漫才:バンドマン的 「iPad」 の使い道


                漫才:バンドマン的 「iPad」 の使い道

A)なんやね、いよいよ、やね。
B)なんやいな、いきなり、いよいよ、ゆうたかて、わからへんがな。
A)いよいよ、ゆうたらアレしかないやろ。アレやがな。
B)あーあ、アレか。そやな、もうすぐ梅雨やな。
A)そやそや、雨降ってジトジトしてたまらん季節、て、そやないがな。ほら、あの、飛 行機の中で、目ぇに当てるやつ。
B)目ぇに?ああ、アイマスクやな。
A)アイ・・・、そやのうて、ほら、女の人が胸に当てる・・・。
B)胸に?ああ、乳パッドやな。
A)そうそう、乳・・・、ちゃうがな。それを半分ずつにしたやつ。
B)半分ずつ・・・乳マスク、か。
A)そう、乳マスク、て、なんでそっちの半分やねん。もう片方の半分ずつや。
B)もう片方ゆうたら・・・アイ、パッド、か。
A)そうやがなー。そのアイパッドが、いよいよ日本でも発売やな。
B)iPad、ゆうのに、どんだけかかってんねん。しかし、なんやな、機械オンチの君 が、iPad知ってるゆうんは、たいしたもんや。
A)なにをおっしゃいますか。こう見えても私は、インテリバンドマンで通ってんねんで。
B)インテリ?!インテリやのうてインチキやろ。で、そのiPadがどないしたんや。
A)どないて、これからはiPadの時代やで。君も、時代に乗り遅れんようにせなな。
B)なんや偉そうに。そら僕かで考えてるで。例えばやな、キャバレーの楽譜て、ジャズから、 歌謡曲から、歌手の伴奏から、いくつもの束になって、何百曲てあるやろ。あれを 全部データ化して、iPadで見れるようにしたら、そら便利やろな、とか。
A)ちゃうちゃう。そやから、君は肩身が狭いねん。
B)肩身が狭い?
A)えーと、そやのうて、視野が狭い。
B)えらい違いや。ほたら、君はどう使うゆうねん。
A)聞いてクリビツ(ビックリ)したらあかんで。まず、「鏡機能」。
B)鏡機能?なんやそれ。
A)鏡ゆうたら鏡やがな。ボタンを押すと、iPad全体が鏡になんねん。アンブッシャ ー(吹奏楽器を演奏するときの唇周辺の形)見たり、ステージに上がる前にネクタイが曲がっ てへんか見たり、そら便利やで。
B)アホくさ。ま、確かにiPadて、ちょうど手鏡にええ大きさやけど。
A)それから「懐中電灯機能」。
B)懐中電灯?また、わけのわからん。
A)わからんかなー。ディスプレイ全体が光って、懐中電灯になんねん。ステージが暗ろ て楽譜が見えんとき、そら便利やがな。
B)待て待て。僕はiPadそのものが楽譜にならんかな、ゆうてんのに、なんで懐中電灯として使う ねん。
A)そやかて、時代遅れの歌手が、手書きの楽譜持って来ることもあるやろし。
B)君から「時代遅れ」、言われたないわ。
A)ほかにも、ステージで100円玉落としたとき、捜すのに便利やし。
B)なんで、ステージで100円玉落とすねん。
A)それから、「お盆機能」。
B)またまた、わけのわからん。なんや、お盆機能て。
A)お盆知らんか。ご飯のせて運ぶやつ。
B)お盆ぐらい、君に言われんかて知ってるわいな。そやのうて、iPadをどう使うんや、ゆうてんね ん。
A)どうて、君、iPadちゃんと見たか。長四角こぅて、フチがちょっと上がってて、 ちょうどお盆の形してるがな。リハ(リハーサル)終わってシーメ(食事)のとき、あれ に、ご飯のせて、おかずのせて、漬けモンのせて・・・。
B)iPadに漬けモンのせてどないすんねん。
A)まだあるで。「はたき(叩き)機能」。
B)ますます、わけわからん。なんや、はたき機能て。
A)こら難しいかもしれん。こらぁ、隣のやつがステージで眠りこけてるとき、手ぇではたいたんでは、 こっちの手が痛い。そんなとき、iPadではたくんやな。そうすると、はたかれたやつは、「アイ、ッテ」 ゆうて、「パッド」目が覚める。
B)アホらし。それにだいいち、それ、機能でもなんでもあらへん。
A)どないや、iPadて、いろんな使い道がありそうやろ。君も勉強せなあかんで。ま、 これに、インターネットがでけたり、写真が見れたりする機能が付いとったら、なおえ えんやけど。
B)おい、ちょっと待ちなさい。そうゆう機能が付いてんのが、iPadや、知らんのか。
A)えー、そんなん、ちっともアイパッドノー、やのうて、アイドントノーや。
B)も、ええかげんにしなさい。