深みのある和音を否定した表現であり、せっかくの子供の感性を駄目にしてしまう。日本の音楽教育界で、まさか今もそんな風に教えては、いないでしょうね。