改めて、タンギング考
タンギングの解説でクラッシックはtu、ジャズはduのシラブルを使う、 というのを見かけます。tuは舌の先、duは舌の腹を使っているから、 と書いてありますが、発音してみると、tuとduの舌の位置は変わりません。 注目すべきではtは無声音、dは有声音ということではないでしょうか。

日本語ではtのあとにuを付けてtu(ツゥ)とする発音が一般的なので、 tが無声音ということに気がつきにくいのですが、 tという発音のときは喉は鳴っていません。 これではジャズのレガートなフレーズのイメージが発想できません。

ジャズではシラブルの表現にドゥダとかウダを使いますが、それはdが有声音、 つまり喉が鳴っているため、次のuやdaを続けて発音しやすい。 それがドゥダ、とかウダという発音を生み、 ジャズ独特のレガートなシラブルを作り易くしているのではないでしょうか。

もちろん舌先を上の方にしてtu、 舌腹を上げてduというのが間違いというわけではありませんし、 演奏する時、ドゥダウダと言っているわけでもない、また、 時代によっては喉が鳴っていないフレーズの方がスマートなこともあるのでしょう。 ただ、喉が鳴るという視点からフレージングを検証してみるのも、 おもしろいのではないか、と思うのですが。