英語で表現するより日本語のほうが深みがある、そんな言葉のひとつに、
「呼吸」があります。
最近は「ブレス」という言葉が多用されているようですが、これは「呼吸」という
言葉のうちの、”肺に空気を入れたり出したりする”ということしか表して
いません。
「呼吸」には他にも、”人と人との間の調子→呼吸を合わせる”、”物事を
たくみに行う微妙なこつ→呼吸をのみこむ”などの意味があります。
「リズム隊はブレスを合わせて」より、「リズム隊は呼吸を合わせて」と
言った方が、表現したいことが伝わります。しかし、いつのころからか
「ブレス」という言葉が広まるとともに、「呼吸」のもつ、多彩な使い方も意味も
忘れ去られているようです。
バンド全体が「呼吸を合わせ」、「阿吽の呼吸」で、「息の合った演奏」をする、
こんな日本的な表現が、洋楽をやる上で何かの妨げになるとは思えません。
「呼吸」という言葉の復権を、と思う今日このごろです。
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