エフエム放送局「ドンバエフエム」No.2


               エフエム放送局「ドンバエフエム」No.2

さて、時刻は間もなく午前1時です。1時からは「あのころミュージックシーン」の時 間です。チャンネルはそのまま、ステイ・チューン!
・・・プップップッ、ポーン・・・

男)「あのころミュージックシーン」
女)『昭和!
男・女)問屋がおろさない〜』
<オープニングミュージック:イン・ザ・ムード(グレンミラー楽団)>

女)皆さ〜ん、暑い日が続いてますけど、お元気ですか〜!
昭和のさまざまな音楽をご紹介する「あのころミュージックシーン」、毎週火曜日は、昭和 を彩ったジャズをご紹介する『昭和!問屋がおろさない』のコーナーです。
お相手はいつもの通り、わたくし、恩納菜音(おんな・なおん)と、
男)緒戸古常雄(おとこ・とこお)、でお送りします。
女)さあ、今日はどんな曲が出て来るんでしょうか、楽しみで〜す。
男)はい、えっと今日はちょっと変わったところで、スカのバンドを選んでみました。
女)スカって、当たりハズレの、ハズレの方のスカ、ですか?
男)そうです、って違います!だいたい、ハズレをスカって、そうとう古いと思うけど。 そう言えば、昔「ねぶりクジ」ってあったよね。
女)えー、いっしょにしないでくださいよ〜、知りませんよ、そんなクジ。
男)またまたー。駄菓子屋さんで売ってた、細長くて、ちょうど付箋ぐらいの大きさの薄 い紙のクジで、ねぶる、つまり、なめると、たいていは「スカ」って文字が浮き出てくる・・・ あ、ちょうど貴船神社のおみくじくたいに。そう言えば、あれって、当たりだと何がもらえる んだっけ?
女)だから、知りませんって、そんな不衛生なクジ。それよか、スカのバンド、っていう ほうをお願いしますよ。
男)。そうでした。今日のご紹介するのは、東京スカパラダイスオーケストラ、略してスカパ ラ、です。
女)えー、スカパラダイスって、スカのパラダイス、なんですか、知らなかった。じゃ、 そっちのスカって、なんなんですか?
男)スカというのは、音楽のジャンルのひとつですね、ジャマイカで発祥した。
女)ジャマイカって、キューバの近くの島の、あそうだ、百メートルのウサイン・ボルト の国ですよね。そこで生まれた音楽がスカ、なんですね。
男)ええ。元からあったメントとかカリプソという音楽に、アメリカのジャズやR&Bの 要素が加わって出来た音楽で、2拍、4拍が強調された軽快なリズムが特徴です。
女)へー、そうなんですか。でも、スカパラって、そんな曲やってましたっけ?
男)そうね、最初の頃はスカが主だったけど、アルバムを重ねるごとに、スカにこだわら ない自分たちの音楽性を見つけ出したみたいですね。
女)えっと、スカパラって、結成は昭和60年だそうですから、今日は、昭和もいよいよ後半の方 の音楽のご紹介ですね。
男)ところがどっこい。
女)表現、古〜。どっこい、なんなんです?
男)ご紹介する曲は「ジャングルブギ」です。
女)「ジャングルブギ」?またまた古そうなタイトルですね。それをスカパラがやってるん ですね。じゃ、とりあえず聴いてみましょう。東京スカパラダイスオーケストラで「ジャ ングルブギ」です。

「ジャングルブギ」/東京スカパラダイスオーケストラ:3分20秒

男)さあ、どうでしたか。
女)なんか、古いのと新しいのが入り混じった、でも新しい、みたいな、変な感じでした。
男)それもそのはず「ジャングルブギ」というのは、1948年、つまり戦後すぐの、黒 澤明監督の映画「酔いどれ天使」の曲ですからね。それをスカパラがやったわけだから。
女)どおりで。その映画、どんな映画なんですか。
男)酒好きの庶民的お医者さん、つまり自称酔いどれ天使が志村喬、結核を患っているヤ クザが三船敏郎で、終戦後の混沌とした社会を描いた映画ですね。その中で、キャバレーで笠置シズ 子さんが歌っていたのがこの「ジャングルブギ」でした。面白いのは、そのころのクラブ、 キャバレーの雰囲気がよくわかること。そうそう、店の専属バンドがチューニングをする 場面とかもあったりしてね。ところで、この曲の作曲は服部良一さん、では、
  ウワオ ワオワオ ウワオ ワオワオ
  妾(わたし)はめひょうだ 南の島は
  火をはく山の ウワオワオワオ 生まれだ
  月の赤い夜に ジャングルで (ジャングルで)
  ジャングルで (ジャングルで)
  骨のとけるような 恋をした・・・・
この作詞をしたのは、誰でしょう?
女)誰って言われても。スカパラの人ですか?
男)いえいえ、これがなな、なんと、黒澤明監督自身なんです。
女)え゛―っ。黒澤監督って、多才な人だったんですね、面白〜い。

<エンディングミュージック:真珠の首飾り(グレンミラー楽団)>
女)あ、そろそろ、お時間が来たようですね。次回も楽しみにお待ちください。では、今 日の『昭和!問屋がおろさない〜』は、これまで。また来週お耳にかかりましょう。それ では、
男・女)ごきげんよう、さようなら〜。
(マイク:OFF)

女)お疲れ様でした〜。ブースの中、節電でクーラーが効いてなくて暑かったでしょ。
男)いえいえ、団塊の世代にとっては、これぐらいなんとも。じゃまた来週もよしろくお 願いしま〜す。

(放送ブースのドアの閉まる音:バタン・・・)