バンドマン文化講座「川柳」編(上)


                   バンドマン文化講座「川柳」編(上)

皆さんこんにちは、バンドマン文化講座のお時間です。
さて今回は、バンドマンをテーマにした「川柳」をお勉強しましょう。
解説してくださる講師は、おなじみ、萬同萬(ばん・どうまん)先生です。では先生、お 願いいたします。

皆さんこんにちは、萬同萬です。
「川柳は 心にゆとり 脳に糧」、川柳を学んで、心と脳を豊かにしましょう。
さて今日は、バンドマンをテーマにした川柳をいろんな角度から検討しながら、バンドマ ン文化を眺めてみましょう。まず初めは、こちらから。

<バンド社会編>
【バンド部屋 壁はないけど 溝がある】
これはどういった句でしょうか。そう、バンドマンというのは年齢も経験もゴチャ混ぜ、 つまり壁がない。でも、経験が短くても上手だったり、年上でも下手だったりで、そこに は確執、つまり見えない溝がある、そんなバンドマン社会を詠んだ句ですね。
はい、次はまとめて3句。

【ごますりの 油がバンドの 潤滑油】
【陰日向(かげひなた) あるバンドマンほど 陽が当たり】
【変人を バンドじゃオンリー ワンと呼び】
これはわかり易いですね。どこの社会にも世渡り上手、下手がいるもの。これ、バンドを会社、 バンドマンをサラリーマン、に置き換えてもいいですね。はい、次は、

【一言が 足りないバンマス 多い俺】
バンマス、つまりバンドマスターは、バンドの運営を任されている人ですが、音楽以外の ことには言葉足らず。逆にメンバーは、選曲がどうだ、給料がどうだと、口さがない、そ んな状況の句ですね。

【「無礼講」 それは罠でしょ バンド酒】
【バンマスは 貝、酒飲めば 口開く】
「無礼講」ったって、悪口を言われれば根に持つし、酒を飲めば酒蒸しの貝のようにパカ ッと口が開いて、あることないこと喋る、というのは人の常。バンドで酒を飲むのには用 心がいる、ということを表した句ですね。

【ケツまくり 飛び出たバンドが 今ビッグ】
「こんなバンド、辞めてやる!」と飛び出したバンドが、その後、ビッグとまでいかなくても、ツアーを組んだり、CD を出したり。ありゃ、と思っても後の祭り、ってことが、たまーに、あったりして。
それでは、次は・・・

<お金編>
【向上心 バンス次第で 乱高下】
【裏がある バンスと野球にゃ 気をつけろ】
バンスというのは、アドバンス、つまり前借りですね。別のバンドに移るときにある程度 まとまったお金を前もって払ってもらい、月々の給料から返していく、という制度です。 バンドマンはまとまったお金が入ることがないので、たいていは遊興費に泡と消えます。 バンスの額によってやる気が出たり出なかったり。まあ、けっこういい加減なものでしたね。

【バンド買い 夢と300 繰り返す】
「買わなきゃ当たらない」と言いつつ、一人では負担が大きいのでバンドでまとめて宝くじ を買う。で、結局、300円ばっかり。もうやめた!、と言ったのに、次のジャンボでも また同じことを繰り返す。これは、バンドマン社会だけじゃないでしょうけどね。

【ボーナスは 知っても知らぬ バンドマン】
【音食べて 腹ふくれる技 ないかいな】
ボーナスもなければ昇給もない、しょせんバンドマンはお金に縁がない、ということですね。 では、続いては・・・。

<演奏編>
【心配ない きっとあいつが 吹くだろう】
【「お前吹け」 決まり手『丸投げ』 バンド部屋】
キャバレーでは、ショーなどの演奏はほとんどぶっつけ本番。ギョッとする譜面があって も「ま、なんとかなる」と、練習もしない。バンマスも、難しい譜面があると「俺、指揮振 らんといかんから、お前吹け」と丸投げする。そんな丁々発止のやり取りが、相撲部屋ならぬバンド部屋では あっていた、という情景ですね。

【楽譜にも 付けてください カーナビを】
【超速い 曲で飛び出し 「オフサイド!」】
キャバレーでは、1stスデージは、超速テンポの曲とか、難しいジャズナンバーをやっ ていました。初見(下見なし)の場合もあり、当然、途中でどこを行っているのか分ら なくなったり、小節を数え間違えて、飛び出したり。ああ見えて、バンドマンはジャズに関しては、けっこう 真面目だったんですよ。

【ストリップショー どうりでバンドに キレが無い】
ストリップショーが入ると、バンドも楽しみ。ジンガイ(外人)のタレントだと、「きわど い」を通り越したり、ポンニチ(日本人)だと「バンドにサービス!」の掛け声に応えて、 バンドの方を向いて『特別ショー』を見せてくれたり、ということもあって、演奏に熱が入らなかった、そん な状況の句ですね。

おや、もう時間が来てしまいましたね。では、この続きは、また次回にお送りしましょう。

萬同萬先生、ありがとうございました。
ということで、次回は「バンドマン生活編」、「老バンドマン編」、「バンドマン哀愁編」を取り上げて お送りする予定です。
では、次回もお楽しみに、さようなら〜。