エフエム放送局「ドンバエフエム」No.3


                 エフエム放送局「ドンバエフエム」No.3

さて、時刻は間もなく午前1時です。1時からは「あのころミュージックシーン」の時間 です。チャンネルはそのまま、ステイ・チューン!
・・・プップップッ、ポーン・・・

男)「あのころミュージックシーン」
女)『昭和!
男・女』問屋がおろさない〜』
<オープニングミュージック:イン・ザ・ムード(グレンミラー楽団)>

女)やっと涼しくなったと思ったら、今度は、涼しすぎる〜、って今日このごろですけど、 皆さん、元気でお過ごしでしょうか。
昭和のいろんな音楽をご紹介する「あのころミュージックシーン」、毎週火曜日は、昭和を 彩ったジャズをご紹介する『昭和!問屋がおろさない』のコーナーです。
お相手はいつもの通り、わたくし、恩納菜音(おんな・なおん)と、
男)緒戸古常雄(おとこ・とこお)、でお送りします。
女)えっと、暑いの大好き人間の常雄さんには、夏が去っていくのが切ないでしょうけど、 元気出して、今日の曲の紹介をお願いしまーす。
男)そう、夏は男のロマン、秋は大嫌いだ〜、というのは置いといて、今日はジャズ界の 大御所、サッチモこと、ルイ・アームストロングの曲を選んでみました。
女)ルイ・アームストロングって、ダミ声で歌う人ですよね。あ、でも、どうしてサッチ モ、なんですか。愛称って、マイケルはマイクだったり、エリザベス・テーラーは、リに アクセントがあるから、リズ・テーラーだったりするけど、サッチモって、そうじゃない みたいですけど。
男)そう、実はいくつか説はあるんだけど、「サッチェル・マウス」、サッチェルというの は「口の広いバッグ」という意味だけど、そう呼ばれたのを「サッチモ」と聞き違えたと か、サッチ・ア・マウス、なんて大きな口だ、って言われたのが元だ、とか言われてます。
女)それって、どちらにしても、口が大きかったってことなんですよね。
男)そうね、演奏してる映像を見ると、いつも片手にハンカチを持って、演奏たんびに口 を拭いているのを見かけるし、唇が厚くてマウスピースが滑るんで、滑り止めにわざとキズ を入れてた、とか言われてます。
女)えっ、唇にキズを?!
男)そうじゃなくて、マウスピースのほうに。唇にキズを入れてどうするの。
女)そうですよねぇ。
男)それから、ジャズの歌の途中にスキャットを入れたのも、サッチモが最初です。
女)えーっと、スキャットってなんでしたっけ?
男)ちゃんとした歌詞じゃなくて、ドゥドゥビダバとか、その場で即興的に作る意味のな い言葉のことで、実はこれにも逸話があって、1926年2月26日の「Heebie Jeebies(ヒー ビー・ジービーズ)という曲の録音のとき、歌詞の紙を落としてしまいあわてて即興で歌った とか、実は、落としたのはわざとで周到にスキャットの準備をしてた確信犯だ、とか。で も録音を聴いてみるとそれがよかったんで、そのままレコードにしたら当時のベストヒッ トになっちゃった。それから誕生日も、本人は1900年7月4日って言ってるけど、公的に は1901年8月4日だとか、どっちにしろ、偉人に伝説はつきものみたいです。
女」へー。で、今日はどんな曲を?
男)そうね、ジャズを「アメリカの音楽」から「世界の音楽」にした人ですけど、やはり 彼の最高のヒット曲と言えばこれ、「What A Wonderful World」をいきましょうか。
女)あ、それなら私も知ってます、よくテレビでも流れるし。

「What A Wonderful World」/ルイ・アームストロング:2分19秒

男)さあ、どうでしたか。
女)曲も素晴らしいし、歌詞も素敵ですね。私なりに訳してみたんですけど、

木々の緑 花の赤 そして
空の青さ 雲の白さ そんなのを見ながら 思うんだ
なんて素晴らしい世界なんだろ
祝福された昼の明るさと 聖なる夜の闇
なんて素晴らしい世界なんだろ

空にも 人々の顔にも 虹が輝き
友達は 「やあ」と挨拶してる
心では 「愛してる」と言ってるんだね

赤ちゃんは元気に泣き 育っていく
いろんなことを学んで 大きくなっていくんだな
なんて素晴らしい世界なんだろ
ああ・・・なんて素晴らしい世界なんだろ

どうです、こんな訳。
男)んー、なかなかいい感じじゃない。実はこの曲にもエピソードがあるんですね。
女)やっぱり、そうくると思った。で、どんなエピソードなんですか。
男)この曲は、当時のベトナム戦争に心を痛めていたプロデューサーが、今までのテンポ のある曲とは違うしっとりとした曲をということで、サッチモのために企画したんだけど、 レコード会社の社長が気にいらなくてダメ出し。なんとかシングル盤で発売したけど、宣伝に力を入れて くれず中ヒット止まり。ところが、これがイギリスで大ヒットして、結局アメリカでも大 人気になりアルバム化され、ついにはサッチモの生涯の最高売上になった、といういわく付きの曲です。
女)えー、そうなんですね。それを聞くと、ますますこの歌詞の深さを感じますね。

<エンディングミュージック:真珠の首飾り(グレンミラー楽団)>
女)あ、そろそろ、時間ですね。次回はどんな曲が飛び出すのか、楽しみにお待ちください。
今日の『昭和!問屋がおろさない〜』は、これまで。また次回お耳にかかりましょう。それでは、
男・女)ごきげんよう、さようなら〜。
(マイク:OFF)

女)お疲れ様でした〜。なんか急に寒くなったんで、私、ちょっと風邪引いたみたいで、声がガラガラ で、すみませんでした。
男)ああ、そうなんだ。今日のテーマがサッチモだから、声を真似してるのかと思った。
女)むっ、私そんなに器用じゃありません。じゃ、次回もよろしくオネガイジマーズ、ゴホゴホ。

(放送ブースのドアの閉まる音:バタン・・・)