<よいこの音楽べんきょう室・パート6>

                  演奏時間についての考察

「ねえ、先生。こないだの先生たちの『デジタル楽器コンサート』ってさあ、かったるく てさあ、いつまでやんのよー、って感じだった。ほんと、つまんない演奏って、どうして あんなに長く感じるのかな」

(本人を前にして言うか、テメエ、ぶっ飛ばすぞ!)そう、それは災難だったわね。そう ねえ、そもそも時間って何?、なんて難しい話は、あなたの頭じゃ無理だから・・・たとえ ば、子供の頃は時間の流れを遅く感じ、年を取るにつれて時間の流れを早く感じる、ってい うでしょ。

「え゛ーっ!じゃ、あたしと先生の、時間の感じ方って違うの?私がゆっくり歳を取って、 ほんでもって、先生はどんどん歳を取ってるわけ?、わー、可哀そう〜!」

(余計なお世話じゃ、いずれお前もそうなる!)先生のことはほっといていいのよ。それ から、楽しい時間はあっという間に過ぎるけど、逆に、嫌な時間は永遠に続くように感じ る、なんてこともあるわね。つまり、時間の長さの感じ方って、多分に相対的なものを含 んでる、ってことなのね。

「ふーん、そうなんだ・・・ところでさあ、じゃ、演奏してる人たちの方も、長く感じたり、 短く感じたりするのかな」

そうねえ、じゃ、演奏する人と聴く人の、演奏時間の長さの感じ方を、こんなマトリック スにしてみましょうか。

  演奏する人   聴く人
1 ・短い      ・短い
2 ・短い      ・長い
3 ・長い      ・短い
4 ・長い      ・長い

こうやって見てみると、
1.の場合、これは、演奏する方も聴く方も、楽しくてあっという間に時間が経ってる、 ってことになるわね。これだと、きっと楽しいコンサートね。
2.は、やってる方はいい気分かもしれないけど、聴いてる方は退屈。これは、押しつけ、 ってゆうか、演奏する側のエゴ、ってゆうか。これじゃ、聴く方はたまんないわ。
3.は、やる方は飽きてるけど、聴く方は初めてで楽しい、例えばコンサー トツアーって、そうかも知れない。同じことを何回もやってると、演奏する人たちも 乗らなくなったりして。でも、それは、なんらかの形で聴く方にも伝わっちゃうから、そ こを乗り越えるのがプロ、ってもんよね。
4.は、もう最悪ね。やる方は、飽き飽きしながらやってる、聴く方は、義理でチケット 買わされて来てる、みたいな。

「へー、いろんなパターンがあって面白〜い。じゃ、先生たちのコンサートって、2.の パターンだったのかな。だって、先生たちはノリノリだったし」

(ふん、実は4.のパターンじゃ。ホントはこっちも、カッたるかったんじゃ)まあ、大 人と子供の感性の違い、ってのもあるしね。

「(無視)ねえ先生、コンサートの時間の長さなんてのも、そんなのを考えて決めるの?」

そうねえ、演奏する方の集中力と聴く方の集中力のバランス、は大切ね。あまり短いと乗らないまま 終わっちゃうし、長過ぎると、せっかく乗ったのに、最後にダラけて、しまりのないコン サートになっちゃうし。アンコール曲まで含めて、コンサートの時間を考える必要はある わね。他に、開演前のデートタイムとか、終演後の食事タイムなんかを、考慮に入れる こともあるけど。

「ふーん、大人の事情がいろいろあるんだ・・・ねえ、ひょっとして、テストの時、時間が長く感じたり、 短く感じたりするのも、関係あり?」

もちろん、大有り!予習してて余裕〜、って時と、予習してないで焦り〜、って時じゃ、 時間の感じ方は全然違うわよ。あなたも、明日のテストでいい点取りたかったら、とっと と帰って勉強しなさい。

「はーい。先生も、過ぎ去って行く時の流れを惜しんで、精一杯頑張ってくださ〜い、『先生老い易 く学成り難し』、って言うしねー」

(てめえ、このヤロ、しつっこいんだよ!)じゃ、よいこの音楽べんきょう室、今日はこれ まで。バイバイ、まったねー。