「循環呼吸」についての考察

<ことのおこり>
体重が、軽く?ヤバい、ということで、ランニングを始めた。ついでに、走りながら「循環呼吸」 の練習も始めた。以前にもやったが、曲の中で使えるほどではなかったので。

<循環呼吸とは>
循環呼吸(circular breathing)というのは、「(管楽器を)吹きながら同時に呼吸をして延々と吹 き続ける」という奏法のこと。

<循環呼吸のしくみ>
「吹きながら同時に呼吸をする」というというと、えっ、バンドマンはエラ呼吸をするのか!?と 思う人もいるかもしれないが、もちろん、そんな特殊な体のバンドマンは、めったにいない。タネを明かせば、 「頬に貯めた空気を押し出して吹いている間に、鼻から息を吸う」という、他愛もない方法。

<循環呼吸の実態>
この奏法はそんなに特殊なものではなく、民族音楽、クラッシック、ジャズ、邦楽(尺八) などいろんな分野で利用されている。よく知られているのが、オーストラリアのアボリジニーが演奏している ディジュリドゥという楽器。木で出来た直径10cm、長さ1mぐらいの楽器(といってもただの筒)で、 循環呼吸を使って延々と演奏される。(ちなみに、友人からオーストラリア土産にもらったが、 頭がクラクラして、すぐに諦めてしまった。)

<循環呼吸の達人たち>
・去年、NHK「英語でしゃべらナイト」に出演したサックス奏者のケニーG(コマーシャルで見かける 頭髪がボワーッと盛り上がった人です)が、松本アナウンサーを相手に、きれいな循環呼吸をやって見せていた。
・エリントンのバリトン奏者ハリーカーネイは「「ソフィスティケイテッド・レディ」のカデンツァで 延々とこれをやり、日本の客に大ウケした。
・トランペットでは、ウイントン・マルサリス、セルゲイ・ナカリャコフなど。そのほか多くの達人が、ジャンルを 越えてこの奏法を見せてくれる。

<実践に向けての練習>
さて、基本的には「頬に空気を溜め、フーッと押し出す、そのスキに鼻から息を吸う」だけだが、 実践で使うとなると、けっこう厳しい。
ポイントは、
1)鼻から吸うとき、思いっ切り吸う
中途半端に吸うと、古い息が残ってだんだん苦しくなる。音が途切れてもいいから、とにかく思い切り 吸う練習をする。
2)音質が変わらないようにする
ほっぺたの力で押し出した空気は十分な圧力がなくて、どうしてもそこだけ音質が変わってしまう。 これをうまく曲の中に紛れ込ませて、わからないようにするのがテクニック。

ということで、少しずつやってはいるが、やりながら、はたと気がついた。延々とフレーズに切れ目が 無い、というのは、やる方も、そして多分聴く方も、疲れる。んー、どうしよう? と思ったが、また別のことにも気がついた。演奏中、「呼吸」を意識するようになった。実践で使うかどうか は別として、それだけでも、よしとしようか。

ということで、今日もランニングに、循環呼吸に、頑張ってはいるが、はて、肝心の体重は減らない? よく考えたら、走って、腹が減って、食べて、また走ってって、こりゃ、悪循環!呼吸だわ!