<よいこの音楽べんきょう室・パート2>

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『ねえ先生、大人の人が首からぶら下げて聴いてる、MP3(エムピースリー)プレーヤーって、あるでしょ。』

ええ、携帯して聴く、デジタル型の音楽プレーヤーのことね。最近、ずいぶん流行ってるわ。

『あれって、ずい分小さいけど、どんなモーターが入ってるの?』

まあ、よくモーターなんて言葉、知ってるわね。確かに、それまでの音楽を聴くプレーヤーって、モーターで、 レコードとかカセットテープなんかを回転させて、音を出してたのね。先生が子供のころ、蓄音機なんて、手で ハンドルを回して、レコードを回してたわ。

『蓄音機!?、先生って、もしかして、エジソンと同世代?』

人を「黒柳徹子さん」みたいに言うんじゃないわよ。それから、MDやCDの、デジタルプレーヤーの時代に なっても、やっぱり、モーターを使ってるのね。つまり、それまでのプレーヤーはモーターで回(も)ーたー、のね。

『(うへーっ最悪!)先生、面白〜い!』

ありがと(最近のガキ、意外とノッてくれるじゃん)。それが、インターネット時代になって、ネット上で画像を 扱うようになると、画像データを軽くするMPEG(エムペグ)っていう規格が開発されたんだけど、それに付いてる 音楽データを軽くする技術も、いっしょに開発されたのね。

『ふーん、それでプレーヤーも軽くなったのね』

(アホか!)あのね、データを軽くするっていうのは、「圧縮」って言って、人間の耳には聞こえないような 音域を省いたりして、我慢の限界のちょっと手前まで、音質を落とすことなの。で、音を保存するレイヤーって 言う層が「Layer-3」だから、MP3、ってことなのね。

『(だんだん話がずれてるじゃねえか)で、結局、モーターはどうなったの?』

今流行ってるMP3プレーヤーの主流は、フラッシュメモリーって言う記憶装置に音楽を入れて、それから再生 させる仕組みなの。それだと、モーターは必要ないのね。その記憶装置も最近は、安くて大容量のものが出て来て、 CD何十枚分ものデータを入れられるし、モーターを使わないから、小さく軽くなって、音飛びもなくなったのね。

『ふーん。でもさ、さっき音質を落として、言ったけど、じゃ、MP3の音って、CDより音質が劣ってる、 ってこと?』

そうね、データの量は、元のCDより約11分の1ぐらいになってるわ。でも、技術の進歩のおかげで、そんなに 聴き劣りしないのね。

『ふーん、いいことばかりじゃん、MP3、万々歳だね』

(万々歳?!、いったいどこのおっさんや)そう、確かに、データが軽いから、たくさんのデータを持ち歩いたり、 パソコンに保存したり、ずい分便利なんだけど、一つ、困ったことがあるの。それは、著作権対策が取れてない、 ってことね。

『著作権て、作曲した人なんかの権利を守ることでしょ。』

そう。CDには、著作権を守るためのコピー防止対策があるけど、MP3は、そうした工夫が遅れてるの。 だから、自分でMP3データを作るときは、そこんとこ、十分に注意しないとね。最近は、MP3と違って コピー防止対策がある規格も出て来て、それらを聴くプレーヤーを全部ひっくるめて「デジタル・オーディオ・ プレーヤー」って呼ぶようになってきてるわ。

『今度ね、誕生日にお父さんがMP3プレーヤー、買ってくれるって。楽しみだなー。』

(まだ、早ぇーよ)そう、よかったわね。どんな音楽、聴くのかな。女の子だからやっぱり、最近の若い男の 子のグループなんか、かな。

『そうじゃなくてね、私が好きなのは、氷川きよしと、落語。』

(わー、こいつ、本物のおっさんや〜)じゃ、今日の「よいこの音楽べんきょう室」はここまで。まッたね〜。