<よいこの音楽べんきょう室・パート14/バースとコーラス>


           <よいこの音楽べんきょう室・パート14/バースとコーラス>


11月も今日でおしまい。明日から12月かぁ。とうとう、秋も終わっちゃうのよねぇ、先生。 この頃になると、人生っていったいなんなのだろう、って、つい思っちゃうのよね〜・・・ 淋しいなあ、秋の終わりって。

あのね、小学生の分際で人生を語らないの。だいいち、焼き芋食べながら言っても、ゼン ゼン実感ないから。それより、どうして宿題してこなかったのかな?

そうだ、秋って言えば、枯れ葉よね。先生、「枯葉」歌って。

(人の言うこと聞け!)あのね、分かってる?今、何で宿題してこなかったのって、きい るのよ。

そうそう、「枯葉」って、元はどこの国の曲だか、先生知ってる?

(だから、人の話を聞けっちゅうの!)知ってるわよ。1945年頃のフランスのバレエ曲が 元で、その後「夜の門」って映画を経て、シャンソンのナンバーとして広まったみたいね。 それが第二次世界大戦後、アメリカに持ち込まれて、英語の歌詞がつけられてヒットし、 それから、コード進行のわかり易さからジャズナンバーとして広まった、ってことね。そ れより、宿題忘れたわけは?

まるっきり「ウィキペディア」そのまんまのお答えね、先生。そうえば、パパが「俺の若 いころには、歌の前にフンガフンガ、ってのが付いてたんだがなぁ」って、言ってたけど、 歌の前のフンガフンガって、なんのことかな。

フンガフンガ?!それって多分、「バース」のことを言ってるのね。

ああ、バースって知ってるわ。あと、岡田と掛布で、三連続バックスクリーンへのホーム ラン。

そう、あのころの阪神は強かったー・・・のバースじゃなくて、verse、つまり、歌ものの 曲の冒頭に付けられている、序奏部分のことね。それに対して、曲の本体部分を「コーラ ス(chorus)」とか、繰り返すって意味で「リフレイン(refrain)」、って呼ぶの。例えば、 「スターダスト」って曲、冒頭にスローバラードみたいな部分があるでしょ、あれがバー ス。そして、インテンポの部分からがコーラス、ってことね。

そうか、ジャズで、テーマの後のアドリブの回数を「コーラス」って数えたり、アドリブ の後に挿入する、元と異なったテーマを「セカンド・リフ」って呼ぶのは、そこから来て るのね。じゃ、「枯葉」って曲にもバースがあるってこと?

そうよ。日本にはフランス経由で入ってきたから、バース付きが一般的だったの。パパは それを聴いたのね。でも、アメリカ経由の場合、バースの部分は一般的にならなかったの。 だから、ジャズナンバーとして取り上げられるときも、バースが演奏されることはあまり ないわけ。

ふーん、そうなんだ。でも、そもそもバースって、どんな役目があるの、先生。

曲の歌詞の説明部分、ってとこかな。歌詞で曲を表現するとき、コーラス部分はメロディ とリズムで制約されてるでしょ。だから、バース部分のゆっくりしたテンポでああだ、こ うだ、と曲の内容を前もって表現するわけね。

じゃさあ、アドリブのときに言う「フォーバース」のバースってのも、同じ?

あれはゼンゼン別。管楽器とベースやドラムが、4小節ずつ、つまり、四つのバー(小節) ごとに交代してアドリブを取ること。だから、ホントはフォーバーズ、だけど、フォーバ ース、って言うのが一般的ね。ほかにエイトバースとかもあって、楽器同士の掛け合いの 面白さが楽しめるわ。じゃ、そろそろ宿題忘れたわけ、教えてくれるかな。

宿題?先生、きのう宿題って、出したっけ?

出したっけって、ちゃんと出したでしょ、ねえ、みんな。エ、出してない?そんなこと 無いでしょ、ちゃんと・・・あ、そうか、二日酔いですっかり忘れてたんだ。みんな待っ てて、急いで職員室から取ってくるから。

先生、廊下は走っちゃダメでしょ。

いいのよ、だって明日から『師走』だもん。