=便利なデジタルの道具たち=
「ねえ、先生たちが『デジタル楽器を使ったコンサート』をやるって、ポスター見たわ。
でもさ、そもそも、デジタルって、どういうことなの」
(二日酔いで頭が痛えのに、小学生の分際で、そもそも〜?)。そうね、デジタルって
難しそうだけど、簡単に言うと、コンピュータが、いろんな事がらやモノを、電気信号で判断
出来るように考え出された、表現の方法なの。
「(シドロモドロじゃんか。ははー、二日酔いだな)先生、よくわかんなーい」
(当ったり前じゃい、こっちもよー分からんのじゃ)うーん、コンピュータってそもそも、
電気信号が来ているか来ていないか、を認識することしか出来ない機械なの。来ていれ
ば1、来ていなければ0、というふうに、たった二つの信号を認識するのね。それがデジタ
ル信号。で、その0と1の信号の組み合わせの約束をいっぱい作っておいて、それを画面
に表示するんだけど、その認識のスピードがメチャメチャ速いから、まるで頭脳があるみ
たいに思えちゃうのね。一般的には、物事を数値化して表現することをデジタル、そうで
なくて、連続したもので表現することをアナログって、呼んでるわ。
「ねえ、信号の組み合わせの約束って?」
例えば、数字、文字、色、音なんかを、どんな組み合わせの0と1で表現するかを決めて
あるの。その約束によって、日本語の文章が書けたり、画が描けたり、音楽が演奏ができ
たりするのね。
「ふーん、その約束って、世界共通?」
だったらいいけど、そうじゃないのね。例えば、楽譜を書くソフトにしても、ソフト会社
ごとに約束事が異なるから、A社のソフトで作った音楽データは、B社のソフトでは使え
ない、なんてことが多いわ。
「ねえ、音楽用のデジタル機械って、どんなのがあるの?」
そうねえ、例えば、
▼トロノーム
今はほとんどがデジタルね。速度だけでなく、音符の種類も変えられるし。カッ、カッて
振り子で動くメトロノームは、大きいし重いし、振り子のオモリが緩んでテンポが狂った
りして、最近はあまり使われないみたい。
▼チューナー
これは、そもそもがデジタルの機械ね。昔みたいに、音叉に合わせてチューニングするこ
とは、まずなくなってきたわ。
▼電子ピアノ、デジタルキーボード
本物のピアノより安いし場所も取らないから、ずい分普及してるけど、音色は本物と比べ
ると見劣りするし、鍵盤のタッチもずい分違う。キーボードは、いろんな音色やリズムを
組み込んだものが多ので、ピアノとは別モノの楽器として愛用されているわ。
▼電子管楽器
「F1」のテーマで流れてる、サックスのようなデジタル木管楽器はあるわ。でも、トラ
ンペットのような金管楽器のデジタル楽器ってのは、せいぜい、おもちゃみたいなのがあ
るぐらいね。
▼電子弦楽器
最近は、バイオリンやビオラのように、いろんな電子弦楽器が、練習用に作られているわ。
音を外に漏らさずにヘッドホーンで練習出来るからね。もちろん、音色はそれなりの音だ
けど。
▼金管楽器練習用・電子ミュート
これは、ミュートした音をヘッドホーンで聴きながら練習が出来るっていう、便利な機械
ね。トランペット、ホルン、チューバ用などがあるわ。残念ながら、サックスなんかは胴
体にいっぱい穴があいてて音が漏れちゃうので、木管楽器用はないわね。
▼シーケンサー
音楽を作る機械ね。いろんなリズムや音色のデータをバラバラに入れておいて、それを
オーケストラみたいに同時に演奏させることが出来るわ。最近はずい分小型化されて、簡
単に外に持ち出して使えるし。
▼音楽ソフト
音楽ソフトの機能は大きく、楽譜を書く機能と、演奏をさせる機能、の二つに分けること
が出来るわ。大抵は両方の機能を持っているけど、どちらかが得意、または両方とも得意、
などのソフトがあって、それによってずい分値段が違うから、買うときは確かめて買うこ
とね。
「ふーん、いろんなのがあるんだね」
そうね。でも、基本的に音楽っていうのは、人の心に響く音を生み出すことが目的だから、
便利だからといって、デジタル楽器に頼り過ぎるのは、考え物ね。
「・・・ねえ先生、デジタル楽器って、停電の時は使えないんじゃない?」
(当たり前のこと聞くんじゃねえ!)そうね、デジタル楽器って、電気信号で動くんだか
ら、当然、そういう欠点もあるわ。
「やっぱり。そうなんだ。(面白れー。明日、こそっと電源切っちゃおっかなー)。じゃコ
ンサート、楽しみにしてまーす」
「ありがとう。ついでに、会場に『こそっと電顕切っちゃおっかなー』なんて、考えて
いそうな奴がいたら、ブッ飛ばしてやってね。
じゃ、よいこの音楽勉強室、今日はこれまで。まったねー。
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