映画音楽の演奏について
ジャズのスタンダードと呼ばれる曲の中には、映画音楽が多く含まれています。それらを 演奏する場合、もとの映画を観ておいた方がいいのか、ということが話題にのぼりました。

結論から言うと、ジャズとして取り上げるのなら必ずしも観ておく必要はない、と思います。 「酒とバラの日々」の悲惨な夫婦、「慕情」の中途半端な恋、「オーバー・ザ・レインボー」の ませたドロシー、どのシーンも、ジャズとして演奏する上では必要とは思えません。

映画音楽がスタンダードになりうるのは、その曲に「独り立ち」できるだけの魅力があるからで、 ジャズとして演奏される時には、曲はもう映画から離れてしまい、演奏者は、いかにその魅力を 引き出すか格闘しているのだと思います。

逆に、映画を観ることにより(映画の出来・不出来が)演奏に不必要なイマジネーションを与えて しまいそうな気もします。

とは言うものの、リクエストに応えて取り上げる場合や、歌詞やストーリーに話題が及ぶ場合も あり、そんな場合は観ているほうが得策で、観ないことを薦めるわけではありません。 要は、映画は映画、ジャズはジャズ、切り離して考える、ということでしょうか。

ともあれ、リクエストに応えて客がシラけて、「やっちゃった」、はよくあるパターン、映画音楽の 演奏は用心しないと。