今日の神様、明日の神様

今日の神様、明日の神様

以前、このコラムの「川柳」の中で「リハーサルやるほど悪くなる本番」というのを書いたこと がある。リハーサルであれだけ良かったのに本番では「なんで?」、というのは、バンドでは けっこう多い。初見のときは必死だが、いったん「出来る」となると、気がゆるんでしまう、 というところが、いかにもバンドマンらしい(?)

アドリブもそうで、みんなから「今日のリハのアドリブ、よかったよ」と言われた時ほど、 本番ではサッパリ、ということがよくある。じゃ、リハを流したら本番は出来がいいのか、と いうと、なんのことはない、ますますノリが悪かったりして、いったいどうすりゃいいんだ!

と悩んでいたら、白石加代子さんという役者さんの文章に出会った。(NHK大河ドラマ「義経」 の朗読や老婆役をやってる人です。)

「お芝居はなぞっちゃダメなの。今日うまくいったからといって、翌日同じようにやろうと すると、つまらない演技になってしまう。今日は今日の神様、明日は明日の神様がいるのよ」

ああ、目からウロコが(誰がくっ付けたんや!)バラリバラリと音を立てて落ちていった。

「ジャズはなぞってはダメ。今日うまくいったからと言って、翌日同じようにやろうとすると、 つまらないアドリブになってしまう。今日は今日の神様、明日は明日の神様がいる」・・・

ということは、つまりリハの神様、本番の神様など、その時々の神様がいるわけで、その時々の 神様が降りて来てくれるよう、いつでも頑張って演奏しなさい、ということなんだ!・・・

って、妙に納得したけど、これってよく考えたら、当たり前のことをしなさいってことだよなー。 で、また忘れたころに、この言葉に出会ったら、また目からウロコが落ちるんだろうな・・・・・アレ? なーんだ、目にウロコをくっ付けてるの、自分じゃん!