サンドウイッチマン風・漫才「音楽の事件簿」


A:「どうも、どうも、『バンドウイッチマン』で〜す」
B:「よろしくお願いしま〜す。しかし、なんやな、最近の食いモンの事件、恐いナー」
A:「食いモン、ゆうやつがあるか、ちゃんと”食品”、いわんかい」
B:「それや。食品の産地偽装やら、食品添加物やら、事件ばっかりや。こないだは毒まで 入っとったゆうんやから、どないなってんねん、日本の食いモン!」
A:「まだゆうてる。しかし、恐いんは、食品だけやないで。こないだパチンコ屋行ったら、 鳴ってる音楽の、やかましいのなんの。ああなったら、音楽かて、りっぱな事件や」
B:「音楽が、事件になるか」
A:「なるがな。レストランで食い切れん量の料理、強制的に出されるのんとおんなじや、 例えばやな・・・」

A:「お客様、ご用でしょうか」
B:「きみ、なんやねん、この店のBGMの音量。こない音大きかったら、やかましいて、 メシが喉通らへんやろ!」
A:「ハンバーグステーキ、でございますね」
B:「誰が注文ゆうてんねん!なにがハンバーグステーキや。音がやかましい、ゆうてるや ろ、聞こえへんのか」
A:「ハハハ、お客様、ご冗談ばっかり。よーく聞こえておりますよ」
B:「客おちょくっとんのか。聞こえとったら、なんとかせんかい」
A:「ハンバーグステーキをお二つに変更、でございますね」
B:「勝手に増やすな。だいたいおまえ、この音、やかましないんか」
A:「わたくし?わたくしは大丈夫でございますよ、ちゃーんと耳栓をしておりますから」
B:「客ほったからして、自分だけ耳栓しとんのか。はよなんとかせえ、この音」
A:「はい、耳栓は別料金になっておりますが、よろしいですか」
B:「だれが耳栓くれ、ゆうとんじゃ。なんで、こないに音が大きいか聞いとんじゃ」
A:「ああ、それでしたら、当店は、注文して頂いた食事の量に合わせて、BGMの音量を大きく するサービスを実施しておりますので」
B:「誰やねん、こんな音量の食事、注文するんは」
A:「本日は、ギャル曽根様、がお見えです」

B:「食う量に音量が比例しとったら、かなんな。けど、食品みたいに、音楽に偽装事 件はないやろ」
A:「そんなもん、音楽にかて偽装ぐらいあるがな、たとえばジャズ喫茶やったら・・・」

B:「ちょっと、きみ。トロンボーンのいい音楽あったら、かけてくれへん」
A:「トロンボーンでございますね。承知しました。では、どうぞごゆっくり」
B:「・・・ちょっと、これ、ほんまにトロンボーンの音か。なんか違う気がすんねんけど」
A:「お客様、わたくしどもが、偽装をしたとでも」
B:「だれも偽装、ゆうてないやろ。トロンボーンにしては音色が変や、ゆうてるだけや」
A:「お客様、当店は産地直送、トレーサがビリティなのが、自慢の店でございます」
B:「こら、トレーサとビリティを離すな。トレーサビリティで一つの単語や。なんやトレ ーサがビリティて、わけのわからん。そやのうて、音の話や」
A:「わかりましたお客様。そこまで疑われるのなら、調理場で産地を調べてまいります、 しばらくお待ちください・・・」
B:「おい、待たんかい・・・なんや、トロンボーンの産地て。だいいち、調理場で何調べ るんや・・・。おい、何しとったんや」
A:「あれ、お客様、まだいらっしゃったんですか」
B:「このやろう、客待たせといて、まだいらっしゃった、とはなんや」
A:「いえ、てっきり赤っ恥をかくのがいやで帰ったかと」
B:「なんやと、こら。何が赤っ恥や」
A:「はい、青二才だと青っ恥ですが、お客様、青二才というほどには・・・フッフッフッ」
B:「なんやそのフッフッフ、ゆうのは。ほなら、あれはホンマに、トロンボーンの音なん やな」
A:「はい、間違いなく、シンセサイザーの『トロンボーン』で作ってありました」

B:「たしかに、最近のシンセサイザーの音ゆうんは、ホンマもんと区別がつかへんしな。 それでも、音楽に賞味期限の詐称、ゆうんはないやろ」
A:「あるある。ニュースカイラーク見てみ。あれはそうとう、賞味期限ごまか してるで」
B:「なるほど。どうりで、音がクサイはずや」
A:「もうええわ」